人狼物語 三日月国


77 【ペアRP】花嫁サクリファイス 弐【R18/R18G】

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到着:鬼の子 千

【人】 鬼の子 千




 今、なんて言った?

[訪問者に一切の興味を示さず読み耽っていた書物を無造作に放り、床に積み上がる他の一部とした。

そうして千は、両者の間を分かつ木製の格子に齧りつく勢いで顔を近付ける。
随分と日に当たっていない、幽鬼じみた肌に色素の失せ伸びっぱなしの髪、よく似た白い、しかし質は良く見える無地の着物。
爛々と輝く目の下の酷く目立つ隈だけがこの座敷牢の薄闇に見合う色をしていた。]
(8) 2021/06/15(Tue) 9:53:00

【人】 鬼の子 千



 ひひッ、そりゃあ随分と酔狂な鬼様だ
 ……俺も流石に驚いた

 しかしなァ
 鬼子が鬼に輿入れなんて、ひひひひッ!傑作じゃねえの!

[仰け反るように退く訪問者の、忌々しげな悪態を気にする様子も無く。
腹を抱えて笑い始める。酸素を求めて薄い胸が上下するまで、それは続いた。
首も身体も痩せて細い、しかし男であることは見目から声から明白。]
(9) 2021/06/15(Tue) 9:54:13

【人】 鬼の子 千



 いいねぇ、楽しくなってきたよ
 あんたらも厄介者を捨てられて万々歳
 誰も損しないなんて最高だ、なぁ?

 ……自分の手は汚したくない、それがこの村だもんな?

[一時細められる声は、囁くように態とらしい優しさを持って響く。
嗜虐じみた感情が、思わず逸らされた相手の視線を追う白い顔に浮かんでいた。]
(10) 2021/06/15(Tue) 9:54:28

【人】 鬼の子 千



 紅鉄坊、紅鉄坊ね……

[人には慣れない作りの名前を幾度も呟き、さも甘美な飴玉を舌で転がす如く笑む。
もう相手のことは興味の外へ追いやり、拾い上げた書物の背表紙を意味も無く撫で見つめる。
そうして此処からは遠い、村を取り囲むようなあの山に思いを馳せている。

再び空間が闇に閉ざされても、その声は暫く途切れることは無かった。**]
(11) 2021/06/15(Tue) 9:54:48
鬼の子 千は、メモを貼った。
(a2) 2021/06/15(Tue) 10:03:26

鬼の子 千は、メモを貼った。
(a3) 2021/06/15(Tue) 11:55:23

【人】 鬼の子 千


 ─ それから/輿入れの日 ─


 っ……危ないねェ。そんなに押すなよ
 俺ァ盗人じゃなくて大切な貢ぎ物だぞ?
 こんなにきつく縛られて逃げられるわけないだろうが

[目を細め思わず場に足を留めさせたのは、千にとって十年ぶりに浴びる太陽の光だった。

間髪入れずに後ろの男に背を乱暴に押され、転びそうになったところを付き添う老婆が支えた。
曲がった腰で風呂敷包みを抱えたその背丈は千よりずっと低い。
しきりに気遣い声を掛け、山まで送り届ける為家に訪れた男達に涙ながらに乱暴に扱わないよう訴える。

彼女にとって鬼子は死んだ娘が遺した孫息子だった。
指名を受けるよりも、座敷牢に入れねばならなくなった日よりもずっと前から大切に扱ってきた。

しかし、孫息子はそちらに視線もやらないまま面倒臭そうに息を吐き、男達の求めに応じて黙して歩き出す。]
(81) 2021/06/16(Wed) 2:11:36

【人】 鬼の子 千



[老婆と千が、死んだ母親──さとの兄家族と共に暮らしていた家は大きく他の村人のものよりしっかりした造りになっている。

そこは豪商かつ村役人の家であり、大人も殆どが名前すら書けない村で千が読み書きを教わり、書物を与えられることが出来た理由だった。

村の中心にある為、山まで暫く歩かねばならない。
視線があちこちから突き刺さるが、誰も声を掛けず近づくこともない。
むしろ目を背ける。

千が静かに口角を上げ、再び背を押され怒鳴られることも厭わず態と彼ら彼女らをじっと見つめてやったのは

──可笑しくてたまらないからだ。
村人が自分に向ける侮蔑と嫌悪の中に、埋もれた怯えが伝わるのが。]
(82) 2021/06/16(Wed) 2:11:56

【人】 鬼の子 千


 ─ 現在/廃寺の門前 ─


[鬱蒼と茂る山の中、遠くからでも見て取れた姿>>
聳える大木のような身体、木々と薄闇に適合した色彩の衣服や肌、髪の色。
一つしかない紅い輝きだけがどこか警戒色じみて浮いている。

分かりやすい物怪の類い。周りの者達から緊張が伝わるのが千には分かった。]

 ああ?……あぁ、成程。ひひッ

 あんたら厄介者を捨てたくて捨てたくて、
 性別すらも教えなかったのか!
 それとも確認してやっぱり女がいいと言い出すと思ったか?

 酷い奴らだねぇ!敬いも何もあったものじゃねえな!

