83 【R18】ラブリーナイト・りたーんず!【ペアRP】
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視点:人 狼 墓 恋 少 霊 九 全 管
ぅ、 ん……、ん゛っ……!
[ 呼吸もままならないほど唇を、舌を食まれ、
歯を立てられて。
一瞬離れた瞬間に、ごくりと飲み込んだ唾液に
混じるのは微かな鉄の味。
ぜいぜいと息を荒げながら唇をぐいと拭えば
確かな赤が手の甲に薄ら線を引く。 ]
……いー顔、してんな
[ なぁ海斗、知らないだろ
お前が今、どんな顔してるか。 ]
[ きっと、海斗は
こんな、嬲るような責めをするのは
初めてなのだと思う。
それは、与えられる刺激の強さからわかること。
痛みと快楽の、ギリギリのラインを探り抉る
プロのサディストとは違う。
全力で俺の反応を喜んでいる、そんな気がした。
そのぶん、容赦がない。
手加減を知らない責め苦はダイレクトに響く。
だから俺も一切隠さない。
痛みに戦慄く声も、歪む表情も、
快感に震える羞恥も、溢れ出す情愛も。
ああ、きもちいい。
]
……はぁっ、……ん、
ああ、乳首だけで、イキそ、───
[ わざとそのままの言葉を重ねて。 ]
かいと、の、そのかおな、
愉しそうで、ぎらついてて、
めちゃくちゃ、そそる……
[ 気持ちいいかと問うた声に答えはなかった。
それでもまるで挿入しているかのように
腰を動かして屹立を擦り合わせて喘いでいる、
そんな姿を目の当たりにすれば不満なはずもなく。]
[ 結構限界が近いと感じて、誘うように
挿入を強請ったけれど、意外にもそれは
あっさり拒否されて眉が上がった。 ]
かいと、
[ 縋るように名を呼ぶけれど返事は無くて、
重ねて握っていた茎が離れて。
代わりに贈られたのは悪戯な笑みと、
後孔に触れて容易く侵入していく指。 ]
……っあ、───ん んッ
[ 簡単に準備こそしていたけれど、
きっちり慣らしたわけではない。
なのにそこは海斗の細い指をあっさり
飲み込んでしまう。 ]
[ 軽い異物感に息を吐いて力を抜こうとすれば
すぐさま指が増やされて。
さすがにぎち、と皮膚の皺が張り詰める感覚に
力を抜くどころか一瞬全身が強張って喉の奥で呻く。
きつく顰めた眉間を汗が滴り落ちた。 ]
───っは、んん、ほぐして、くれんの
やっ、さしー、 ねぇ……ッ
[ 押し広げられ前後する指が深くなるたびに増す
圧迫感から悦を拾い上げたくて、
きつさを誤魔化して揶揄うように笑ってみる。
片足担がれて指突っ込まれながらじゃ
迫力はないだろうけど、中を探る指の動きは
やっぱりどこか辿々しくて、それが嬉しくて、
ついつい煽ってしまうお兄ちゃんを許してください。]
[ 浅く出し入れされれば焦ったさで腰がくねる。
袋を刺激されれば担がれた肩の先で足に力が入る。
中を爪で擦られて広げられ奥のしこりを
見つけられれば打ち上げられた魚のように
身体が跳ねた。 ]
んんっ、……ぐ、 ッはぁ、
さぁ、ね
かいとは、どっちがよかったんだっけか、
[ そこを刺激されるたびにびくりと震えながら、
空いた手で海斗の髪を撫でた。
渾身の力で耐えないと、手の中で
自分のものだけになった茎をひとりで扱き上げて
達してしまいたくなる。 ]
[ 焦燥感にじりじりと追い立てられながら破顔う。
実は奥がやばくて、これ以上そこを触れられたら
マジでやばそうで。
とりあえずだらだらと雫を零す屹立の根本を
ぎゅ、と掴んでおいた。 ]*
[ 力加減なんて知らないし、あまりする気もない
"初めて"なのだから、仕方がないだろ?
兄貴なら、許してくれる、―― 悦ぶって、
そう信じて、甘えているんだ
口の中に広がる血の味が、
鼻腔を擽る香りが、俺の中の雄を刺激する]
……そーかよ、兄貴も、
いー顔……ッ、してんぜ
[ 自分が、どんな顔をしているかなんて、知らない
"初めて"浮かべる、ぎらつく捕食者の顔で、
"いつも"通り、生意気な言葉を放ち、―― 嗤う
なぁ、知ってるか
無遠慮に与える痛みや苦しみに、耐えて
その中に快感を拾って、震えて喘ぐ癖に
そうやって、余裕そうな顔してくんの
―― 堪らなく、イイってことをさ]
[ 揶揄うつもりで言った言葉に、
兄貴は、わざと同じ言葉を重ねて
素直な、答えを返してくる
俺とは違って―― だが、それがいい]
ッ、そーかよッ、
[ 見られてる
欲のままに付き動きたい衝動と、
もっと焦らして、この余裕を完全に崩したい欲求
今まで知らなかったこんな理性がはち切れそうな感覚
二つの欲に、兄貴に翻弄されて、悪態を突くように
そう一言だけ返せば、また愉しそうに笑った]
[ くちゅ、とゆっくり差し込んだ指は、すんなりと沈む
あぁ、準備してきたんだ。とじり、と焦がすのは嫉妬
お互い様? そうだよ、お互い様でも
此奴が、俺以外を受け入れようとしてたこと、
受け入れていたことが過れば、嫉妬は当たり前だろ?
慣れない手つきで後孔を解す
すんなり受け入れたようで、きつく絡みついてくる
キツいのかと、手を緩めようかと思ったが
眉を寄せて、苦悶の表情を浮かべても、また笑うから
なら、いいと、お構いなしに指を蠢かす
教えろよ、と欲望を隠さない声と瞳で煽って
それで言って、焦らすように、優しくかき混ぜた]
ハッ、いってろ……
ほら、どっちがいーんだよ?
[ 俺はどっちが良かったなんて、口にはしない
思い出して、羞恥を覚えて、誤魔化すように
苛む指先の動きを激しくした
二本の指で、広げて、内壁を引っかいて、擦って
またさらに奥を犯していく
出し入れて、壁を擦って、奥のしこりに指が掠めれば
びくん、と身体を跳ねさせるから言わなくても分かる]
[ ぐちゅ、と二本が多少自由に動けるようになれば
さらに指を増やした
二本で押し広げて、中指で奥を刺激する
こりこりと、優しく、ごりっと時に、強く
自身のものを握って、堪える様子が
愛しくて、熱情を掻きたてられる―― えろい
その手を、空いた手で掴めば]
[ 手を外させようとしたが、できてもできなくても
俺がやることは変わらない、覆い被さって
さっきまで散々嬲っていた胸の頂きに
唇を寄せて、舐めて、優しく舌で転がした
ちゅ、と愛らしい音を立てて、吸うのも
わざと、優しくした
代わりに、後孔を弄ぶ指先は激しく、動かす
中を引っかきながら、抜き差しして、
躊躇なく、奥のしこりをぐりぐりと刺激して]
もっと、だ――
[ 昂奮を隠さない顔で、求める
もっと見せろよ、と、もっと余裕のない顔で、
強請って、喘いで、懇願しろ――そう言うように、**]
へぇ、海斗もっ、そっち、派……っ
[ 無遠慮に中を広げて、引っ掻いて、擦って、
奥を犯す指が掠めるそこは、おれの
(というかだいたいの男はそうだろ?)
弱点だって、知っててやってんのだろうか。
自分では言わないくせに、そこばかり責めやがる。
へへ、と嗤って余裕を見せてはいるけれど、
実際は残ってる髪の毛ほどの理性を総動員して
耐えないと、叫びそうだしのたうちまわりそう。
見たら、ひくんじゃねぇ?そんな姿。 ]
[ 矜持にかけて、唇を噛み締めたら、ぷつ、と
歯が薄い皮膚を突き破る感覚があった。
指が増やされて、本能的に腰が逃げを打つ。
あぁそうそう海斗、ぐっちゃぐちゃだとはいえ
指増やすときはローション足してくれると
ありがたいな、
三本目ってけっこうぎちぎちなのよ?
あ、それともわざと?
苦しげに息を整えて、快感を探して拾う。
なんだかんだで痛いのもきついのも、
海斗にされればなんだって愉悦にかわってしまうから。
後孔の皺を引き攣らせながら、
中へ誘って飲み込めるように力を
抜いたり、込めたりした。 ]
そ……っ う、だよ、
イキそ、だから、ッ……
耐えてんだ、よ───
[ 酷く楽しそうな顔が問う。
口元は綺麗な弧を描いて、お気に入りの玩具を
見つけた幼子みたいな無邪気な笑みで、誘って。
枷にしていた手を掴まれて、取り払われる。
ちっ、と舌打ちをしてにやりと嗤って、
抵抗はしないで、押し付けられる手の力に
少し大袈裟に身を捩る。 ]
[ 胸を弄ぶ舌は穏やかで優しい。
緩い刺激に焦れる。
甘い快感に焦れていれば、対照的に
後ろを責める指の動きは激しくて、
躊躇いも容赦もなく突かれ、押しつぶされ、
抉られて。
傷をそっと舐められればびくびくと
腰が勝手に跳ねた。 ]
ッ……ぁ、く……っそ……!っ……
[ 子供がいやいやをするように頭を振って、
シーツにシワを寄せる。
飲み込めなかった唾液が溢れて伝う。
薄ら、赤く染まっているだろうか。
俺の顔も火照ってきっと赤いから、
目立たないといいけど。 ]
[ もっとだ、と弑逆心と興奮を曝け出した声が
聞き慣れた弟のものじゃない高さで脳を揺さぶる。
そんな顔しなくてもわかってるよ、海斗。
もっと強請って、喘いで、懇願しろ
そう言ってんだろ───?
お前が望むことなんて、ぜんぶ、
わかってる。 ]
[ はぁっ、と息を吐いて。 ]
ふざ、けんな、
おまえとちがって、こちとら
弾が有限なんだよ、───
[ ふは、と苦しげに顔を歪めて嘲る。
それでも、
全部、全部、受け入れて、
掌の上に乗っかってやろうか。
俺しか抱けないように、
俺にしか抱かれないように、
喰らって、喰らって、
喰らわれて、さ─── ]
イキたく、ねぇ、
ひとりで、出したくねぇ……
[ すぐにでも吐き出してしまいそうな吐精感に
ばちばちの目の前を弾かれながら、
懇願してやる。 ]
かい、と、 ……ぅゔッ、ん あ、
[ 喘いでやる。 ]
たのむ、よ、
もう、…… 挿れて、
[ 強請ってやる。 ]
[ 奥がいいのか、と苛めば、
また、俺が答えないと分かってる癖に聞いてくる
わざと、だと分かっていても、
自分のことを聞かれると、言わされると、
羞恥心を覚えて、反抗したくなる]
ばーか、……ッ、知らねーよ
[ へっ、と嗤えば、指を動かすこと再開した]
[ 俺の指が、唇が、兄貴を翻弄している
笑って余裕を取り繕うとしても、
中がひくついてるのは、直接触れてれば分かること
のたうちまわる姿だって、俺は愛しいって思う
まぁ、思ったとしても口にはしないけどな
あ? ローション足して欲しいって?
残念ながら、そんな細かい SEXの作法は知らない
次は、そうしてやるかもしれねーけど
今は、"わざと"ってことにしておけよ
ローションを足さなくても、
イキそうなのを耐えて、イキたくて堪らないと
涙を零すように溢れる先走りが、幹を伝い落ち
きつくて、苦しそうに、
はくはくとしている後ろ孔に添えらえれた
俺の掌に、その雫が集まるから
多少は、滑りをよくしていた
それでも、本来の使い方とは違う
無理な動きをしているの確かで、
これで気持ちがいいと、感じられるのは、
兄貴ぐらいなんじゃねーかな―― ?]
