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【人】 三橋 夕凪[親指の背で、涙を拭って。 無理矢理、えへへ、と笑う。] わたしたち、皆、先生のこと、 信じてたから。 [もし、いつか逢えたなら。 それだけは真っ先に伝えたかった。 たしかに先生を疑って、面白おかしく 吹聴するような生徒もいたけれど、でも。] ……先生が急に居なくなって。 私たちが先生を軽蔑したと、先生がそう 思っていたなら、 今も、そう思っているなら それは違うよ、って、皆伝えたかったの。 (34) 2021/02/08(Mon) 13:33:53 |
【人】 三橋 夕凪[どれくらい時間が経ったのか、 それとも現実にはほんの僅かな時間だったのか。 ゆっくりと顔を上げる。 息を深く吸って、全部吐き出せば、 立ち上がることができた。 ] カードを見つけたことを、伝えなきゃ。 [リクちゃん、スタンレーさんを探すために 足早に図書室を出た。] (41) 2021/02/08(Mon) 15:14:44 |
【人】 三橋 夕凪[図書室には、誰もいないように見えた。 もしかしたら誰かいたのかもしれない けれど>>3:168、それよりも。 テーブルに置かれたタロットカード>>3:165 >>4に目が吸い寄せられてしまったから。 リクちゃんか、スタンレーさんだ、ととっさに思った。 きっと、あの2人は、タロットを見つけている。 なんの根拠もないのに、確信に近いなにかがあった。 偶然にもスタンレーさんが同じように 思っている>>4とは知らないまま。 どうか皆が元いた世界に帰れますように、と 祈りながら、それでもほんのすこし。 スタンレーさんにはお礼も言えなかったな、 と思い返して眉根がぎゅっと寄った。] (43) 2021/02/08(Mon) 15:21:09 |
【人】 三橋 夕凪[視線の先に あの時、伏せたままで見えなかった顔。 誰よりも優しくて、思いやりのある色を 携えた双眸が輝く。 走ってきたのか、長い前髪が揺れていて。 それどころじゃないのに、あぁやっぱり 好きだなぁなんてそんなことを思って ただ、見つめていた。]* (45) 2021/02/08(Mon) 15:26:06 |
【人】 三橋 夕凪[そのまま指を滑らせて、頬に。 ぺと、と開いた掌を軽く押し付けた。 そこには確かな熱があって。] 良かった、本物でした。 [へにゃりと笑って、腕を下ろす。 触れていた右手を握って、胸元に抱えた。] ……他の皆さんは、戻れたでしょうか、 友達の姿も、見当たらなくて。 [はぁ、と肩を落とした。 視線も同じように落とせば、ずっと気にしていた 小さな一言が口から溢れる。] ─── 帰ったら、また、 先生は居なくなりますか……? (78) 2021/02/09(Tue) 7:58:48 |
【人】 三橋 夕凪[先生が同じように座っていてくれたなら、 手を伸ばして今度はその上着の、 袖のあたりをぎゅうと握った。] 先生、あのね。 [小学生の、作文の書き出しのような。 俯いたままの顔を上げた。] (79) 2021/02/09(Tue) 8:01:46 |
【人】 三橋 夕凪……やっと、言えました。 夢でもなんでも、逢えて、 ほんとによかった。 [もっと、綺麗な格好で、会いたかったですけど。 そう付け足して、またえへへと表情を崩す。 体を少し動かして、腕を伸ばす。 タロットカードを先生の手に握らせようと、 顔を上げて、ふわりと笑った。]* (80) 2021/02/09(Tue) 8:04:08 |
【人】 三橋 夕凪[微かに埃と汗の混じった髪が 私の涙を絡めて、瞼を、鼻を、頬を 擽って揺れる。 どうしようもなく愛しい気持ちが込み上げて そのまま首元で先生の皮膚を撫でるように すぅ、と息を吸えば、忙しく打つ鼓動が少し、 なぜか落ち着いていくのがわかった。] (98) 2021/02/09(Tue) 22:57:17 |
