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【人】 西園寺 飛鳥[W西園寺Wの家は、所謂名家というやつで 幼い頃からお茶やお花、書道、ピアノ、ヴァイオリン クラシックバレエにテニス、日本舞踊と、 まあありとあらゆるお稽古ごとにいかされて 『正しく』育てられてきた………らしい。 幼い頃はなんでもきちんということを聞いた。 おばあ様のことは怖かったし、そうしなければ ならないと教えられていたから。 ───ただ、わたしにも個性があった。] (7) 2021/05/17(Mon) 9:12:03 |
【人】 西園寺 飛鳥[所謂Wお嬢様Wみたいなふんわりしたワンピースや フレアスカート、ピンクや白を基調としたものより ピッタリとタイトな黒のものが好き。 丸く切りそろえられた爪よりも、派手なネイル。 主張しすぎないナチュラルメイクよりも 強く美しく、かっこいいしっかりしたメイク。 ぽってりとした甘い桃色の唇よりも キリリと顔面を引き締める真っ赤なリップ。 洗練されたクラシックよりも、体の底から 響いて跳ねるような爆音のEDM。 そういう自我に目覚めたのは高校生の時で その頃からだんだんと付き合う人も変わり、 友達も増えていった。 家のことが嫌いなわけではない。 隠しているつもりもない。 長く付き合いのある友人にはうちに来たことが ある子もいる。ただ、その子に言われた。 「いいとこの子ってわかったらなんかトラブルに 巻き込まれかねないから、なるべく隠しな」と。 彼女のおかげもあってか、今も私は毎日楽しく 平穏に暮らしているわけ、ですが。] (8) 2021/05/17(Mon) 9:12:26 |
【人】 西園寺 飛鳥[最近、出会った人がいる。 古物商というお仕事をする年上のひと。 おばあさまが物置の整理をするのに、 鑑定を依頼した、らしい。 我が家へとやってきたその人を 一目見た時に、私はビビビッと何か 電流みたいなものが体を巡るのがわかった。 恋というものはしてきたつもりだったけれど 今までの比じゃない衝撃だった。 これは絶対恋。 そうじゃなかったら名前なんてつけられない。 ───とはいえ。 鑑定後、その結果におばあさまが激怒して 彼を追いかけていくとかそれどころでは なくなってしまったのは残念だったのだけど。] (9) 2021/05/17(Mon) 9:12:42 |
【人】 西園寺 飛鳥[あの日、たまたま見つけた。 待ち合わせに遅刻するという連絡が 友達から入ったわたしは、普段なら覗かない、 W映えないWお店を覗いたのだ。 そこにその人がいた時、運命だと思った。 また電流が体を駆け巡って───] お兄さん、この前うちに来てた人だ [と扉を開いて声をかけたのだ。 この人はどんな声で話すんだろう。 どんな瞳をこちらに向けてくれるんだろう。 逸る心臓をおさえながら、にっこり微笑んだ。]* (10) 2021/05/17(Mon) 9:13:00 |
【人】 西園寺 飛鳥[骨董品のことは詳しくないけれど、 亡くなった曽祖父がそういったものがすきだったと いうことは知っている。 蔵には商人から大量に買い込んだ古い物の数々が 納められていた。中には不気味な絵や彫刻も あったし、古い人形もあったから、わたしは 幼い頃からあの場所が苦手だったのだ。 曽祖母は、あんなに不要なものをたくさん…と 辟易していたそうだけれど、曽祖父に生き生きと いかにすごいものかを語られていた祖母からすれば あそこは素晴らしい宝の山だったのだろう。 とはいえ、残念ながら曽祖父は残念ながら 本物を見極める目というものは持ち合わせて いなかったようで。素人目に見ても、明らかに 価値のなさそうなものはたくさんあった。 ───父に、あの蔵を整理してはどうかと 言われた祖母は、おそらく遠回しに 「捨てるように」という意味だと悟ったのだろう。 だからこそ、わざわざ鑑定士を呼んで、 あれらを鑑定させたのだ。 たぶん、信じたかったのも大きかった。 ───本当は、祖母も気付いていただろうに。 (45) 2021/05/18(Tue) 21:41:37 |
【人】 西園寺 飛鳥[1人目の鑑定士は、言いにくそうに、 これらは偽物だといった。 2人目の鑑定士は、困ったように笑って ある意味マニアには受けるかもといった。 3人目にきたのが彼だった。 3人目だったから余計にきっと、彼に対する あたりは強かったんだと思う。 祖母の前にいたその人を遠目で見て、 またか、と思った。 自分の部屋に行くにはその隣を行かなければ いけないから仕方なく、こっそり 通ったのに、目があった瞬間、全てが吹っ飛んで 電流が走って、あ、これが恋だと思った。 だって、間違いなく、落ちたんだもの。 「挨拶なさい」という祖母の声に、>>13 はっとして、一度唇を結んで、ペコリと頭を 軽く下げたら、彼の耳馴染みの良い声が すう、と通っていく。 少し歪んだ笑みも、どこか愛おしくて、 とくん、とくんと柄にもなく心臓が 跳ねるのがわかった。 顔には出さないようにして、「失礼します」と 一言告げてからそこを後にした。 その足取りは少し先ほどよりも早まっていたかも。] (46) 2021/05/18(Tue) 21:42:02 |