[ 耳を震わす、舌打ちに、
思わず、にぃ、と嗤ってしまう
兄貴がどこまで許してくれるのか、
兄貴がどこまで見せてくれるのか、
もう、全部――
俺にだけ
にしろ、と
好奇心と、独占欲と、支配欲に駆られる
胸の小さな果実を頬張りながら、
先ほどつけた傷を舐めて、また吸って、
喘ぐ声に混ざる悪態が、
兄貴の余裕のなさを感じさせて、
腰に押し付けていたものが、より硬さを増した]
[ もっとだ、と嗜虐の色濃い、欲望を晒して
飢えて掠れた声は、低くなる――
なぁ、分かってんだろ、兄貴
もっと強請れよ、喘げよ、懇願しろよ
そんな顔していてるから、俺はつけあがるんだ
"可愛い弟"の望みを叶えろよ、ぜんぶ
わかってるだろ。 ]
[ ふざけるなと、嘲る声に、胸元から顔を上げれば、
頬を擦り寄せながら、歪む顔をよく見ようと
苦し気で、悦びに震える声をよく聞こうと、
キスをする一歩手前まで、顔を近づけて
懇願して、喘いで、強請る
余裕のないその顔を間近で、眺めた
俺を抱くのも、俺が抱くのも、
喰らい喰らわれるのも―― お前だけだ、夏生
一度だけ、胸の中で、名前で呼ぶ
兄としてでもなく、愛しい人として、
俺が選んで、俺が決めたことを――
望んだものを、全部、見て聞けば、]
[ かくいう俺も、二度既に出しているのに、
既にガチガチに固くなったものは、はち切れそうで
これ以上、粘られたら多分、持たなかった気がする
そんな内心は、さておき
ぐちゅり、と指を抜きだせば、
ローションと一緒に、ベッドの上に転がしていた
ゴムを一袋、口の端で破り開けて、するりと装着して
ちょん、と入り口に触れさせた
指が抜かれた後だからか、僅かに口を開けて、
今か、今か、と待ち望んでいるようで、
思わず、下唇を舐めて、ごくりと喉を鳴らした]
ッ、……挿れる、からな――ッ、!
[ 足を抱えなおして、ぐっと腰を押し付ける
先端が、少し頭を埋めて、少し引いてから
また、ぐっと押し込む
口の中とは、違う熱くて、きつい感触
初めて感じる快感に、肩を震わせ、息が荒くなる
それでも、なんとか呼吸を整えれば、
ゆっくりと、前後に揺らしながら、
少しずつ押し進めていった
さっきまでの、荒々しさが嘘のように、
もどかしくなるだろう優しさで]
ん、……ふ、なぁ……あに、き――ッ、
[ ぐぐ、とさらに深いところを犯しながら、
ふいに、込み上げてくるものがった
さっき繋がった時とは違う、充足感と―― 幸福感
快感からとは違う、熱いものが瞳から溢れそうで、
ずいと、腕で目元を拭えば、また何か言われる前に
その唇を奪う。
絶対揶揄うじゃん、お前
苦し気な声も、痛みを訴える声も、快感に震える声も、
俺に甘い、楽しそうに笑う声も、
全部喰い尽くすように
この唇も、舌も、歯も、―― 何もかも、
モノ
今は、俺のモノ、……俺だけの、夏生、]
[ キスをしながら、腰を進めて
苦しそうに喘げば、その声も奪う
ちゃんと、呼吸する間は与えたさ
俺だって、苦しくなるから
―― 鼻で息するのは憶えたけど
胸を擦らせ、胸の尖りを刺激して、
ゆらゆらと、腰を揺らして、くねらせて
やっと全部入り切った――
兄貴と違って、全部
入っちまうのが、少し悔しいのは別の話]
はい、ッ、た……はぁ、ッ、
[ 最後まで、入ったことを口に出せば、
今すぐ動くと、イってしまいそうだったから、
少しだけ動きを止める…… 兄貴の様子を伺いながら*]
[ 挿れてよ、と、低く掠れる声は
年上の兄貴からかけ離れた甘えを盛大に含めて。
年の離れた可愛い弟からかけ離れた
ぎらつく欲望を剥き出しにした瞳が近づく。
睫毛が触れそうな距離。
いいぜ、の言葉に口元を綻ばせて
挑むような視線を緩やかに解いて、瞼を伏せる。
額から顳顬に伝う汗さえ、神経を撫でてく。 ]
[ 荒々しい口付けは心地良い目眩と震えを生んで
自分で噛み切った唇の傷が唾液で濡れて、
混ざり合う唾液は紅血の味。
同じものが流れてる、おれらの血肉。
胤。
避妊具をつける手つきをちらりと見やって、
おいちゃんと先端の空気は抜いた?やぶれるぞ、
なんて余計なことを思ったけれど
にんまりするだけで口には出さなかった。
つけてやりゃ良かったな、もちろん口で。 ]
[ 余裕がない顔を見せろと迫っていた
海斗の表情も動きもまさに余裕は無さそうで
思わず少し前の海斗のセリフを奪って煽った。
先端が押しつけられて、ぐち、と受け入れて
広がる後孔が飲み込んでいく。
肩が震えるのが見えて、息が荒む。 ]
っ、は……ァ……んんぅ
[ 張り出した傘の部分が収まって、声が溢れる。
ああ、だから後ろはさ自分で愛液出せねぇから
挿れる時にローション……まぁいいか。
俺がそーゆーの好きってわかってて、
わざとやってんだもんな?
]
[ 余分な滑りを纏わない分、軋みながら腸壁を擦る
熱がよりはっきりわかる。
さっきまでの獰猛さが消えた、とても優しい挿入は
慣らすように前後に小さく動かしながら、
少しずつ進む。
一気に来ていいのに。
そんな焦れる思いで、こちらからも腰を動かした。
それなりの異物感と圧迫感に呻きながら、
それでもどこを探しても見つからない嫌悪感。
愛しさだけが込み上げて、快感を拾って。 ]
[ 一層深くなる熱に背中を撓らせる俺に、
海斗の声が落ちてくる。 ]
……ど、した、
[ 眉をちょっと寄せて窺い見れば、
腕で目元を拭う姿。
─── ああ、小さい頃によく見たな
がくがくと落ち着かない腕を伸ばして、
くしゃ、と髪を撫でる。 ]
泣くなよ、
[ 兄というよりはいっそ母性がこもった声は、
優しく、小さく、穏やかで。
俺が引き寄せるより早く、隠すようなキスが降る。
いろんなもの全部、
全部、食い尽くすような。 ]
[ 息継ぎの合間、初めて言葉に紡ぎあげた愛を。
ずっと俺のモノ、……俺だけの、海斗。 ]
[ 最後まで優しい動きで、海斗の腿が肌に当たる。]
……ッは、ァッ……
[ 全て飲み込んでずくずくと溶けるように熱い中を
ぎゅうと締め付けた。
快感はもうぎりぎりで、ちょっと動かれるだけで
やばそうだったけれど、それは多分
お互い様だったのか、海斗も動きを止めて
こちらを見ていた。 ]
あー、きもち、い、……
どう、かいと、ッ、っはぁ、
[ 甘いおねだりをひとつ落としたあとは
ちょっと表情を変えて、下から腰を動かす。
それだけでびりびりと刺激が走ったけれど、
全身で耐えて繋がりをくねらせて、誘おうか。]
……うごいて、いい、よ、
中、抉って
[ あ、動いたら出ちゃう?なんて、
自分もたいして変わらないのに、揶揄って破顔って
こちから貪るように口付けて。 ]*
| [そうして、夜が明ける。夢が終わる。 エスカレーターを下りてフロントを後に、 ホテルを出たら駅まで歩いて 改札を通り抜けてから先に背を向けたのはどちらだったか。
通勤ラッシュを過ぎたホームは静か。 ベンチに腰掛けて手持ち無沙汰にスマホをいじった。 通知の溜まったLINEを開くことはなく 別に面白いわけでもない画像投稿を眺めた。
いつもとそう変わらない日常。 いつもと同じ、退屈な日常。
無意識にパーカーの長袖を掴んでいて ぎゅっと指が食い込んだら、少し痛い。] (7) 2021/07/14(Wed) 17:06:28 |
| [だから良いの、タイガさんの一番じゃなくても 愛してるし、ちゃんと忘れない。 あの日知ったあなたのことも、 ――あれから見つけたあなたのことも。
ブログに映ってた写真。 マンションの場所ならネットで見つけた。 最近、あんまり更新してないね?
ふらっと立ち寄ってしまったのは あの夜からひと月くらい後だっけ。
ちょっと通り過ぎただけ、それだけのこと。 週に一度、数日に一度、――毎日、 ほんのすこし眺めてただけ。
ゴミを捨てに行くタイミング、 リカちゃんを連れて買い物に出かける姿。
夜の公園で明かりのついた部屋を眺めて 電気が消えるのを見たら、 そっと「おやすみ」を告げる。] (8) 2021/07/14(Wed) 17:08:41 |
| [彼はちゃんと「パパ」だった。 ぐずるリカちゃんを抱っこするのも、 ご機嫌なリカちゃんに笑いかけるのも。
あの夜よりもっと、ずっと大人に見えたんだ。 ちゆなんかじゃ届かないような気すらして 愛し合ったのが、なんだか幻みたい。
――ねぇ、ちゆのこと覚えてる?
思わずそんなこと聞きたくなって、 何度か電話を掛けようとした。 でも、出来なかった。] (9) 2021/07/14(Wed) 17:09:31 |
| [タイガさんの奥さん、まだ見たことないけど 連れられて歩くリカちゃんが幸せそうで 羨ましくて――ちゆには壊せなかったんだ。*] (10) 2021/07/14(Wed) 17:09:47 |
[ 荒々しく交わす口付けは、血の味がした
この身体に流れる血と、同じ血の、あじ――
強請られ、応えれば
俺が言った言葉をなぞられる
同じ言葉なのに、違う音で、違う響きで
あぁ、くそ、―― ]
[ 兄貴の思い通りに、煽られて
腰にくる……堪らない。――だけど
それを隠すように、悪態を吐いて、挿れた
悪いけど、ゴムのつけ方は良く知ってるんだ
兄貴の布団を汚さねーようにしてたから
ま、そんな話、言うつもりはねーけど
狭くキツい場所に、弾けそうな楔を埋め込んでいく
慣らしたけど、引き攣る感触に、
あぁ、濡れねーから足してやらないといけなんだ
快感と苦痛に、思考がぼやけながら、また一つ学ぶ
それを次に実践するかは、知らねーけど
]
[ 腰を揺らして、中を犯して
熱くて、キツくて、でも―― 気持ちがいい、
愛しい人と、やっと繋がれた
先ほど身体を繋げた時とは、別の感覚に、
無意識のうちに、零れそうなものがあって
腕で目を擦っていれば、やっぱり気付かれる]
泣いてねーよ
[ 嘘 ]
[ ぼそり、と虚勢を張る声は小さかった
だから、代わりに唇を奪う
何も、言うなよ
言わないでくれよ]
[ 息継ぎの合間に、紡がれる愛の響き
俺は、それを音にして返さない
口にしてしまったら、また泣きそうで、
それってなんか、かっこ悪いだろ?
なにより、泣いて喜ぶほど、兄貴が好きだって
―――― 知られたくない、今はまだ
[ 四苦八苦しながら、なんとか埋め込み
動きを止めて、見つめていれば、また煽られる]
ッ、ん、……おま、ッ、くそ
[ きもちがいい、と言われれば、高揚する
この初めて感じるキツさと、絡みつく肉の感触も
はっきりいって、すごく――イイ、
俺から、その言葉を吐き出させようと、
いやらしく腰をくねらせ、
誘う兄貴は、やっぱりエロい]
ふッ、じゃ―― 遠慮なく、?
