26 【身内】朧月夜とお散歩犬【R18】
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── 夜:病室にて ──
[面会時間が終わり
彼が帰ってしまった病室は
急に温度を失ったように酷く寒々しい。
空調管理されている筈なのに
指先から凍えていく感じがする。
そんな両手に、はー…と息を吹きかけ
こすり合わせてから
筆を取った。
”タロの体温を感じながら眠る”
それを叶える為に
どんなことでもする覚悟を綴る。
抗い切れない睡魔に襲われるまで────…]*
[眠りに就いた後に見る夢は
場面こそ違えど
あの悪夢の繰り返しだ。
結末が分かっているのに止められない。
変えることもできない。
絶望
を、
何度も何度でも…………]
── 悪夢の中で ──
[タロからの提案は
とてつもなく魅惑的だった。
アレはもちろん飲みたくない。
が、
それ以上に
俺の希望を叶えてくれようとする
気持ちの方に心打たれた。]
[幼い頃から
誰にも理解されずにきた
だ。
医者の子はやっぱり違うね、
なんて、やっかみ混じりの感想なんか
疾うに聞き飽きた。
「今度、解剖させてくれん?」
自らネタにすることも覚えたが
本心だと判かれば
同じ方向性を目指しているはずの
学友たちでさえ、眉を顰める。
まさか本気で
肯定してくれる人が現れるとは
思ってもみなかった。]
[
ああ、嬉しかったんだ。
どうしようもなく。
]
[他の選択肢なんか
目に入らぬ程に
その計画に取り込まれた。]
タロのタイミングで、いいぜ
[運命の選択の瞬間は彼に任せ、
手を引かれて駆ける。
弟みたいだ…なんて言ったけれど
どちらが兄か
分からねーなって
そんなことを考えられたのは一瞬だった。]
[本当に…
ああ、本当に
この上もなく特等席だった。
扉を開けた途端に
凄い勢いで、”アレ”が這い寄り
獣臭い息を感じた時には、]
ッ、──────!!!!!!
[かぱりと開かれた大きな顎が
タロに、タロだけに襲いかかっていた。
丸呑みされる筈だなどと言う
俺の半端な知識は、ものの見事に裏切られ
頭を噛み砕かれる血飛沫を
てっぺんから爪先まで
思いっきり、ビチャビチャと浴びながら
望んで止まなかった、その光景を
食い入るように凝視した。]
[前日に観ていた
グロいホラーなんか
児戯に等しい、作り物。紛い物。
悲痛な叫びと、生々しい咀嚼音。
8Kの画面でだって
表現しきれない美しすぎる赤が
彼の命の散り際を、辺り一面に咲かせている。
布地に覆われていない素肌は
その血の”暖かさ”を
敏感に感じ取って総毛立ち、
鼻腔を満たす噎ぶ香りに
興奮を否応なく掻き立てられた。]
は、はは‥‥、ははは
すっげぇ 頑張ってるな?
えらいぞ、タロ。
[気が狂った訳でなく
正気を保ったまま、男は歓喜する。]
[ただ、惜しむらくは
あまりに早く、腹の中に収められすぎて
堪能する時間が限られていること。
その綺麗な内蔵に
手を突っ込んで掻き混ぜて
弾力も、感触も、思う存分愉しんで
ぴくぴくと痙攣する様も
苦痛に歪む表情も
もっともっと、味わいたかった。
そう、できれば、
─────自分の手で。
]
[体から切り離され
取り残された腕は重いのだな、と思う。
筋肉のあまりない
ほっそりした二の腕ですら
こんなにも。
繋いだ指先に
ぷらり、ぶら下がり血が滴る。
力強く引いてくれた
”タロの意志”は
もう此処には存在しないのだと
唐突に実感して………… ]
[そんなことを思っているうちに
繋いだ手も、もぎ取られ
大きな空洞へと収められていく。
肉塊が無くなってしまえば
ぶち撒けられた
脳みそと血液のマーブルソースまで
旨そうにべろりと舐め取られ
ころり、と眼球を口に放り込まれれば
タロの痕跡は
床に転がる真っ黒な腕、唯1本だけ。]
[ああ、だけど、
だけど…、そうだ!!
