【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥>>@1 >>@2 夜長 「会いたいよ、夢から覚めてもずっと」 どこか憂鬱そうに笑う。 それでもその言葉は本心からのものだった。 「…この夢は、ずっと楽しかったよ。 だから続けていたかった。それこそ夢のような話でも。 もう会いたくない人なんて一人だって居るわけない。でも」 「だからお別れが寂しいんだ。」 楽しい時間はいつか終わってしまう。 夢は覚めれば色褪せてしまう。 そんな当たり前の事が嫌で仕方ない。 嫌で仕方ないのに、過ぎた事になれば熱は冷めてしまう。 愚かなくせしてまた明日、を愚直に信じる事もできやしない。 そんな自分が何よりも嫌で仕方なかった。 (8) 2021/08/17(Tue) 18:55:32 |
【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥>>@3 >>@4 夜長 【祭りの終わり】 「そうだね」 夢を見せるなら、最後まで騙していてくれたらよかったのに。 この夢も、この祭りも なまじ楽しいと思ってしまえるから、 尚の事終わりが来る事の寂しさが募る。 この夢の終わりを感じ始めてから、何度も思った事。 「うん、夢を見せ続けてくれないなら、初めから。 皆には、きっとこの夢が終わっても会いに行けるよ。 でも、僕が本当にこの場所で会いたかった人には 夢から覚めたら、何処に行っても、もう会えないから。」 思い出の中にしか居ない人には、思い出の中でしか会えない。 見ないふりをしていた事実を改めて、喪失感が蘇って行く。 どうにもならない想いを抱えて、それでもと言葉を継いだ。 「でも、この夢で 皆と過ごした時間が楽しかったのは本当のこと。 『みんな』と『この村で』会う事はもう叶わなくても 僕が思っていたよりもずっと、 皆は過去に縋り付く事無く"今"を生きていける人達でも 僕はそれならそれで、どうとでも納得する事はできてしまうし 呼子姉が皆を好きだった事も、無かった事にはならないから」 (21) 2021/08/19(Thu) 22:10:03 |
【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥>>@3 >>@4 夜長 【祭りの終わり】 「呼子姉もきっと 僕が皆と、また昔みたいに遊んでいられた事 よかったねって言ってくれるとは思うんだ」 「でも、だからやっぱり寂しくて。 呼子姉と一緒に来て、一緒によかったねって笑いたかった。 それはもう叶わない事だから、 いつまでも考えたって仕方ないのにね」 淋しげに笑って、晴臣へと片手の小指を差し出した。 目の前に居る人が、和臣でなく晴臣だという事は 夢の残滓がそうさせるのか、大して違和感も無く腑に落ちて。 「ね、晴臣くん。 僕はきっと、それでもずっと同じ事を考え続けてしまうから また会いに来て、君達の居る"今"を大事にできるように。 いつか遊びに連れ出しに来て、考える暇も無くなるように。 …またいつか、約束してくれる?」 (22) 2021/08/19(Thu) 22:12:44 |
【人】 夢のその先 百千鳥>>@5 >>@6 夜長 【祭りの終わり】 置いてけぼりになった小指に、一瞬だけ ああ、やっぱり皆は自分が思うほどには、なんて 後ろ向きな考えが首を擡げて けれどそれはすぐに散り失せる事になった。 「……そうだね。 砂が落ちて積もる場所は、一つだけ。 そこには当然良くない思い出もあって、 他のものと混ざり合っているから、よけておくのは難しい」 「だから、掬い取ってよそへやってしまうのも良くない。 全部が混ざり合って、それでやっと今の僕があるから。 たとえたった一掬いだけでも、それを失くしてしまったら きっとそれは、今の僕とは違う人になってしまうのかも」 さんざん人に取り落とすな、なんて言っておいて その実、自身を省みる事もできていなかった。 はは、と息を吐くようにも笑いを零す。 夢を見るのに疲れてしまった今のそれは弱々しいものだけど 決して、後ろ向きなものだけではない。 「…うん。 それがいつになるかは僕にもわからない、それでもよければ いつか会いに来て、晴臣くん。 それで会えたらその時は、もう一度"またいつか"を約束しよう」 (37) 2021/08/21(Sat) 4:55:09 |
百千鳥は、「ゆびきった。」 (a13) 2021/08/21(Sat) 4:55:59 |
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新