[ にや、と悪戯っぽく笑った
余裕の笑みを浮かべたかったけど、
快感に声が震えてしまったが、もう関係ない
腰を引き、ぐっと押し込んで、
また、引いて、弱い先端を肉壁に擦りつけて
自分も快感を拾いながら、先ほど散々、指で嬲った
奥の、奥、―― こり、としたしこりを、刺激した
ぐぐ、と音が鳴りそうなほど、引き攣らせながら
内壁を掻いて、抉って、ぐちゃ、という淫らな音と
濡れた肌がぶつかり合う湿った音を響かせる]
[ 額の汗が、ぽたぽたと
兄貴の頬を濡らして、汚す―― 穢してく、
何度も、唇を食んで、呼吸を奪って、
自分の身体を支えるために、突いた手で、
胸の飾りも親指で、悪戯に擦ったりして、
思いつく限りの愛戯をする
俺で、もっと感じて欲しくて、善がって欲しくて
そうしていれば、
腰が揺れる速度は、どんどん速くなる
限界が、近い
目の前が、くらくらする、視界が歪む
堪らない吐精感に、呻いて、喘いで]
ッ、はぁ――――
[ 大きく、息を吸って]
[ はっ、はっ、と
荒い呼吸に、甘い喘ぎが混ざりながら
いったい、どちらが犯されるのか分からない程
羞恥を感じる暇などないくらい、快感に酔いしれた
兄貴面して、余裕な顔してた奴が、
今は俺の下で、みっともなく、恥ずかしげもなく
すべてを晒している
その状況にすら、くらくらと昂奮して]
ッ、く、―― で、る
[ 最後の瞬間は、首筋に顔を埋めて
絞る出すように、呻けば、
ぴっちりと、俺と兄貴の境界を作っているものに、
熱いものを解き放った
三度目とも、なると、さすがに
そう多い量ではないけど、先端が膨れて、
兄貴の中に、熱い感覚を伝えていたかもしれない]
[ 気だるげに、そのまま兄貴に体重を預ける
甘えるように、すりと首筋に頬を寄せて、
はぁ、と艶の残る吐息を漏らせば]
/*
ぺーすをあげようとしたら、ながくなったすまねー
ちょっとそれ詳しく聞かせてお兄ちゃんの布団で
コンドームつけてた話マジちょっとそれマジ
とりあえずなにしてたか教えて
そーか。
[ 泣いてねー、と言う声が小さくて。
そーかそーか泣くほど兄ちゃんが好きか、と、
言えなかった。
たぶん、おれの涙腺も緩むから。
聞こえた気もしたから、きっと。 ]
っ ぁ゛…ッ!!ん ぅ、っ
[ 遠慮なく、なんて小生意気な言葉はちゃんと
震えてて、こちらも一瞬表情が綻んだ。
けれど優秀な俺の弟は、ちゃんとわかってて
指で嬲られて敏感になっている前立腺を
きっちり擦って刺激してくる。
ぎりぎりで耐えているだけの絶頂感が、
挿れられているだけでもすぐそこで手招き
しているのに、そんなとこ執拗に擦られたら
喘ぎ声通り越して濁った声がデカめに出るし、
もう先走りだか精液だかわからないものも
先端からだらだら溢れ出すし。 ]
[ 抉って、と言う言葉そのままの抽送に、
ぐぢゅ、と鳴る水音。
肌が当たる音が加わって頭の中が真っ白くなっていく。
俺の顔に、体に、雨みたいに落ちる汗。
唇に降ってきた滴を舌で舐め取った。
涙かどうかはわからない。
たた、しょっぱい液体がやけに喉に染みる。 ]
ん、っ、うう 、ぅっ!
[ 散々弄ばれた胸の突起は触れるだけで電気が走った。
がくがくと全身が痺れて、縋るように手を伸ばす。]
[ そこに、海斗の声が重なる。
─── 好い、と。
瞬間的に奥歯を噛み締めて、がちんとなる硬い音を
聞きながら唇を奪う。
腰の骨がぶつかる音と衝撃に全身の力をこめて
締め付ければ、目の前がちかちかと明滅した。 ]
……ッは、あ゛ァッ……っ……
かい、と、
も、……っ、イく、───っんん!
[ 前を触りたい衝動を死ぬ気で抑えて、
代わりに海斗の背を抱きしめる。
後ろだけで充分、飛びそうな快感。
ひったくるように引き寄せれば、首筋に埋めた
海斗の顔が震えて、
腹の中で、どく、と一層熱いものが
注がれるのがわかった。
同時に俺も海斗の腹と自分の体に挟まれたそこに
二度目の白を吐き出した。 ]
……っ、はぁ、 ぁぁ、……
[ とすん、と脱力する体を受け止めて。
遠のきそうな意識は、擦り寄せられた頬の感触に
つなぎ止められる。
髪に口付けを落としたから、荒い呼吸音の中でも
それはちゃんと聞き取れた。 ]
おれも、すきだよ
[ ちょっと喘ぎすぎて、掠れた声で。 ]
あ……まじ気持ちよかった……
しぬかとおもった
[ 身体の上の海斗を抱きしめたまま、
呼吸を整えて口を開く。
腹の間でサンドイッチにされている欲がべたついて
体を動かせば接着剤のようにねちゃ、と音がなった。
サンドイッチとしては、食えそうもない。 ]
かいと
ありがとな、
[ 中のものはまだ抜かれていなかったか、
とにかく身体中汗と涎といろんな液体でベタベタで。
震える手を伸ばして、海斗の前髪を撫でた。 ]
ふろ、はいる?
ガキんときみたいに、一緒に。
[ ちょーっとお兄ちゃん、
動けるかどうかわかんねぇ、けど、と
付け足して、ぶ、と笑んで。 ]*
[ 三度目の精を放てば、
さすがに全身から力が抜けて、
倒れ込むように、覆い被さって、抱きしめて
腹の下の熱く、ぬめる感触に
兄貴もちゃんと、イったんだと気づいて、ほっとする]
……ん、あっそ
[ 微かに、零した愛の欠片を
掬う声は、掠れていた
ちょっと、やり過ぎたのかと思いながらも、
でも、兄貴がそれだけ感じてくれていたことが
やはり嬉しくて、その声も欲しくなって、
啄むような、キスをしてから、
興味無さそうな声で応えた
それでも、少し嬉しそうに頬が緩んでしまったんだが]
わーったよ、
[ 熱に蕩けた思考の時は、
多少素直に、受け取っていた言葉も、
理性が勝ってくれば、やはり気恥ずかしくて
投げやりに答えながら、ぐりと
顎下に頭を押し付けた
ありがとう、と言われると、むず痒くて
ん、と小さく不機嫌そうな小さな返しをすれば、
前髪を撫でられて、ちらりと上を見上げる]
風呂は…………、はいる、
………………………………一緒は、
[ 一緒に、という言葉に長い沈黙を返してから]
[ ぽそ、と返して、ぶ、と笑う声に、
仕方がねーから、手を貸してやるよなんて
相変わらず可愛くないことを言いながら、
身体を起こした
なにこれ、すっげーべたべたする]
ッ、……ん、
[ ずるり、と抜き出すと、
下腹部に走る、甘い快感に
微かに鼻にかかった声を漏らして、抜ききった
ゴムを外して、手慣れた手つきで結べば
ゴミ箱を探して、ぽいっ、と捨てた
―――― 腰、痛ぇ]
ウケる……こうなんだな、すげー
[ まぁ、無理やりこじ開けられた後に、
今度は、自分よりも体格のいい男を抱いたんだ
身体が悲鳴を上げても、仕方がないだろ
思い通りにならなくて、膝ががくついて、腰は痛い
思わず、笑ってしまった]
ダメだわ、ちょっと休憩してから
風呂いこーぜ
[ 布団にもう一度、腰を降ろせば
ベタベタとした体のまま、]
…………なぁ、
[ するり、と身体を摺り寄せて、
ちゅっ、と啄むだけの口付けをして、甘える]
[ 夜が明けたら、この想いは忘れるから
そう思っていた、この感情は、もう捨てなくて
―――――― いいんだよな、**]
| [差し込む光を浴びながら、彼の声に振り向いたとき その無防備な微笑みに自然と目は細まっていたけれど 昨日よりなんだか甘えん坊な姿、 お強請りされるまま腕の中に飛び込みながら おはようのキスをしながら 別のことを考えてしまったんだ。
奥さんの前だったらこんな感じなのかな、とかさ 彼の寂しさは知っていたつもりだけど――それでも 純粋にちゆだけだって思えないのは きっと写真に映ってたあの女の子のせい。
……こんなの面倒くさいって思うよね、だから 彼はなんにも知らないままでいい。] (22) 2021/07/15(Thu) 4:05:05 |
| [シャワーを浴びた。 昨日の痕にボディソープが少し沁みた。 それが嬉しくて、鏡越しに見えないのはもどかしくて 身支度を整えたら、もういつでも外に出られる格好。
昨日はほとんど目につかなかった時計が 今日はやたらと視界に飛び込むの。 チェックアウトの時間が近づいて、名残惜しくて 駅までの道をやけにゆっくり歩いていたけれど それでもやがては辿り着いてしまう。
最後のキスを交わした、その後は どんな顔をしていいかわからなかった。 気づいたらじっと爪先を見つめてた。] (23) 2021/07/15(Thu) 4:05:33 |
|
……うん、ありがと。 ちゆも幸せだったよ。
[“またね”なんて存在しない。 手を振る彼が背を向けて、反対方向に歩き出して 見えなくなったらそれでおしまい。 あたしたちを繋ぐ関係性はどこにもないから。]
(24) 2021/07/15(Thu) 4:05:47 |
| [そうして彼を見守ったところで、 苦しいのが消えるわけでもない。
たとえば何気ない偶然を装って目の前に現れてみたら あの夜の続きが始まるかもなんて、何度か考えた。 そしたら彼は驚くかな、それとも困った顔をするのかな。
だけど思い浮かべる傍らにはあの子がいて 小さなリカちゃんの物心なんて知らないけど ――あの子さえいなければ、なんて思いながら あの子がいたから足を踏み出せなくて。
壊しちゃえっていつかは簡単に考えたのに ちゆを見て、困った顔されるのが怖かった。] (25) 2021/07/15(Thu) 4:06:52 |
| [その夜も遠くから眺めただけ。 暗闇に紛れたらきっとあなたは気づかない、 それでも街灯に照らされたベンチはよく見えた。
あなたは俯いてた。疲れた顔してた。 嫌なことあったのかな、 毎日寄り道したってほんの些細な日常しか知らないけど 好きだよ、大好き。今もずっと愛してる。
たとえ一晩の恋人でも、あの夜は確かに特別で あたしたちは確かに愛を囁きあって ……ねぇ、少しくらいは、また寄り添ってもいいのかな。 そんなこと考えてたら、今までさんざん躊躇った足が 気づいたら前に進んでた。] (26) 2021/07/15(Thu) 4:07:18 |
| ……タイガさん? [声を掛けて彼が気づいてくれたなら、笑った。 まるでさっき通りすがったみたいな顔で 歩み寄って、それから小走りで近づいた。] ひさしぶりだねっ [平然と微笑むの、潤んだ目なんか知らない振りして。 だからどうか、ちゆの演技にも気付かないで。 *] (27) 2021/07/15(Thu) 4:07:54 |
[ 乱れた呼吸で腹と胸を大きく上下させながら、
ラッコみたいに乗っかった海斗の背を撫でていた。
相変わらずその口から落ちてくる言葉は
ぶっきらぼうで愛想がないものだけれど、
啄むキスが隙間を埋めてくれる。
空いた手で、緩んだ頬に触れた。
欲望を吐き出したあとは、いつだって決まって
罪悪感と虚しさに襲われていた。
どんな形の行為であっても、
相手がどんな人であっても、
それは変わらなかったというのに
いま、ずっと願ってやまなかった身体を
抱きしめて湧き上がるのは、とめどない充足感。 ]
[ 身体中あちこちいろんなところが痛くて、
瞬きを途中で止めたら簡単に意識が
飛びそうなんだけれど、
すっかり彪から猫になって甘えて身体を
擦り寄せる肌のしっとりした感触が
繋ぎとめて引き戻してくれる。 ]
そっか。
[ 長い沈黙のあと、一緒に風呂に入る選択を寄越して
あっさり身体を起こす海斗の動きに
思わずちょっと呻いた。
回復力に歴然とした差がある。
久しぶりの風呂に喜ぶ間もなく、ひと知れず
傷ついていたら、ずるりと中のものが抜かれた。
硬さのなくなったそれでも熱さは失ってないから、
過敏な下腹部が抵抗するみたいに震えて。 ]
……ッ、─── ぅ
[ 甘ったるい声は俺だけじゃなく二人分、重なって。]
いやウケねぇ……動けるのがすげぇ
[ 手慣れた様子で処理をして、あっさり立ち上がる
姿は多少膝ががくついてるように見えただけで、
そんなダメージは感じない。
三回もだしといて。
こっちはあちこち噛まれた傷に汗が滲みて、
引き摺るように上半身を起こした。
身体を捻るそれだけでズキ、と痛んで眩暈がする。
大きな枕に背中を預けてなんとか体勢を維持した。 ]
そーだな。
[ 豪華なバスルームを使うのはもう少しあと。
するりと隣に座った海斗が体を擦り寄せて、
甘えた口付けをくれる。
重い腕を伸ばして、引き寄せて、瞳を覗き込む。
お前が考えてることは、完全には読めないから
言葉を探そう。 ]
……なんか、夢見てるみたい
こんな幸せなの。
ここから出て、日常に戻っても、
俺のとこに居てよ。
それにしてもこれ……
明日服着れないかもしれん。
乳首擦れて痛いし、やばいんだけど、
……どーしよ。
[ 口元に浮かぶ笑みを悪戯なものにかえて、
耳朶に唇をよせて、くすくすと告げた。 ]*
[ 心地良い疲労感
やっと満たされた心の奥が、身体が
嬉しいと悲鳴を上げているのが分かった
頬に触れる温もりに、微睡むように瞳を細めて
甘える癖に、何か言われると
やはり素直な気持ちは言えなかった
もう、仕方ねーだろ。そーいう性分なんだよ
兄貴はもう分かってるだろうし、許してくれるから
だから、もっと甘えてしまうんだ]
ハッ、まー俺の方が、若いしー?
