![人狼物語 三日月国](./img/mptitle_prov_v0.jpg)
68 【身内】空想模倣機体は駒鳥達の夢を見るか?【R18G】
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視点:人 狼 墓 恋 少 霊 九 全 管
ベッド、ドレッサー、クローゼット。
小さなカーペットが敷かれた、板張りの床。
他にも多少の調度品はあるだろう。
そんなごく一般的な、とある少女の客室。
ベッドの上、乾いて一部が茶色く変色した、赤い海。
揺蕩うように、静かに横たわったふたりに朝は来ない。
少女の名前は、ニア。
高く二つに結わえられていた黒髪は下ろされ、
はらりとベッドに広がっている。
華奢な肩を晒す白いシャツと、
素足にキュロットだけを身につけた無防備な姿。
青年の名前は、シトゥラ。
括られていた長髪は解かれ、毛先を赤に浸している。
帽子も上着も取り払い、
シャツとズボンを纏った、いくらか身軽な姿。
(→)
少女の細い首に残る扼痕。
青年の胸に深々と突き立ったナイフ。
ふたりの首には『シータの痕』がふたつ。
生きている誰もが知る由もない、
とあるテストに関連した死者へ与えられる印。
それを模して刃物で刻み込まれた、もうひとつの瘢痕。
ふたりの手は絡めあうように握られている。
青年の薬指に残された噛み痕が、苛烈な恋を咲かせている。
何よりも雄弁な少女の瞳は、閉じられたまま。
滑らかに言葉を紡ぐ青年の口は、閉ざされたまま。
最期に映したものは、音にしたものは何だったのか。
死人に口無し――語る者はもう、ここにはなく。
少女の持つ、壊れた弓が直ることは無かった。
部屋の中に、ふたりの人影がある。
赤い血の海に浮かぶ手は繋がれていて、その双方の頸には事件の象徴が刻まれていた。
海の底のような、静かな部屋の中には音がない。
冷たい月明かりだけが、そこで起きたことを見ていた。
ふたりを繋いだ証はそこになく、ただ青年の指に残る痕だけがそこにあった熱を覚えている。→
青年が辿った肌は温度を失い。
少女が噛んだ指は力を失い。
ふたりの閉じた瞳は光を失い。
果たされなかった未来は約束を失った。
→
沈黙は秘密を隠す手段になり得ない。
ここにあったすべてが、誰かの絆を語っている。
叶うはずのなかった想いは、
繋がれるはずのなかった糸は、
やがて喪失を得てはじめて、
──ひとつの恋になった。
![](./img/stargazer/021.png) | ハマルの一言に、キファは目を見開いた。 だがやがて瞑目する。
「シトゥラとニアが。……そうか」
それだけ告げた。 現場には向かわないのだろう。 他人の死を見て何になる? キファはもう、事件の解決を目的としない。
「そうか」
それでもだ。だからこそだ。 ただ、繰り返すように。そう呟いた。 (33) 2021/04/22(Thu) 23:39:58 |
![](./img/stargazer/021.png) | ……きっとそれは、 遺体の発見騒ぎが一段落する頃合いだろう。
キファはヌンキを探していた。
キファは急いじゃいない。 だからその顛末が転がろうとも、 何時になろうとも、大きな問題にはなるまい。 (39) 2021/04/23(Fri) 0:34:45 |
![](./img/stargazer/021.png) | >>3:227 メレフ 「くふ。おまえの云う通りなのだろう。 吾々が最もそれを、知っている」 キファは愛らしい少女を演じるように、 こてりと首を傾げて見せる。 おっと、彼の神経を逆なでしてしまったか。 反省、と心の中で舌を出しながら、彼を見送るのだ。 「……随分容易に、変わってしまうものだな。 吾々の人生という奴は」 (43) 2021/04/23(Fri) 1:44:58 |
![](./img/stargazer/021.png) | >>41 ヌンキ 「お。ちょうど良かった。 ヌンキよ、これを渡したかったのだ!」 そう言って、あなたの胸元にこれを押し付ける。 白いカーネーションの造花だ。 造花。造られた花。 でもその代わり、枯れることはない。 「おまえは『がんばり団』として良く働いている。 それに念話による吾のわがままを、 いつも聞いてくれるからな。 あっ勘違いするなよ。吾が恋しているのは、サダル故な」 (44) 2021/04/23(Fri) 2:27:31 |
ハマルの頭を撫でたかった。けれど、その権利は自らが捨てた。
| (a23) 2021/04/23(Fri) 9:36:55 |
| (a24) 2021/04/23(Fri) 9:37:26 |
![](./img/stargazer/021.png) | >>ゲイザー
「ふむ。事件の解決についての相談だが……。 今リーディングした通り、吉兆と出ている。 吾の啓示はアドバイスとして──」
そこは、キファの借りている部屋だった。 時間としては、キファがヌンキに贈り物をした後。
質素な室内には、少女が二人。 無事恋バナで盛り上がるお友達となった、 ゲイザーとキファである。
ゲイザーは定期的に、キファの占いを頼っていた。 現在行われていた占いも、その一端である。
ばらばらとテーブルの上に広げられたカードを 回収しながら、キファは問う。
