【人】 ][『月』 エーリク―― 誕生日会 ―― うん、僕から。 [ 何を贈ればいいか、たくさん考えたよ。 ……嘘だけど。 抜け出した際、同じ年頃の子が 母親に強請っていたものを、購入した。 使い道のない、給金でね。 自分で作れるクッキーの材料セットだったかな。 聞かれれば悪びれずだれにでもそう答えたはず。 ところで>>0:377歌えるなら全員でと 願う誰かがいたらしい。 全員、僕も入っているかな。 積極的に自分から挙手はしなかったと 思うけれど、だれかに声を掛けられたら 多分末席にお邪魔していたと思うんだ。 そうじゃなければ手拍子くらい参加していたかも。 ] (105) 2022/12/14(Wed) 5:18:48 |
【人】 ][『月』 エーリク[ アリスに限らず、他の誰かの誕生会や お茶会、食事会、名目はどうあれ、 義務であれ温情であれ、声を掛けられて いたなら、参加し、馴染もうという努力は していたはずだが。 どこかしらぎこちなく、あったことは 己を迎えに来てくれたカルクドラには 知られていたかもしれないし、 馴染もうと努力はしていると言い訳すら していたかもしれないな。* ] (106) 2022/12/14(Wed) 5:19:09 |
【人】 ][『月』 エーリク ―― 『月』 ―― 月はただそこに在りました。 在るだけのことも、ままありました。 友が訪ねてくれば、迎えましたが 訪ねてきた友に、世話を焼かれることが 多くありました。 箱庭の平穏が崩れ去った時にもまた ただ、在るだけでした。 衝突し合い、殺し、殺され やがて、審判が月を殺しました 自分を良く思わなかった審判に 殺されましたが どこか常と違う様子であったように 思っていたのでその瞬間まで 恨む気持ちや憎しみよりも、 恐怖が勝っていたのかもしれません そうして月は 在らずになりました。* (107) 2022/12/14(Wed) 5:30:06 |
【人】 ][『月』 エーリク―― どこかで ―― [ 例えば洋館を抜け出す直前だとか。 例えば草むしりをしていただとか。 どこかの機会で『審判』とふたり という状況になったとしたら ] ――来ないで!! [ とっさにそう口から飛び出していた。 更には、そう言ってしまったことを 自分でもよく分からないという顔をしたまま ] ごめん、少し汚れているんだ [ そう言い訳をした。 何かしらの反応があったら、それがどうであれ 後悔を募らせた事だろう。 大きな声も、拒絶も、常日頃ないことだったし 拒絶されることで傷つくことだって、 僕は知っていたから。* ] (108) 2022/12/14(Wed) 5:37:34 |
【人】 ][『月』 エーリク[ 昼であれ、夜であれ その場所がどこであれ。 時折、霞んで消えるように 存在感が揺らぐことがある ああ、落っこちてしまう そんな時、誰彼構わず、そばにいて欲しいと 袖を掴む事がある。 そうして気の済むまで震え、時折は はらはらと涙を流し落ち着けば 謝罪をしてその場を去っていた。 回数で言えばカルクドラが群を抜いて いただろうが。 足元はいつだって、脆く崩れやすい ものだから。** ] (109) 2022/12/14(Wed) 5:55:20 |
【人】 ][『月』 エーリク―― 回想:『教皇』との邂逅 ―― [ 屋敷と呼んでも差し支えない家は 外側こそ変わらぬままだったが、 内側は人様に見せられるようなものではなかった。 外された絵画の痕、必要最低限の調度品と家具。 帰る場所がないために残された使用人、 一番は身なりに気を使わなくなり、罵り合う父母だったか。 それでも彼らは諸手を挙げて、彼の来訪>>0:610を 喜んだ。 茶を出すことも、応接間に案内することもなく、 少年を突き出した。 久方ぶりに見た父母の笑顔だったのに、 僕はそれを醜く思った。 差し出せば全て元通りとはいかぬだろうに。 ] (110) 2022/12/14(Wed) 6:29:25 |
【人】 ][『月』 エーリク あぁ………、 うん そう ――……そうなんだね [ 押し出すように突き出された体は 吸い込まれるように彼との距離を零にした。 涙は流れなかったが。 血は全身を駆け巡った。 体温を思い出したような気すらした。 手を握られ>>611よりいっそうに。 陶器のような白い肌に、赤みが差した。 生きていることを思い出すように、体温が上がる。 それを見て、両親は一度我に返った。 私達が生み育てた子だと主張した。 ] (111) 2022/12/14(Wed) 6:29:45 |
【人】 ][『月』 エーリク 父さん、母さん 聞いてください。 僕は今後何があろうとも、 今まで何があったとしても、 あなた方に感謝こそすれ、 恨みはしません この家に産まれ、あなた方と過ごしたことを 恨みはしません [ その言葉が彼らにどう届いたかは、 分からない、ただ玄関を過ぎ去った後、 泣き叫ぶ母の声が耳に残った。 そして最後に"いかないで"と彼女はいった。 最後に見た彼女たちの姿が、 ただ我が子を慈しみ愛した姿だったのは この上ない、幸運だったのだろうと思う。 ] (112) 2022/12/14(Wed) 6:30:04 |