[しかし言葉を交わせる距離にやって来た時気づく
その目に人間のように驚きを浮かべ、言葉に詰まっている様に。

自分を指名した筈の鬼がそんな姿を見せることに訝しみ、眉根を寄せたのは一時。
ぱっと振り返り男達を見て、意地悪くにやついた。]
(83) 2021/06/16(Wed) 2:12:37

【人】 鬼の子 千


[曰く、知っていると思った。
曰く、紅鉄坊様が指名したのだから自分もそうだとばかり。
曰く、この男は妖の類だと昔から村で疑われていた。女ではなく仲間が欲しかったのかと思った。

口々に上がる弁解に千はますます楽しげに笑う。
嘘ではないのだろうが、確認しなかった理由も合っている筈だから。]

 可哀想にな鬼様よぉ、気づかないよな千って言われたって

 俺ァ本当は千太郎って付けられる筈だったらしいんだけどよ
 その名付け親のおっかさんが産んですぐに死んじまってな

 で、どうするんだ?

[問い掛けた瞬間ふっと愉悦の炎がかき消え、真顔で傾けた首が白い髪を流す。
ここでやっぱり要らない、若い女が良いと言うのなら此れは期待外れのただの化け物。元通り幽閉され、二度と会うこともない。

なけなしの体力でここまで連れて来られた意味は潰える。
この場の男達を代表に、鬼子を山に捨てたい村人達の想いも叶わなくなる。

老婆だけが期待の隠せない眼差しで鬼を見上げていた。**]
(84) 2021/06/16(Wed) 2:13:15

【人】 鬼の子 千



[“「鬼の子め」“
聞き慣れた言葉に動く心も亡く、今は目線一つやらない。

対面した時は余程驚いていたのか、打って変わり何処か淡々として見える。
鬼が何を思考し名の意味を聞き、求められた選択に応えたのか、千にはその想いは少しも読み取れない。

鬼子は純粋な人間、ただ鈍くはない頭に偏った関心を詰めてしまっただけの、心根の捻れた若者だった。
ろくに知らない相手の感情を覚る力など持ち合わせていない。]

 ああ、紅鉄坊様は話が分かるねぇ!
 流石人間とは格が違うってものさ!

[故に純粋な喜色が今は浮かぶ。後ろで縛られていた手を叩いて笑う。
老婆の嘆きよりもずっと、その音は大きい。
鬼の労いに返す安堵を隠さない男達の声が更に重なれば、誰も気づけはしない。

それ以上口にしてはならないと理解している彼女は、肩を震わせて耐えるのみ。]
(186) 2021/06/16(Wed) 23:09:49

【人】 鬼の子 千



 あんた、見た目の割には静かだねぇ
 俺ァもっと分かりやすいほうが愉しいんだがな

[故に齢を伝えたのは当人。
またもや響かない反応に不満を躊躇いなく零す。
村人にとっては戦々恐々、しかし今までのように怒鳴りも力で止めもしない。
娶る意思を示された以上は、鬼子は鬼の所有物だ。]

 でもすることは乱暴だ、ひひッ!

[足が地から浮く心地は快いとは言い難い。
一切の抵抗を示さなかったのは、望んでいるからだけではない。

力が抜かれ、密やかに瞼が下りる。
昂ぶる精神が身体の訴える疲労を無視するのは、千にとっていつものことだった。
今までは当人を含めて、誰もが中々気づきはしなかった。

一人その場に留まり離れてゆく孫を見つめていた老婆以外は。]
(187) 2021/06/16(Wed) 23:10:18

【人】 鬼の子 千


  ─ →廃寺 ─


[上枠に頭がぶつかるすれすれを通り抜け、廃れた空間へ運び込まれてゆく。
眺める時間は、そこで下ろされることが無ければ短いもの。
へえ、ほう、と何かに興味を示し、納得するような声を上げていたが
意味のある言葉は良くも悪くもそこには無い。

辿り着いた小部屋、布団を手で押し確かめ、座している鬼を見上げる。

何も言わぬまま、口角が上がった。]

 …………いや、待ってくれよ鬼様よう
 何か勘違いしてるんじゃないかあんた

[そして千は正座し、側の荷に手を伸ばそうとしたのだが……。
同じく止まり、膝の上に引っ込む。

予想外の展開で、すぐに笑みは消えてしまった。
片眉を上げた表情と声に幾分かの困惑が含んでいるが、相手が口にしたような、自らより遥かに体躯で優れた人外を恐れる様子は少しも無い。]
(188) 2021/06/16(Wed) 23:10:40

【人】 鬼の子 千



 嗚呼、なんと言えばいいものかね

[この明白かつ致命的なずれを、どう説明するべきか。

理解はしたものの、ならば何故と疑問も過り選ぶべき言葉が定まらない。
腕を組んだ間に下りるように頭が垂れてゆき霧がかる思考は──まあ、そのせいだけでは無いのだが。

欠伸が一つ漏れる、涙は流れない。]