「しかし、意外だな。 おまえ、そこまで事件の解決に興味があったのか。 無論理解は出来よう。好きな人を守る為だろうが……」 (54) 2021/04/23(Fri) 10:43:16 |
![](./img/stargazer/021.png) | >>49 ヌンキ 「無論、言ったであろう。 吾はおまえに感謝をしている。 故、贈り物をしてやりたかったのだ!」 キファは目を細める。 「吾とサダルをくっつけたのは、おまえだろう? 故。今、吾からおまえに贈れるのはこの花だ。 『私の愛情は生きている』。 この花は、そういう意味を持つ。 ……確かに、吾らの愛情は、後天的なものだ。 おまえが祈り、そして、神がそれに答えた。 おまえの望んだ形じゃないとしても──」 キファは知っている。 サダルへの愛情が、世間から見れば ”おかしい”ものであることも。 「告げる。 おまえの行いは、例え正しくなかったとしても 無駄じゃなかった ことを。 例え造られたものであるとしても、 ”この愛は生きている”」 (57) 2021/04/23(Fri) 11:03:47 |
![](./img/stargazer/021.png) | >>56 ゲイザー 「ふ、構わんよ。 ……然し、おまえにも『正義の為』の心は有ったのだな。 ──ぬお! 作ってきてくれたのか、ありがとう」 自嘲するように笑んだところで、 転がり出てきたピーチパイに目を輝かせた。 キファは警戒心が強い。 毒入りの可能性も考えたが、 殺すなら今である必要はない。足が付く。 それに、彼女とは実に友好的な仲だ……。 ある意味で実直な娘だから、 敵対しない限り妙なことはしないだろう。 「少し待っていろ。今、吾が紅茶を淹れて来る。 この部屋にもおいて有るのだ」 上機嫌な足取りで、席を立った。 → (60) 2021/04/23(Fri) 11:41:25 |
![](./img/stargazer/021.png) | >>56 ゲイザー ……好きな人を守る為。 ひいては、事件の解決の為。 ゲイザーには執念が有った。 だから、気付いてしまうのだろう。 キファの部屋の、些細な違和に。 屑籠に大量に捨てられた便箋やメモ。 誰かがこの部屋にいたであろう痕跡。下げられたカップ。 キファは、何かを知っている。 無論、この状況だけでは濡れ衣の可能性だって 十二分にあるだろう。 ただ、キファが偶々”そうではなかった”だけで。 ゲイザーが、”そこで打って出る性格”だっただけのことだ。 (61) 2021/04/23(Fri) 11:42:30 |
![](./img/stargazer/021.png) | >>59 ヌンキ 「さてな、どうだろう。 ……この話はしたっけな。 実のところ、こうなる前の吾は、 感情が実に希薄だった。永く生きすぎた故にな。 表情豊かに見えていたのなら、それはきっと 吾に演劇の才能が有ったのだろう。 ──それを、吾はちょっぴり気にしていたのだ」 キファは薄く笑う。 表情の起伏の少ない顔で小さく笑う。 「吾は幸せだ。 恋をしたおかげで、吾は感情を取り戻した。 ……今、こんなにも幸福だ。 不安になったか?」 ”前々から言っておろう”。くつり、笑う。 おかしそうに言った。 (62) 2021/04/23(Fri) 11:47:53 |
![](./img/stargazer/021.png) | >>64 ゲイザー 便箋に書かれているのは、 事件に纏わる情報の数々。 『狛犬』。”シータの痕”。占い。 ひとつから全てを読み取ることは難しいが、 何か、キファが情報を得ていることをあなたは読み取れる筈だ。 さて、鬼の居ぬ間になんとやら。 早くしないと── → (67) 2021/04/23(Fri) 12:30:35 |
![](./img/stargazer/021.png) | >>64 ゲイザー ことん。 テーブルに紅茶を置く音。 「……ゲイザー。人の屑籠を漁るとは あまり良い趣味とは言えんな」 キファは茶を淹れるのが雑だった。 だから、きっとあなたの想定より早く戻ってきた。 「何してる」 (68) 2021/04/23(Fri) 12:31:13 |
![](./img/stargazer/021.png) | >>63 ヌンキ キファはあなたの胸中を知らない。 キファはあなたの抱えるものを知らない。 どうしてそれ程までに、自分自身が恋をすることを 恐れるかを知らない。 あなたが再びそれを口にしたのなら、 キファはやっぱり”独りよがり”だと、説教するのだろう。 それでも確かに。キファはあなたのお陰で今、幸福だった。 「?」 言われるがまま、目を閉じてやる。 (70) 2021/04/23(Fri) 12:44:18 |
![](./img/stargazer/021_r.png) | >>72 ゲイザー 便箋に書かれているのは、どれもメモ書き程度の情報。 或いは、意図的に情報が隠されている。 つまるところ、最も正確に大量の情報を手に入れるには、 キファを尋問するのが速い。 「この事件、信頼できる人間が限られているからだ。 少なくとも、人の部屋を勝手に漁る人間には教えられんな」 一見正当、だが苦しい。 例えるならこの返しは袋小路に逃げ込むようなもの。 キファの頬を冷や汗が流れる。 どうする。どう来る。 (76) 2021/04/23(Fri) 12:59:54 |
