【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ 煙草の吸い殻を川に投げ捨てた後、 自分の行いが街に全くそぐわないもの だったことにようやく気づき、 さらにバツの悪い思いをする。 周りに人がいないことを確認しようと ふと目を上げたが… ] あっ……。 [ 若い娘がこちらを見つめたまま、 にっこりと笑っていた。>>11 「あなたの行いは全て見ていましたよ」 と、暗に言われているような気分だ。 背後には教会。 彼女はここから出てきたのだろうか。 まずいまずい。神の棲むこの国では、 少しの悪行もこうやって即座に見破られて しまうようである。] (14) 2020/09/19(Sat) 12:57:45 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソンどうも…。 [ 彼女につられて、ぎこちない会釈を返す。 すると彼女は、笑みを絶やさぬまま 歌を口ずさんだ。>>11 ] ……!! [ 歌詞の内容は彼の愚行を諭すもので あったが、そんなものは彼にとって もはやどうでもいい事で。 ] …驚いたな。 音楽に溢れた国とは聞いていたが。 庶民に至るまでこのレベルとは。 [ ふと、幼少期の記憶が脳裏を掠める。 怒号…打擲音…子供の泣き声… 大人達が傅く先には木彫りの偶像… ] (15) 2020/09/19(Sat) 12:59:30 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ 我に返る。 目の前には綺麗な若い娘。 背後には暖かな陽光。 先ほどと変わらぬ、平和な風景。] どこでその歌を習った? まさかそこの教会じゃああるまい。 [ 勢い余って、唐突にこんなことを 聞いてしまう。彼女は驚くだろうか。 もう少し彼女の歌声を聞いていたいと 思いつつも、このまま踵を返されて しまうかもしれないな… と半ばあきらめながら、 目の前の若い娘の返答を待った。]* (16) 2020/09/19(Sat) 13:03:56 |
鋼鉄の六弦奏者 エリクソンは、メモを貼った。 (a4) 2020/09/19(Sat) 13:12:44 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ 突然問い詰めるような言葉を投げかけられた 彼女は、ワンテンポ遅れてもう一度微笑んで、] ――どこで、習ったのでしょうね。 [ そう、答えた。>>19 つとめて誰かを納得させるような声色で。 しかし問われた刹那、一瞬その瞳に狼狽の色が 浮かんだように見えたのは、 気のせいだろうか。 ] 彼女は、笑みを絶やさない。 本心なのか、作り物なのか、 こちらには分からない。 しかしもう一度歌ってみせた彼女の歌唱は、 疑いようもなく本物だ。>>20] (25) 2020/09/19(Sat) 21:57:43 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン あぁ、俺は音楽祭の出演者だ。 ここの国民ではないが、海外出場者枠らしい。 こんなナリでな。嗤うだろ? [ 自分の服装を彼女に見せるようにして、 首をすくめて笑ってみせる。 ドレープをこれでもかとレイヤードした、 アシンメトリーな季節外れの上着。 わざと古びたように加工されたパンツとブーツ。 『王宮主催の音楽祭』からほど遠い格好だ。] 俺は歌わないが、演奏はする。 というより、 そういうお前は出場者じゃないのか。 [ 先ほど会場で見かけた、いかにも貴族然とした 音楽家たちを思い出す。 この国の事情はさして知らないが、 生まれたときから特権的に音楽をやる環境を 享受している彼らだけでなく、 彼女のような出演者がいれば… 今はアウェイ感の甚だしい自分も、 もっと楽しめる祭になるのではないか。 そんなことをチラと考えながら。]* (26) 2020/09/19(Sat) 21:59:44 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ ……エリクソンたち6人組の、 この音楽祭への参加には、 当然ながら、色々と障壁があった。 ――『この国にも新しい音楽シーンの風を 取り入れたい。』 そう言ったのは、 コンセールカリヨン出身のメンバー・ ディミトリエの知己で、 現在は楽譜出版社の編集長をしている 元コンバス奏者、セルジュ・バローという男だ。 元々ディミトリエとバローは、コンバスの 宮廷楽士養成所の友人だった。 ディミトリエが途中で電子四弦に傾倒すると、 バローも彼の影響を受け、 電子四弦、それから電子楽器全般への造詣を 深めるようになったようだ。 