75 【身内】星仰ぎのギムナジウム【R18G】
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「ちょっと悩んだんだけどな……来ちゃった……
別に気にするな」
>>中庭
「俺もいていいなら時間の許す範囲でいさせてもらうよ。
アイデアなんてものは人が集まれば集まるだけ湧いてくる、
これからいくらでも考えて行けばいい。
だけど、」
じ、っとスピカを見つめる。
「どういう身体だろうが関係ない、痛いものは痛いんだ。
無理はするなと主張して行くからな。
お前が傷付くことを厭う人間がいるんだ」
そしてそれは俺だけじゃない。
>>中庭
「あら、隠れていたルヘナが悪いのよ。
仲間はずれがいやなら、ちゃんと仲間に入れてと言うべきだわ」
イクリールは、そう言ってまた笑った。
他の生徒から向けられる、揶揄するようなものではない
至って普通の、日常の一コマのように。
それから、『経験則』を語るブラキウムを見て
心の底から嬉しそうに、その表情を綻ばせた。
「いいわ、みんなが妬いてしまうくらいに楽しくやりましょう
それに、ひとりぼっちでいるよりは、誰かと一緒に居た方が
できることって多いもの。」
「ま、生憎。オレも、
病気レベル
の
”人の視線惹きたがり”なもんでね?
だからギムナジウムにまだいるんだし」
あんま誇れたもんじゃないけど……
でも、これからは誇らなきゃな、と笑う。
「身体張らなくとも、盾でもなんでも用意しようぜ。
やるなら派手に色々したほうがいいだろ」
「仲間外れが嫌とかではなくてだな、……まあいいか。
そういうことにしておくよ」
イクリールに何かしら返答をしようとして、やめる。
「色々用意するのなら案をいくつか出そうか。
俺自体はこの通りの非力だからな、
実働はお前達に任せることになるが……まあ、
適材適所という言葉もある。役割分担は大事だろ」
「ルヘナさん……ありがとう」
「私……」
何かを言いかけて、やめた。
「大丈夫よ。意味なく傷つくようなことはしない。
『保険』よ、『保険』」
>>スピカ
「俺は寧ろお前に礼を言いたいと思っているよ、スピカ。
誰かしらが思い至って動かなければこの流れは起きず、
お前がいなければきっと俺は引き返していただろう」
だから、ありがとう。
小さく伝えて、それから何かを言いかけたスピカに首を傾げる。
聞き直そうとしたが、続く言葉を聞けば頷いた。
「それがわかっているならいい。どんどん周囲に頼れ」
>>中庭
「悪いなブラキウム、結局朝の報告は行けずじまいだった」
改めて小さく謝罪を乗せてから、
ブラキウムが周囲に語り掛けるのを遮らないよう口を閉じる。
彼が語る内容は直接聞いていたものだ、自分は知っていた。
そうして聞いているうちに、
顔と名前を覚えていてくれたことに思い至り、
少し喜ばしく思う。
そして、話題がシェルタンへと投げかければ
そちらに視線を移し、
……目を逸らさぬよう、意識して見つめた。
ブラキウムの事を知っている。重要な事、些細な事、そのどちらも。
「……へえ」
無関心、というわけではない。
だが、人目がないとは言えないので、
リアクションを抑えただけだ。
「まあ、そちらはシェルタンさんに任せるとして。
親交もあるようですしね」
「……なるほど、な」
受け止める。隠し事も視線も全部。
今更怖気づいてたまるものか。
「うん、”最高”じゃん?