【人】 ][『月』 エーリク うん [ 橙色の空模様も、 同行の職員がいなくなったことも、 もう目には入っていなかった。 ただ、共に歩く彼の姿>>0:612をみつめ 生返事のような声を返すだけだった。 別に味方でなくても、 仲間でなくても、 友人でなくても、良かった。 その言葉を信じられないと思ったわけではない。 ただ、彼が側に在る、それがその時の、 僕の全てであった。 ] (113) 2022/12/14(Wed) 6:30:16 |
【人】 ][『月』 エーリク[ "幸せになって欲しいから"とカルクドラは言う。 それをいつだって申し訳なく思った。 だって僕は、僕がどうなれば、どうしたら 何があれば幸せか、わからなくなっていた。 ] ………なにかしていないと落ち着かなくて みえるんだ、あいつが こわい こわいよ [ 洋館を抜け出すことを咎められることはなかった その理由まではきっと知らなかっただろうが。 優しくされることに違和感を覚えなくなれば 戻ったら彼のもとへ向かう事も日課になった。 時折は、錯乱したように、夜中彼を訪ね ] (114) 2022/12/14(Wed) 6:30:30 |
【人】 ][『月』 エーリク ねえ いかないで どこにもいかないで ここにいて ねえ いかないで いかないでよ [ 泣き縋る事もあった。 それも、洋館に住み始め一年も経てば ほぼなくなっていたが。 ] (115) 2022/12/14(Wed) 6:31:04 |
【人】 ][『月』 エーリク[ この洋館で、彼の姿があれば ほっとした。 ――その気持ちつける名前を 僕は知らないし、 これからもきっと知ることはないだろう。 ただ在ることを、ひたすらに、願うのみ。** ] (116) 2022/12/14(Wed) 6:31:16 |
][『月』 エーリクは、メモを貼った。 (a15) 2022/12/14(Wed) 6:33:03 |
【人】 ][『月』 エーリク―― 回想:アリアと ―― ………、ちょっと慣れないことをして [ 彼女に見つかったのは不運に違いなかった。 親しい人への接し方など忘れてしまった自分だから 声を掛けられても何度も、本当に僕に用か と重ねる事も多かった。 ――そのうち、面倒な子だ、関わらないでおこう そう思われるとばかり、思っていたこともある。 傷や病と見るや、放っておくことができないたちなのか 彼女は度々こうして、めざとく見つけると、 声を掛けて>>222きて くれた 。嫌な気持ちではない。断じて。 ただ、その気遣いに、優しさに、 返せるものの持ち合わせもなければ、 上手に断ることが出来るほど大人でもないため 困った、という表情そのままに見つめることしか 出来なかったと思われる。故に不運。 もしかしたら互いにとってという枕詞がつくかもしれない。 ] (299) 2022/12/15(Thu) 8:29:16 |
【人】 ][『月』 エーリク それを今、探っているところ [ 効率的に、そうできれば苦労はない。 幼い頃よりやたらと足腰が強く疲れ知らずの 丈夫さは折り紙付き、だろう。多分、ここにいる誰も彼もが。 谷から底へ落ちたらどうなるかは 知れないが、――まぁ多分死ぬのだろう。 二階から落ちても無傷であることもあるくらいだ。 洋館へ来てから一度飢えで死にかけたことも、 あなた知っていただろうか。 だとしたら放っておいて貰えないとしても 自業自得に違いないだろう。 ] (300) 2022/12/15(Thu) 8:29:48 |
【人】 ][『月』 エーリク[ 誰かと、それこそ貴方や、 他の証持ち、来訪者や住人と、 穏やかな時間を過ごしている間、 あれが見えなくなることや 本来の性格そのままに、年相応の 表情があらわれて、心が安定することに 気付けていれば、良かったのだけど。 どうもその近すぎる正解には、 たどり着けないままだった。 ] (301) 2022/12/15(Thu) 8:30:31 |
【人】 ][『月』 エーリク なおる? [ 良い家に産まれた子であるゆえに、 皿を洗い続ければ、指先が謎に切れて血を流すことも 赤子を抱き続ければ腕と腰とを痛めることも、 彼らが意外と力が強く皮膚くらい上手に切り裂くことも 木材と接していれば、刃物を上手に扱えなければ 怪我をすることがあることも、先程知ったばかりである。 それでもこの手が、何かをしていなければ 不安で、押しつぶされそうで。 何も考えずにただ目先のことを、片付けることだけが 今自分にとって、大事なことで。 であれば、この手はどうあっても、 治らなければならなかった。 座った位置から近づく貴方を見上げるように問いかける。 貴方曰く>>223、血色の悪い顔色で。 ] (302) 2022/12/15(Thu) 8:31:48 |