………… 大丈夫、かよ
[ 動けないと、呻く様子に
けらけらと、愉しげに笑って、そーいえば
めっちゃ噛んだ覚えがある、と思い出して、
多少なりとも、心配はする。小さな声で。
甘えるように口付けをして、
傷ついている唇をそっと撫でた
これは、俺が付けたんだっけ? 自分でだったか
でも、俺が付けた歯型だとか、
赤く散った痕だとか、それがしっかり残ってる
一つ一つを確かめるように、
悪戯に指で撫でたりして、夢じゃなければいいと
そう、思った――]
それは…………
[ 今のこの空間は、非日常で、
夜が明けて、ホテルを去れば、日常が戻ってくる
男同士で、兄弟で、
俺たちが、認められるはずがない―― 日常が
だから、忘れようと思っていた
だから、捨てようと思っていた
それでも―――― ]
兄貴が、どーしてもって言うんなら
いて、やるよ―― ずっと、
[ 本当に、素直じゃない
だから、兄貴が言ってくれる言葉に
また、仕方がないなって顔を作って、
声だけは嬉しそうな色を滲ませて答えた]
ッ、――悪かったよ、
[ それは、さすがに謝った
でも、どーしよって聞かれて、
俺が、答えられるとでも?
童貞も、処女も、
ついさっきお前に奪われたばかりのこの俺が
内心で、誇れることでもないことを思いつつ]
じゃ、今日は……もう、何もしない
休んで、風呂入って、寝る
[ 意地悪そうに笑う声は、きっと揶揄ってる
だから、俺も仕返し……になるか分からないが
耳元の楽しそうに歪む唇に触れる直前まで近づけば、
じゃー今日はもう終わりと、笑った
窓の外はいつの間にか、闇に包まれていて、
もうじき、きっと白み始めるんだろう
キングサイズのベッドを揺らして、
ばたりと、隣に寝転んで]
お前も、ご休憩しろよ?
動けなかったら、俺は一人で風呂入るから
[ 一緒に、は、お預けだと、
けらり、と笑った**]
だいじょーぶ
ぜんぶ嬉しいし、
もう、お前以外にからだ見せないし
[ 珍しく心配してくれる小さな声に表情が崩れる。
身体中に散った滾る想いの証をひとつひとつ
撫でていく指が愛しい。
唇に触れる指に口付けて、
頭を掴むようにして抱いて引き寄せた。
肩にかかる頭の重みが心地良い。
汗の匂いも、愛しかった。 ]
[ それから、しょうがねぇな、とでも言いたげな口調で
告げられた、「 居てやる 」には、
「ずっと」
という言葉が付け加えられていて。 ]
そっか。
……よかった、ありがと。
[ と返す声は思いがけずちょっと揺れた。
父さん母さんには申し訳ないけどな、と戯けて笑って、
緩みそうになる目元を誤魔化した。 ]
ええー?まじでぇ?
[ もう何もしない、と笑う、触れそうな唇に
こちらもオーバーに驚いて、いやだ、と縋る。 ]
せっかくなのにもったいなくない?
てゆーか海斗、若いのにやっぱ
三回出せばもう無理なのかー残念だなー。
俺は大丈夫だけど。
[ なんて、くつくつと喉の奥で笑って、
隣に寝転がった海斗の額を撫でて。 ]
じゃー、風呂いこーぜ。
これ以上お預けされんのは困る。
[ 最後はけらけら笑って、体を動かす。
そういえばお兄ちゃんまだ二十代だったわと
言いながらも時折、い゛っ、……と声を漏らして
壁に体を凭せかけてれば、海斗が助けてくれるだろ? ]
[ 広い部屋にしたことをこの時は後悔しながら、
バスルームへ辿り着けば、湯を張って、
ようやくシャワーを浴びようか。 ]
夢だったんだよなこれも。
熱い湯が滲みて、大袈裟に顔を顰めて苦笑いしながらも、
ブランドもののアメニティ、いい匂いのボディソープを
あわ立てて、かわいい弟を洗ってやりたくて。
どこを?おのぞみのところ、どこでも。 ]*
そう……かよ、ならいい
[ 小さく気にするそぶりを見せれば、
調子のいい返事が返ってきて、
だいじょうぶ、に疑問を抱きつつ、
"お前以外に"の言葉に、妙に気恥ずかしくなって
やはり返す言葉は、どこか可愛げがない
無意識につけた、"
ずっと
"の言葉
心の底では、"ずっと"
なんて、無理だと言うことは分かってるのに]
[ 揺れる声に、揺さぶられる感情
冗談なのか、本気なのか、笑う声に
こちらもまた、頬が緩みそうになって、
顔を押し付けて、表情を隠した]
がんばれよ、長男
[ けらけら、と
そろそろ結婚適齢期を迎えるであろう
兄に、意地の悪い笑みを浮かべてエールを送ろう
俺は、ほら、まだ学生だし?
大人の世界を覗き見ているけど、
まだまだ、心は大人になり切れていない
心の何処かで現実を見て、
でも、本心では夢を見続けたいって思ってる
幸せを感じると、同時に失う不安も生まれるもので
疲労した頭が悪い方へと考えを動かそうとすれば
また、揶揄う声が聞こえて、"今"に意識が戻った]
マジですけどー?
[ 何もしないと言えば、大げさな反応が返ってきて
不安を吹き飛ばすように、けらけらと戯れて
三回で、もう無理とか
聞き捨てならないことを言われる]
うっせーな、俺が無理なわけねーだろ
年上の、お兄様を心配した、だけだっつーの
[ マジで平気なのかよ、と思いつつ
風呂に行こうと言われれば、やれやれと
身体を起こして、壁に手を着く兄を助けてやった
俺だって、腰はいてーんだけどな
時々、聞こえる。痛みに呻く声に
笑っていたのは、言う間でもないよな]
[ だだっ広い部屋の中
またまた、広いバスルームに辿り着けば、
ベタベタとしたものを洗いながらそうと、
シャワーを浴び始めた
そして、この兄はまた何かを言い出すんだ]
一緒に風呂入るのが??
[ 一緒に入るとか、
裸を見られて、恥ずかしいくらいで、
何が楽しいのか、よく分からない
心底不思議そうな顔をすれば、首を傾げて
大体、似たようなデザインの高級そうなボトルを
じっと見つめて、どれが
シャンプーだろうかと考えていた
俺のことを洗いたい?等と言い出したら、
『お こ と わ り だ』
と一言一言
滑舌良く、はっきりと断っただろうけど
頭を洗うくらいからなら、
なんだかんだで、許してしまっただろう**]
| [気付いた彼が顔を上げる。 よそよそしくちゆの名前を呼んで。
それにぱちりと目を丸くして、 うっすらと壁みたいなものを感じては 嫌だな、と人知れず思う。
やっぱり忘れちゃってたの? 心に掛かったのは見えないもやもや。 不意に彼がちゆの身体を抱きしめたら 埋まる距離感といっしょに取り払われるけれど。
――あの夜とは違う、彼がいた。
震える身体はどうしようもなく弱々しくて 手を添えた背中はいくらか小さく感じる。] (44) 2021/07/15(Thu) 21:08:46 |
| [どうして泣いていたのかなんて知らない。 喧嘩でもしたの?怒られちゃった? あれから変わりなく「リカちゃんパパ」をしてたんだから あたしたちの関係は、奥さんに知られてはいないんでしょう? それなのに何があったのか――ちゆは、知らなかった。]
……大丈夫、ちゆがいるよ。
[何が大丈夫かなんて知らない。 それでも、ちゆは側にいたんだよ。 今だってあなたの側にいるの、だから。
あやすように背を撫でる。 男の人の泣く姿を見るのは、初めてだった。 だけど知らないタイガさんの顔、また一つ知れたって ちょっぴり嬉しくなったことは内緒。] (45) 2021/07/15(Thu) 21:08:58 |
| [彼が落ち着くのを見ればベンチの隣に腰掛ける。 そうして語られた事実を知る。 ちゆの知らなかったこと、 いつもリカちゃんと二人だった理由。 奥さんの姿を一度も見たことがなかった理由。] 辛かった、ね [いつかの別れ際みたく視線は足の先に向けたまま 深刻な声で同情を口にした。 ――それもまた、半分くらいは演技だった。 なんだ、もうとっくに壊れてたんだ。 ] (46) 2021/07/15(Thu) 21:09:21 |
| [仲良くやってるんだと思ってた。
ちゆじゃない女の人のところへ戻って ちゆの知らない時間を過ごしてるんだと思ってた。
どうせ一番にはなれないんだ、って だから壊せなくて、諦めてたんだよ。
でも、奥さんがもういないんだったら あなたの最愛がこの世界にいないんだとしたら 今度こそちゆを選んでくれるのかなぁ、なんて 自分勝手な酷い考えは あなたが知ったら幻滅しちゃうのかな。] (47) 2021/07/15(Thu) 21:09:58 |
|
……なんにもできないけど、 話だったらちゆが聞くよ。
[頬に手をやるタイガさんを、 出会いがけのソファでそうしたみたいに覗き込む。 微笑んだのは優しさで、明るい声色は思いやり。 ――本当だよ?だってちゆ、「良い子」だもん。]
えへへ、普通にしてたよ。 タイガさんのことずっと考えてたかな。
[はにかんで笑ってみせる。別に、嘘はついてない。 タイガさんのこと、ずっと見てただけ。]
(48) 2021/07/15(Thu) 21:10:17 |
| [だけど三つ編みのやり方を聞かれたら つり上げた唇の端がふっと落ちてしまう。]
できるけど、なんで?