【人】 西園寺 飛鳥[───そんな彼だったから、まさかもう一度 巡り会うことができるだなんて思っていなくて。 わたしは、居ても立っても居られなくて 事あるごとに理由もなくその店を訪ねるのだ。] 冷やかし客だなんて、ひどい。 目的はきちんとあるもの。 あなたに会いに来てるのよ、江戸川さん。 [そうにっこり微笑んで、彼の方へ。 再会したあの日と同じ、出してくれるお茶に 今日はジンジャークッキーまでついてるから] (47) 2021/05/18(Tue) 21:42:18 |
【人】 西園寺 飛鳥私のために用意してくれたの? [と目を細めて見つめてみる。 貰い物だと言われたって、構わない。 食べないで置いてくれてたんだから、 つまりは私のためよね、と微笑んで、 一つつまんで口に放り込んだ。 さくさくした食感。 バターの芳醇な香りと、紅茶に、生姜。 甘さ控えめの大人の味に、口元を綻ばせ] 次のときは紅茶でも持ってこようかな [あ、でも江戸川さんはコーヒー派だったから なら、コーヒーのほうがいいよね、と 顔を上げて、お茶をすする。] (48) 2021/05/18(Tue) 21:42:32 |
【人】 西園寺 飛鳥───で、そろそろ考えてくれた? 私とお付き合いしてくださいって話。 [さらにクッキーを2、3枚放り込んだ後、 私は先日訪れた際に振った話を掘り返す。 あれは、先週のこと。 いつも通りこの店をおとずれて、 彼との会話に花を咲かせて、帰る間際。 『じゃあまたくるね』と告げたあと。 向けてくれた視線に、表情に、声に、 どうしたって彼のことが好きだなあとおもったから 忘れ物をしたように、あ、と前置きをして 『江戸川さん、私とお付き合いしてくれない?』 ときちんと申し込んで置いた。 なお、彼のリアクションを見てから、 うんうん頷いて。二つ返事でオーケーが もらえるとははじめからおもっていなかったから 『お返事はまた今度聞くね』と笑んで去ったのだ。] (49) 2021/05/18(Tue) 21:42:47 |
【人】 西園寺 飛鳥ふーん?W冷やかしWとは目的もなく 店を訪れる人のことじゃなかった? [目的があるのだから、やっぱり冷やかし なんかじゃないな、と微笑みかけて、譲らない。 まさか彼から奇矯だと思われているなどつゆ知らず 私は当然のようにここに座ってお茶を飲んで それから、彼に問うのだ。 先日の提案に対する答えを。 ───まあ、その言葉はあのときと まったくおなじ、つれないものだったのだけど。 私はわかっていたかのように眉頭を少し上げて、 それから下げて、またひと口お茶を啜る。] (62) 2021/05/19(Wed) 0:41:36 |
【人】 西園寺 飛鳥ふふ、どうして言い切れるの? 明日には考えが変わってるかもしれないのに。 [いつきても同じだという彼に、余裕の笑みを 向けたのに、その手がこちらに伸びるから。 すこしどきりと心臓が跳ねて、身構える。 頬に手が添えられる? それとも頭を撫でられる? なんて期待して目を閉じたのも束の間、べし、と 額に走った衝撃にびくん、と肩を跳ねさせてから 抗議するような視線をそちらに向ける。 じぃん、と痛みの余韻が残る額を覆いながら 唇を少し尖らせた。 キッと睨む視線にこちらからも睨み返して じぃ、とその目を見つめていたら 先に折れたのは彼の方だった。] (63) 2021/05/19(Wed) 0:41:53 |
【人】 西園寺 飛鳥[ふふん、と少々の優越感を感じながら、 視線をそちらに落とせば、そこには古びた花瓶。 修繕の跡だろうか。ぴしりと入ったヒビに 残った黄色いシミに、目を落として、 無機物なのに「痛そう」だと思った。 彼の言葉を黙って聞いて、区切られれば、 視線を上げてまた真っ直ぐ見つめる。] 傷になるかどうかは私が決めるし 傷になりそうだと思ったら近づかない。 私が好きなものは私が決める。 [そうしてきた。おばあさまのいうことを聞くのを やめて、自分で好きなものを選ぶようになった わたしだから、恋だって選ぶ。] (64) 2021/05/19(Wed) 0:42:10 |
【人】 西園寺 飛鳥私は江戸川さんが好き。 恋人になってほしいって思ってる。 ───だから、来週までの間、 今度は江戸川さん自身の気持ちを考えて。 [そうじゃなかったら強硬手段に出るから、と にっこり笑いかけて、席を立つ。] デートはないけどクラブにいってくる 今日友達が回すから。 [そう言って。] (65) 2021/05/19(Wed) 0:42:24 |
【人】 西園寺 飛鳥今度江戸川さんも一緒にいこーよ [と、にひひ、と笑った。] 次来る時は、コーヒー、もってくるね [じゃあ、ごちそうさまでした、と告げて くるりと踵を返せば、扉の方へと向かう。] (66) 2021/05/19(Wed) 0:42:40 |
【人】 西園寺 飛鳥[しつこい女はきっと嫌いなタイプ。 でも押していかなきゃ、彼の方からは 絶対にこっちに歩み寄ってくれないタイプ。 運命を感じたひとだから、わたしは、 ぜったい彼のことを諦めるつもりはない。 彼に恋人がいるだとか、好きな人がいるだとか、 実は結婚しているだとか!そういうわたしには どうしようもない、人と人との繋がりが そこにない限り、進まなければ絶対に あとで後悔するってわかってるから。] またね、江戸川さん♡ [ひらひら手を振ってウインクをひとつ。 扉が閉まってからも、店の前を過ぎるまでは そちらに目線を遣りながら、駅の方へと向かった。]* (67) 2021/05/19(Wed) 0:42:58 |
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