そもそも『なかったこと』にするってことだろ。
……ンな大役、オレが任されていいのかわかんないけど」
「わたしも……あまり手伝えることはないかもしれないし、
抜け出すのにだって限度はあるわ。
それでも、できることはあるはずよ。」
早く抜け出さずとも出歩けるようになるといいのだけど。
そう言って、少しだけ寂しげに微笑んだ。
「相談……というほどのことじゃなくてもいいの。
わたしに話せることだったら、いつでも聞くわ。
だから、シェルタン、スピカ、ルヘナ。
それに、ブラキウム。
どうか、一人で抱えこまないでね。」
わたし、みんなのことが好きよ。
だから、少しでも力になりたいの。
そう言って、イクリールはやはり『みんな』に微笑み掛けた。
恐れるものなど、何も無い。
>> 俺の小さな友達
「……サルガス、」
昨日背に抱えた友人が、自分達を認識している。
そのことが嬉しいし声をかけもしたいのに、
どうしても足が動かなくて。
ただあなたを見つめている。
サルガスに「いっぱい楽しいこと、してやるぜ」と笑った。
いつものようにサルガスに笑い掛けた。彼等は確かにそこに居る。
>>中庭 サルガス
そんな顔をしなくていいのに。
そんな声をしなくていいし、
お前にそんな思いをさせたかったわけでもないはずなのに。
今でも正直分からないが、きっとそのはずで。
「いや、いいんだ。俺が好きでやったことだし、
メレフやシェルタンにもお前を頼まれていたんだから。
……悪い。秘密会議、できなかったな」
>>中庭 サルガス
「サルガス、お前が望むのならきっとできる。俺にも、俺達にも。
……現に今、こうして俺達を見て『くれている』だろ?」
こうして言葉を語り合うことができる時点で、
『いなくなった』子供達の救いになるのだと。
そう、笑って見せる。
自分が返せる答えはこれしかないけれど。
そばに行く資格があるのか、躊躇っているけれど。
小さな友達が、少しずつ成長して行っている姿を、
とても眩しそうに見ている。
>>中庭 サルガス
差し出された手を取ろうとして、一度止まる。
昨日は自然とルヘナ自身から差し出されていたはずの、
震えた手が一瞬躊躇って、
……ほんの数秒だけではあるが、そっと握り返して。
「……俺には、もったいない言葉だよ……ありがとう」
なんとか、絞り出すようにそれだけ。
感謝の言葉を絞り出した。
ラサルハグにそれはもうすっごくすごーーーく撫でられた。
| >>53 夕方の屋上 レヴァティは結局、授業の間もずっと寝ていた。 夢見が悪いのだろうか、うなされている。 >>L8 (79) 2021/05/30(Sun) 12:17:48 |
ラサルハグの横を通り過ぎた。少なくとも、お目当てではないだろうから。
夕方の屋上
「……レヴァティ。」
ぽつり、『いない子』の声が転がった。
イクリールは、レヴァティの事だって知っている。
直接話した事こそ無いけれど、
周囲の所感を聞き、その行動を見てきた。
魘される子どもには、その声は届かないかもしれない。
けれど、傍に居る事はできる。
それが許されるなら。
たとえそうでなかったとしても、或いは。
たとえ立場が違えども、同じ事をしただろう。
| >>夕方の屋上 イクリール 「う……」 誰かの声に、人の気配に。彼は目を覚ました。 微睡みからは抜け切れず、 そばにいる人物をはっきりと認識しているかもわからない。 それでも、空の色が眠りに落ちる前と ずいぶん変わってしまっているのは見て取れたらしく。 「……あー……お呼び出 し ?」 寝転んだまま問いかけた。 喉の調子は、朝よりはマシになっている。 (82) 2021/05/30(Sun) 14:44:52 |
夕方の屋上 レヴァティ
「あら……ごめんなさい、レヴァティ。
無理に起こしてしまったかしら。うなされていたものだから」
未だ微睡みの中にはあるけれど、
確かに自身の声を認識していた彼に、声の主は僅かに瞠目した。
いつかの朝食の席では、『見えないもの』を
『見えないもの』として、扱っていたように見えたから。
