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【人】 苗床環者 メディウムー 病棟・直青たちの部屋前 ー [厳しい言葉を投げられて、数日。雷恩の隣で咲いていてもいいと知った僕は、改めて直ちゃんどのと向き合いたくて彼らの部屋へと足を運んだ。 …………けど。] (あら、お邪魔になりそうね。) ……そうだね、また今度にしよう。 [何やらお取り込み中みたいだ。邪魔にならないよう、そっと立ち去った。]** (1) 2023/11/26(Sun) 21:30:08 |
【人】 苗床環者 メディウムー 病棟・羅生と ー [僕らが『咲ける』ようになってから。定期検査も終わり、病棟内をなんとなくぶらついていた時の話。緑髪にフード姿の男性……型AI、羅生どのを見かけた。 顔見知りではあったけれど、僕らは本能的にAIたちを避けてしまう癖があって。彼らも滅多な事では身内以外と交流を持たない。 ので会話はほとんどなかった。 そういえば、彼も雷恩の『親』だったっけ。改めて、AIたちの尊い人の側で咲いてしまう花の身になった事を告げておこうかと、珍しく近づいた。] こんにちは、羅生どの。今少しいいだろうか? [羅生どのは。雷恩と距離があるという事は聞いていた。その理由や原因は推測したところで僕らには多分、分からない。生まれもって来たものが根本から違えれば、相互理解には及ばないだろう。 …………そう思っていたけれど。 どうも“彼女”は、心あるものの機微に敏感なようだった。] (6) 2023/11/27(Mon) 18:44:16 |
【人】 苗床環者 メディウムー 病棟・直青と ー [……日を改めて。今日こそは、と直ちゃんどのともう一度向き合うために部屋へ足を踏み入れる。] ……失礼する、メディウムだ。 [穏やかな容姿と物言いであるのに、奇妙な威圧感のある彼の前へ。果たして次に下される判決はどうなるだろうか。恐怖心が無いとは言い難いけれど、それでも。いつかは告げねばならないから。……まあ、ある程度の仲は推測されてしまっているのだろうけど。] (8) 2023/11/27(Mon) 18:52:22 |
【人】 苗床環者 メディウム…………改めて、単刀直入に。 あなた方の貴人である雷恩、どのの側で。咲いてしまってもよいだろうか。 (いわゆる、「息子さんを私にください」っていう奴ね。知ってるかしら?) [きちんと、目を背けないように見据えて。どんな鋭い言葉が飛んできても、視線だけは合わせるように。]* (9) 2023/11/27(Mon) 18:56:16 |
【人】 苗床環者 メディウム[羅生どのが返事をする。静かに、だけど何も見据えていないような。深淵の奥底にこころを捨ててしまいたいとでも告げるような眼差し。 ……僕らから彼に伝えた所で、何があるわけでも無いのだろう。でも、一応。] えっと……実は、その。あなたがたの貴人である雷恩、どのと。こ、懇意に……一応させていただいている。それを、伝えに。 [直ちゃんどの経由で知っているかもしれないけど。挨拶は大切だ。] (20) 2023/11/28(Tue) 14:05:54 |
【人】 苗床環者 メディウム…………あなたへ伝えて、いいのかは、分からないのだが。雷恩、どのはあなたを「親」として、ちゃんと愛していますよ。 ……どうか拒まないでほしい。それが、あなたの根源に根差した『花』だとしても。本物か偽物かなんて、関係ないんだ。 「こころ」は苦しいものだから。 (貴方が貴方であるために拒み続けるのだとしたら。悲しい事ね。) [我ながら何を言ってしまっているのか。遠巻きからなんとなく感じていた、いつも纏わせてる濃厚な『感情』の断片に、直で話したらあてられてしまいそうになったから。そんな言葉が口からこぼれた。]* (22) 2023/11/28(Tue) 14:12:42 |
【人】 苗床環者 メディウム>>21 どこまで……と言われてもな……確かに言える事は。彼は、雷恩は見た目以上に情感豊かである、というくらいかな…… [問いへと静かに解答する。これも一つの審判だ。正解を踏み外したら、裁きが下されるだろう方向の。] >>23 それは、そうだろうな。僕らは非力な娘の入れ物に入っているのだから。……解答は期待していないよ、最初から。 [冷たく言い放たれても、進む事は止めなかった。]* (24) 2023/11/28(Tue) 14:23:17 |
