【人】 和菓子屋 稲庭―回想:「うさぎ堂」稲庭の夫婦― [うさぎ堂は、稲庭秋実の両親が経営している和菓子屋である。秋実の父で二代目で、そこそこ長くやっていると言えようか。 まだ先代が現役だった頃、稲庭の夫婦も従業員としてやはり務めていた。毎年団子を買いにくる夫婦の顔を覚えていたのは、年が近いように見受けられたこと、同じように夫婦だったからだろうか。 夫は寡黙気味だったが、妻同士で「いつもありがとうございます」「今年も良い月だといいですね」くらいの雑談は交わしたこともあっただろう。>>24 しかし、夫婦で来ていた常連客は、いつしか父娘へと変わっていった。] (28) 2022/10/02(Sun) 9:04:35 |
和菓子屋 稲庭は、メモを貼った。 (a3) 2022/10/02(Sun) 9:08:17 |
【人】 和菓子屋 稲庭― 観月祭 ― [昼は通常営業をしていたが、夜は露店も出す予定である。 露店ではすぐにお持ち帰りが出来るよう、あらかじめ包まれたお団子に、おはぎや大福、栗きんとんに芋ようかんなども販売されている。 露店近くには長椅子が置かれたりもしているので、気軽にお茶とセットで食べていく客も居そうである。**] (31) 2022/10/02(Sun) 9:12:14 |
【人】 行商人 美濃[猫飼いの男性に箱の蓋を開いて見せた時、常と何の変わりもない腕の中を見て、ああ、やはり、と女は思った。 落胆と、まだ頃合ではないだけだという僅かな希望。 それは猫の額どころではなく髭一本分にも満たない細い希望だったが。 ───…一等綺麗な満月の晩だけ、 それは綺麗に咲くのだと、彼の人は言った。 もしその時が来るならば、きっと───… 何処で手に入れたかも知れない、文献を漁ってもそのような花は無く。 戯れだったのかもしれない、否、おそらくただの戯れであった、 まるで御伽噺のようなその言葉を鵜呑みにする齢はとうに過ぎている。 それでも女は、満月が来るたびに箱を開いた。 そしてその間一度とて、腕の中には些末な変化もありはしなかった。 この地でこの晩、月が中天にかかる頃にも叶わぬならば諦めよう。 そうして、一等美しい偃月を見て、団子を食み酒を飲む。 それだけできっと充分だろう。 だって今宵の月はふた目と観ることは叶わないだろう程に綺麗で。 彼の人を思い出すには相応しい。 観月祭の噂を聞き、この砂漠に浮かぶ島へと行くことを決めた時から、女はそう決めていた。]** (32) 2022/10/02(Sun) 14:18:43 |
修理屋 一二三は、メモを貼った。 (a4) 2022/10/02(Sun) 16:13:00 |
【人】 澤邑[ >>18そこを空けておくれと、こゆきを退かして膝に乗せようとするといやいやとどっかに行って、残念に思って本に熱中し始めた頃にそっと戻ってきた。寄り添うように尻をくっつけている。 先に退かした自分も悪いのだが、本当に思い通りにならない生き物だ。それが可愛いのだから。] ごめんごめん [ 普段はもう少し早い時間に出かけるから、こんな遅くに紐を括られて気分じゃないのか、気持ちよく寝ていたのを起こされたからか、うねうねとして嫌そうにしている。だけれど抱えれば諦めたのかじっとしていた。 随分と散歩慣れしたし、近所の顔見知りからは見慣れた光景になっていたかもしれない。こゆきもしゃんとして尻尾を立てて歩くことも多くなった。今は人が多くて自分が抱えているのだが。 それから目的地で立ち止まり。>>18*] (33) 2022/10/02(Sun) 19:12:00 |
