167 【R18G】海辺のフチラータ【身内】
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| >>5 忠犬君 【ノッテアジト廊下】 会議が終わった後。 散々釘を刺されたからか、体に負担がかからぬよう所作に気を使って会議室を出たところ。 見覚えのある"忠犬"の姿を見つけて。 ああ、と口角を上げて口を開く。 「―――なあウサギちゃん。 "死にぞこないの犬"が迷い込んでるみたいだぜ」 それは、孤児院にいた頃に見せた悪童の笑み。 もう一人の悪童に声を投げて、ゆっくり近寄っていくことだろう。 (6) 2022/08/25(Thu) 0:15:56 |
| >>16 悪ガキ達 【ノッテアジト廊下】 「どの面で"無理するな"なんて言ってんだかな」 「人に説教する前に、自分を鏡で見てみろよ。箱入りの室内犬でももう少し自分の世話が出来るんじゃないのか?」 人に見せられないような顔で出歩くなんて本当にらしくない。 本来ならもう少し手心を加えてやるところだが。 なにしろ、君には言いたいことが沢山沢山あるのだ。 「とりあえず座れる場所に行こうぜ、会議の疲れもあるしな」 「"リック"の部屋でいいだろ、五体満足なんだから荷物くらい持ってやれよ ツィオ」 いつからか呼ばなくなった愛称を口にして。 先に部屋の方へ向かって歩き出すのだろう。 (17) 2022/08/25(Thu) 23:12:36 |
| >>18 >>19 馬鹿ども 【ノッテアジト廊下】 「誰が息子だ、気持ち悪いこと言うな」 「面倒掛けてんのはお前も一緒だろうが、自分は大人だとでも思ってそうだな?リック」 揶揄うように笑いながら。 横を抜けていくツィオの姿を横目で見て。 そして振り返った君が手を挙げたのならば。少し面食らったような顔。 ああ―――と、納得をしたように笑みを浮かべ。 何でもなさそうな顔で、君の元へ歩いていく。 「遅くなった。―――ただいま、兄弟」 奇しくももう一人の幼馴染と同じ言葉を乗せて。 開いた手を、君の右手にぶつけ。 ぱん、軽い音を響かせた。 (37) 2022/08/27(Sat) 1:49:06 |
| >>38 >>39 >>40 Tesoro mio 【ノッテアジト廊下】 「……いいじゃねえか、ツィオ。俺たちでこの街獲れたら最高だ」 混じった血では、届かなかった場所へ。 凝り固まった組織を新しく変化させて、夢見たあの景色を。 あの時、夢の中で見た烏に話したように。 3人で肩を並べて。そうあれたのなら、これほど幸せな事はない。 「どこまでも―――最高だな」 そのための準備はもう始まっている。 この2人が一緒にいるなら、無敵だ。壁なんて、壊して進んでやろうじゃないか。 あの時のような景色を、あの時とは違った目線でもう一度眺めて。 悪戯を思いついた子供のように、笑ってみせるのだ。 (41) 2022/08/28(Sun) 0:26:21 |
返す返すも、運の無い人生だった。
望んだ事は叶わない事ばかり。だからいつしか望む事さえ諦めた。
諦めた、つもりになっていただけだった。
奪われたものは、奪い返すべき相手からは得られなかった。
未来があって欲しいと願った人々は、やはりその大半を見送る事になって。
受けるべきであった、誰かを殺めた報いを受ける事も無く。
もしも果たされる時が来るなら、ずっと先の事であればいい。
そう思って口にした、他愛無い口約束を果たす事も無かった。
見届けるべき死の全ても、その目で見届けるに能わず。
それらの不誠実を、無力を、差し伸べられた手を取れなかった事を。
誰に謝る権利が自分にあっただろうか。
わかっていて、友人の全てを徒労にし続けた自分に。
けれど、いつかの昔に奪われた終わりは取り戻された。
誰かの道は途絶えても、確かにその先を歩いて行く誰かが居る。
全ては叶いはしなかったけれど、全てが叶わなかったわけでもなく。
良くも、悪くも、結局自分は何もしなかったのだから。
そんなものか、とも思う。
望む事も、望まない事も選べなかった、半端者には相応しい結末だ。
だから、見届けて来た全ての死だけを連れて。
家族も、帰る場所も、行き着く先も求めない。
名もなき烏は、何処へ行く事も選ばない。
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