ディミトリエが養成所を辞めてエリクソンの国に 来てからも交友が続き、 6人の楽曲を積極的に売り込んでくれたりと、 高く評価してくれている。 ] (36) 2020/09/20(Sun) 2:01:07 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ このたびの音楽祭出場も、彼の勧めに よるものだった。 国内や周辺国では、エリクソン達6人組は すでに確固たる地位を築いて久しい。 だから次に狙いを定めるのは、 『音楽の止まぬ国』と名高いコンセールカリヨン における登竜門の最高峰、音楽祭というわけだ。 野心家のフロントマン・ダンテはじめ、 メンバー全員、この大きな目標に勇み立った。 むろん、単なる知り合いの口利きで ほいほいと参加が許される類の安いコンペではない。 分野の違いもさることながら、 先方は格調高い王宮の一大行事、 此方は悩める青少年達の心の拠り所。 まずは丁重な手紙と地道な書類作りを… と考えていたところに。] (37) 2020/09/20(Sun) 2:01:49 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ 唐突に、出演依頼が来たのであった。 なんでも、王族の一人である17歳の王子が、 6人組の楽曲を大いに気に入っているようで。 これにはメンバー全員が呆気にとられてしまった。 たしかに数年に一度、 奇特な王族の気まぐれで、 異色の音楽家が招聘されることもあるとは 聞いていたが……。 (…王宮生活のどこに、 俺らの楽曲に触れる機会があったんだ?)] (38) 2020/09/20(Sun) 2:03:15 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ 音楽祭への出演が決まるや否や、 自国の各新聞社は大々的にこれを報道した。 雑誌などの評論の中には、 『コンセールカリヨンの格式高い式典の 名に乗っかるのか』 『売名行為』 など、悪しざまに揶揄する声も散見された。 しかしそんな評価はどうでもいい。 本当の評価は、これから、 コンセールカリヨンの国民たちや 審査員の目によってなされるだろうから。 ] 宮廷楽士になる気はさらさらない。 ディミトリエだって、宮廷楽士への道をあえて外れて この分野で戦うことを決めたんだ。 俺たちはアウェイのこの国で評価をかっさらい、 世界進出への切符を手にする。* (39) 2020/09/20(Sun) 2:05:10 |
鋼鉄の六弦奏者 エリクソンは、メモを貼った。 (a10) 2020/09/20(Sun) 2:18:01 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン―橋の上で 娘と別れて― [ この街ではかなり奇異に映るであろう エリクソンの格好を見ても、 その娘は笑みを湛えたまま。>>57 彼女の笑顔がまことのものか、 正体の掴めない訝しさはあるものの。 ] ――それに、伝統だけが音楽では ありませんもの。 [ 続けて投げかけられたその言葉には 真っ直ぐな感情が込められているようで。 この国に来てからやや捻ねた感情を 持て余していた彼の心にも、 すっと沁み込んでくるのだった。 しかし彼女に音楽祭のことを聞くと、>>26 ] (91) 2020/09/20(Sun) 20:56:10 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ 蝋燭の灯火に水をかけたかのように、 初めて、彼女の顔から笑みが消える。>>59 何気ない問いのはずだった。 こちらも思わず黙り込む。] ――神から賜った声で、歌で、人と競ったり、 金銭を得たりすることは、許されないのです。 [ 彼女はそう言った。 (――ウソだ。) ふいに思考が止まり、足下がグラつく。 発せられた言葉は、柱時計の鐘の音のように 脳内で反響し、まるで自分をこの場に縛り付ける ように覆い被さって… ] (92) 2020/09/20(Sun) 21:03:14 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン … ……… … [ その後、彼女が手短に別れの挨拶をして 去るときも>>60、 エリクソンは暫くその場を動けずにいた。 が、すんでの所で我に返り、] …音楽祭で、会おう。 [ ようやくその言葉だけ絞り出し、 去りゆく彼女の背中に向けて放った。 届いたかどうかは、分からない。 ]* (93) 2020/09/20(Sun) 21:06:23 |