【人】 澤邑─露店・美濃─ そうですか、はは [ こゆきを紹介すると、>>19大事にしているのがわかると言われて悪い気がするわけがなく。毛艶もすべすべだし目も綺麗だし耳から尻尾までぴかぴかの猫というのを密かに誇らしげにして。顔に出さないようにするのが難しかったかもしれない。猫バカだ。 女性がこゆきに手を伸ばしかけて、そのあと控えたのかその手を止めた。他人のものへの慮りが感じられて一層良い人な印象が残る。] ゆきちゃん [ こゆきを伺うと、その様子はどうだったか。その後は品物をいろいろと眺めて面の女性の説明を聞く。] 蜻蛉のおもちゃは良いですね でも、すぐに傷むと勿体なくはない? 綺麗にできているからなあ よし決めた、鞠と赤の毛糸玉、蜻蛉のおもちゃもください。 [ 猫は毛糸に含まれている成分が好きなんだとか何かで読んだ気がする。この毛糸の素材が当てはまるかはわからないけど。糸で遊ぶところが見たい。家人に生暖かい目で見られる気もする。 蜻蛉のおもちゃもいかにもこゆきが飛びかかって遊びそうだ。羽など口にしないようよく見ておかなければならないが。 あと単に鞠は刺繍が綺麗だった。] (34) 2022/10/02(Sun) 19:13:47 |
【人】 澤邑ああ、それは大切だ [ 箱も商品なのかと尋ねると>>20それは私物だそうで、それも「大切な荷物」>>0:49と自分の猫と同じくらいのものと言われれば何が入っているのかわからなくても、それが大事な物だとは良く伝わってきて目を細めて笑った。] 見て良いんですか [ 特に自然に彼女が箱の蓋を開けてくれたので、視線はそちらへと向かう。] あれ? [ しかし中身をすぐに見て何なのかがよくわからなくて、説明を受けてようやく得心がいった。小ぶりの茶碗に土が盛られていて、花が咲くのを待っているという。その土に種が植えられているんだろうか、それとも少しまじないのような厳かさも感じて細かい事を聞くのはやめた。] 大事なものがあると励みになりますね [ 箱を扱う手つきが丁寧に見えて、彼女にとって自分のこゆきと同等ならその通りだろう。*] (35) 2022/10/02(Sun) 19:15:16 |
【人】 澤邑よし、その硝子細工の板もください たまには妻にもお土産を買ってあげよう [ 栞に使えると聞いて心に決めた。花の綺麗なうちに閉じ込められたもの。多分他所で見ても気にもとめなかった気もするが、雨の日に出会って、猫を気にかけてくれた人、会話とこの時間のおかげで良いものに思えた。 いろいろと買ってしまったから、あとは食べ物しか買わないぞなんて心に決めながら。値段を尋ねてそれを支払う。*] (36) 2022/10/02(Sun) 19:16:04 |
【人】 和菓子屋 稲庭猫ちゃんには、ちょっと甘すぎるかもしれないですねぇ。 [和菓子はあげられないですね、ごめんなさいですぅと白い猫ちゃんに声かけしつつ。 程なくして、お盆に栗ぜんざいと月見団子を乗せ、澤邑の所へ運んできた。**] (39) 2022/10/02(Sun) 20:01:41 |
【人】 澤邑 よかった、ありがとう そしたら端の方で待たせてもらうよ 少し冷えてきたから暖かいものがほしくて [ 普段は猫を連れている時は店舗内に近づくことはやめていたのだが、案の定お断りとのこと>>38ただ、祭りの間は外の席なら良いとの返事で笑顔を浮かべた。 涼しい外で月を見ながら甘くて温かいものと考えれば届く前から心が躍る。] ゆきちゃん、食べるかい [ >>39猫ちゃんなら甘すぎるかも知れませんねえと、こゆきに話しかけるようすのうさぎ面の娘に少し笑って。手荷物の中からこゆきのおやつを取り出す。硝子の容器にささみを水で煮た物が入っている。 長椅子の端に腰掛け、こゆきの紐はしっかりと腕に通している。猫は近くにいたか、紐の行ける範囲をうろちょろしていたか。寄ってくるなら蓋を開けてこゆきに差し出す。 そうしてるうちに自分の注文したものが直ぐに届いた。これも人気なのだろう、手際がよい。綺麗に包まれた団子も一緒に。一度家に戻って置いて帰ろうかなと今更。後になれば品切れしそうでお参りの前に立ち寄ったのだ。 いやまあ良いかと、この後は神社まで行ってと、先のことを考えつつ、箸を割りいただきますと湯気の上がる碗を手に取る。猫の心配をしながら、月も観ながら、もたもたと時間をかけて箸をすすめた。**] (40) 2022/10/02(Sun) 20:44:16 |