【人】 苗床環者 メディウム>>25>>26 ……そうか。ならば、彼にとって相応しい存在であれるよう、努力すると告げておこう。 [これは、「人間」と「AI」のこころの隔たりなのだろうか。リヒトのように柔らかな情感を持つ機械との触れ合いが主だったから、その違いに少々驚きはしたけれど。……なるほど雷恩は、愛していた『親』からこんな風に触れられていたのかな、なんて。何故か僕らまで苦しくなってしまう。] とくに求める言葉は無い。それでは、今日はこれで。 [僕らからこのひとにできる事は、何もないんだろう。寄り添う事すら拒絶して、ふるい落とすのであるならば。その事はちょっと悲しいなと思ってしまった。誰もこのひとををすくえないし、そもそもすくいたがられようともしないのかもしれない。] (27) 2023/11/28(Tue) 14:41:59 |
【人】 苗床環者 メディウム(むしろ。言葉を求めているのは、貴方の方でしょう?違うかしら。…………委ねて楽になる事すら許せないのは、貴方が「機械」であり、「そう在れ」と願われたから? …………憐みを向けるのは、失礼なのでしょうね。 さようなら。) (28) 2023/11/28(Tue) 14:46:01 |
【人】 苗床環者 メディウム[…………羅生どのと別れて、どこかへと向かう。 親しい人に出会ってしまったなら。その人から声をかけられたのなら、その場で僕は泣きじゃくってしまっているだろう。]** (29) 2023/11/28(Tue) 14:48:28 |
【人】 苗床環者 メディウム[>>33>>34>>35 審判が下される。……以前よりか、柔らかな言葉が振る。少しだけ安堵はしたけれど、それは「許されている」という事ではない。あくまでも、責任を負えというのだ。 責任、とは言うけれど。僕らの方は彼の側にもっと美しい花が咲くのなら、そのまま枯れ落ちるというだけだ。心を留めおき続けるかなんて分からない。だけど、その日までは咲き続けようと、思う。 『親』の言葉を噛み締めながら、ゆっくり頷く。] ……分かって、います。出来る限りの誠意を。僕たちからは与えます。 (ありがとう。彼を、見捨てないでいてくれて。) [渡された炭酸水に口をつける。ピリピリとした泡が喉の奥へ弾けていく。飲み干したならすぐに、一礼をして部屋から立ち去った。] (36) 2023/11/28(Tue) 18:44:53 |
【人】 苗床環者 メディウム− 楽園の片隅で・リヒトーヴ − [その美しいひとは、いつだってこの地にいた。静謐な空気を纏わせて箱庭を守護していた。……立ち尽くすそのひとの元へ、3つの影が近づく。] 「コギト・エルゴ・スム!我思う故に我有り、いい言葉だよねえ。」 「De omnibus dubitandum. 全てについて疑うべし……そうですわね、私たちの様な人間は特に大切な言葉です。」 よかった、まだ居てくれた。 こんにちは、リヒト。騒がしくてごめんな。少しいいだろうか? [フラスコの中の小人と水槽の脳が、壁に彫られた文字を読みあげ、植物の娘が機械の身体へ声をかける。] ……きみはいつか、この『楽園』の外へ行ってしまうのだろうか。いつだって、寂しそうだったから。 「『友』がいたと、以前お聞きしましたわ。彼を探したいと、そうずっと思っていたのですか?」 「あ、いやオレらはそれを止めるつもりは無いよ!元々、ご厚意でココ使わせてもらってるだけだしね。最初は違う場所で研究してたし、君が去ってしまっても勝手に研究も保全も続けるつもり〜」 [3人の「人間」が、口々に告げる。] (54) 2023/11/28(Tue) 22:20:29 |