【人】 三橋 夕凪───もしもの未来 [ここまでたどり着くのはなかなか大変だった。 ─── なんて一言で言えば、 それだけの単語なんだけれど、まぁそれなりに 険しい道のりだったとは我ながら思っていて、 そしてそれを乗り越えられたのは やっぱり隣に愛しい人がずっと寄り添っていて くれたから、それに尽きるとも思う。 最初は猛反対だった両親が打ち解けるのには さして時間はかからなかった。 彼の誠実な姿勢、実直に、逃げも逸らしもせず 正面から向かい合う姿故だっただろう。 なんのことはない、今では父も母も、 すっかり彼を気に入ってしまって 私抜きで連絡を取ったり、私が知らない間に うちでご飯を食べていたりするのだから、 笑ってしまう。 ] (113) 2021/02/11(Thu) 0:24:56 |
【人】 三橋 夕凪[鏡の中の私は、プロの手によって ずいぶん綺麗に飾られていて、 なんだか知らない人みたい。 もっとゴージャスなふわふわのやつか、 人魚みたいなやつ(マーメイドラインって形のこと) のほうが、と熱く語る彼をなんとか説き伏せて 私が選んだのはシンプルなAラインのドレス。 けれど裾と胸元には、彼がどうしても、と 譲らなかった細かな装飾のレースがひらり、 風を纏って揺らぐ。 散りばめられた小さな宝石が 太陽の光を受けてきらきらと輝いた。] (114) 2021/02/11(Thu) 0:26:08 |
【人】 三橋 夕凪─── もしもの未来 [友人が集まってくれたパーティ会場。 来てくれた皆に渡すプレゼントの中に、 『痴人の愛』あの例の本を入れようと 提案したんだけどさすがに止められたのは笑い話。 だからとあるタロットのカードのイラストに、 一人一人に気持ちを込めてメッセージを書いた。] (120) 2021/02/11(Thu) 6:42:04 |
【人】 三橋 夕凪[そう言えば結婚すると伝えた時は そりゃあ皆驚いて。 おまけに相手が誰だか知って、 全員一様に目が落ちちゃうんじゃないかって位に まんまるになったのがおかしくて吹き出した。 青嵐くんなんかは、その報告を とっても嬉しそうに聞いてくれた。 きっと、あの時のことを青嵐くんも ずっと気にかけていたんだ。 だって、私の隣の彼を見る、青嵐くんの その目元はほんの少しだけ、潤んで見えたから。] (121) 2021/02/11(Thu) 6:44:52 |
【人】 三橋 夕凪[数奇な運命を共にした、大好きな彼女は、 会場に居てくれただろうか。 そうそうサキちゃんは、件の ウサギのぬいぐるみを大切そうに 抱っこして座っていた。 薄いピンクの可愛いドレス姿のウサギさんに なにか囁いていて、まぁ、なんというか、 幸せそうに、見えた、うん。] (122) 2021/02/11(Thu) 7:03:35 |
【人】 三橋 夕凪[それにしても彼女、リクちゃんが、同じように こちらに戻って来られたと知った時は 本当に嬉しくて安心して、どちらが年下なのか わからないほどわんわん泣いて、 たいして信じてもいない神様に感謝した。 けれど追い討ちをかけるように 大変な不幸が彼女を襲ったと知った時は あんなに感謝した神様を心の底から恨んで、 舌打ちをして罵声を浴びせたうえ 往復ビンタしてやりたいと、また泣いた。 彼女の助けになりたかった。 リクちゃんが許すなら、私は時間の許す限り 彼女のもとを訪れただろう。 そうしてあの日と同じように、 彼女を支えてくれる人が他にも 居てくれることを願ってやまなかった。] (123) 2021/02/11(Thu) 7:08:05 |
【人】 三橋 夕凪[身支度がだいたい終わり、アクセサリーケースに 手を伸ばして微かな違和感に気づく。] あれ?ピアス…… [耳元を飾るための、小さな箱を開けて あれ?と首を傾げた。 朝確認した時はたしかに、選んだままの 小さなダイヤのピアスだったはず。 それが。 ] 赤……? (124) 2021/02/11(Thu) 7:10:07 |
【人】 三橋 夕凪ガーネット、かな……? [何故かすっかり姿を変えた、 深く静かに輝く石の飾りが、そこにあって。 不思議と胸を打つ煌き。 何一つ、脈絡もないまま、脳裏を駆けるあの日の。 濃紺の闇の中を照らすように、 きらきらと輝いて座る赤。 ふ、と笑んでそっとつまみ上げて、 耳朶を飾った。]** (125) 2021/02/11(Thu) 7:13:26 |
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