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【人】 移り気 ジェイド■ 決戦前夜 知識では知っている。 海は青に緑に、まるで宝石のように輝くという事を。 でも、僕が肉眼で見ることの出来る海は、夜の闇をそのまま溶かしたような色しか持ってはいないものだった。 冬の夜の海はそこに身を切る寒さも加わるものだから、訪れるものもそう多くない。 明日はニューイヤーイブ。 僕とキネイ、コトネにとっては、"ゲーム"の勝敗を決める日。 明日の夜なら年明けを賑やかに迎えたい若者たちが海辺を訪れることもあるのだろうが、この夜は人影ひとつ見当たらなかった。 グリーンフラッシュは、別に、今のままでも見られるんだ。 一人、冷たい砂を踏みつつ、思いを馳せる。 冬の冷たく澄んだ空なら、見えやすいと言うし。 朝日を浴び、そのまま砂になって消えてしまっても、 ────別に、未練は無いよね? 人と吸血鬼が"極楽浄土"で会えると信じてはいないけど。 でも、此処に居続けるよりは、"あの人"の近しい場所へと行ける気がする。 (0) Valkyrie 2019/12/31(Tue) 15:06:34 |
【人】 移り気 ジェイド 僕は、"人になりたい"んじゃない。 本当には、"吸血鬼をやめたかった"んだ。 それを自覚してからは、朝日を浴びて砂になることが、最上の甘美な誘惑になった。 カピバラの言う"なんでもひとつ願いを叶える権利"など無くても、僕は、己の道は己で決める。決められる。 僕が勝ったら、願いはあの子らのために使おう。 でも、キネイが吸血鬼になるのは、駄目。 それだけは、駄目。 ────だから絶対、僕が勝つ。 明日、したいことができた。 その後に来るのが絶望か希望かは僕には判らないけれど、いつ砂になるかはその時考えれば良いことだよね。* (1) Valkyrie 2019/12/31(Tue) 15:07:07 |
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