[覗き込む顔を正面に戻して尋ねた。 目的なんか聞かなくたってわかるけど。
そっか、結局「リカちゃんパパ」のままなんだ。 ……そうだよね、そりゃそうだ “普通”はお父さんかお母さんと一緒だもんね。] (49) 2021/07/15(Thu) 21:10:48 |
| [今度こそ彼を手に入れられると思った。 今度こそちゆのことだけ見てくれると思った。 今度こそ愛し続けてくれると思ったのに 今度はあの、小さな子どもがいるなんて。
なんでかな、もどかしいの。 愛しても愛しても愛しても愛しても いつまで経っても報われないの。
ちゆだって「良い子」にしてるのに、 欲しがっても掴んだ手からすり抜けてしまう。
それなのに、] (50) 2021/07/15(Thu) 21:11:21 |
|
……娘さん、いくつなの? タイガさんの子どもなら、 きっと可愛いんだろうなぁ。
[タイガさんの注いだ種で 知らない女の人のお腹から生まれたあの子が ひどく羨ましくて、恨めしくて。]
ねぇ、ちゆも会ってみたいなぁ。
[――――狡いよ、リカちゃんは。*]
(51) 2021/07/15(Thu) 21:11:41 |
[ がんばれよ長男、と揶揄されて爆笑する。
よもや結婚適齢期の長男に
弟を誑かされているなんて毛ほどもあたまにない
であろう両親をちょっと思う。
孫の顔を見せてやれないのは申し訳ないなぁ
なんて本当に俺はジジイ臭い。 ]
あー、それな
おれは長男だから我慢できるけど
次男だったら無理だったって
なんか漫画で見たわ。
[ 気持ちよさそうにけらけらと笑う声に
ゆるゆると表情を綻ばせながら。
人が簡単に口にする、ずっと、が、
どれだけ難しくてどれだけ儚いものなのか、
俺は知ってる。長男だし。
だけど、そもそもが倫理的に歪んだ関係なんだ、
ずっと、が真実味を帯びていてくれることを
ちょっとくらい願ってもバチは当たらないだろ? ]
[ 油断すれば抜けそうな腰と目眩に思わず
声が漏れれば無遠慮に笑われて、
つられてこちらも笑ってしまう。
初めてでもないのに、えらくダメージが残ってる。
そのことを揶揄われれば、
好きな相手とだから余裕なくてと笑って、
仕返しは風呂についてからで、と笑顔の下で企んで。
それにしても豪華な風呂。
細かなシャワーの湯を浴びながら、
驚いた顔の海斗をまじまじと見つめた。 ]
そーだけど?
小さい頃は毎日入ったろ
おれの想い出だからな
[ ボディソープを泡立てながら洗ってやるといえば
どこかのアナウンサーみたいに一語ずつ
綺麗に区切った、おことわり、が投げられる。
けれど、そんなことくらいでお兄ちゃんが
諦めないのはもう知ってるでしょ。 ]
じゃあ、お願い。
あらわせてよ。
[ 答えも待たずにシャワーを浴びている海斗の
後ろに立ったまま、掌に乗せた泡をそっと頸に乗せて。
耳の後ろを指で擦って、手で撫で下ろすように
肩、背中、脇と滑らせよう。
腹や胸も洗って、頂の飾りもそっと触れて、
臀部から腿の付け根を洗う手つきは
幼いころとは別物の、言い表すならそうだな、
完全にやらしい動きで。
ぼちぼち怒られそうではあるけれど、
とりあえず調子に乗って袋と陰茎にも手を伸ばす。
ちゃんと洗ってるだけなんだけど、
ついつい執拗にそこを触れてしまうのは悪いくせ。]
ねえ海斗、
挿れんのと、淹れられんのと、
どっちがすき?
どっちがよかった?
[ シャワーの湯音に消されないように
後ろから耳元に唇を寄せて尋ねるのも、
捧げてくれた処女地を指でなぞって
中も洗おうとする悪戯も、もちろんご愛嬌、
そうですよ、わざとです。 ]*
[ 長男だからこそ、期待されていることがある
普段、互いに忙しく疎遠に見えるのに
二人揃うと未だにラブラブな両親を想うと、
申し訳なく思うところはある
でも、手放せる気がしない
"ずっと"を、願ってしまう
そんな甘ったるい気持ちを掻き消すように
揶揄えば、思っていたよりもツボに入ったらしい
大きな笑い声が部屋に響いた]
あーそれな、俺も聞いたことあるわ
[ 強い絆をもった兄妹の物語
ああいう風に、想い合えれば、
こんなドロドロとした感情を抱かなくて済んだのに
そう思う反面、どうしようもなく愛しくて]
[ 二人で笑いながら、バスルームに辿り着く
初めてでもない癖に。なんて、途中で揶揄えば
『好きな相手とだから』と笑顔を浮かべられたら
たぶん、それ以上は揶揄う言葉を言えなかった
シャワーを浴びて、やっとシャンプーを見分けて
濡れた髪に指を通して、泡立てていく]
そーいうもん?
確かに、一緒に昔は入ってたな
[ ただ、無邪気に兄貴を慕っていた頃だ
懐かしくて、素直すぎる昔の自分がむず痒い奴
だから、そっちに気を取られて、ワンテンポ遅れる]
はっ? ちょっと触んなって――ンッ
[ 丁寧にお断りを入れたっていうのに
お構いなしに、身体を洗おうとしてくれる
背後から襲い来る手を叩いても
まったく諦める気がしない
……しかも、手つきがやらしいんだよ、馬鹿
つい先ほどまでのことを思い出して、
身体は、勝手に快感を拾い、甘い声が漏れてしまう]
[ 胸の尖りは、まだ固いままだし、
触れれると、じんじんと快感を訴えて
肩を震わせ、身を捩った]
やだッ、っつ、ってんだ……ろ
[ 何度か手を外させようと試みるが、
その抵抗は虚しく、兄貴を止めることなんてできない
徐々に乱れる呼吸のせいで
抵抗も弱くなって、途中からされるがままだった
初めて、だったのに。
なんで、こんなに弱いんだと、自分の身体が恨めしい]
……ッ、どっちって、んなの、……
[ 決めれらない
抱かれている時は、求められてることが嬉しくて
抱いている時は、受け入れてくれることが嬉しくて
痛みを多く伴う快感だって、悪くなかった
男としての欲が満たされる感覚も、堪らなかった
だから、決められない……けど、]
[ 自分の甘い声に、羞恥心が刺激されて
なんとか、いつもの調子を戻そうと声を出すが
やはり、快感に弾んでしまうのは抑えられなくて]
ま、ッ……て、よ本当……
風呂、くらい……大人しく入っとけよ
[ 身を捩って、指から逃げるように腰を動かした
広いバスルームだから、逃げる場所はあるだろうけど
顔を真っ赤にしながら、逃げる俺を
やっぱり兄貴は逃がしてはくれないんだろう、な**]
[ バスルームの壁に小さな甘い声が反響する。
悪戯な手を叩く力は強くなくて、
あっさり身を捩る様子ににんまりと口端が
上がってしまう。
嫌だ、と言うくせに、手を振り払い押し返す
そんな動きも優しいもので。
構わず身体中を撫で、指を伝わせる。
霧雨のような細かい水滴を浴びながら
息を弾ませる腕の中の海斗は
ぞくぞくするほど色っぽい。
こわいわー小悪魔こわいわー。
掻き抱く腕にも、皮膚の上を蠢く手にも力を込めて
途切れない愛しさと欲求が伝わればいいと願う。 ]
触られると、
─── なに?
[ 後ろに触れた指に海斗の声が艶を帯びる。
意地悪く聞き返して、取り繕うような声で逃げを打つ
細身の腰をがっつり掴んだ。
ボディソープの滑りを借りて後孔の襞をなぞって、
指を少し沈めるけれど、滲みたり身体に障るなと
思い直して手を止める。
一夜だけの相手にこんなこと思うことはなかった、と
苦笑いを密かに閉じ込めて、
シャンプーが途中になったままの海斗から
少しだけ体を離した。 ]
[ 顔が真っ赤になっているのは、湯温のせいじゃ
ないと思うけれど、手を伸ばして少し温度を下げて。
ボディソープを掌に足して、そっと前に触れる。]
うしろ、触られると、
抱かれたくなる?
[ いい匂いの滑りを纏わせた指でやわやわと
刺激しながら、またわざと口にする。 ]
[ シャワーの水音に紛れて素直な希望が聞こえたなら
跳ねる心臓を宥めて宥めて、海斗の望むことを
望むままに与えよう。
あくまで意固地に口を開かないなら、
勝手に体を離して、贅沢なダブルシンクの
パウダールームからちょっと不似合いな潤滑剤を
手にして戻ろうか。
どちらにしてもバスタブの縁に腰掛けて、
赤く火照る顔を、似たような表情で見上げて。]*
[ ―― なに?と、
聞き返す声に、悔しそうに呻く
逃げたくても、腰を掴まれてしまっては、
容易く逃げることは叶わなくて
ぬめる感触が、沈む気配に後孔が
ひくり、と僅かな期待にひくついた]
……ぁ、
[ だけど、予想した感触は訪れなくて、
無意識に切なげな声を漏らして、
はっ、と慌てて、口に手を当てて、
余計な音が漏れないようにした
シャワーの音で、掻き消えてることを祈るしかない
体温よりも幾分も温くなったシャワーが
火照った身体に心地良くて、ひと息
落ち着く間を与えて貰えるかと思えば、]
[ 既に、芯を持ち始めているものを
緩く優しく触れられて、腰が揺れた
触れられる度に、硬さが増していくのが分かる]
ッ、ん、……マジ、で、する気なのか?
[ 不安と期待が入り混じった
問いを口にすれば、また問い返される
わざわざ、聞くなよ
と、内心で悪態を吐いて、
心と身体の天秤が、どちらに傾いているなんて、
たぶん、もう明らかで、だけどそれを認めるには
まだ、俺の理性がはっきりしすぎてる]
[ そうすれば、意図は伝わったようで
取りに行くと言って、漸く身体を解放される
はぁ、と、甘さを含んだ溜息を零せば、
バスルームの壁に手をついて、
流しっぱなしのシャワーで残った泡を洗い流した
いつもは跳ねている髪も、濡れて落ちてきて
前髪が邪魔だと掻き上げれば、
もう一度、息を吐くのと、同じタイミングで、
兄貴が戻ってきたので、そちらを見る
バスタブの縁に腰かけて、
見上げてくる目が楽しそうに見えて
手のひらで踊らされているようで、
無性に、ムカついて――
近付けば、頬を撫でて、首筋を撫でて
胸の辺りを擽りながら、覗きこんで、にやりと嗤う]
……てか、兄貴はまだ、勃つのかよ?
ふっ、勃たせてやろーか?