| (a29) 2021/04/23(Fri) 13:37:28 |
![](./img/stargazer/021.png) | >>75 ヌンキ 果ての無い暗闇で、 彼は少女の額にキスをした。 きっと、キファとヌンキの願いは 相容れないものなのだろう。 それでも。 今だけはその行いを、”許容する”。 「くくく。うむ、実におまえらしい行いだ。 洒落ている。……何、素直に受け取るよ」 少女は僅か、眉根を下げる。 「……なぁ、その造花。好きにつかうと良い。 部屋に飾っても良い。髪飾りとして、加工してもいい。 おまえは洒落ているからな」 「もしも」 「もしも、いつかおまえが恋をしたとき。 その花は、きっとそいつに送るに相応しい。 一考せよ」 (82) 2021/04/23(Fri) 14:08:43 |
![](./img/stargazer/021.png) | >>78 ゲイザー 少女の鮮やかな紅を塗った唇は囁く。 その目はあなたを映さない。 キファは例え素敵なお友達だろうと、 おねだりに靡かない。 「その通りだ。 吾は最早、事件の解決に興味を持たぬ」 かつては持っていた。 それは、状況が証左している。 ”教えぬ”。再び、一声。 「おまえなら分かるだろう? これは、思い人の為なのだ。 お友達なら、どうか察して 手を引いてくれると嬉しいのだが……?」 傍から見れば、優雅な香りの中 手と手を取り合う可憐な少女達。 だが、ここに居るのは女豹と女狐。 ぴんと、緊張の糸が貼られていた。 その糸をどう扱うかは、あなた次第だ。 (83) 2021/04/23(Fri) 14:34:14 |
【ソロール】
微睡むように、周囲の声を聞いていた。
いくらかの言葉を返したような気もするし、
いつもみたいに口を噤んでいただけのようでもある。
少女の瞼は閉じたまま。
穏やかに、眠るように――
……きっと、手を繋ぐ彼の夢を見ていた。
(→)
――これは、少女の恋が花開くまでの過程。その一端。
この夢を覗く不躾なあなたへ、
ほんの少しだけお披露目しましょう。
❀
初め、少女はかの青年のことが嫌いでした。
あれも嫌これも嫌、嫌いなものばかりの少女ですが――
その中でもいっとう、優しい人が嫌いなのです。
ぽつんと座る、不機嫌な女の子をわざわざ気にかけるような
優しい人のことが、世界でいちばん嫌いなのです。
だから、突き放してそれでおしまい。そのつもりでした。
けれど、そうはならなかった。
青年が踏み込んだのではありません。
少女が歩み寄ったのでもありません。
青年の持つ技術が少女には好都合だった――
――ただ、それだけのはじまりです。
少女は、壊れた弓を持っていた。
少しばかり薄暗い経緯で手に入れた武器を。
その日のうちに、青年は約束を守りました。
弓の修理を請け負った彼は、少女の部屋へ訪れたのです。
(→)
そこで、ふたりはいくらかの話をしました。
青年の手は幾度も、少女の頭を撫でました。
少女がそれを拒まなかったのは、彼がこう言ったからです。
――僕、寂しがり屋なんで。人に構うのが趣味なんですよ。
それだけ。優しさなんかじゃない、これは打算です。
優しさを厭いながら、焦がれる少女に――
……いいえ。優しさに焦がれるあまり厭うことしかできない、
不器用で意地っ張りな、途方もない寂しがりに。
その言葉はひどく甘く響きました。
❀
少女は幾人かについたのと同じ嘘を吐きました。
行方不明になった兄さんの代わりに、ここへ来た。
犯人に復讐したい。そんなしらじらしい大嘘を。
――ああ、でも。
誰かに言った『事件に関する情報を集めている』。
これはまるっきり嘘というわけでもありません。
少女はたしかに集めていました。
探していました。無意識のうち、求めていました。
とっても悪い子な自分を見つけてくれる、誰かのことを。
あの男への痕だって、だから刻んだのです。
……話が逸れましたね。
とにかくその日はそれでおしまいでした。 (→)
それから、いくらかの時が経って。
青年は弓の修理のため、ふたたび少女のもとへ訪れました。
少女がこの部屋で直してくれと頼んだからです。
目の届かないところへやりたくないと。
盗品なのだから、当然のことです。
――しかし、結局。弓が直されることはありませんでした。
❀
青年は知っていました。少女がとっても悪い――
『殺したいから殺す』と嘯いてあっさり人の命を奪うような、
とってもとっても悪い子であることを。
青年は知りませんでした。
少女が明るく真っ直ぐなとある冒険者を殺したことを。
青年と親しかった、ひとりの女性の命を散らしたのが、
他ならぬ目の前の少女であることを。
それを少女の口から聞かされた青年は――――。
❀
……これより先は、ふたりだけの秘密です。
少女の口から語られることはないでしょう。
ただ、ひとつ言うのなら。
少女はようやく出会えたのです。
餓え焦がれていたものを、手に入れたのです。 (→)
少女は恋をしています。
自分を見つけてくれた、愛してくれる――
シトゥラという青年、ただひとりに。
――王子様というには、随分と悪どいひとだけれど。
悪い子のニアには、お似合いの相手かもしれませんね。
(→)
夢の続きはもうしばし――
少女の瞼が持ち上がって薄紫がふたたび露わになり。
かの青年の唇がまた言葉を紡ぎはじめるその時まで、お預け。
