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【人】 倉科 宙[強引に手を引いて戻る道中、むすっとした彼女はそれ以上何も言わなくなってしまって。>>0:80 まるで、旅館に着いた時に逆戻りしたみたいで。 胸の辺りがだんだんと重くなっていく。 そんな気分のまま望みを口にすれば、今度は彼女を怒らせてしまって。>>0:81 俺の言い方が悪かったと、気づいても今更だ。] ……今のは俺の言い方が、悪かった。 みよこがまったく楽しんでないって そう思ってたわけじゃないんだ。 でも、やっぱりどこか無理してる、だろ? 笑っても空元気って感じがして…… 心配になって、俺が楽しめないだけだ。ごめん。 [彼女の笑顔に、誤魔化されたふりして。 いつか話してくれるまで待つのが、いい恋人なのかもしれない。 でも俺は、そんな我慢できないし。 彼女にも、ひとりで抱え込んでほしくない。] (1) 2021/06/29(Tue) 19:54:21 |
【人】 倉科 宙あ゙ー…それ、全部俺が悪いやつだろ。 わかった時点でちゃんと断らなかったのも、 久しぶりに二人きりなのに寝落ちたのも。 こんなの言い訳にしかならないけど…… 俺、悪い意味で三四子に甘えすぎてたな。 飲み会の目的が俺の本意じゃなかったことも、 疲れてたってことも、わかってくれてるからって。 [重ねていた手を握って、引っぱり。 倒れてきた彼女の頭を、ぽすんと肩口で受け止める。 そのまま、掌でゆっくり頭を撫でて。 微かに湯上りの香りが残る髪へ、そっと唇を押し当てた。] (3) 2021/06/29(Tue) 19:54:36 |
【人】 倉科 宙[言っても仕方ないことだから。 言ったら相手が困るだろうから、言葉を飲みこんでしまう。 その気持ちなら、俺にも覚えがあるし。 それが彼女の気遣いだってわかってしまうけど。] 確かに言っても、仕方ないし。 俺が困るだけかもしれないけど、それでも 言われなきゃ気づけないままだったし。 ちゃんと聞けてよかったって、思ってる。 [なんとなく、互いに妥協点というか。 本当に嫌なこととか、困ることとか、そういうのが自然と汲み取れてしまうから。 そんな信頼感もあって、甘えて安心しすぎてたんだろう。 改めて反省しながら身を屈め、彼女の頭にこつんと額をくっつけた。**] (4) 2021/06/29(Tue) 19:59:40 |
【人】 倉科 宙どういたしまして。 [額をくっつけたまま、ようやく微妙な空気が取り払われた嬉しさと安堵に顔を緩ませた。 彼女の提案に、目を瞬かせて。] ……うん。 せっかく一緒に旅行来たんだし、 今からでも遅くないよな。 [つられるように、くしゃりと笑いながら。 少し潤んだ瞳に間近で見つめられれば、心臓が小さく跳ねた。] (11) 2021/06/30(Wed) 0:26:05 |
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