[ 翻弄されっぱなしは、性にあわねーと
根元から茎を、一撫でしながら、
自分の唇を指差して、煽った――**]
| [一番じゃなくてもいいやって、一度は確かに思ったの。 だってちゆには届かないと思ったから 彼には奥さんがいて、リカちゃんがいて、 そこに入り込む隙間を見つけられなかったから。
――――だけど今は違う。 目の前に彼がいて、彼の愛する奥さんはもういない。 タイガさんをちゆだけのものにして ちゆがタイガさんだけのものになって、 二人で「普通の」幸せな恋をするのに 邪魔なのは小さなあの子だけ。
期待しちゃうの、タイガさんのせいだよ。 そうやってちゆの目の前で泣いて 他の人に見せられないような弱いところを晒すから。
手が届くような気がして、欲しがってしまうんだ。] (63) 2021/07/16(Fri) 15:24:23 |
|
ふぅん、そうなんだ。
[タイガさんがリカちゃんの話を始めたら 鼻歌を歌うように暢気な声で相づちを打った。
今が夜で良かった。外が暗くて良かった。 目だけは笑えない、可愛くない笑みを浮かべてしまうのも 本当はそんな話をすこしも楽しいと思えない本心も 全部暗がりが隠してくれるから。]
おしゃべり好きなんだ、可愛いね 一人でお世話するのは大変だろうけど……
[遠くの景色を見つめたままで返事した。 顔を見ない割に、絡めた指だけはぎゅっと握って。]
(64) 2021/07/16(Fri) 15:24:35 |
| [ごめんね、ちゆはやっぱり子どもが好きじゃないみたい。 彼が笑うのを聞けばつられて笑って、 「タイガさんの子どもだもんね」なんて零して。 知ってるよ。 目のかたちも鼻筋も、 笑い方もよく似てるって。 それであなたに似てないところは 奥さんの面影を残しているんでしょう? 彼がちゆの方を向けば、笑ってみせる。 あの日より静かな笑みを浮かべてみせる。] 覚えてくれてたんだね、嬉しい。 連絡先も交換してなかったから、 もう忘れちゃって会えないと思ってた…… [ちゆはこっそり知ってたんだけどね。 さっさと掛けちゃえば良かったな、電話。] (65) 2021/07/16(Fri) 15:26:19 |
| [そうして彼が一つ、また一つ語り出す。 後悔だとか嘆きだとか、それと少しの愛だとか。 繋いだ手はちゆより冷たくて震えてた。 それでも熱は溶け合って、同じ温度に染まる。 あの夜みたいに寂しさを分け合って――だけど、 彼が知らない本心を伝えるつもりはなかった。 「愛」の形なんて知らない。 リカちゃんがどんなに大切かなんて知りたくない。 あの子がどんなに可愛くて 無邪気でかけがえのない存在だとしても ちゆにとってはタイガさんと誰かの子どもで いらない存在でしかないの。 ひどい?ひどいよね、分かってるよ。 でも、だって、だってさ、] (66) 2021/07/16(Fri) 15:26:39 |
[ ゆるゆると動く手の中で兆しを見せ始めていた
茎がどくりと脈打つ。
感嘆と興奮の混ざった吐息を落として、
硬さを取り戻していくそれを柔らかく扱いて、 ]
え、しないの?
[ と、熱っぽい吐息混じりに耳元で囁いた。
肌を滑るボディソープが立てる音にすら
消されてしまいそうな声。
抱けよ、
とそれはたしかにそう聞こえた。
肩越しに振り返る、その顔は火照って紅く、
言葉以上に雄弁に物語る瞳には滾る熱。 ]
[ 覆い被さって一瞬、深く口付けて立ち上がる。
ぼたぼたと雫が垂れるのも構わずバスルームから出て
必要なものを手にして戻れば、前髪をかき上げた
海斗が息を吐くのがわかった。
露になった額が大人びて見えて、大きな水滴が飛んで
きらきらと跳ねる。
綺麗で、ちょっと見惚れた。
バスタブに腰掛ければ上から見下ろすように
覗き込んで、体に触れる手の熱さに
ずく、と下半身に血液が集まるのがわかって
我ながら苦笑いしてしまう。 ]
────── !
[ 唇を指してにやりと嗤う、海斗のその口から
飛び出した爆弾発言に僅かにのけぞって、
眉を上げた。
根本から撫で上げるその手なら、わかってるだろ
もうゆらり勃ちあがっているのが。
ああ恐ろしい。
無自覚な小悪魔ほんとに怖い。
ばちん、と理性がショートしそうな音が頭の中で
弾けて、髪に触れて押し込みたくなる衝動に襲われて
ぎり、と目を閉じて頭を振って振り払う。
きつい思いなどさせたくないというのは
紛れもなく本心なのに、煽ったのはお前だからな
とも言いたくもなる。 ]
見くびらないでくれる?
[ かいとがえろいから、と囁いて
後頭部に差し入れた手で髪を玩ぶ。
男としたことないって言っていたから、
口ですんのもきっと初めてだよなと考えたら、
わざわざお手を(お口を?)煩わせなくても
大丈夫なくらいには反応してしまうのだけれど。 ]
……それでもしてくれんの───?
[ つう、と唇を親指で撫でる。
その口が、もう充分に兆しているものを
迎え入れてくれるのならば、
生暖かい粘膜の感触にぞくりと腰は
簡単に震えるだろう。 ]
[ 髪を撫でながら、吐息を噛み殺す。
耳に触れて、耳殻を掻いて、指を差し込んで。
海斗の口の中を存分に堪能しながら、
時々わざと動かして、
頬の内側や上顎のあたりに先端を擦り付けて。
ごめん、苦しいことしたくないって思ってたのに
上から見る海斗の顔がさ、
かわいくてえろくていじらしくてあんまり唆るから。
髪を掴んで、ぐ、と押し込んで、様子を伺って
大丈夫そうならそのまま喉奥を抉る時に
歯ァ、立てんなよ、と低く嗤う。
ちょっと加虐心に火がついてしまったことに
ついてはあとで謝ります。 ]*
[ 命令口調で、不遜な言い方しかたできないのに
兄貴は、それを"かわいいおねだり"などと言う
長年、可愛くない弟を好いてくれただけはあるよ
本当に、……その想いに、俺はどれだけ返せてるのか
兄貴に言ったら、どういう返事が返ってくるか
想像できそうではあるけど
まぁ、こんなこと口が裂けても言うわけがないから
悩んでも、想像しても意味がないことだと
浮かんだ想いは、掻き消した――]
[ 根元から撫で上げたものは、
既に熱く、兆しを見せていて、
俺が勃たせてやる必要はないのだけど
それでも、一泡吹かせたかった
煽った理由は、たったそれだけ
深い理由があったわけではないのだが、
無知、というのは、時に恐ろしいことをしてしまう
何かに耐えるように瞳を閉じて、
被りを振る様子に、どうしたのかと首を傾ぐが
再び、目があえば、後頭部に伸びる指
耳裏から、後頭部を撫でられると、ぞくぞくする
ん、と微かに、声を漏らして瞳を細め
見くびるな、と落ちてくる声に]
してやるって、言っただろ?
ただ、下手くそでも文句言うなよ……
[ 今は気分がいいから、とでもいうように
ふふん、と得意げに笑い返した
小さく一言、事前に言っておけば
ちらり、と一度視線を逸らして、覚悟を決めたように
タイルの上に、膝をついた
そっと、撫で上げていたものに唇を寄せる]
……ッ、ん、ぅ、
[ ちゅっ、と先端に挨拶をするような軽いキスをして、
はぁ、と熱い吐息を吹きかける
別に、焦らしているわけではなくて、
まだ、完全に勃っていないけどやはり、大きく見えて
これ、口に入るのだろうかと、躊躇ったせい
迷っているのを誤魔化す為に、
ぺろり、と先端を舐めて、
裏側の根元から先端までを舐め上げる
脳裏に手本にしてるのは、さっきの兄貴の動きと
いつだか見たAV女優の動きなんだが、
正直、よく覚えてない――
特に兄貴のは、気持ち良かったのは憶えてるけど、
どんなことされたかは、少し記憶が飛んでいたから
]
ん、ッ、……は、ッむ、
[ 意を決して、とりあえず先端を口に含む
歯を立てないように気をつけながら、はむり、と
妙に可愛らしい音を立ててしまって、
羞恥を覚えながらも、兄貴の腰が震えるのを
間近で感じ取って、気分が好くなる――]
――ッ、ふぁ、ん……ンッ! ん"、
[ 耳を擽る指が、輪郭を確かめるように弄ぶと
くすぐったいのか、気持ちがいいのか、
むずむずとした感覚に、唇と雄の隙間から、
鼻にかかった甘え声を漏らしてしまう
少しずつ、頭を前後させながら
喉の奥へと導いていれば、時折、
わざと腰を動かして、内頬や上顎を擦られて、
高い鼻濁音を発しながら、身体をびくつかせた
]
[ キスをされた時も、感じてしまったのを覚えていて
兄の悪戯な動きに、翻弄されつつも、
なんとかそこにあたらないように、
小首を傾げるようにして、非難するように見上げる
たぶん、こういう時は、
わざと意図を受け取ってくれないんだろうけど
兄貴のものを咥えているという状況に、
口の中を熱いもので蹂躙される感覚に、
言いしれない昂奮を覚えて、俺の両腿の間のものは
いつの間にか、しっかりと立ち上がって、
僅かに先走りを溢れさせていた
時折、苦し気に目を細めながら、
生理的に込み上げてくる涙に濡れた瞳で見上げれば
何に、煽られたのか、髪を掴まれ押し込まれる]
う"
、んッ――ッは、んんッ
[ む、という声をあげながら、眉を顰めて
睨むけど、幸い嘔吐感は、まだ感じていない
そのまま舌を口の中で、這わせれば、
大丈夫と判断したのか、低く嗤う声が落とされて
ぐっ、と喉奥を抉られた
くぐもった悲鳴を上げて、反射的に
頭を引こうとしたが、掴まれて上手くは逸らせず]
―― ん"、ぁ、……ッ、む、ぐッ
[ 苦しくて、じわと、涙で視界が歪む
込み上げてくる苦いものに耐えながら、
それでも、ここまで来たら意地を張るように
口を放すことはしないで、
なんとか、前後に頭を動かしながら、
時折、口をすぼめたり、舌で撫で上げたり、
こちらからも、刺激を与えようとした
やばい、口の中をめちゃくちゃにされて、
良いように動かされて、 支配されている感覚が、
堪らなく、―― イイ
俺の口で、兄貴が感じていることが、
口の中でダイレクトに伝わってくるのも、
――――――
堪
らなかった、
*]
[ 他人の心なんて読めなくていい。
見目麗しく着飾っていても、
腹の中なんてそんなに綺麗なもんじゃないから。
けれど、お前がそんなことを思っていると
知れたのなら
心の中が覗けるのも悪くないと俺は笑ったと思う。
少なくとも、お前が俺とそう違わない思いを
持っていてくれたこと。
そんな奇跡をもらった。
それ以上、なにも返してもらうことなど
ありはしないのだ、と。]
[ 下手くそでも文句言うな、という言葉の
破壊力を海斗はわかっていない。
言うわけないだろ、と笑えば、
海斗がタイルに膝をつく。
つむじを見下ろす姿勢に征服感がぞわりと
腹底から迫り上がる。
やっぱり辿々しい口付けは言葉の通り
百戦錬磨とは言い難い動きだったけれど、
物足りないどころか愛しさが溢れて
こちらも完全に勃ちあがってしまう。
ついつい動いてしまう腰のせいで
刺激してしまうのは海斗がキスでいつも
身体を震わせる口蓋。
閉ざした唇からは、甘く高く鼓膜を撫でる
濁った鼻母音が漏れ出ている。
その色気に息と唾液を飲み込めば、
喉奥から含み笑いと吐息が溢れて、
幾度も同じ箇所を攻めた。 ]
[ 小首を傾げて、眉間に皺を寄せて
咥えたまま見上げて睨む。
俺を非難するような視線は逸らすことなくからめとる。
海斗が訴えたいことは百も承知。
だからわざと、 ]
……ッは、海斗、ここ、好いの?