鋼鉄の六弦奏者 エリクソンは、メモを貼った。 (a20) 2020/09/20(Sun) 21:29:37 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン―橋の上で、独り― [ 娘が去ったのち。 彼は暫くその場に立ち尽くし、 胡乱な瞳で教会を一瞥する。 しかしそれは、建物の形も、 正面に掲げられているモチーフも、 故郷のソレとは全くもって似ていない。 過去を想起させるものなど、ここには無いのだ。 ――『物心ついたときには、 歌っておりました。』 先ほどの彼女の返答を聞いて>>19、 どこか安堵している自分がいた。 おかしな話だ。 ざわつく心境をもてあまし、 一体彼女の何が自分をそうさせたのかと… エリクソンは独り考えていた。 ] コンペは明日、開幕か……。* (95) 2020/09/20(Sun) 21:46:01 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン―1年前・誰も知らない過去の話― [ 第三王子・リジィ ――いやこの国では王子殿下と呼ぶべきか――は、 通っていた高等学校で、いっとき、 あまり"上品ではない"友人とつるんでいたそうだ。 その学校に通う生徒はみな王族・貴族出身で、 上質な制服に身を包み、身のこなしも美しく、 日々、礼儀礼節を重んじながら 学問に励んでいた。……のだが。 誰が最初に持ち込んだのか、一部の生徒の間で 海外の電子弦琴・電子洋琴、 それを使った4〜6人で構成される楽器編成、 その楽曲などが異様にもてはやされたことがあった。 リジィもその影響を受けた一人だったようだ。 ] (100) 2020/09/20(Sun) 23:11:35 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ 格式高いコンセールカリヨンでは、さほど 人気の出なかった電子弦琴は、 現在も、国民の目に触れるほど流通してはいない。 貴族の子でもなかなか手に入らないそれを、 リジィは自費で輸入業者に命じて 簡単に、電子六弦を取り寄せさせた。 他にも、音盤に描かれているぼろぼろの服を 仕立てさせたり、歌詞に書かれている "あまり上品ではない"ことになぜか憧れて、 仲間達とつるんで真似しようとしたり。 とにかく、なまじ王族という地位にいるだけあり、 彼の影響のされ方は半端なものではなかったらしい。] (101) 2020/09/20(Sun) 23:12:05 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ リジィの家族…とりわけ兄である第二王子レイズは、 弟のそんな趣味に業を煮やし、 『こんな下品な雑音は音楽じゃない』 と、電子六弦も、数々の音盤も全て捨ててしまった。 輸入業者を動かす権利まで剥奪されたリジィは、 しかし音楽をあきらめることはしなかった。 あるときリジィは、 とある物好きの宮廷楽士が、自らの知見を広めるために たびたび海外の音盤を大量に取り寄せている という噂を聞く。 機会を見計らって偶然をよそおって 彼女の部屋を訪ね、 失った音盤のうち、わずかばかりのお気に入りを 取り戻すことに成功したようだ。>>51>>52>>53 ] (102) 2020/09/20(Sun) 23:13:20 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ ――つまるところ、 リジィ王子殿下が6人組にはまり込んだのは、 いわば定められた道だったようで。 のちに宮廷楽士養成所とコネクションを持ち>>54、 編集長のバロー>>36とも知り合って めでたく電子六弦も手に入れるという、 音楽への愛が深いのか、はたまた懲りないのか、 とにかく行動力だけは人一倍の リジィなのであった。 ] (103) 2020/09/20(Sun) 23:14:23 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ もし万が一にも、どこかの平台奏者の 男爵令嬢が、リジィがいまの音楽趣味に走った 原因の一端を担っていることに責任を感じて いるのだとしたら、 それは要らぬ心配である。 (貸した音盤が返ってくるかは怪しいところだが。) >>55>>56 …もっとも、常識や新旧に囚われずに "音楽"そのものを愛して止まぬと噂される、 『大変人』>>30の彼女のことだ。 リジィの兄上のような凝り固まった価値観ではなく、 もっと違った考えを持っているかも分からない。 もし、この先彼女と6人組が相対したとき…。 どのような評価が下されるのか。 こちらは、まだ誰も知らぬ未来の話である。 ] (104) 2020/09/20(Sun) 23:15:32 |
(a22) 2020/09/20(Sun) 23:18:57 |
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