「それからもうひとつ、ごめんなさいね。用はないの
ただ……こんなところで寝ていたら、
風邪をひいてしまうと思って。」
既に、陽はとっぷりと暮れている。
まだ冬は遠いけれど、秋風はやっぱり冷たくて。
或いは既に手遅れなのだろうが。
| >>夕方の屋上 イクリール 「んー……? んーんー、嫌ァな夢見ちょったけん、ありが と〜 」 起き上がろうとする気配はなく、むしろコートを抱き込み、 イクリールを背にする形で転がった。 あなたの傍には風で捲れる手帳が落ちている。 「風邪は、ああ、引 けた から大丈夫です。 お呼び出しと違うんなら、 もう晩までここ居ってええかもしれ ません ね、俺は」 喋りながらコートを探る。 探し物は見つかったのか、程なくして手は止まった。 「 君 も、風邪引かん内にあったかい所 に 行くんですよ〜」 (84) 2021/05/30(Sun) 15:33:49 |
夕方の屋上 レヴァティ
「そう。
なら、よかったわ。嫌な夢、忘れたいなら聞くけれど…
…うぅん、でも、そうね。おだいじにね」
イクリールは、向けられた背を覗き込む事は無い。
話したくない事を無理に暴き立てようとはしない。
本当に話したくないのなら。
「……そうね。夜になる前には戻らないと
『みんな』に…『せんせい』に心配をかけてしまうもの。」
それでもまだ、暫くは その場に留まっている。
何をするでもなく。
| >>夕方の屋上 イクリール んー、やら、あー、やら。生返事を投げ置いて。 話は終わったものに思えていたけど、 それでもあなたが去らないものだから。 「……ひとことで言 った ら、 子どもたちが屠 殺 ごっこをした話?」 起き上がって、「あ」という顔をした。 話し相手がイクリールであったことを、 レヴァティはここで初めて認識した。 「……まァ、ええか」 「屠殺ー…鶏やら豚やらをお肉にす る為 に殺すことね? その屠殺屋さん役の子が、 ごっこ遊びで 豚 役の子を本当に殺しよるん」 「殺人が死刑の町で、それでもその子が 子ども だからで許されるか許されないか、って 話 〜」 「君はどう思います?」 コートの下から本を取り出し、パラパラとめくり出す。 ん? 何か違和感を感じたようだったのが見て取れた。 (85) 2021/05/30(Sun) 16:22:49 |
暫くその場にいる皆の様子を眺めてから、中庭を離れていく。
夕方の屋上 レヴァティ
「とさつごっこ?」
ただ何となくそこに居て、
ただ何となく、夕暮れの空を眺めていたイクリールは
唐突なレヴァティの言葉をなぞり、首を傾げた。
「………うぅん…むずかしい話はあまり、得意ではないけれど…
殺してしまった子は…悪気はなかったのかもしれないわ。
殺してしまったのは、どうしてかしら。
ただ間違えてしまっただけではないのかしら。
それとも、その子のことを嫌いだったの?
嫌いなら、どうして嫌いだと思ったのかしら」
イクリールにしては珍しく、うんと悩み
少しずつ、訥々と言葉を返していった。
「それもわからないのに、許すとか、許さないとか
そんなことを決めてはいけないわ。
他のみんなは違うかもしれないけれど、
わたしはそう思うのよ。」
悩み考えるイクリールは、レヴァティの様子には気付かない。
| >>夕方の屋上 イクリール 「そっか。君はよう考え られ る子ですねぇ」 「そうですそうです、判断し得るに足 る情 報って、 今俺が言った中には全然ないんよ〜。 誰かに命令されたとか、 他の 場合 もいっぱい考えられますけん」 「君はそおやって、考え られ る頭がなくならんとええ、あっ」 本の中身をちゃんと読んでギョッとする。 忙しなく周囲を見て、イクリールの傍の手帳に気付けば 慌てた様子で手帳を拾った。 コートから出した本…… ──童話集と手帳は、サイズは似てはいるが、 中身は勿論、表紙の質なども大きく違う。 あなたがイクリールだとも気付くのも遅れたし、 こんなことも間違えていたのだから、 彼は本当に、そうとう寝ぼけていたのだろう。 (88) 2021/05/30(Sun) 17:19:02 |