[ と汲み取っていないフリをして問おうか。
おまけにうるうると水を湛えて潤む瞳で、
上目遣いなんてされた日には、
多少強引な手つきで押し込んでしまうのは
仕方がない。 ]
[ かわいい、健気だなと嗤う。
睨みながらも口からは吐き出したりされなくて
ぢり、ぢり、と理性が焼き切れていく。
がっつり頭をホールドしながら、本来なら
絶対に飲み込めない質量のものを
狭い咽頭へ捩じ込み飲ませようとした。
悲鳴のようなくぐもった声が脳を嬲る。
本能的に逃げようと引いた頭を許さず、
逆に力を込めて腰を打ちつけて。
嘔吐感に苛まれている証の、
粘っこい液体が腔内を満たしていく。
汚い濁音をあふれさせながら、それでも
懸命に施される口淫はたまらなく淫らで、
支配欲に身体を委ねてしまう。
嗚呼、気持ちがいい。
]
[ 歪んだ目元から綺麗なカーブを描いて
落ちる涙を指で拭って、それでも少しの間は
喉奥を犯す動きはやめなかった。 ]
っ、は……ァ……かいと、
[ 気持ちいい、と譫言のように繰り返す。
余裕ありそうだなと思ったのは、
舌が動いて刺激をくれようとするあたり。
気遣う様子など何処へやら、苦しそうに呻いては
身体を撓らせる海斗に満足気に破顔って、
ようやく呼吸を見計らって
ずるりと口内から引き出した。 ]
ごめんごめん、苦しかったな、
あんま、えろくて止められなかった、
……ガチガチじゃん。
[ 海斗は咳き込んででもいたろうか。
優しく髪と背を撫でながら
涎とおなじように先からぼたぼたと落ちる欲望が
見えたら、そっと手を伸ばして揶揄う。
タイルに膝をついた身体を動かして背後から被さって
四つん這いで晒された後孔の蕾に触れる。
ローションを手に纏わせて、数時間前よりずっと
容易く指を飲み込んでくれるそこを、
数時間前よりは荒々しい手つきで解す。
避妊具をつけたのはまだ理性が残っていたよう。
けれどそのままひたりとあてがって飲み込ませていく。
後ろからの体位で、硬いタイルに四肢をつかせたまま
バスルームに淫らな吐息を響かせて。 ]*
[ 喉奥を突かれるのは、苦しくて、
恐らく、快感を得るには至れそうにはないが
それでも、喉を犯しながら、『気持ちいい』と零す
兄貴の声を聞くと、興奮を覚えて
苦しさに逃げたいのを堪えて、
何度も喉奥を突かれる度に、濁った呻きを漏らして
余裕なんてないけど、無我夢中で舌を唇を動かした
ただ途中から、きゅっと、瞳を閉じて
荒々しく、口内を嬲られるままに
任せるしかなかったのだが
ようやく、ずるりと抜き出されて、
口を解放されれば、かはッ、と咽て
口の中に溜まっていた
唾液と、先走りを溢れさせながら、けほけほと
何度か咳をして、口の端を垂れるものを
手の甲で拭った]
ハッ、はぁ……ッ、ば、……っせーよ
[ ガチガチとか
その通りだけど、仕方がねーじゃん
そーいうこと、してんだからと
口には出さない恨めしそうな瞳で見上げてれば
伸びてきた手が、じんじんと
痛むほど張りつめた場所に触れると、堪らず
あッ、と喘ぎと、とれる声を出してしまうが
それに羞恥を覚えるより先に
くるりと背を向けさせられて、気付けば
今度は、タイルに両手を突いていた]
んッ、……うッ、
[ 僅かに、快感の余韻が残っている蕾に
つぷと指先が難なく吸い込まれていく
じわりと身体を震わせる甘い痺れに、
耐えるような抑えた嬌声を漏れさせた
やだとか、ダメとか、相変わらず
口では拒否をするような言葉を言いながら
艶めいた声を押さえることはできていなかった]
あに、……ッ、んんッ……
[ 先ほどよりも手荒に解されて、
それでも、快感を拾う感覚は、先ほどよりも増して
抑えようとしても、抑え切れない声が
広いバスルームに反響して、耳から、脳を犯される
ぐちゅぐちゅと、荒く後孔を解されて
絶えず、甘えた声を発していたが
指が抜かれると、またあの熱いものが押し当てられて]
あぐッ、……んッ、
[ みちみちと、肉を引き攣らせながら
中を抉られて、呻くような喘ぎを
落とすたび、飲み切れなかった
唾液が、ぽたぽたと、タイルに落ちて流れていく
あぁ、ダメだ。もう……理性が崩れていくのが
はっきりと分かった
突かれるたび、ぐちゅ、と淫らな音と、
快感を抑えきれない欲に濡れた声が響き渡っていた]
[ 俺の内側を、兄貴で満たして欲しい
だから、身体に触れる兄貴の手に触れようと、
片手で身体を支えながら、手を伸ばす
拒む為じゃなくて、ただ、触れたかった――**]
[ 豪華で広くてもバスルームの床は硬いタイル。
身体を支える膝は痛くないだろうか。
そんなことを思ったのは一瞬だけで、
上から覆い被さるように押さえつけて
中へ中へ沈めていく動きは止められなかった。
じっくり解してもやれなくて、ぎちりと軋む
狭さと締め付けに顔を顰めれば、
焼き切れた理性が僅かだけ戻る。
先端は飲み込ませたまま、滑りを茎に垂らした。
幾分引き攣れはマシになるだろうか、けれども
たいして気遣う余裕もなく中を抉る。
呻くような声も俺の加虐心を煽るだけ。
まともな思考が消え失せて、般若心経も、滝行も、
もう、効かない。 ]
[ 一度しかものを受け入れたことのない、
未だ狭い隧道を押し広げて奥まで穿つ。
ぐぢゅりという音も反響して、湯気に阻まれて、
いつまでも消えない気がした。
抽送を繰り返すたび、湯ではない水滴が
海斗の口から糸を引いてタイルを汚しては流れていく。
背後から伸ばした指を海斗の口に触れさせて咥えさせ、
舌を挟んで引っ張ったり、上顎のあたりを
撫でたりして唾液ごと弄んだ。 ]
[ まるでネコ科の交尾のように後ろから首筋に口付けて
歯を立てて、きつく吸って痕をつける。
欲望をぶつけるだけの交わりにそれでも
海斗の呻き声は徐々にただの嬌声に変わっていく。
組み敷いた体から強張りが解けて崩れていくみたい。
そのことにまた脳が融ける。
堕ちて、はやく、おれのとこまで。
]
[ 獣みたいにがつがつと穿っていれば、
床について二人分の体重を支えていたその片方の手が
ついとこちらに伸ばされる。
それは、拒むとか、押しのける動きではなくて、
はじめて、縋るような、求めるような、
……そんな類の動きに思えて。
─── ぐ、と胸が詰まった。
息を吐けば、焼け付いていた頭が少し冷える。
動きを止めた。
また大きく息を吐く。
伸ばされた腕を撫でながら繋がったまま、
そっと海斗の体を支えて起こそうとするだろう。 ]
[ 振り返ってくれたなら、ごめん、と小さく告げて、
唇を合わせて。 ]
……飛んでた、一瞬。
悪い、痛くないか、膝も、後ろも
[ 目を伏せて謝って、いまさらのように尋ねよう。
文句も叱責も受け止めて、それでも大丈夫だと
言ってくれるならせめて、支える手はバスタブに。
立ち上がらせれば膝は痛くないだろう。
滑らないように腰を抱きかかえて。 ]
[ 二回目なのに立ちバックは、やってしまった、と
改めていまさら反省してます。
だけどこのままベッドに戻る時間も惜しくて、
身体が離れるのも嫌で。
もひとついえば、ほんとは対面座位で
抱きしめたかったんだけど、
うっかり腸の行き止まりのその奥に
突っ込んでしまったりしたらさすがにそれは
ちょっとまずいな、と思って必死で耐えたのは内緒。
そっちは、また、いずれ。
]
[ 抱き留めた手はそのまま、片方の手は胸に触れて、
滑らせて慈しむように海斗の茎を握った。
唇は耳の裏や頸を這わせて、抽送のスピードを上げる。
きっとそう長くないうちに
三回目だってのに
込み上げる吐精感ががくがくと身体を震わせるから。 ]
─── あいしてるよ、かいと
[ 前を扱く動きに合わせて欲望を吐き出す時には、
出来れば海斗も一緒に達してくれてれば
いいんだけど、と、
白みはじめる視界の端でそう願っていた。 ]*
[ 膝が痛い、とか、腕が痛い、とか
そんなことよりも、後ろを犯されるのが、
痛くて、苦しくて―――― 堪らなく、気持ちがイイ
無理矢理、地べたに押さえつけられて
獣のように交わって、内臓を抉られるように
キツい窄みを押し広げられて、
苦しそうな吐息に、感じいった声が混ざるのは、
性急に求められるのが、この上なく嬉しいから]
ぁ、……ッ、い、――ッ
[ 滑りをよくするために、足された潤滑油の
体温より低い温度が霞めるだけでも、
びくり、と肩を揺らして悩ましげな声をあげてしまう
口を閉じてしまいたいのに、この体勢では
片手で押さえることくらいしかできなくて、
荒々しさに、やはり両手をつかないと
身体を支えられなくて、
抑え切れない、あられもない声をあげてしまう
それに―――― ]
[ 後ろから伸びてきた手が、
口を閉じさせないようするかのように、
指を口の中にねじ込んできて、舌を挟まれ撫で引かれ
上顎の裏を擽られて、口まで犯されて
ぞく、と咥内から広がる快感に思考が蕩けていく
口を犯す指を、咥えて、しゃぶって、
指から逃げるように、舌を動かせば、意図せず舐めて
あぁ、好き……もっと、欲しい
火照る体の奥底から、湧き上がる情欲に
思考を支配されていく
もっと、触って欲しい
もっと、触りたい
腕を伸ばせば、ふいに、動きが止まって]
ん、……?、あに、き……?
