【人】 1年生 朝霞 純【翌月末、手紙参り】 [松本さんが手紙を書き終えたのは、皆よりも少しあと。 一緒にお焚き上げするのには間に合わなかったので、一枚だけ、別で持ってきた。 小泉さんの名前が読み上げられて、そうして文字を見るのが苦手な松本さんが、友人のために書いた手紙が火の中へと投じられる。>>-1346 薄く上がる火の粉、それよりも遥か高いところへ昇っていく煙。 死にたがった人は、大切な人と、今、精一杯に生きている。 自分の夢や未来を大切にしながら。 最期、小泉さんの最期に紙吹雪の魔法を使おうと提案してくれた、優しい人の友人宛の手紙が、薄い煙と共に天国へと運ばれていく。 小泉さんは見てくれるだろうか、今の状況を知ったら、きっと喜んでくれるだろう。 松本さんと小泉さんは周囲から頼られる人同士、何かと話してもいたようだったから。 そっと天国から、たまに見守っていてほしい。 大切な友人のことを、放っておけない人のことを。 これからを生きていく私たちのことを見守っていてほしい。] (430) 2022/09/19(Mon) 23:53:59 |
【人】 工藤美郷── 十数年後 とある夏の日 ── [ドアが開いた途端、忘れていた熱気がむわっと美郷を包み込んだ。一瞬にして全身から汗が噴き出す。改札を出れば、目の前を子供が駆け抜けていった。彼らは移動するとき、当然のように走る。 電車は予定通り到着した。ターミナルの時計は、純さんとの約束にはまだ時間があることを示していた。 アスファルトがゆらゆらと空気を歪めていた。熱せられた上昇気流に乗って、香ばしい香りが空へと昇っていく。美郷は紫外線に肌を焼かれる感覚を味わうと、ほんの少しの時間たりとも外で待つのを速攻で断念した。純さんに『駅前のパン屋7:364に居ます』とメッセージを送り、足を向けた。 相変わらず食べられるものは少なかったが、パン屋を見つければ店内に入るようにはなっていた。それは若い日に食べたあの味を求めてというよりは、小泉先輩へのお供え物を探す感覚だ。] (434) 2022/09/19(Mon) 23:55:26 |
【人】 工藤美郷[美郷はすっかり大人になった。食生活が変わって、代謝も落ちて、体格も幾分か丸くなった。小泉先輩の享年など、随分前に追い越した。 小泉先輩の時間は止まったままなのに、今の自分の方が人生経験も積んだはずなのに、いつまでも彼の方が年上のような気がした。 胸の内に思い起こす小泉先輩も、少しずつ変容しているからだろうか。] (435) 2022/09/19(Mon) 23:55:40 |
【人】 4年生 小泉義哉[ 記憶喪失だった時のことにも触れた手紙には、>>393 夢の中でも謝ってもらったのに律儀だなと思いながら。 彼女の心が少しでも楽になったのなら、 自分の生きた時間も無駄ではなかったのだなと思う。 この手紙で工藤もパンを作っているのを知ったときは、 すでにお供えが来ていただろうか。 いずれにせよ、美味いといただいていたのは 変わらないが。>>258 きっと朝霞と工藤は仲良くなったのだろうと、 文面からも分かるから、そのことも嬉しい。 天国から姿形を見守ることは難しく、 現世に還るときに見つけられたら、にはなりそうだが、 転生するまでは、ずっとこの場所から、 みんなの幸せを祈ることは続けようと思う] (436) 2022/09/19(Mon) 23:55:42 |
【人】 4年生 小泉義哉[ もしかしたら、 その他にも手紙は届いていたかもしれないが、 いずれにせよ―― みんな、ありがとうな。と心の中で呟きながら、 目を閉じて、届いた手紙を胸に抱える。 みんなと出会えて本当によかった。 次にもしまた会うことが叶うのなら、 みんなのことをもっと大切に思えるような 人間として出会い、 自分が死ぬことに決して満足しないような そんな人間でありたいと義哉は願う]** (438) 2022/09/19(Mon) 23:56:11 |
【人】 工藤美郷[ご飯時だからか、パン屋は繁盛しているようだった。窓越しに人影が見える。 ドアを開けようとした途端、中から子供が飛び出してきて、誰かの名前を呼びながら走っていった。友達がいるのだろう。] ………………。 [美郷は呆けたようにその子供を見送る。後ろの客から声をかけられて、やっと我に返って店内に入った。] (439) 2022/09/19(Mon) 23:56:19 |
【人】 工藤美郷[混雑していて、総菜系の甘くないパンはほとんど売り切れていた。しかし美郷の目的とするクリームパンはまだ売ってあった。 イートインコーナーに行く頃には、純さんも合流していただろうか。 美郷はパンを一口食むと、じっと考え込んだ。それから窓の外で遊ぶ子供たちに目をやった。 ちょうど隣の席を整えるためにやってきた店員に、] このパンはあなたが作ったのですか。 [確認すると、その通りだと言われた。少しだけ息子が手伝ったとも。 工藤は頷くと、] 遠い昔に、同じ味を食べた気がしました。 ……また来ます。 [そのように伝えて、再び窓の外に目を向けた。店員もまた同じ方向を見つめていた。 少年は太陽の光を受けて、力いっぱい遊んでいた。見ている間にも転んだ友達を励まし、あるいは喧嘩し、泣きながら仲直りをして、幼い感情を自由に放出しながら、空へ空へと成長していた。] (440) 2022/09/19(Mon) 23:57:25 |
【人】 工藤美郷[美郷は目を閉じて瞼の裏に小泉先輩を描く。小泉先輩は、美郷が見たことの無い、屈託のない笑顔を浮かべていた。 美郷は願った。彼の永遠の幸せを。] (441) 2022/09/19(Mon) 23:58:19 |
【人】 2年生 松本志信[電話がかかってきたのは、あの夢みたいに晴れた遅い夏の日で。 綺麗な青空が広がる、風の穏やかな日だった。 突然かかってきたものだったから驚いたけど。 丁度、そろそろオムライスもマシなものが作れるようになってきてて 今度の電話でそんな話でもしようかな、って思ってたところだったから。 泣き虫な彼の報告に、柔らかく微笑んで] (442) 2022/09/19(Mon) 23:59:56 |
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