……きっと、そう遠いうちではないだろう。
【ソロール:梔子の夢 完】
![](./img/stargazer/021.png) | >>89 ゲイザー つぅ、とまるで情事の如く。 愛しみを込められた手で人差し指をなぞられて。 キファの背に変な汗が滲む。 「──、は ッ」 呼吸、ひとつ。 皆まで言うまい。 キファは理解した。今ので十分過ぎた。 この女に、言葉遊びは最早通用しない。 さて。それを得意とするキファにとって、 今の状況は、最早対等に渡り合えているとは言えない。 状況は一転した。 ゲイザーは肉包丁を軽々と振り回せるが、 キファは筮竹より重い物を持てないのだから。 女豹と、袋小路の鼠、だった。 → (94) 2021/04/23(Fri) 17:32:26 |
![](./img/stargazer/021.png) | >>89 ゲイザー キファは死を異常なまでに恐れる。 長命。生を引き延ばしすぎた代償。 最善は何か? この状況で、出来るだけ情報を落とさず 逃げ延びることだ。 念 話は? 武器は? 情報は? ”手紙”は? 助けは? 武器はこの状況だからダメ。 情報を全て洩らすのはサダルを追い詰めることに繋がるからダメ。 叫んで助けを呼ぶべきか。助けを呼ぼうと叫んだ瞬間折られるからダメ。 念話でサダルに助けを呼ぶのは? 一考。 サダルは今動いてくれている。好いお嫁さんであるならば、 出来るだけ彼の邪魔をすべきではない。最終手段。
殺されるのは勿論ダメ。 → (96) 2021/04/23(Fri) 18:24:07 |
![](./img/stargazer/021.png) | >>89 ゲイザー 「そ、そこの机に手紙の草案がある……。 結局誰にも渡す機会が無かった ものだ。 そこには、”この会合の中に犯人が居ること”、 他様々な機密情報が書かれている」 「吾の手を離せ。そして、取って行くが良い……」 そこには機密情報と言えるものは書かれていない。 最早、誰が知っていてもおかしくない 情報ばかりが記載されている。 キファはタイミングを窺っているのだ。 手首の拘束を逃れる機会を。 ……さて、あなたは本当にこれだけで満足できるだろうか? (97) 2021/04/23(Fri) 18:26:26 |
少女はパチリと瞼を開く。
薄紫が光を宿す。
――そこは街外れの深い森。
鬱蒼と茂った木々の中、伸びる道の途中に立っていた。
目を瞬かせ、首を傾げる。
高く二つに結った黒髪がさらりと揺れて頬を掠める。
ぱちりと瞬きをして、視線を下ろす。
――外したはずの上着も、タイツも、
首元のリボンもきちんと身につけられている。
少女はこれまで通りの姿でそこにある。
ただひとつ、違うのは。白いブラウスの襟から覗く、
細い首に刻まれたシータの痕――の、紛い物。
少女は顔を上げ、道の続く正面を、
霧に包まれた背後を、…………誰の姿もない、傍らを見て。
あてどなく、歩みはじめた。
![](./img/stargazer/021.png) | >>84 ヌンキ 「きっと似合う。 そのバンダナの飾りの辺りとかイイと思うぞ」 ……強情なあなたのことだ。 きっと、相当なことでも無いと それをキファに告げることは無いのだろう。 ──これはもしもの台本。例えばの話だ。 その時きっと、キファは。 『ようやく認めたのだな』 そうやって。不器用に、微笑むのだろう。 → (106) 2021/04/23(Fri) 19:58:01 |
![](./img/stargazer/021.png) | >>84 ヌンキ 「ではな」 鋭く、聡く。……そして今、 少しばかり恋に盲目なキファは。 あなたの慕情に気付かない。 あなたの胸中を、決意を、知ること無く。 『がんばり団』の同朋として、 気さくに別れを告げるのだった。 (109) 2021/04/23(Fri) 20:07:47 |
真っ直ぐ前を見て歩いていた少女は、進む先から声をかけられ。
、、、、、、、、、、、、
それでようやく気がついた、という顔をして、
その人物の姿を目に映す。
かつてその手で命を摘み取った、一番槍だった彼女を。
「ごきげんよう。
――ねえ、あのひとがどこにいるのか、知らない?」
顔色ひとつ変わらない、淡々とした問い。
『あのひと』が誰を示すのか、考えなくたって分かるはずだ。
「そうかしら」
ぱち、と瞬いて首を傾げた。さらり、揺れる髪。
「――そう、探してるのよ。
知らないのなら……もういいかしら。
わたし、あんたに構ってる暇、ないの」
「……見つかるかしら」
手を引く。これは目の前の女性だからではない。
ただ、この手に触れていいのはたったひとり、それだけのこと。
けれど、その動きは緩慢で。
捉えようと思えば、簡単にその手を掴むことが出来るだろう。
今の彼女は、夢から覚めたばかり。
『仮想世界』のことも『テスト』のことも、
それから自身への『課題』も未だ認識できてはいない。
……ついでに言うのなら、少女の餓えは未だ満たされず。
これまでよりもいっそう強く、その心を蝕んでいる。
まるで、バグのよう。
| (a70) 2021/04/23(Fri) 23:15:26 |
| (a72) 2021/04/23(Fri) 23:27:54 |
強く握られた痛みに、わずかに顔を顰めて。
引かれるままに、駆けていく。
「……? どこに、行くの?