【人】 行商人 美濃─露店のお客様・澤邑 ─ [愛猫を見ての第一印象を伝えれば、猫の主の顔が綻ぶ。>>34 印象とおりに大事にされているのだろう。 常日頃からこの小さき生き物を、目に入れても痛くない程に…、有体にいえば“でれでれ“と、愛でている姿が目に浮かんだ。 呼称が砕けて「ゆきちゃん」と変わるのもそれを裏付けているようで、女は袖を口元にあてて、ふふと笑った。] 童が振り回しても良いようなものだから。 本物の蜻蛉よりは頑丈よ。 まあ、たくさん買っていただけて嬉しいわ。 [蜻蛉は多少傷つこうとも、その小さな爪に引っ掛かれた痕すら微笑ましく見えそうだと笑って。 赤の毛糸玉は白い毛並みに映えそうだ。特殊な素材でもない毛糸はきっと猫にも気にいるだろう。 薄桃の毬も艶やかな毛並みと並べても遜色ない品だ等、猫が遊ぶところを想像しながら頼まれた品を紙の袋に詰めた。] (41) 2022/10/02(Sun) 20:50:00 |
高比良は、メモを貼った。 (a5) 2022/10/02(Sun) 22:15:07 |
【人】 虹彩異色症の猫[ 澤邑が勧められるままに露店の品を覗き込むと>>34、肩口に前足をついていた猫はそのまま背中へ乗りかかろうとしたのを捕まり、腕の中へ仰向けに収められた。 猫は散歩慣れのためか今更人怖じはしないが、露店の店主が老人の腕の中にいる猫を覗き込むことがあれば、仮面の様子がめずらしいのか狐の面をじっと見つめている。赤子のように抱えられた猫のおかしな様子といえば、腹が剃り上げられ白い毛の中に淡桃色の地肌を晒していることだ>>0:10。 品定めにあれやこれやと飼い主と店主が言葉を交わす間、店先に吊り下げられた蜉蝣の玩具に目を留め手を伸ばす。生憎短い手足は届かない。届かないのが悔しいのか腕の中で手足を振り回している。 毛糸や毛玉も転がせば気を惹くのかもしれないが、今はゆらゆらと動く虫の玩具に執心のようだった。 手土産を詰めた紙袋を腕に、今度は猫は路面に下りて自分の足で歩いている。 澤邑の独り言ち>>37に相槌こそ打たないが、自分に話し掛けてあるのが当然のように顔を見上げている。 甘いものは食べないが、人が食しているものはやたらと欲しがるため餡のひと舐めくらいはしたことがあるかもしれない。本当にひと舐めして満足したのかそれだけだ。 許可の出る前に長椅子の上に早々飛び乗り、やはり売り子の仮面に身を強張らせて視線を留めている>>39。] (45) 2022/10/02(Sun) 22:19:02 |
【人】 控井[買った月見団子をよき所で、月を見ながら頂こうと用意し、 兎のぬいぐるみも準備万端だ。 女性は身支度に時間がかかるもの。 妻や娘が呉服屋で購入した浴衣を着るのに、 中々終わらない支度を、天気を気にしながら待ったものだ。 我々男たちは常と変わらぬ洋装だけれど。 いい大人の男がぬいぐるみを抱えて出かけるのは滑稽だが、 今日は祭だからそれ程、悪目立ちすることもないだろう。 うさぎ堂の娘さんのように面を付けた人や、 飼い犬や猫を連れている人も見かけたことがある。] (47) 2022/10/02(Sun) 22:42:05 |
【人】 控井[かくして家を出てみれば、 雨音しか聞こえなかった数日間が嘘のようで。 活気に溢れた通りは賑やかで、 色取り取りの提灯の光が鮮やかだ。>>n0 ざわざわとした人々の話し声に混じる、 遠くからのお囃子の音。 露店も色々と出ており、 ちらちらと珍しいものはないかと目をやる。 地元の特産品などは見慣れているけれど、 祭には島外の商人が出店をしたりもするので新鮮だ。 私は割と見ているだけで、満足してしまう質だけれど。 通りすがりに狐面の女性が営む露店を見つけ、>>44 ふと足を止めた。 玩具や装飾品、日用品などが並べられており、 これなんて、君が喜びそうだ。これは彼女に……。 そんな風に脳内で見立てては、顔を綻ばせた。*] (48) 2022/10/02(Sun) 22:43:11 |