【人】 苗床環者 メディウム……なあ、リヒト。我々は、きみの「友」にはなれないのだろうか? 「こんな姿でも、私たちは「人間」ですからね。もちろん、かつての『友』が特別だという事を否定するつもりはございません。」 「単純にね!オレらも君の事は「友達」だと思ってるからさ!困った時とか、いつでも帰ってきていいよっていいたいだけ!」 「うちの博士は来るもの拒まず去るもの追わず、ですが。私たちの方は必ずしもそうではありません。」 「そーいう事!友達の事は心配するし、夢があるなら応援してるから。」 ……忘れないでほしいんだ。どこにいても我々ときみも、「友人」だったって事を。だから……もし「友」とまた出会えたのなら。僕らともいつか話をしよう。 [植物の娘が、守護者の手をそっと握った。]* (55) 2023/11/28(Tue) 22:20:40 |
【人】 苗床環者 メディウム ー 植物園のどこか・桜花 ー [その桜色へどう接していいのか分からなかった。彼らの絆はきっととても特別なものだから。 その桜色に告げてもいいのか分からなかった。あなたの尊いひとの側で咲いていたい、なんて。 僕よりもずっと美しい、花。 しかし告げないのは逆に不誠実であると思っているから。意を決して声をかけた。] …………こん、にちは。桜花どの。少し、話がしたくって…………この間はすまなかった。非礼を詫びよう。 あぁ、それと受け取った果実は実に美味であった、ぞ……あなたはすごい事ができるのだな。 (56) 2023/11/28(Tue) 22:32:32 |
【人】 苗床環者 メディウム[ためらいがちになりつつも、丁寧に告げる。この人は彼にとってとても大事なひとだから。] それで、その。僕……雷恩、の側で、咲き続ける事にしたから……きみへ、ちゃんと言わなきゃって、思って。 (弟さんへご挨拶というところかしら。) [声は震えきっていたけど、目は逸らさないようにした。白く輝く姿に目眩がしそうになるのを抑えながら。]* (57) 2023/11/28(Tue) 22:37:30 |
【人】 苗床環者 メディウム>>70>>71 ……お、おう。 [逆に向こうからも詫びられて、目を丸くする。その後の言葉を聞くかぎり、本当に今はこちらへ「敵意」とかそういう感情は無さそうで。] あなたの方は経口接種ができないのか……うん、美味しかった。 ……よろしく、なんて。こちらこそ、彼の隣にいてくれてありがとう。彼の感情の一部は、きっときみが作り上げたものだから。これからも、仲良くしていてほしい。 ……そこに、少しだけ、僕らがお邪魔するけれど。 [茶化されるように告げられた。本当に美しく清らかな花だ。きっとたくさん愛されてきたし、これからも愛され続けるのだろう。彼が、ずっと美しいままで咲き続けられたならいいな、と願う。]* (74) 2023/11/29(Wed) 7:43:18 |
【人】 苗床環者 メディウムー ある花の独白 ー [一旦下された判決は、己へ刃を振りかざす事はしないようだった。とはいえ、本質的にはAIの彼らからはこれからも審議を続けられるのだろう。ちくちくと視線が刺さってくる。当然か、本来僕らは異物だ。 ……愛おしい、樹木の青年を見つめる。美しい花ではなく、樹木の彼に惹かれたのは。ひょっとすると「安心」したかったのかな、なんて。大きく逞しい木は、寄り添うだけで心が安定する心地になる。(それもあるでしょうけど、純粋に異性として魅力的に映ったのが彼だったのでしょうね) 光を浴びて、呼吸する。脆弱な入れ物へ植物を足して、辛うじて魂を引き留めているだけの、おおよそ『新人類』とは呼べない身体で。それでも博士たちは僕らの可能性を信じてくれているのだろう。 ……雷恩がこの地を離れるとして、請われたなら共に行く気概はある。博士へ研究サンプルを送りたいし、「友人たち」がいるこの地への愛着もあるから連絡はしたいけど。外の世界で殲滅行為を続ける彼らの思想へ同調するのだってきっと厳しいけれど。] (75) 2023/11/29(Wed) 7:58:28 |
【人】 苗床環者 メディウム[それでも、僕らは。もう既に樹木から与えられるめぐみでしか生きられないから。この先何があっても、彼の側で咲き続けるのだろう。彼にとってもっともっと美しい花が咲いて、僕らの存在意義が失われるその日までは。 **…………本心を言うと、彼の心に僕らだけが咲いている場所があればいいのにと願ってしまう。大切には想われてると、思うけど、心を全部注ぎきったら同じ分量の「心」がほしい、なんて。傲慢にも程がある。僕の内側に芽生えた花々はそれくらい貪欲に求めてしまう。求めてしまうから、消してしまいたかった。 いっそのこと世界の片隅でふたりきり静かに枯れ落ちるまで側にいたいな、なんて。叶わない事を考えながら、今日も僕はそこで咲いている。] (76) 2023/11/29(Wed) 8:07:44 |