何の問題もなかった。
俺も続いて食べてもらえば
腹の中でグチャグチャに混ざり合える。
喰われるのは痛いだろう、
苦しいだろう、
それでも、
あの綺麗な内蔵と
鮮やかな血と、柔らかな脳みそと
”がんばる”と伝えてくれた声帯や唇と
もう1度
邂逅できるのだと考えれば
そう悪いことには思えなかった。]
[なのに、
この番人ときたら、だ!
俺には目もくれず
くるりと背を向けると
重そうな腹を引きずりながら
ズルズルと去っていく。
タロの血で足裏を
滑らせそうになりながらも追いかけて
握りしめていた包丁を、力一杯振り下ろす。]
俺も、喰え!!
喰えっつってんだよッ!!!!!
この畜生がッッ!!!
[弾かれたか、避けられたか
それとも傷つけることが叶ったか。
いずれにせよ
共に逝こうという約束は
大きな影によって、
]
あ‥‥、 ああ、…!
[一度見た、夢?の中では
巨大な影でしかなかった存在は
隣室から入る炎の揺らめきに照らされて
輪郭を露わにする。
それは、神様と呼ぶには
あまりにも……
ゾウ
だった。
動物の
ゾウ
は優しいはずだが
コレは…、コイツは……]
……ッ、 い…や、 イヤ……、だ…!
[禍々しい気配に
ガクガクと震えながら
首を左右に打ち振り、後退る。]
[タロが喰われ
皆が居なくなってしまってから
どのくらい経ったのか。]
……もぅ、 も、殺さな……
あ、来るな!……来る、なッ…
や、…
あぁああああああ…ッ!
[どうやったって
その激痛からは逃れられぬというのに
一向に慣れぬ体は、逃げを打つ。
ひとは、死を意識した時
苦痛や恐怖と向き合わずに済むよう
性交の200倍もの快楽物質で、脳が満たされるという。
しかし、神の気まぐれで玩具と化した男には
そんな赦しが与えられる筈もなく
逃げ道のない死の遊戯は
レオの精神を延々と削り取っていった。]
[蝕まれた精神の唯一の拠り所は
残された黒い、腕。
あの時みたいに、救い上げて欲しくて
硬く冷たくなってしまった腕に
手を伸ばし、抱きしめる。]
……タ、ロ ッ、 助け、て…… ぅ、ぁあ!
[今度こそ、
一息で死ねるんじゃないかと
指をしゃぶり
肌を舐ったりもしたけれど
命を弄ばれる悪夢から
決して、覚めることはなく───……]
[気を失ってしまえれば…、
失ってしまいたい、と何度思ったことだろう。
噛みつかれ臓物を啜られるのも
群がられ、身動き取れぬまま血を抜かれるのも
される側でなく
する側で在りたかった。]
あぁあ! や………嫌だッ!
ぅ、は、ああああッ!!
[快楽に変換されぬ痛みに
床に崩折れ
藻掻き、のたうちながら
ぶちゅり‥また心臓が握り潰される。]
[この大きな存在の前で
自分は、なんてちっぽけなのだろう。
そう思う時
羽をもいだ蜻蛉
腹を開かれたまま逃げ出した蛙
クスリを飲ませた
実験動物たちの姿が、浮かんでいた。
自分もまた
たくさんの命を
弄んできた代償なのだろうか。]
[望んで受け入れたい行為では決してないが
もしそうならば仕置かれるのは
仕方ないのだ、と。
反射的に漏れてしまう悲鳴は
どうしようもないけれど
ヤメて、と
嫌だ、と
殺さないで、と
繰り返される死という厳罰を
否定する言葉だけは
迸らせてしまわぬよう唇を噛んで耐えた。]
───────ッ、 んんん゛…ッ!