――ええ、やっと……やっと、見つけたの。
…………見つけて、もらった……――、?
アピール
、って、なんのこと……?」
きっと息を切らしながら。手を引く彼女はきっと、今度は――
少女の歩調を気にしてくれはしないだろうから。
「ああ……これ、そうね、そうだったかしら」
掴まれたのとは反対側の手でそっと首元に触れ、
歪に抉れた痕を指先でなぞる。
「でも、これだけは特別。あのね、」
――お揃いなの。
ひそやかに、淡い想いを打ち明けるように。
まるでふつうの女の子みたいに、少女は微笑んだ。
今の少女の興味の対象は、ただひとり。
それ以外は眼中に無い。少女
のデータ
はそういうふうに壊れた。
![](./img/stargazer/021.png) | >>ハマル
さて、ここはどこだろう。 星見杯亭の会議室だろうか。或いは談話室、 或いはバルコニーだって良い。
キファは、ハマルを見つければ話しかけて来るのだろう。 会合、四日目。ゲイザーと乙女の戦いを始める少し前の、 いとまのこと。
「おぉ、ハマルよ。 そういえば、吾の占いを見てみたいと言っていたな。 ……今、ちょうど出来るぞ。やるか?」 (125) 2021/04/24(Sat) 0:45:30 |
遠くなる意識の前、竪琴の音を聴いた気がする。
青年は結局返事が出来なかったことを思い出した。
「はァ。上手くいかないもんですねェ」
手を握って、開いて。
掌が覚えている感触を辿る。
(ああ、そうかァ。僕はニアを殺したんだった。
──で、胸をナイフで一突き。)
あの現場はどう、映っただろう。
あれを見た、遺してきた人間はどう思っただろう。
青年にはもう知る術はないけれど。⇒
![](./img/stargazer/021.png) | >>126 ハマル では、談話室のテーブルを囲もう。 一方に座り、そしてあなたにもう一方への着席を促す キファは携帯しているタロットカードを広げると、こう問うた。 「なに、簡単だ。 何を占いたいか決めて、このばら撒かれたカードの中から 念を込めて一枚引けばいい。 それを吾に渡せば、そこから吾が暗示を読み取ろう」 ……キファは、あなたが何故元気がないのか知っている。 シトゥラから、ハマルと連絡を取り合っていたことを 聞いていたからだ。 でも、それを一言目から伺うほど非礼じゃない。 だから敢えて、こう問うのだ。 キファは占い師のプロ。 人を占うとは即ち、人の心を視ることである。 「さて、何について占いたい?」 (127) 2021/04/24(Sat) 1:18:49 |
「 」
青年は誰かを呼んだ。
「──僕は、欲しかったんですよ。あの子の、全部が。
僕が、一番になりたかった。
僕が、守りたかった。でも出来なかった。
ふたりで一緒に居るには、あまりに僕たちは歪だった。
ずっとふたりで一緒に居ることなんて、出来なかった。
気付いたら、手遅れだったんですよ」
誰に言うでもなく、空間に落ちる声。
「僕の選択は、間違っているんでしょうね。
そんなこと、誰より知ってますよ。
でも、僕は“そうしたかった”」
──青年は、笑って。
自身の薬指の痕に口付けた。
「誰を、何を失くすことになっても。」
![](./img/stargazer/021.png) | >>メレフ
乙女たちの戦いの、後のことだ。 キファはぼろぼろの姿で、会議室に姿を現した。
頬に痣、首元に軽いやけど跡。片手の人差し指に骨折。 『子供達にはあまり見せたくない姿だな』、 と気丈に笑っていた。
キファは、『階段から落ちた』と皆に説明している。 だけれど、見るものが見れば、それは喧嘩の跡であることが すぐに分かるだろう。
例えば、傭兵として戦闘に身を窶すあなたなら。 (128) 2021/04/24(Sat) 1:29:13 |
![](./img/stargazer/021.png) | >>129 メレフ 「喧しい」 ぴしゃり。 キファは目を細めてあなたを睨んだ。 だけど、言う程剣呑な語調ではない。 「誰にやられたかなんて、言って堪るか。 全く、おまえが護衛を請け負ってくれれば 吾もこんなことにならんかったのに」 冗談を言う余裕も、今は有るらしい。 「なあ、おまえは。死ぬのが怖いと思うか? 長命の知り合いは、少ないが居る。 死ぬのを恐れる人間も、逆に死を乞う人間も知っている」 「おまえはどっちだ」 (131) 2021/04/24(Sat) 2:02:07 |
![](./img/stargazer/021.png) | >>130 ハマル 「……ふ。その問いを聞くということは、 事件の解決に興味があるということか。 良かろう」 少女は快諾すると、 ハマルから引いたカードを見せてもらう。 IV 皇帝tarot (1)1d2→ (132) 2021/04/24(Sat) 2:04:50 |
![](./img/stargazer/021.png) | >>130 ハマル 「 4番目、皇帝の正位置。 逆位置はあの高慢ちきちきちんちくりんも引いたが、 こちらは正位置だ」 レグルスのことである。 「暗示するキーワードは 支配、安定、成就・達成、男性的、権威、 行動力、意思、責任感の強さ、軸 」 → (134) 2021/04/24(Sat) 2:17:37 |
