【人】 木峰 海斗[ カタンカタンと、揺れるリズム 耳元で流れるポップなメロディ 浮かんだ疚しい気持ちを掻き消すように 身を任せていれば、それを邪魔するように 再び、ブブ、と尻ポケットのスマホが震えた 手慣れた手つきでスマホを開けば、 兄貴からの気持ち悪いうさぎのスタンプだった>>88 どんなセンスだよ てか、どういう意図で こんなスタンプを送ってくるのか いや、意図なんてねーよな 中学卒業から続く盛大な反抗期の弟を揶揄ってるだけ] ………… こっちの気も知らねーで [ 深いため息交じりにポツリと呟くと、 相変わらずの既読スルーを決め込んだ] (120) 2021/07/02(Fri) 19:54:06 |
【人】 木峰 海斗[ 物心つく頃には、兄の後ろを追いかけていた 手を握って、抱っこして、 俺が強請れば、嫌がりもせずに望みを叶えてくれた もしかしたら、父親よりも兄が好きだったかも 残念、幼い子どもの一番は、大体母親に決まっている だが、母が優位だったのは、小学校低学年までだった 兄貴は、かっこ良くて、優しくて 友だちに自慢しまくってたし、甘えてた その気持ちが変わってしまったのは、いつ頃だったか 中学を卒業する頃だったと思う 兄貴に彼女が出来たと思ったとき 実際は、親しい友人とかだったかもしれないけど 俺は、それを知ってすごく嫌だった、腹立たしかった ただのブラコンかと思ってたけど、そうじゃなかった] (121) 2021/07/02(Fri) 19:54:08 |
【人】 木峰 海斗[ そんな自分が汚らわしく感じて、気持ち悪くて 俺は、兄貴と距離を取るようになった それでも、仕事で不在がちな両親のせいで 俺たちは二人きり、家で過ごすことが多かったから 視界に入ってくるし、触れあってしまうし この気持ちに気付かれたくなくて、 酷い態度を取り続けてきた 普通は、嫌われれも仕方がない筈なのにさ 無意識に再び、スマホに視線を落とす 全然、嫌いになってくれなかった] (122) 2021/07/02(Fri) 19:54:11 |
【人】 木峰 海斗[ 告白してくれる子もいた 同学年や先輩や、後輩……美人な子や可愛い子 色々いたけど、俺は全部断っていた いつも頭の中にいるのは一人だけで 誰かの隣にいるときに、違う人を思い浮べるのは 相手に悪い気がして、 それを上手く隠せる気もしなくて だから、全部断った ちなみにアイツらが見かけた年上美人は、 たまたま彼女が探していた猫を俺が捕まえて そのお礼に、パンケーキを奢って貰っただけだ ―― ちなみに、パンケーキは俺の希望ではない そんなことを考えていれば、自宅近くの最寄り駅だ] (123) 2021/07/02(Fri) 19:54:15 |
【人】 木峰 海斗[ 家に帰って、身支度をすませれば 少し予定よりも遅い時刻に、ラグジュアリーな空間に 足を踏み入れていた 浅葱色のTシャルに、 襟なしの薄手の半袖シャツを重ねて ボタンは全部開けた状態にしていて、 下は、明るめの青色のジーンズという ラフな格好なせいか、すごく場違いな気がするが、 それは普段鍛えられている鋼のメンタルで 他の人の視線は気にしない フロントに声をかければ、 メールで伝えられていた部屋番号を告げる さすがプロだは、綺麗な笑顔で応対してくれた さて、と足を踏み出せば、ベルトの鎖がちゃりんと 涼やかな音を響かせた*] (124) 2021/07/02(Fri) 19:54:19 |
【人】 木峰 海斗[ フロントに聞いた部屋番号は、 1061 エレベータに乗って、 独特の浮遊感に身を任せていれば、 あっという間に、目的の階に到着した 高層階であることは気づいていたが、 まさかそこがスイートだとは思っていなかった>>146 馬鹿と何とかは、高い所が好きなんだ 高層階ってだけで、少しうきうきしてたのは秘密 廊下をゆっくりと、進み 扉の前で、ぴたりと止まって、ふいに心配になる 俺は、兄貴以外の人に触れられて ―――――― 平気なのだろうか? 友人のスキンシップすら、 少し嫌悪感を感じるというのに ドアノブに伸びた手に、微かに戸惑いが生まれる] ………… でも、帰ったら失礼だよな [ 怖気づいて、ここで帰ってしまったら せっかくマッチングしてくれた主催者にも 俺なんかと一緒に過ごしてくれる予定の人にも] (161) 2021/07/03(Sat) 1:00:51 |
【人】 木峰 海斗……ッ、 [ 大きく、息を吸って 意を決して、キーを差し込めば、扉を開いた] どーも………… へ? [ どんな挨拶をするべきか 迷った結果、適当な言葉が出てきたが その言葉は、最後まで言えなかった] (162) 2021/07/03(Sat) 1:00:53 |
【人】 木峰 海斗あに、……き……? [ いやいやいやいや 俺は確かに" 兄みたいな "人って書いたけどさ本物の兄貴がいるとは思わないじゃん? 兄貴のこと考え過ぎて、脳内お花畑にでもなったか 幻影でも見ているか、そっくりさんか てか、ほんとう、マジ―― ] (163) 2021/07/03(Sat) 1:00:54 |
【人】 木峰 海斗すぅ……………… [ よし、大きく息を吸って落ち着こうか とりあえず、状況を整理しよう マッチング成功したメールが来た その部屋番号に入った なんとそこには、兄貴がいた 意味がわからねーな。 主催者はエスパーか? 兄貴への気持ちを消し去るために、ここに来たのに その相手で、兄貴になるとは予想もしてなかったから どういう対処をすればいいか、分からない] (164) 2021/07/03(Sat) 1:00:56 |
【人】 木峰 海斗………… 夜の用事って、これだったことか? [ ふと、零れた言葉は、気になってたけど 聞くつもりはなかった問いだった**] (165) 2021/07/03(Sat) 1:00:58 |
【人】 木峰 海斗………… そーだよ、知ってるよ まさか、兄貴がいるなんて思わなかったけどな [ なんとか平静を取り繕うとしたが、 いつも通りの口調や声にはなってくれなくて あ、これは、やべーな そう思っているうちに、さっさと この部屋を出ておくべきだったんだろうな――*] (185) 2021/07/03(Sat) 10:36:32 |
(a8) 2021/07/03(Sat) 15:00:26 |
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