夕方の屋上 レヴァティ
「……そうかしら。
ううん、レヴァティがそういうなら、きっとそうなのね。」
その声色は、自分に言い聞かせるようなものではなく
ただ純粋に、そう納得しただけのようで。
それから、慌てた様子のレヴァティに目を瞬かせた。
「…ねえ、レヴァティ。
たとえ悪気がなくとも、よくないことはよくないことよ。
殺してしまったことも、『なかったこと』にはできないわ。
それはきっと、たしかなことよ。
それでも、それがよくないことだと、正しいやりかたを
知らなかったことが悪いことなんて」
そんなの、あんまりよ。
きっと、誰も教えてくれなかっただけなのに。
「一度許されないことをしてしまったひとは、
いつまでもずっと、
許されないままでなければならないのかしら」
昏くなりつつある空は遠く、暮れる夕陽を眺めてぽつりと零す。
その手帳はきっと、レヴァティにとって大切なものなのだろう。
ただそれだけの事だ。イクリールはそう結論付けた。
カストルとポルクスの好きなように、自分の髪を触らせた。
| >>夕方の屋上 イクリール 「そうですよ〜 考えられん子も結構いよるけんねぇ」 「『悪いことは悪い、だから罰さ れる べきだ』 って考えしか、一にも二にも出来ん子もいて。 けどそれ自体も悪いことってわけでなく て 」 「『悪い って 知らんことをしてしまいました』 『事情次第で許される悪いこと が あるって知らんです』」 「言いよることん根本は、 まァ 同じよね〜 知らんことは知らん。思いつきもしない ん です」 「俺は ね 、みんなみんなが許すこと って ない と思いますよ、 イクリール」 片手で開いた手帳を見つめながら、 放り捨てていたコートと童話集を回収する。 「でも、誰かは許してくれるとも思うちょります」 「君が許せないことは、 …まァあればですけど 許せんくて ええです し、 君が、誰かを許せる 誰かに なってあげてもええし」 あなたの場合は、大よそ後者をするだろうと レヴァティは思っている。 (98) 2021/05/30(Sun) 19:32:46 |
| >>98 夕方の屋上 イクリール 「…… あーあ 、転がりよる気分やなくなった なァ ?」 けほ 、わざとらしく声を出せば、少し咳き込んだ。 「……もう話かけんでくださいね、俺が困ります けん 。 はよ う卒業しよってなァ〜〜?」 そう言って、レヴァティは屋上を後にしていった。 (99) 2021/05/30(Sun) 19:35:18 |
| レヴァティは、 『ぴんぽんぱんぽーん♪』 夕食後、門限の放送を滞りなく行った。少し掠れた声で。 (a105) 2021/05/30(Sun) 19:43:03 |
夕方の屋上 レヴァティ
「……そう。レヴァティがそう言うなら、そうするわ。
ごきげんよう、レヴァティ。どうか元気でね。」
立ち去る背中を追う事は無い。
寂しくなった屋上に、びゅうと一つ、冷たい風が吹いた。
「…わたしにだって、ゆるせないことはきっとあるわ。
まだ知らないか、それがとっても少ないだけで。
だれにだって、ゆるせないこと、ゆるしたいことがあって
きっと、それだけでいいのにね。」
一人ぼっちのイクリールは、寂しげに微笑んだ。
この世界は、どうにも上手く行かない事ばかりだ。
きっと、誰が悪いわけでもないのに。
| レヴァティは、投げかけられた言葉を背中に受けるだけだった。 (a106) 2021/05/30(Sun) 19:47:04 |
彼らから貰った花束を、さっき掘ったばかりの穴に放り込む。
「カストル」
スピカは、
カストル
に見えるもの
を
探して歩き回っている。
様子がおかしいのはもともとだが、
これは話が違う。
自分の手に負えないものだろうと、
見て見ぬふりはできないと思っていた。
だって、全てを受け止めるって決意をしたから。
一筋の光明を見つけ出すのは、そう難しくないことを。
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