【人】 苗床環者 メディウム[>>84>>85 3人は守護者の言葉を聞く。内に抱いた思いはそれぞれあれど、共通する事が一つ。] ……そっか。リヒトと僕らは、もうずっと前からちゃんと「友人」だったんだね。 「うふふ、嬉しいですわ。」 「なんだよも〜。もっと早くから言えってそれ!」 [それは、目の前にいる「友」への温かな感情。] (107) 2023/11/29(Wed) 20:37:11 |
【人】 苗床環者 メディウム[>>86>>87 植物の娘は握り返された手を、少し驚いたように見る。そして……伝えられた言葉へ、親愛の抱擁をもって返す。] ……絶対、だよ?リヒト。待ってるから。 「あー!メディウムずるいじゃん!オレもオレも!」 「きゃっ……もうビオトったら。紛れて私ごと抱きしめないでくださいよ……でも、嬉しいわ。貴方と、メディウムと、リヒトーヴさんで、こう触れ合えるのは。」 [水槽の脳が、傍らのフラスコ頭と共に女と守護者を抱きしめる。やや遅れて、フラスコ頭も腕を伸ばす。 片隅の「人間たち」は、そうやって「大切な友人」の旅路を祝福するのであった。]** (108) 2023/11/29(Wed) 20:37:32 |
苗床環者 メディウムは、メモを貼った。 (a1) 2023/11/29(Wed) 20:39:27 |
【人】 苗床環者 メディウム − 緋雁との話 − [咲けるようになった僕らと雷恩が並んでいた時に、緋雁どのと出会ったことがある。彼は、戦闘員というらしくあまり積極的に交流を持つ機会は無かったのだけど。 ……先日、博士と何か……甘やかなやり取りではない、むしろその逆……話をしていた事は聞いていた。 だからこそ、少しためらっている。彼にとってはきっと、僕らも「異物」として映るのだろう。尊い大樹へと寄り添い咲こうとする花へ、何を思っているのだろうか。] こ、こんにちは。緋雁どの。えっと、そこで雷恩、どのと出会ってな……少し道案内していた所だ。お、お邪魔になりそうなら、僕はこれで…… [つい、そんな風に雷恩と距離を取ろうとしてしまった。 (一時的に離れるだけよ、すぐ戻るわ) 一応、そう“彼女”は伝えてくれたけど]* (118) 2023/11/30(Thu) 14:04:09 |
【人】 苗床環者 メディウム− 再び直青と、羅生と − [「ご挨拶」は済ませたけど、僕らは基本的に彼らがいる場所では極力雷恩と出会わないようにしていた。……干渉はしない、と言われたけれど。それでも、僕らが今雷恩の側で咲けるのは。あくまでも「彼にとって望ましい」からなのだ。 ……いつか、「望ましくない」ものへと変わってしまったなら。きっと僕らはそのまま大地へと還されてしまうんだろう。 そう思っていたある日だった。] …………あ……な、直ちゃんどの。羅生どの、お久しぶり、です…… [雷恩と会話中、昔読んだ本の話題になって。たしか離れた部屋にあったはず……と取りに行った先で、ふたりと、鉢合わせしてしまった。なんとなく気まずさを覚えて、口籠もる。] えっと、せ、誠実に、お付き合い、させて、いただいています…… [目的の物を探すのも忘れて、居た堪れない気持ちで言葉を紡ぐ。]* (119) 2023/11/30(Thu) 14:13:55 |
【人】 苗床環者 メディウム>>124 [後ろに下がっていく羅生どのを見て、このふたりに、決定的な「なにか」が起こってしまったことを察する。だけど、以前の様に一方的な言葉を投げかけることもできやしないから。……ただ、それが平時であると、そういうふりをする事にした。] ……あ、ああ。ここに書物は、けっこう多いんだ。博士たちが、大切に保管していたから。 えっと、そこにある本とか、面白いが……夢物語は、あなた方の好みに合うだろうか。 [穏やかに振る舞う彼へ、なるべく普通に接する。苦手意識はまだ強いけれど、雷恩の大切なひとだから。僕らが、切り捨てられることの無いように。相応に振る舞うことを心掛けるようにした。]* (125) 2023/11/30(Thu) 17:12:42 |