【人】 ][『月』 エーリク[ そうして、彼女は目を光らせて>>224くれているのに 人の信じ方なんて分からないものだから。 ただそこにいてくれるありがたさにも、 その時ばかりは放っておいてくれる優しさも、 当たり前に受け取れるものになりつつあって 大事なものの一つに数えるような ありふれた幸せ、尊いものだと考えられるような 利口さは持ち合わせていなくて ] ……… ごめんね [ いつだって、叱ってくれていいのに 僕はあなたにも、ありがとうすら 言えていない。* ] (303) 2022/12/15(Thu) 8:32:24 |
【人】 ][『月』 エーリク[ 誰かが誰かと話している。 そのくらいの認識はあった。 ただたまたま近くにいたシトラが 会話を終えたあと、同じように立ち尽くしていたから ――だと言えれば良かったのだけど 残念なことにただ、近くにいたのが君で、 僕に見つかってしまったのも君だった。 握り返そうとする手の気配>>230に、 概ね無意識で、気づき、先に少し強い力で その手を握った。 そのまま暫し、時間にしては五分ほど 無言で手を握っていた。 もしかしたら、痛いと言われていたかもしれないが それに気づくことが会っても、五分後のこと ] (304) 2022/12/15(Thu) 8:40:32 |
【人】 ][『月』 エーリク ……ごめんね [ そういつものように口にした。 痛いと言われることがなかったとしても、 ] 力つよかったね、痛くなかった? [ そう問いかけた。 その先の言葉はまだ上手に滑り落ちてくることは ない。ただ下手は下手なりに ] ――驚いたね [ ともすれば、他人事のように口にしたことは あったかもしれない。* ] (305) 2022/12/15(Thu) 8:41:07 |
][『月』 エーリクは、メモを貼った。 (a46) 2022/12/15(Thu) 8:44:50 |
【人】 ][『月』 エーリク―― 玄関ホール・シトラと ―― [ 控えめなのか、卑屈なのか。 もっと近くで彼女のことを見ていたら どちらであるのか、判断することは出来たのだろうか。 ――これまで、彼女がまた他の住人たちが どういう扱いを受けてきただとか、それは 想像の範疇でしかないが、少なくとも 彼女の立ち振舞や仕草などから、察せる部分は 察していたと思う。 もっとも彼女に限らず、 聞かせてくれるなら聞いていたし、 知りたいと請われたらならかいつまんで 話していたこととは思う。 ゆっくりと、静かに喋るシトラのことは 自分なりには好ましく思っていた。 それがただしく、伝わっているとは思わないけど。 ] (451) 2022/12/15(Thu) 23:53:51 |
【人】 ][『月』 エーリク[ ただ、もう既に自分の意見が固まっているもの、 笑い出すもの、真剣そうに考えると口にするものが いるなかで、自分と表向きは同じように 呆然として言葉を失うシトラがいてくれたことで 芽生えたちっぽけで矮小な仲間意識というやつが このときばかりはありがたく、正常に発揮されていたと思う。 これまでもわざわざ君を探すことは なかったとしても、そこに君が居たなら 迷いながらも袖を引き、僅かな時間を 過ごすことはあった。 ふるりと首を横に振って>>378 彼女はやはり、静かに、ゆっくりと喋りだした。 じっとシトラ>>380の目を見つめていたが やがて視線は雨粒が落ちるように、 すとんと下へ落ちる。 ] (452) 2022/12/15(Thu) 23:54:32 |
【人】 ][『月』 エーリク 考える、とは別に 感じるものは、ある。あった。 心がどこか、僕の知らないところに 飛んでいってしまっているみたいに、 僕をおざなりにしたままで、 彼の膝下に、すり寄りたい、と思いながら 同時に、 不愉快でもある。 ……説明が難しいな。 考えなければいけないことは分かっている だけど、そうして出した答えが 本当に僕のこころなのか、 今は分からない。 [ そう、とも。ちがう、とも言わなかったけれど 紛れもない本音ではあったんだ。 ] (453) 2022/12/15(Thu) 23:54:59 |
【人】 ][『月』 エーリク[ どこか納得もしている。 どこかで反発もしている。 魂の記憶に振り回されるなんて 馬鹿げてると思いながらも、 泣き縋りたくなった理由も、 恐ろしくて近寄ることが出来ない理由も、 説明なんざ出来やしない。 友人の顔を出来るように成りたい それなら、少しは説明もつくというのに。 ] (454) 2022/12/15(Thu) 23:55:30 |
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