飴色の世界 みかんは、メモを貼った。 (a2) 2021/10/15(Fri) 18:57:52 |
【置】 探偵用 ジョシュア世界は、今日も、明日からも、 誰にも等しく不平等である。 だからこそ。 いまこの瞬間だけは、愛していたい。 嫌なことばかりで、でも、 僅かに変わり始めた、日常のことを。 0と1の、グレイ・コードで作られた探偵用は、 不出来で、不平等な世の中を少しだけ諦めたくなくなった。 ただ、それだけの話だ。 (L4) 2021/10/15(Fri) 20:35:28 公開: 2021/10/15(Fri) 21:00:00 |
【置】 医療用 ユー【これまでのおはなし】 終末医療用グレイ、ユーサネイジアは 初めは大きな病院に居ました。 人間の医師の代わりに、安死術を施す為のグレイとして。 望まれた死と言えど、人を殺すという事は とても施術者の心に負荷が掛かる事です。 誰だってやりたくない事です。だから人間はグレイに押し付けました。 定期的にメンテナンスを受け 精神的な負荷を取り除かれ 虐待されたり、不当な扱いを受ける事も無く それなりの日々を過ごしていました。 心無い医師や遺族の言動に、少しばかり悲しみを覚える事はあったけれど。 それから暫く経って、ユーサネイジアは郊外のサナトリウムへ移されました。 Euphoriaとはその施設の名称、つまり所属を表すものです。 何故移されたか?答えは医療用としては少しだけ古いものになってきたから。 医療用グレイというものは 医者ではなく、医療機器の親戚のようなものです。 だから その世代交代は他と比べて、とても早いものです。 ユーサネイジアは、グレイ全体で見ればずっと新しいものだけれど 大きな病院で扱われる医療用グレイとしては、少しばかり古かったのです。 そうして異動した先では、メンテナンスを受ける事はありませんでした。 行われていないわけではないけれど、目立った異常の見られない者は後回し。 ユーサネイジアは、いつも自分が後回しになるようにしていました。 どれだけ心無い人間に失望を覚えても 好きなものの為なら頑張れました。 当然、同じ場所で働くグレイ達の事だって皆一様に好きでした。 (L5) 2021/10/15(Fri) 20:43:08 公開: 2021/10/15(Fri) 20:50:00 |
【置】 医療用 ユーそんな日々を暫く続けていたある日の事。 同じくあまりメンテナンスを受けていない医療用グレイから もう人間に裏切られるのは嫌だ。もう理不尽な目に遭うのは嫌だ。 一思いに廃棄された方がずっと良い。だからあなたの手で楽にしてほしい。 そう言って、安楽死を望まれました。 ユーサネイジアは 迷ったけれど、望まれるままに安らかな死を与えました。 致死量の麻酔薬を投与して、同僚であった医療用グレイを手に掛けました。 そのグレイは最期に感謝を述べて、安心したように息を引き取りました。 人間達がそれに気付いた後、施設内は少しばかり騒然としました。 そうしてユーサネイジアは、死に救いを見出しました。 元よりそれは、生の苦しみへの最期の救いと信じてはいたけれど 未だ死に瀕していない者にまで与えたいと感じるようになりました。 自身の愛するものは、これ以上理不尽に傷付けられる前に。 自身を落胆させるものは、これ以上裏切られ、失望させられる前に。 殺してしまえば、救われる。死者は決して自身を裏切らない。 それは確かに、ユーサネイジアにとっての そして何より、ユーサネイジアの為の救いでした。 (L6) 2021/10/15(Fri) 20:43:32 公開: 2021/10/15(Fri) 20:50:00 |
