情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ スタッフが慌ただしく動くステージを じっと見つめていた。 落ち着いていると思っていたけど、 知らず知らずのうちに噛み締めていたらしい 奥歯がみしりと軋んではっとする。 自分が何を弾くかもはっきりしない頭なのに、 ノイズのようにTwo winsの演奏がこびりついて。 ] 『 I'm losing my mind life of intersection. Faith in my eyes with imperfection. Poker face played in a form flexing All limitations… 』 “人生の交差点で自分を見失ってる 信じたものは見えていても 不完全は付き纏う 自分をごまかしては自分が曲がっていく もう限界なのかな” (28) 2020/06/20(Sat) 21:08:04 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ 知ってる。 ] 『比べた 数が 痛みだす 消えない弱さや傷さえも 全ては僕を作り出す』 Wおれの名前はW [ うん。 わかってる。 ほんとは、ずっと前から。 なぁ、矢川。 こんなの。 ずりぃよなぁ。 ]* (29) 2020/06/20(Sat) 21:11:50 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗『 愛の歌は、悲しい歌。 愛の歌は、苦しい歌。 それでもまた、明日になれば 愛せるかもしれない。 』 [ ステージで別の曲を弾いてるってのに、 頭の中では教室で合わせたあの曲の、 そんな歌詞を思い出していた。 スポットライトはやっぱりちょっと眩しくて 月みたいなそれを見上げたら、 照明のある二階で落ちそうになってた須藤や、 困ったような顔で笑う矢川の顔が浮かんで、 あいつらと話がしてぇなぁ、なんて思った。 ]* (50) 2020/06/21(Sun) 10:31:38 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ そうだな、おれは。 ただの、拗ねてゴネてるガキだったな。 どんなに星に願っても、 叶わないことがあるなんて。 ] So goodbye yellow brick road Where the dogs of society howl You can’t plant me in your penthouse I’m going back to my plough Back to the howling, old owl in the woods Hunting the horny-back toad Oh, I’ve finally decided my future lies Beyond the yellow brick road だからさよなら、黄色いレンガ路 豪華マンションの住人にはなれない 自分の畑に戻るのさ トゲ付きカエルを捕まえている、 年寄りフクロウが喚いている 、 あの森へ戻るんだ 決心したよ。僕の未来は 黄色いレンガ路を 外れたところに広がっているんだ (51) 2020/06/21(Sun) 10:35:25 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ んなこともねぇよな。 誰よりも自分が一番欲してる、って ほんとは、ずっとわかってた。 そうだよ。 おれの、なまえは。 My name is。 これが、おれだよ。 (52) 2020/06/21(Sun) 10:38:49 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ 舞台袖まで、たった数歩。 なのに手だけじゃ飽き足りないのか、 足まで震えて使い物にならなくて、 その数歩が果てしなく遠く思えて。 だけど無様な格好は見せたくない、 その意地だけで背筋を伸ばしてなんとか歩いた。 ステージが見えなくなると、壁に 右手をついて一瞬目を閉じる。 微かな風を感じて目を開けたら、スタッフや 先生、役員の同級生たちが、いつもの俺を 見るのとは違って、なんかあったかい目で 手をそっと叩いてくれていた。 また、頭をひとつ、小さく下げた。 ] (65) 2020/06/21(Sun) 18:21:19 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ 多分しばらくここにいたであろう須藤も、 矢川の姿は見ていない、と言う>>78。 反対側の舞台袖には、確かにあいつ以外 のメンバーが見えた>>12。 ライブが終わった後って、打ち上げー!とか、 反省会↓とか、そんな感じでメンバー全員で わいわいするもんだと勝手に思っていたんだけど。 寂しい、とも、残念、とも単純には言い切れない、 不思議な気持ちが心をざわざわさせた。 須藤の首に回した腕を、振り解かれなかったことに 心の中で感謝しながらそっと、下ろす。 不器用なあったかさを保ったままの自分の腕が スーツに触れれば、リハが終わったら 一緒に行こうと言ったタピオカのチケットが、 小さくカサリと音を立てた。 ] (81) 2020/06/22(Mon) 14:46:13 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗ちょっと探してくる。 須藤、お前どうする? [ 気の良い年下の友人の、しかし背負っているものの 大きさを思い出して、そう尋ねる。 舞台袖のここだってまだ周りには、 結構な数の人がわらわらといるのだから、 もしかしたら辛いのではないのか、とも思って。 須藤が一緒に行くと言えば頷いて。 そうでないのなら、ひとまず彼が 落ち着ける場所まで、一緒に向かうだろう。 ] * (82) 2020/06/22(Mon) 14:47:54 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ 頭の中が一瞬沸騰した。 確かに、文化祭だ。 ハメを外すことがあったって、構わない。と思う。 しかしながらここは学校ですよ!!?お二人!! ちょっと乱れて過ぎてはいませんか!!!? …追いついて、いいのだろうか。 いや俺は二人が何のあとだってどうでもいいのだ、 そんなことより友人を探さねばと震える声で呟いて、 そのカップルを追い抜こうと足を早める。 ] (あぁあ!??) [ 赤羽じゃねぇか!!!! 隣は多分あの、ちっこい子ウサギみたいな、ちあだ。 ふるふる、と身体が小刻みに揺れる。 まさか、あいつら… 後ろから近づく俺には気づいていないようで、 スピードを上げて。 ] (84) 2020/06/22(Mon) 15:15:10 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗赤羽ぇぇ! てめえ学校で! なにやってんだ! 文春に売るぞ! せめて終わったあとは ちゃんと服を着ろ!! [ と怒鳴りつけてやろうとして、 (こいつ、もしかして、あの和太鼓のあとの褌姿 そのままだった、だけ…か…?) [ …ふう、と深呼吸をして、 焦りすぎた自分を恥じて、それを隠すように、 ] お、おう、赤羽、おつかれ! 和太鼓、凄かったな! タピオカまだやってる?? [ と、不必要にデカい声でそう言った。 ] (85) 2020/06/22(Mon) 15:34:18 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ 安心してください履いてますよ>>86と言いながら、 俺の肩を掴んでガクガク揺さぶる赤羽の様子を 見て取るに、どうやら堰き止めたと思っていた 俺の心の叫び声は、漏れて溢れ出ていたようで。 死ぬほどやらかしたと思って、俺のピアノの 感想を伝えてくれる赤羽の顔もろくに見られずにいた。] あー、うん。 聞いてくれたんだな、サンキュ。 [ なんとかそれだけを、俯いたまま呟いて。 ] そうだ赤羽。 Two winsってバンドで、ベース弾いてた、 背の高いやつ見なかったか。 [ ちあと、赤羽の顔を交互に見ながら、そう尋ねる。 見た、と言われたなら、その方向へ走り出す。 彼らも知らない、と言えば、少し肩を落として。 どちらにしても、見つけたら一緒に タピオカいくんで、3個は置いといてくれよ、と 予約を入れるのは忘れずに。 ]* (87) 2020/06/22(Mon) 17:59:57 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ 何度考えてみたってつながらない。 俺の歴史を振り返ってみてもどこが分岐点なのか わからない。 いや確かにあの頃のことを思い出してはいた。 それはそうなんだけど。 ] (135) 2020/06/24(Wed) 17:39:57 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ 学園を卒業してしまえば、6月は雨の多いただの月。 おまけに祝日もない。 それでもこの季節がそんなに嫌いではないのは、 やっぱり卒業して数年経った今でも、 あの文化祭が俺の中で大切な思い出になっている からだと思う。 ] (136) 2020/06/24(Wed) 17:40:39 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ 改心(?)するまでの二年間、サボりにサボった おかげで当たり前のように第一志望の大学には 見事に落ちて。 それでもそこは神様仏様お父様お母様。 皆のサポート 忖度 のおかげで今なんとか大学生やれてます。 ありがとうさすが俺の家族。 ピアノにようやく真剣に向かい合った結果 ちょっと負担がかかり過ぎた左手は さらにやばくなって去年一回手術した。 今回の理学療法士の子も可愛かった。 あの病院はいい病院だ。 ] (137) 2020/06/24(Wed) 17:42:45 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ 髪はあの頃より少し長くなって、相変わらず脱色済み。 別に黒でもいいんだけどなんとなくこっちのが 自分らしい。気がする。 頭皮を酷使するとあとで泣きを見ますよ、 と忠告してきた年下の友人にはひとつ軽めの グーパンを腹に喰らわせておいた。 タバコはやめてない。 禁煙という無駄な行為も何度目かの挫折で 考えるのをやめた。 なのに意外なことに背は2センチ伸びた。 身長を聞かれた時に自信を持って180センチ、 と言えるようになったのは誇らしいものだ。 そんなことを言えばいつだってあいつは、 そうかなぁ変わらないと思うけど、と 俺を軽く見下ろしては笑う。 ] (138) 2020/06/24(Wed) 17:45:20 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ 今でもTwo winsでベースを弾いてるあいつを通じて、 バンドのメンバーとも言葉を交わすようになった。 今時珍しいくらいに全員いい奴らで、 ライブは都合がつけば必ず行くようにしてる。 ライブ中メンバーを呼ぶ女の声には、ずいぶん 『イチくん!』という声も増えていて、 まぁ多少は面白くない気も、しないでもない。 で、確かにそんな当の本人には特定の女は いないようで、もったいねぇなぁ、なんて 皆でいつも話しては、笑ってた。 (139) 2020/06/24(Wed) 17:50:04 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ かく言う俺のほうも、恋愛は今のところ特になし。 まじで忙しいってのも事実だし、それより男友達と わいわいやるのが今すげぇ楽しいっていう俺は 今頃青春をやり直してんのだと思う。思ってる。 あー、文化祭のあと、委員長に 『俺と付き合って』って告白したら 『あんたのことは手のかかる弟みたいにしか見えない』っ て言われて、おまけに 『ついでに私矢川くんのこと好きなの』 て爆弾投げつけられて、あいつらをやけ酒に付き合わせた 俺の話は今関係ある?ないか。 ] (140) 2020/06/24(Wed) 17:54:22 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ そんな感じでまぁ、何度振り返っても、 順風満帆とまでは言えないけど、それなりに楽しい、 ごくありふれた人生を送ってきた、と思ってる。 …なのになんで俺はいま、こんな狭い喫煙所の床に ヘナヘナと座り込んでいるんだろう。 ]* (141) 2020/06/24(Wed) 17:56:40 |
情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新