![](./img/stargazer/021.png) | >>130 ハマル 「このカードは、積極性や統率を表す。 今おまえは、積極的な決断と行動を必要とされる状況に居る。 それを乗り越えることで、成功が到来すると吾は読む。 強い意志の力で、一見困難に見えることでも 突き進むことができるだろう。 だがな。こんなに強くて立派な皇帝だが、 弱みを見せることが出来ない分、 常に孤独と戦っている面もある。 どうか、そういう不安から目を逸らすな。上手く発散せよ」 一息に語ると、ふぅと息を吐く。 「……と、まあ纏めると、 『積極的に行動せよ』『仲間には頼れ』 こういう感じだな」 → (136) 2021/04/24(Sat) 2:21:59 |
![](./img/stargazer/021.png) | >>130「ハマル。おまえに、仲間はいるか。吾以外に名を挙げてみよ」 少し、意地の悪い質問だった。 ……キファは、自分の占いを信じている。 だからこそ今、ハマルに『弱みを見せる不安』を 詳らかにさせようとしているのだ。 キファはハマルを、慰めたい。 キファは二日目から、変わってしまった キファにとって今は、サダルが一番だ。 いつだって、誰かを裏切ろうと思えば裏切れる。 そのつもりでいる。 でも。狂信的な愛が、 キファのただの善意まで捻じ曲げてしまう訳じゃない。 今のキファは、前のキファが居たからこそ。 このように形作られている。 (137) 2021/04/24(Sat) 2:24:13 |
![](./img/stargazer/021.png) | >>135 メレフ 「エエ!? 厭だが……」 キファは躊躇う。最もだろう。 キファがこんなんになったのは、 元は自室に人を招き、助けを呼べない状況になったが故だ。 でも、それと同じくらいあなたの提案は魅力的だった。 「……まぁ。隠してはおきたいが。 その。あんまり傷だらけだと、可愛くないだろ。 ”そういう”時にも……綺麗な躰を見せたいし……」 もじもじ。 「変なコトしたら魔法の力でサダルをで呼ぶからな! 吾は反省ができるいいお嫁さんなのだ!」 たぶんキファの頭の中は今ピンクだ。 → (138) 2021/04/24(Sat) 2:33:15 |
![](./img/stargazer/021.png) | >>135 メレフ そういう訳で、ずりずりとメレフの自室に 連れて来られてしまうのだろう。 治療か何かを受ける為、ぴんと背を伸ばしながら、 キファはいとまに為されるメレフの話を聞いている。 「ふん。好いた人間の為ならば、か。 おまえの中では、その好き人(んちゅ)と”お嬢”に、 同程度のプライオリティがあるという訳だな。 んで、そのお嬢っていうのは何なんだ。 何時から仕えている? 吾らのことだ。もう隠す仲ではあるまい」 (139) 2021/04/24(Sat) 2:41:03 |
![](./img/stargazer/021.png) | >>140 ……キファの顔の傷は、綺麗に姿を隠した。 ”おぉ”と声を洩らす。 キファは肌の露出が少ない。 これで少なくとも日常生活に於いては、 ”喧嘩をした”と疑われることもないだろう。 「さんきゅ〜〜! さっすが呪術ギルドの傭兵! ……やっぱおまえも魔術が使えるんじゃないか。 歳の隠蔽を説いた時から、分かっていたが」 ところで。 キファは、”お嬢”のことを魔女だと思っていた。 永きを生きる存在だと。 キファは、あなたの話を聞く。 きっとこの会話は、同じ永きを生きる 二人にしか届かない。 → (173) 2021/04/24(Sat) 15:40:58 |
![](./img/stargazer/021.png) | >>140 メレフ 「……”お嬢”はもう、死んでいたのだな」 (174) 2021/04/24(Sat) 15:53:42 |
![](./img/stargazer/021.png) | >>140 メレフ 「不老不死の禁薬が無いのも納得だ。 そんなものがあるならば、 おまえはもうとっくに使ってる。 ──200年か。長い、な。 吾が"死なない"ために生きてきた時間を、 おまえは、"蘇らせる"ために生きてきた」 道士は、ぽつぽつと語る。 「吾はそれを、憐れだとは思わない。 おまえの理由を許容する。 おまえもそう言ってくれたから」 (175) 2021/04/24(Sat) 15:55:01 |
| (a88) 2021/04/24(Sat) 17:03:48 |
| キファは、は満足すると、ゲイザーを自分の部屋の外に棄てた。 (a90) 2021/04/24(Sat) 17:08:20 |