[ 身体を捻って、蕩けた瞳で、横目に見上げれば、
切なそうに、不思議そうに首を傾げる
すると、御免と言う言葉とともに、口付けられて
痛くないかと、問う言葉に、何度か瞳を瞬かせて]
い、た……く、ねーから
[ 痛いくないは、完全に嘘だが
それ以上に、気持ちがいい
それを口にするのは、まだ羞恥が勝ってしまうから]
[ 小さく声をあげながら、
身体を引っ張られて膝が浮く
重力に逆らうように、結合された場所は繋がったまま
腰を抱えられると、より深くを抉らて、
甘く掠れた吐息が漏れてしまった
バランスを崩しそうになって、
支えられるままに、バスタブの縁に手を突いて
待ちきれないというように、腰が勝手に揺れた
態度はいつも、俺の方が不遜で、
俺の望みをかなえてくれるのは、いつも兄貴なのに
まるで、従属させられているみたいな、
背後から動きを奪われて、首筋に噛みつかれて
勝手に所有印を残されて、逆らいようがない感覚
普段なら、こんな感覚にさせられること
許しはしないのに―― 今は、受け入れてしまう]
ふっ、……んんッ、あ、イイッ、そこ……
[ 無意識に、笑みを浮かべていたのは、
唇に指が触れていたら、気付いたかもしれないが
すぐに、その笑みは、甘い嬌声に変わっていく
もうはち切れそうな前のものを握られて、
悲鳴染みた、一際大きな声をあげ、
イってしまいそうになるのを、耐える為、
より一層、眉間に皺を寄せた]
[ 耳の裏も、首筋も、うなじにも、
舌が生き物のように這う感覚が、気持ちがいい
乱暴に、余裕がないように、腰を揺すられて
こちらの状態なんてお構いなしに、与えられる快感が
堪らない、耐えられない、おかしくなりそうだ
途中から、もう何を自分で言っているか
どんな声を発しているかも、理解が追い付かなくなる
目の奥が、チカチカと白く塗りつぶされていく]
お、ッ、れも……すき、あにき、が――
好き
、
[ あいしてる。
求められて、満たされて、
前後不覚になるくらい、蕩けさせられて、
狂おしいほど、愛しくて、おかしくなって
生理的、ではない涙が、頬を伝う]
[ 言葉だけじゃ足りない
足りないものを補うように、自ら腰を揺らして
もっと奥、もっと深くと、求めた
最奥を何度も突かれて、強すぎる快感に
いやいやとするように、何度も頭を振るくせに
もっと、と腰を押し付けて、
まるで、淫乱になったみたいで、恥ずかしいのに
求める気持ちの方が強くて――
何度目かに、奥のしこりに打ち付けられた瞬間
バスルームに響き渡る、熱で掠れ濁った嬌声をあげ
水や光や、体液が散ったタイルの上に、
多少薄くなった白濁を解き放っていた
すべて出し切れば、膝ががくがくと言い出して
もう力が入らなくて、ぐったりと、
身体を前に傾かせていった
そのまま倒れれば、バスタブの縁に縋るように
もたれ掛った―― かもしれない*]
[ 指で触れている唇は、勘違いでなければ
口端が緩やかに上がった弧を描いたように
感じ取れた。
求めて求められて、応えてもらってこちらも応えて。
けれどどこか完全には拭いされなかった
理由はやっぱり互いの関係性。
けれど今、腕の中に閉じ込めた身体が、
見慣れた弟の服を脱いでく。
呼応するように長年かけて重ねてきた俺の
頑なな鎧も剥がれていく。
乱れて淫れて声を上げて、理性を溶かして。 ]
[ 言葉としての形をなくして、濁点のついた濁った嬌声が
あふれていた海斗の口が動いて。
また、今度ははっきり、聞こえる。
紡がれた言の葉。 ]
────── ッ
[ どくん、と脳髄から痺れが走る。
好き、大好き、愛しているも、なんでかな、
聞こえた気がして───
]
[ きっとめちゃくちゃきついくせに誘うように
蠢く腰を抱きかかえ、短い呼吸で何度も最奥を穿った。
いやいやと頭を振る海斗の髪から雫が飛んで、
バスルームの光に反射してきらきら、弾けて。
甘美な曲線を描き撓る背中にぼたぼたと汗を
こぼしながら、
見つけたばかりのしこりを抉った瞬間、
海斗が跳ねた。
叫ぶみたいな声が耳から神経を炙って、
ぎゅうと締め付ける腸壁の快感に体を震わせながら、
薄膜一枚隔てた中へもう出ないかもと思っていた
欲望が溢れ出す。
握っていた手の中の海斗の茎もどくりと震えて、
幾分薄くなってはいるけれどどろりとした白濁を
吐き出したのがわかった。 ]
……っん、はぁッ、 かい、と、
[ 大丈夫かと言いかければ、腕の中の身体が崩れる。
膝ががくがくと揺れて、前に突っ伏しそうなところを
すんでのところで受け止めることができたのは
本当によかった。
バスタブの縁に縋るように凭れかかる身体に
力を込めて衝撃がないように支えてから、
中のものを抜き取って。
バスタブを背に、床にぺたんと座らせることが
できれば、手早く欲望の詰まったゴムを処理して、
シャワーに手を伸ばす。 ]
[ 海斗の意識はあっただろうか。
声をかけて、返事があってもなくても
どちらにせよとにかく湯をざっとかけて、
汗や液体を流して。
立てないようなら、ふかふかの綺麗な
バスタオルを被せて、包んで抱き上げようか。
いや、俺も結構やばくて、膝も腰も
気を抜けばすこんと落ちてしまいそう
だったんだけれど。
俺は、長男だから、大丈夫。 ]
[ ……それにしたってやっぱりベッドルームまで
遠いな!とわざと口に出して八つ当たりしながら、
限界を訴える足を無視して
どうにか大切な身体を横たえることは出来たはず。
前髪を梳いて、額に口付けて、様子を窺う。
抱き枕みたいに抱きしめて、
すきだよ、と小さく囁いて。 ]*
[ 倒れかけた身体を支えられて、
そっと、優しくバスタブにもたれ掛らせてもらう
イったばかり、で。ふわふわとする思考の中
中のものを引き抜かれると、やはり声は漏れてしまう
切なげで、悩ましい声は、叫びすぎて掠れていた
大丈夫か、と問われれば、
たぶん、大丈夫じゃねーよって、億劫そうに答えて
また、汚れてしまった身体を
洗い流す手を、邪魔することはしなかった
柔らかなバスタオルに包まれて、
抱き上げられる時は、さすがに慌てたけれど
もう、抵抗する気力もなかったから、
抱えられるまま、身を任せて、頬寄せて、目を閉じる
俺は、次男だから、耐えられなかったんだ]
― 翌朝 ―
[ 朝起きた時にも、兄貴は隣にいただろうか
眠っていれば、隣で眠る寝顔をまじまじと見つめて
身体の痛みや、充足感、疲労感に
これは、夢ではないと再確認をしていた
終ぞ、言う気がなかった好きという言葉も、
ついに、伝えてしまったことを思い出して、
顔が熱くなるのを感じて、寝返りを打つふりをして
兄貴とは反対側に顔を向ける
ドキドキとして、呼吸が早くなって、
すごいことをしてしまったと、嬉しい気持ちと、
すこしだけ、後ろめたい気持ちなる]
[ 男同士はまだ、いい
だけど、兄弟でこんなことをするなんて、
倫理的に考えて、ありえない
大きく道からそれてしまった、そらさせてしまった
自分でも言っていたけど、兄貴はモテる
女からも、男からも、
普通の恋をして、普通の結婚して、普通に親になる
それがきっと、多くの親が望んでいることで
明るく笑う両親の顔が浮かんで、きゅっと瞳を閉じた
朝、目が覚めたら、忘れようと思っていた
朝、目が覚めたら、消そうと思っていた
そんな最初の気持ちは、もうなくて
もう逃がしたくない、逃げられない]
[ 兄貴が起きた気配がしたか、声をかけられれば
そちらを向いて、無言で身を寄せて
寝ぼけているうちに、俺の反骨心が起き上がる前に
今は素直に、甘える
これはあくまで、俺が俺の心を満たすための行為で
兄貴を喜ばせようとか、好きの気持ちを返そうとか
その為ではないから、一応分かって欲しい
そんなこんなで、朝目覚めた後も
身体はだるいから、そのまま二度寝を決め込んで
昼前にもう一度、目を覚めせば、強烈な空腹感に]
はら、へった……
[ 色気のないことを言って、
ルームサービスを頼むように、"おねだり"しただろう]
― いつかの話 ―
[ あれから、何度か重ねた罪の味
その日も、そうだった
両親が相変わらず、出張で二人して不在の日
リビングだったか、ソファに座る兄貴に
後ろから近づいて、テレビでも見てるなら
その視線を遮って前に立てば、
膝を開いて跨って、首に腕を回して抱きしめれば
耳を軽く食みながら、いつもの合図を口にした]
[ 相変わらず、可愛いおねだりはできない
でも、あの日から経験は重ねてきたおかげか
素直に望みを口にすることは、多くなったと思う
兄貴が望んでくれるなら、対面座位なるものだって
たぶん、許してしまう程度には、兄貴に甘くもなった
逆のことは、既にされていたっけ?
俺が兄貴に跨がれて、体重をかけて、
奥の奥の、さらに奥を犯したこと
まぁ、その話はまた次の機会にしようか
そんな感じで、俺は手を替え、品を変え
罪深い蜜の味を、貪るように味わっていた――*]
| [「幸せ」と聞いて、噛みしめる。 そうしてタイガさんの聞かせてくれた本心も。]
……そっか。
[彼がくれると言ったのは「一番」。 だけどちゆが欲しいと願うのは、求めてしまうのは 彼の手、言葉、愛情、時間――… 彼の隣で笑うこと。彼の側にいること。 タイガさんの人生の、唯一の大切でいたいって どうしようもない自分勝手だ。
「パパ」の顔したタイガさんの隣で笑えるのかな。 辛いときだけなんて、ちゆは、足りないよ。] (99) 2021/07/17(Sat) 18:14:37 |
[ だいじょーぶじゃねーよ、と返ってきて
ほっと息を吐く。
声は掠れていて、ぐんにゃりと力が抜けた身体を抱えて、
絶対にフラつかないように高級な絨毯を踏みしめた。
ベッドもまあまあ酷い惨状だったけれど、
バスタオル越しにふわと横たえる。
もう、半分以上寝ているのか、好きだよと告げれば
ものすごく久しぶりの素直な、
おれも、
が寝息とともに、ぽとりと落ちてきて。
すぐに、規則正しい寝息を立てて伏せられた瞼。
起こさないようにゆっくり身体を起こし、
布団を引っ張ってそっとその体にかけた。
立ち上がり、リビングスペースへ向かえば
すっかり暗くなった窓の外、
煌びやかな街並みからの光がやけに目に痛い。
煙草に火をつけた。 ]
[ 今更。
─── 良い筈もない。
伝えるはずもなかった、身勝手な欲望に巻き込んだ。
俺のすべてを捧げたとて、なんになるというのだろう。
吐き出した紫煙が、細く、白く棚引いて
乱れた吐息など夢だったような
静かな部屋の空気を揺らす。 ]
| [――出会いは突然だった。 それが偶然か運命かは知らないけれど、 恋に落ちるには一瞬で、愛してしまえば消せはしなくて。
「お嫁さん」じゃない、「彼女」と呼んでいいのかどうか 一つだけ確かなのは「恋人」とかいう肩書きだったか、 そんな曖昧なものを背負って彼に会い続けた。
彼の家を訪れることは滅多になかった。 あの夜に宣言してしまった通り、 彼と血を分かつ小さな少女が受け入れ難かったから。
でも、それでもね 何度か遭遇する機会はあったかもしれない。 そんな折に彼はあたしをなんと呼んだか、 何でも良かった。幼い少女に物心が付く頃は 少しは大人になれていたと思うから。] (110) 2021/07/17(Sat) 22:53:38 |
| [「ちゆりおばさん」なんて迷わず口にしたものだから 名前を覚えられた最初にはむっとしてしまったけれど 無垢で無邪気な子どもは躊躇いもなく笑う。 彼によく似た目元で、彼と同じ笑い方で。 あたしの胸の内なんて知らずに、笑ってみせるものだから。 お菓子を買った。女の子向けの玩具を買った。 タイガさんが悩んでいたのなら、 七五三や卒園式の衣装選びに付いていった。 「ママ」という呼び名だけは否定して 彼女が好きかと聞かれたら―― 「わからない」、と答えただろうけど いつかの感覚すら麻痺してしまったのか。 彼女の成長の様を見守るのはいつしか 彼女が自立したその先への期待ばかりでもなくて。 ] (111) 2021/07/17(Sat) 22:55:57 |
| [「普通の恋」がしたいと言った。 彼と過ごしたその時が普通だったかどうかは知らない。 ただ、ただあたしは彼を愛していて タイガさんの隣に居られることが幸せだった。
けれど一つだけ未練があるとすれば 空っぽの左手が目につく時がある。 形ばかりでもそこに証が欲しいと願うのは 困った欲張りさんになるかしら。
でも――――、] (112) 2021/07/17(Sat) 22:57:01 |
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