【人】 控井― 回想:君への贈り物 ― [男が「聊か支度に時間がかかりすぎやしないか?」と言えば、 女は「殿方のようには、いかぬものなのです」と ツンとそっぽを向いた。 女が身に纏うのは、菖蒲の柄の入った浴衣。] よく似合っている。待った甲斐があった。 [その様に男が返せば、女は忽ち機嫌を直した。 仲良く並んで、薄墨神社への道を行く。 女は露店を見つけては足を止め、 並べられた珍しい品に目を細めた。 薄墨神社にて、長椅子に腰掛けて月を見上げる段になり。] 君にこれを。これをつければ、 月の姫もかくや……なんてことになるかもしれないね。 まぁ、そこまで大層な代物ではないと思うけれど。 [男はそう言って、妻に螺鈿細工の簪を贈った。 毎年、露店で見つけた何かを贈るのも、夫婦の恒例だった。*] (49) 2022/10/02(Sun) 22:44:30 |
【人】 控井― 回想:彼女への贈り物 ― [まだ幼い時分の娘は、 金魚柄の浴衣を祖母に着つけて貰って出かけた。 男と並んで、手を繋いでゆっくりと歩いていく。 露店が気になるのは娘も同じなようで、 父娘の歩みは、実にゆったりとしたものだった。] 何か欲しいものがあったら、言ってごらん。 買ってあげるのは一つだけだから、よく選ぶんだよ? [男が微笑みかけると、娘もつられて笑顔になる。 「お父様、大好き」と娘が言えば、 「現金なものだね」と男は苦笑い。] 「お父様、わたし……あれが良いわ!」 [たっぷりあちこちの露店を吟味して、 夜空も大分暗くなってきた頃合いに、 やっと娘の心が一つに決まる。 娘がその年に望んだのは、 浴衣と同じ金魚の描かれた風車だった。**] (50) 2022/10/02(Sun) 22:46:23 |
控井は、メモを貼った。 (a6) 2022/10/02(Sun) 22:49:01 |
【人】 行商人 美濃─露店のお客様・こゆき─ [猫飼いの男性と露店の品についてやりとりしている間、どうしても抱き抱えられた猫の方をちらちらと見てしまうのは仕様のないことだ。>>45 毛が剃られた後の肌が見えれば、思っていたよりも年嵩なのだと気づく。 面立ちに稚さは残していても、そういった施術が必要な年頃なのだと。 まだ新しい剃り跡に、昨日の雨の中で箱に入れられていた理由を推測すれば一人納得した。 仮面の細い目元から覗く女の瞳と、じいとこちらを見遣る猫の目が合った。 物珍しそうに見つめる瞳に、思わず目を細めるが、仮面の外からはわからないことだろう。 飼い主の腕の中、蜉蝣の玩具にご執心の様子を見れば、小さく笑って] 帰ったらいっぱい遊んでもらってね。 [猫じゃらし代わりに買われたそれを袋に詰める時は、そう声をかけた。]* (51) 2022/10/03(Mon) 0:38:05 |
【人】 行商人 美濃─露店の近くに佇む人・控井─ [女の佇む露店の先の路上、はたと足を止めた男性の姿が視界に映る。>>48 並べた品を眺める表情は穏やかで、誰かへの贈り物を探しているのだろうかと、いくらか空想癖のある女は思う。 彼の視線の先を追えば、男性向けの日用品を並べた方向ではなく、女性向けの装飾や童の喜びそうな玩具の方に見えて。 先程猫飼いの男性が愛猫の玩具を選ぶ様子や、奥様への贈り物を買う優しげな表情を佇む彼の顔に重ねた。 幸せな家庭を持つ人なのだろうという空想は、彼の抱える憂いを読み取ることはなく。 贈り物をあげたい誰かがいる幸せと、相手の喜ぶ顔を思いながら贈り物を見繕ってくれる人がいる誰かの幸せが、長く続けば良いと、勝手に願う。 自分にはもう詮無き願いだからこそと思えば、他者の持つ哀しみや事情には考えが及ばない。 幻想的な非日常に恋をして、夢のような時間ばかりを享受して、少女の頃から空想癖だけを抱えたまま大人になった女は、現実の無情ややるせなさを意識の外に置いたまま、もうずっとあの頃というひとところへと取り残されていた。]** (52) 2022/10/03(Mon) 1:19:52 |
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