![](./img/stargazer/021.png) | >>152 ハマル 「…………」 キファは悩んだ。 果たして、これを告げるべきか。 これを告げたら、ハマルはこの事件に関わることになるだろう。 ……キファは、それに積極的でない。 ハマルはまだ小さい。危険に晒したくない。 ”彼”もそれを懸念したのだろう。 でも、告げる理由はある。ハマルはシトゥラの、 自分がすべてを託したシトゥラの、仲間であるからだ。 シトゥラ亡き今、これを次に告げるべきはハマルだ。 だから、こう続ける。 「……わかった。言おう。 あまり公言はしてやるなよ?」 → (183) 2021/04/24(Sat) 17:18:05 |
![](./img/stargazer/021.png) | >>152 ハマル 「さて、これくらいか。 この情報の扱いは慎重に。だが、好きにせよ」 一頻り得ている情報を告げたところで、問うた。 「なあ、ハマル。 おまえは、何故事件を追っている?」 想像は、付いた。 ……彼は、”あの時手を差し伸べられなかった”ことを 酷く悔いていたから。 「……なあ、ハマル。 おまえはシトゥラを助けられなかったことを、 悔いているのではないか?」 あなたの出方を、待つ。 キファはあなたの『弱み』を、引き出そうとしている。 (184) 2021/04/24(Sat) 17:32:00 |
![](./img/stargazer/021.png) | >>177 メレフ 「 サダルは死なぬ。 吾らは、吾らが死なぬように生きる 」 それが前提だ。 それは、彼女の中で決定事項であった。 だが、サダルは定命である。 同じ道士や術でも掛けぬ限り、いつかは死ぬ。 人は、いつか死ぬのだから。 でも、それも悪くはないなと思った。 この会合が終わったら、 ”人間をやめること”を提案してみよう。 本題に戻ろう。 → (189) 2021/04/24(Sat) 18:01:51 |
![](./img/stargazer/021.png) | >>177 メレフ もしも、サダルが死んだら。 サダルのいない世界で。 自分は生きていられるだろうか? 否、否。 答えは今、彼自身が明示してくれた。 自死? まさか! 「吾はおまえと同じように。 彼奴を蘇生させる、手段を探す 200年、300年。どれ程掛かってもいい」 例え、それがサダル自身の望みじゃなくても。 "サダルがキファに"望むことは、 『キファが望むことをすること』なのだから。 「その時は」 「一緒に探そう、メレフよ。吾らで探し出して見せよう。 ”好いた人間を、蘇らせる術”を」 (190) 2021/04/24(Sat) 18:04:27 |
| (a94) 2021/04/24(Sat) 18:09:01 |
| キファは、永きを生きている。でもまだ、”人”であった。 (a95) 2021/04/24(Sat) 18:09:38 |
少女に与えられた役割は「餓狼」。
強すぎる承認欲求。倫理観の著しい欠如。
それは今、壊れて。ただひとりへの渇望へ成り代わっている。
ゆえに少女はただひとりにしか興味を向けられず、
――目の前の人物が誰なのか、その目にはっきりと映すまでに
とてもとても時間がかかった。
「メ、サ……?」
少女の体から力が抜ける。
進めなくなった足がもつれる。転ぶ。
膝を擦りむいて血が滲み、タイツが少し破れた。
「……わたし、え、あれ……?」
目の前の彼女を見上げて、少女は問いかける。
その小さな唇も、地面を掻く細い手もひどく震えている。
あの日、穴に飛び込んだ兎は。
餓えた獣の役割を与えられた、
ただの『村人』になりたかった女の子は。
歯車の狂った、機械仕掛けの甘い夢から――
いっとき、目を覚ます。睫毛がふるりと震える。
薄紫を驚愕と悲嘆と絶望に染めて――
少女はその手で犯した罪を、正しく理解した。
(→)
「わたし……ひとを、……あんたを、……ころし、」
ナイフのグリップの太さ。さくり、突き立てる感触。
そこからくるりと軽く捻れば人は簡単に死ぬ。
人の命を摘み取る瞬間を、この汚れ切った手が覚えている。
薄寒いほどの無感動を、心が覚えている。
「…………めさ、……」
少女はかつて殺したひとを見上げて、名を呼んだ。
それ以上は、なにも。かける言葉を持たない。
後悔も懺悔も何もかも、今となっては意味をなさない。
目に映れば、理解する。……それだけの話。
少女に届いたのは
■■
。祝いは、届かなかった。
![](./img/stargazer/021.png) | >>192 >>193 メレフ 「くくく。吾は神秘主義者故な。 魔法の可能性を、信じている」 キファは己の頬をぺたぺた触ってみた。 痛い。メレフがしてくれたことは傷の隠蔽に過ぎない。 が、今はその痛みが生を実感させてくれる。 「おや残念。吾が一緒なら、 おまえの研究の手助けをしてやれると 思ったのだが──」 → (198) 2021/04/24(Sat) 18:36:24 |
![](./img/stargazer/021.png) | >>192 >>193 メレフ 「ふむ」 キファは”くつり”、と、笑むような呼気を洩らす。 ……それはまるで、宣戦布告が如く。 「言ってくれるじゃないか」 「吾はそれを誰よりも理解している。 『死の先は、虚無だ』──言っただろう?」 さて、これ以上の話は不粋だ。 『ありがとう』、礼を述べて立ち上がる。 果たしてそれは、傷を隠してくれたことに対してか。 それとも、警告に対してか。 キファは、メレフの部屋を後にした。 (199) 2021/04/24(Sat) 18:37:48 |
