84 【R18G】神狼に捧ぐ祀【身内】
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| 「舞手がもっていかれるとは、祭りもいよいよ大詰めらしいやな・・・。」 宿の玄関口で島内の様子を眺めている。 その日に日に静けさを増していく様を見比べておくように。 よく覚えておくために。
(0) 2021/07/24(Sat) 21:22:04 |
「くそ……頭が、」
ゆらゆらと。
「……ぼんやりする……」
げほ、と喉につまったものを吐き出すように、
軽くせき込んだ。
ぽたぽたと、汗か、涙のようなものが、少し垂れる。
はてさて、仄暗い中でも学徒は何時も通り変わらない。
一枚、一枚と紙を捲る。
「しかし、しかし。成る程。本を読むにはいい場所ですね」
其の様子は、何一つ代わり映えしない。
何時も通りであった。
すく、と立ち上がる。
拘束はされていない。
見張りはいるようだが。
懐から、扇を二本。すらりと取り出し、しゃんと開く。
ひらひらと布をはためかせながら。
躍る。
踊る。
舞うように生き、舞うために生きよう。
不器用な自分の、それが生き様だから。
舞う。
舞って。
この島の舞いは、独特だ。
他の地方にない、特有の動き、特有のモチーフ。
それはつまり、何か確たるものに根差している。
舞の中から、それをつかみ取る。
踊りながら、自分の身体に刻み込む。
──遠吠えが聞こえた気がした。
「──……狼、か」
ぽつり、と呟く。
脳裏に浮かぶのは、
神々しく、畏ろしく、美しい。
おおかみのすがた。
| >>12>>13記録係が簿帳へ今日までのあらましを記し終える。 各々の様子をその目に捉えながら、既に全員に"賭けて"いた。 誰がそれぞれどんな出方をするか、如何なる札を見せてくるか。 盤に乗せられ明かされる決着、その瞬間まで分からない。 だが少なくとも 「ふひひ、俺はあれが拝めりゃ心残りももうねえよ。」 茶をすすりながらに、ユヅルの大義をしかと見届けている。 島民達の気張り様が痛快だ、俺がやってもこうまではいかなかった。 「これでこれから起きる結果がどこへ転がれど、 賽を取ったことに後悔するこた無さそうだ。」 ふっと一凛の彼岸花を空へ投げた。 風に乗り、どこへともなく去っていく。 「おい、万屋 」 呟き声を聞いてかしらずか、最早お馴染となった宿敵に一喝する。 「最後の勝負だ。俺の賭け方はもう決めた、 あとは恨みっこなしだぜ。」 汝は半か丁か、白か黒か、人か狼か。 明日の空色、 (14) 2021/07/26(Mon) 13:18:18 |
はらり、はらり、一枚、一枚と紙を捲る。
残った項目も、後わずか。
「さて、いよいよ大詰めだ。仕込みは重畳」
はらり、はらり、一枚、一枚と紙を捲る。
学徒は静かに、天を仰いだ。
何とも侘しき、土天上。
「さて、最後に笑うのは如何なるものか……嗚呼、小生は犬死こそ御免だが、盛り上げるには充分な事は起きるとも」
「しっぺ返しを受けるか、悪が笑うか、或いは漁夫の利を得たものがいるか……」
はらり。最後の項目で、指が止まる。
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