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【人】 宮野 利光[ 此の宿の露天風呂は、本当に良いものです。 中でもこの大きな岩に囲まれている浴場は その風情もあってか、人の声が途切れることが ないほどでありました。 己も時折、岩場に腰掛けたまま足だけを 湯に浸けて、常人の真似をしたりするのです。 温かいはずの湯に入れた足は、何故だか決して 温もったりはしないのですが。 …おや、今日もまた、若い男女が此処に。 嗚呼、何処かで見た女子のようですが。 己と目が合えばどきりとした様子。 はて面妖な。 己はその女子が向き合う亭主の後ろの 大きな岩に腰をかけて、にこにこと 笑んでおりましょう。 その女子 まれ が、自分の夫に奉仕する様をじっと、笑みを絶やさず、じっと。 ]* (9) 2020/09/04(Fri) 22:30:35 |
【人】 宮野 利光おや、可憐な女子だと思うたら まれではないか。 [ 岩場に腰を掛けて、けらけらと笑います。 湯船に浸けた足でちゃぷん、と音を立てました。 小さな滴が水面を騒めかせます。 ] 先程からずっと、あの男の背後に居て、 まれのことを見ていたというのに、 ちっとも気付いてくれぬものだから、 まれに瓜二つの娘かと思うていたのだ。 [ くつくつと喉を鳴らして、手で湯を掬って、 ぴしゃ、とまれの顔に向かってかけてやりました。] (11) 2020/09/06(Sun) 1:08:56 |
【人】 宮野 利光[ 亭主の戻りを知らせる、扉の開閉音が 聞こえます。 当たり前のようにはっとそちらを向いて おかえりなさいと声を掛けるまれを目にして わかってはいたのにどんと鉛のような重さが 胸にのしかかりました。 彼女は己のことをどのように思うているのだろう、 と馬鹿馬鹿しい疑念がふと過れば、 さらに仄暗い気持ちが腹の底から湧き上がるのを 止められずに。 ] (14) 2020/09/07(Mon) 10:32:02 |
【人】 宮野 利光[ 所詮己は形亡き者、彼女を好いたとて どうにもならぬことくらい理解して居りますし 彼女とて、真に愛して居るのは その男なのでしょう。 …ならば、何故、 何故彼女は夫と俺と 二人に愛されたいなどと… 平安の時代から、女子の心は 得心出来ぬものというのが 常識であるようですが、まさにその通り… ] (15) 2020/09/07(Mon) 10:33:45 |
【人】 宮野 利光[ ぶるりとひとつ頭を振って。 また元のように岩場に腰をかけて。 にこにこと笑う仮面を被って 彼女を見ていることでしょう。 瞬きすら惜しむように、じっと。 * (17) 2020/09/07(Mon) 10:40:19 |
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