 そうだなあ、あんたが許してくれるんなら話は明日にしようや
 話したり聞いたり、色々してぇからよ

 飯はいい。今日の朝たっぷり食わされたからなァ

[そこまで伝えれば着のままで横たわり、背を向ける。

恐らく、いや確実に何もわかっていない鬼が何か問うてきたとしても、花嫁はもう返すことはしない。
そう時間は掛からずに、死んだように眠り始めるだろう。**]
(189) 2021/06/16(Wed) 23:11:23

【人】 鬼の子 千


  ─ 翌朝/部屋 ─


[深く、深く。
宵の降りる前から陽が昇るまで指一本も動かないまま眠り続けた。

疲労の泥底から千を引き上げたのは、何かの気配と周囲の違和感。
暗き座敷牢には在らぬ筈の他者、届かない筈の光と鳥の声。

命を確認する手が離れてから、瞼が上がるまでにはそう時間は掛からなかった。 ]
(284) 2021/06/18(Fri) 3:04:44

【人】 鬼の子 千



 
未だ、生きてるんだなあ……


[見慣れぬ場所、聞き慣れない声。目が耳が現へと頭を戻していった。
寝起き故か弱くかき消えるような語気は、どことなく落胆を持って響く。

上体を起こし、まじまじと自分の身体を眺め手足を動かした。
着物は目立つような穢れは無いまま、動かす身に欠けた物はなく。

そこまで理解すれば向き直り、鬼と鬼が運んできたものを問いにも答えずに交互に何度も眺めた。]
(285) 2021/06/18(Fri) 3:05:09

【人】 鬼の子 千



 ひひッ、鬼様が人間の飯を作ったのかよぉ
 てっきり血抜きもされてない生肉でも喰ってるのかと思っていたね!

 お陰様で久しぶりによく寝たともさァ
 あんたとゆっくり喋れる程度には、元気だとも

[揶揄も受け答えも、軽い調子。早速と主食に伸びる腕の動きにも鈍さは無い。

──より近くに見ると圧巻されるものがある。
握り飯というよりは塊。米の小山を強い力で握り締めたかのようだ。
一口齧り主張の強い塩気に一瞬静止する。米粒が全て最初から潰れているのも分かった。

ゆっくりと咀嚼し呑み込んで、次は椀を手に取る。
汁を啜ろうと傾け、唇に触れたのは液体ではなくくたりとした葉。
打って変わり、大きさと裏腹申し訳程度の味しかしない。その一枚を腹に収めた後、千が改めてよく見れば椀の中身はそうした野菜で埋まっていた。]
(286) 2021/06/18(Fri) 3:05:26

【人】 鬼の子 千



 有難うな。腹がいっぱいだ
 二日も続けてこんなに食うことになるとは思わなかった

[黙ってもう一度順番に口にし、そこで盆は鬼の方へと押される。
残した原因は味ではなく胃の大きさ。腹部を摩る動きは演技などではない。
豪快な握り飯を椀に詰まる汁気を吸いに吸った野菜たちと共に完食出来るのなら、このような身体で輿入れすることは無かっただろう。]

 昨日言わなかったか?
 千太郎は付けられる筈だった名前、
 俺はずっと千と呼ばれて育ってきたんだがね

[酷く作り慣れていない、自分の為に用意された飯に付ける文句などは無くとも
その呼び掛けには怪訝そうに腕を組む。]
(287) 2021/06/18(Fri) 3:06:29

【人】 鬼の子 千



 鬼様がそう呼びたいんなら構わねぇけどさ

 あんたには俺を好きにする権利があるわけだしなァ

[名前など判別出来ればそれでいい。人間を集団という箱に放り込む時に振り分ける数字のようなものだ。
十であろうと、その後に一がついていようと大した差はない。

結局のところ、訂正はしても興味はないのだ。
相手が望むのなら、拒む理由は存在しなかった。]
(288) 2021/06/18(Fri) 3:07:08

【人】 鬼の子 千



 まあ、そんな話はどうだっていいんだ

 そうだな、勘違いの話から始めよう

 あんた、俺のこと可哀相だと思っているんだろ
 何でそんなことをしたのか分からねぇんだが、要するに……
 選ぶことで救ったつもりでいるんだろう?

[布団から乗り出した身、相手の膝に手が乗る距離で紅色を見上げて
覗き込みながら、見透かそうと凝視しながら目を細めた。]

 妖怪の癖にお優しいことで結構なんだがね、
 まずそこから間違ってんのさ

[皮肉に口角を歪める「か弱く哀れな鬼の花嫁」は、紅鉄坊の反応を眺めながら話を続ける。]
(289) 2021/06/18(Fri) 3:07:27

【人】 鬼の子 千



 そういう上っ面はいいんだよ

 俺は俺を選んだあんたに興味があって、
 求められたと思って、役目を果たそうと来たんだからよ

[最初の一言は、どことなく吐き捨てるように。
祖母の目が悪くなってから切る者がいなくなった髪を、煩わしげに掻き上げる。]

 ちゃんと相応に扱ってくれよ。なぁ?

[無論それは、人と人の間の婚姻で齎されるような甘やかさや絆を求めているわけではない。**]
(290) 2021/06/18(Fri) 3:07:50
 




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