![](./img/stargazer/021.png) | >>194 >>197 ハマル 「そうか。 ……ふ、メレフはああ見えて存外気配り屋さんだ。 本人は否定するだろうがな」 『生きていて欲しい』 シトゥラは、そう言っていたのか。 噛み締めるように呟く。 キファも、彼に同じことを願った。 「まったく、最後までヤな奴だったな!」 それはきっと。死者を嘲る言葉ではない。 字面ほどに、棘を孕んではいない。 「──わかった。理解した」 キファの危惧は、霧散した。 ハマルは。キファが感じていたよりも、 強い意志を持つ。 そして、頑張り屋さんだった。 → (202) 2021/04/24(Sat) 19:00:37 |
![](./img/stargazer/021.png) | >>194 >>197 ハマル 「だが、今のおまえにそれを告げるのは不粋であろう」 はっきりと、言い切る。 これはキファの知らぬこと。 ──この事件の真相は、神様の悪戯。 残酷な、悪戯。 でも、犯人を全員暴き出せば、止まる。 「故、告げる。 233年。死を見送り続けてきた吾が告げる。 おまえがそう願うなら、手を差し伸べ続けろ。 言ったであろう? 例え取りこぼしたなら、次頑張れ。 その次が駄目でも、諦めるな。 諦めるのは、おまえが擦り切れてしまいそうな時だけでいい。 その時は、仲間に頼れ。その為に皆がいる」 「そんな風に頑張るハマルを、 ……死んだ皆は、シトゥラは、悪く言ったりしない」 (203) 2021/04/24(Sat) 19:04:41 |
![](./img/stargazer/021.png) | >>212 ハマル その答えを聞いて、満足したように頷く。 キファは机からカードを片付け、立ち上がる。 占いをした。彼との約束を一つ、果たした。 「おまえの指針の標になれば幸いだ」 ──死人に口は無い。 シトゥラの内心なんて、誰にも分からない。 死の先は虚無であると、キファは信じている。 ……人は人である限り、いつかは死ぬ。 だからこそ生きている人間は、 彼らの名を騙り、希望を吐く。 それの何が悪いと、キファは思う。 だからこそ生きている人間は、 生きている内に約束を紡ぐ。 キファはそうやって生きてきた。 → (219) 2021/04/24(Sat) 20:49:13 |
![](./img/stargazer/021.png) | >>212 ハマル だからこれは別れの言葉じゃない。 ただの、何気ない会話の一環だ。 キファは明日、明後日も生きていることを疑わない。 その為に努力しているから。 ハマルと海に行きたいって、今だって思ってる。 でも、もしキファが死んでも。 キファはあなたを悪く言ったりしない。 『頑張ったな』と告げるのだ。 〆 (221) 2021/04/24(Sat) 20:50:03 |
髪を掴まれ上へと引っ張られる。
痛みに顔を歪める。じわりと滲んだ涙で視界が歪む。
「そんな、つもり……」
なかったと言い切れないことに愕然とする。
だって――覚えている。なにもかも、ぜんぶ。
この優しいひとを殺してしまおうと思った瞬間のことを。
守ってくれる背中を
嬉しく
頼もしく
憎く思ったのを。
背後からナイフを刺したことを覚えている。
心臓のある位置を。
手首を捻ると中身が抉れたことを。
感触を。においを。色を。
彼女の声を。リボンを引かれたことを。
息が細くなっていく彼女を見下ろして、
首元の痕をじっくりと眺めていたあの景色を。
「――――った、わ…………」
どちらの答えを口にしたかったのか、分からない。
縋るように首元の『お揃い』に触れる。
顔を下げられないまま、目を伏せて。
少女は今にも折れそうな、か細い声で呟いた。
「……ごめんなさい、」
/*肩書きミス
正:N[IA<NβP村C★]>人≪観≫θ
ニア
| (a114) 2021/04/24(Sat) 21:36:54 |
| (a117) 2021/04/24(Sat) 21:38:25 |
| キファは、サダルを見つけに星見杯亭を探しまわっている。 (a122) 2021/04/24(Sat) 21:50:36 |
| (a123) 2021/04/24(Sat) 21:50:45 |
| (a124) 2021/04/24(Sat) 21:50:52 |
| (a125) 2021/04/24(Sat) 21:51:02 |
| (a126) 2021/04/24(Sat) 21:51:09 |
| (a127) 2021/04/24(Sat) 21:51:16 |
| (a128) 2021/04/24(Sat) 21:51:24 |
| (a129) 2021/04/24(Sat) 21:51:32 |
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