【人】 苗床環者 メディウム>>126 [物語でも大丈夫なのか、と安堵する。学術書もいくつかあるから、そちらの方が興味あるのかと思っていたが。問われたのなら答えるべきだろう。] うーん……とはいえ、『旧人類』の物語がいくつかあるからな……ああ、これとかはどうだろうか。 [差し出したのは、いわゆる「SF」に分類される物語だ。たしかこれの内容は、『宇宙から飛来した上位存在によって人類が進化し、古い世界は終焉を迎える』というものだった。これなら、気に入ってもらえるだろうか。] 雷恩も、気になる本があれば。紹介するから…… [傍らにいる愛しいひとへ、告げる。……自分でも驚くほど、彼らと穏やかな時間を過ごせただろう。]** (127) 2023/11/30(Thu) 18:00:08 |
【人】 苗床環者 メディウム[>>120 その場から離れる前に、伝えていない事を思い出した。] あの、緋雁どの。僕らは、その、雷恩、どのと、少しだけ、懇意にさせていただいているん、だ。 だから……その……これからも、誠意をもって、接していくから。 いつか、きみたちが僕らを不要とする日までは。 [そう言って、少し離れた物陰から2人を見守ることにした。]* (131) 2023/11/30(Thu) 19:28:33 |
【人】 苗床環者 メディウム[>>136>>137 物陰から、雷恩と緋雁どのが談笑する様子を見守る。 僕らのこと、必要だと、思ってくれてるのかな。 少しくすぐったい気持ちになったけれど……僕らの葉脈がどうのこうの、と言い出したときは流石に飛び出して小突いた。 緋雁どの、にも。咲いていることをみとめてほしいな、なんて思いながら別れた。]** (139) 2023/11/30(Thu) 20:06:10 |
【人】 苗床環者 メディウム ー どこかの地 ー [……あの日から、色々あって。僕らは雷恩のいる組織への同行を許可された。痛み止めは雷恩がいればどうにかなるし、ある程度の調剤も用意できるとの事だったから、少し戸惑いながらもそちらへ行くことにした。研究所のみんなはお祝いしてくれたし、外の貴重なデータを送るための機材も用意してもらった。 初めて見た、外の景色は『楽園』とは程遠い様相だったけれども。興味深いものがたくさんあって、退屈はしなかった。 不安だった共同生活も、なんだかんだで受け入れてくれるAIたちがいて。血と硝煙に塗れた彼らの生き様を直接見ることはほとんどなかったけれど、それでも僕らなりに馴染めていたと、思う。 …………外の空気は、澱んでいて、あちこちに危険な機械が跋扈していて。『旧人類』の犯した罪とは、ここまでのものだったのだろうか。考えても分かりそうにはない。ただ、僕は、僕らは。 新しくできた居場所で、あの人の隣で咲く。それだけだから。] (164) 2023/11/30(Thu) 23:58:02 |
【人】 苗床環者 メディウム[差し込んできた日光を浴びて、光合成をする。無機炭素がいくつか酸素になって空気に溶けていく。 僕ら1人ではこの世界を変えるなんて事は出来ないし、そもそも僕らがどうにかできるとも思っていない。『楽園』で真似事の失楽園を演じてみたりもしたけど、新たな礎なんてものになれる様な器でも、きっと無い。 ただただ、僕らは愛した人のために息をする。] …………さよなら。 [なんとなく口を吐いて出た言葉が、誰かに伝わるでもなく消えてゆく。いったい誰に別れを告げたんだろうか。かつて生きてきた『旧人類』へなのか、それとも僕らが僕らへと成る前の存在にだったのか。 ……僕らの雷恩が僕らを呼ぶ声がしたから、応えるようにそちらへと向かった。 彼らが失った楽園を、再び取り戻す日まで。その日まではさよなら。 ]** (165) 2023/12/01(Fri) 0:11:11 |
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