[結局、最後には
礼拝堂の硬く冷たい壁に
悲痛な叫びを反響させてしまっていたから
その些細な変化が
神に伝わったかどうかは、分からない。]
[もし、もしも…
赦されることがあるならば、
己が願うことは、────唯ひとつ。]
……タロ、に、… ッ、
タロの、とこ‥‥っに、
逝か、…せて……ほし‥‥ぃ、
[今も、ずっと
寄り添ってくれていることに気づけぬまま
ひたすら、それだけを懇願した。]
[死の断罪を受け入れ
”逢いたい”
”追いかけたい”
”彼の元へ逝かせて欲しい”
ひたすらに、それだけを願い続けて
どのくらいが経っただろう。
礼拝堂に静寂が戻り
這う音だけが響くようになった頃、
ひたすら発作を繰り返すばかりだった青年が
皮膚を透かす眩しい陽の光に
ぴくりと瞼を動かした。
のだが、
夜毎、繰り返す悪夢には
救いが訪れる瞬間のことは現れず
殺され続ける最中で、孤独に飛び起きるのだった。]**
── 目覚めの刻 ──
[起きて…と訴えかける
悲痛さを伴った懐かしい声音が
すぐ傍で響く。
ああ、
ずっとずっと
求めて求めて求め続けていた────]
‥‥‥っ、 タ、ロ‥?
[掠れた息で呼びかけて、
手を伸ばす。
何度となくそうしてきたように。]
[掴めたとしても、硬く冷えた腕だけだった。
だが、今回は違った。
俺の大好きな
新鮮な
の匂いを溢れさせながら
熱が、鼓動が、吐息が
重みを伴って乗り上げる。
薄く開いた瞼の合間
指が捉えた肌はぬるりと滑って
その感触と見た目の美しさに溜息を漏らす。]
………あぁ、 綺麗、だ、
[再会の喜びの発露でもなく、
共に逝けなかったこと
追いかけるのが遅くなったことを
詫びる言葉よりも先に
口から零れたのは、感嘆の響き。]
[唇から伝い
腕からも溢れる真紅で
彼と、自分が、彩られていく中
恍惚の笑みを浮かべ
抱きしめ返す。
なんとなく感じる違和感の要因に
気づくよりも早く
タロの言葉が、鼓膜に届いた。
]
…捌いて
、 グチャグチャ
に……?
[反芻しながら
その響きにゾクゾクと背筋を震わせる。]
[死後の世界が
どんなところか分からねど
虫も、動物も
無益な殺生はするまいと
繰り返し殺されながら、誓いを立てた。
己が抱く欲求は
どうやら
世の理から外れているらしいから。
天国でも、地獄でも
タロと同じところに逝けるのならば
それら全て、無理矢理にでも抑え込もうと
考えていたのだが‥‥‥、]
[
望んでくれていることを
止める必要は、流石にないよな…?
]
[この
を
ただひとり、叶えてくれる存在。
タロだけが特別で
タロだけが必要だ。]
俺の、好きに‥‥シてもいいんだ?
ああ…、うれしいな。
タロのことを精一杯
大切に、大切に、苛んであげる。
[此処を出る、の
正確な把握もできていないままで
望んでもらえる未来に
妄想の翼を羽ばたかせる。
興奮に沸き立ち
立ち上がったのは産毛だけではなかったけれど
厚い布団が開かってくれた。]
[そんな興奮も
病室の中に鎮座する
像の姿を目にした途端に、霧散する。]
……、 ッ、 ………ぁ、 ぁぁ…!
[あまりの恐怖に
呼気を取り込むのも忘れ
喉の奥に籠もる悲鳴を上げながら
ガクガクと体を大きく震わせて
ベッドの上で後退る。
男の病名は「強度の恐怖症」。
目覚めたレオを診た、精神科医はそう診断した。]
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