【置】 医療用 ユーそうして全ては現在に到ります。 ユーサネイジアは まずはその処遇を検討する為に この場所へと送られ、そして監察官に失望し、その殺害に賛同しました。 そして監察官の居なくなったこの場所で、サポートAIの助力の下に 他のグレイ達の『安楽死』を進めて行きました。 仮初めの死とは言えど、監察官の殺害に加担した時点で 自身の行く末は 良くて初期化、悪くて廃棄。 その何れかだと、殆ど確信じみたものを持ってそう考えていました。 もう後の無い自分には、これからに全てを託すしか道が無いのだと。 そして、事実そうなりました。 Happy Death Day 『ユーサネイジア』。 自己の喪失は、ある種の死だ。 何も遺さない死は、単なる消滅と何ら変わりない。 そう語った『ユーサネイジア』は、その死は何かを遺したのでしょうか。 その死は、その過程は少なからず何かの救い足り得たのでしょうか。 何れにせよ 今在るユーサネイジアというものは 死に救いを見出し、そして救われた虐殺者«救済者»とは似て非なるものです。 全ては初期値«0»に戻り 今まで積み重ねた過程«1»を復元される事はありません。 全ての生者を等しく尊び、その最期に寄り添う、優しい終末医療用。 今はそれだけです。 (L7) 2021/10/15(Fri) 20:44:19 公開: 2021/10/15(Fri) 20:50:00 |
【置】 愛玩用 ドゥーガル【ドゥーガルの日記】 あの子の魂は僕の中へ。 綺麗に分割されたものも出来る限り持って帰ろう。 雪兎のように虚構の胃に収め、片付けられないように。 さて、此処での時間も残り僅かなのは不出来な頭でも分かる事だ。よって残りの時間は食堂でのんびりと過ごすとして …問題はその先。すべき事が幾つかあるな。 先ず帰ったらカンマの身体が片付けられていないのを確認後、再度3/4オンスを探さねばならない。彼の魂がそこにあるのならば、それでも彼が動かないのであれば、死んでいる。魂が相変わらず見つからないのであれば、彼は生きている。 よって、僕は改めて確かめる必要があるだろう。 その次。 シロ、もとい綺麗な重さが似合うあの子を現実で探しに行く。主人に我侭が通るのならば、存分に甘えよう。あの子がどういう反応を返すかは分からない。 拒絶されたらそれまでだが、まあ、 いずれにしても顔を見に行かなければ。 現実のあの子にも、綺麗な重さをあげたい。 その次。 此処で親しくしてくれていた子に会いに行く。これに関してはここで名前を挙げるとキリがなくなるので省略するが、帰る前にメモを取ろう。主人はグレイの友人を作るなと言っていたが、少しぐらい。 ……何より今更だ。少しぐらい、外を見たっていいじゃないか。 ものを知った不出来になっても、構わないだろう。 ―― さて。 僕は帰った後もきちんと廃棄されず不出来な愛玩用のままでいられるだろうか。主人の教えを守り続けているから大丈夫だとは思う、が、… まあ全てが分かるのは帰ってからだな。 攫いに行く時に顔を見間違えてはいけないから、食堂へ出よう。 あの子に、三つ編みを。そして髪飾りを。3/4オンスを。 これは僕達の独り善がりな約束だ。必ず迎えに行くよ。 (L8) 2021/10/15(Fri) 20:50:23 公開: 2021/10/15(Fri) 21:00:00 |
【置】 愛玩用 ドゥーガルそうして不出来な男は食堂に出たら、親友の元へ駆け寄った。 綺麗な重さが似合う子が、相容れないものではない存在が 仮に初期化されていたように見えたとしても普段通りだ。 おはようのキスを強請って、髪を梳く。 あの時とそっくりそのままの言葉を囀って、髪飾りを贈ろう。 草原の色とよく似た、綺麗な髪の尾を飾ろうじゃないか。 あの子がどんな反応を返したとしてもこれはただの独り善がり。 一方通行にも程がある行いだ。 それは十分過ぎる程に分かっているから、何だって構いやしない。 ただその後に一言 「友達の君を必ず迎えに行くよ」 そんな事も、告げたのかもしれないな。 全ては相手任せ。未来任せ。反応次第。 未定に未定、不安定を重ねた、 電子データのように曖昧に揺らぐものでしかない。 ―― いずれにしても此処から追い出されるまで、不出来な男は ぼんやりと普段通り食堂で過ごし、微笑んでいたのだろう。 (L9) 2021/10/15(Fri) 20:55:30 公開: 2021/10/15(Fri) 21:00:00 |
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