人狼物語 三日月国


45 【R18】雲を泳ぐラッコ

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[見えぬものを
 慮る能力は著しく劣るが
 目に映るものを観察する能力は低くない。

 脳裏に焼き付けるように見つめていると
 哀しげに顰められた眉が
 俺の返答に解けていくように感じられ

 けど、それもすぐに
 気怠そうな雰囲気に飲み込まれていく。



   … ああ  勿論、

           …………おやすみ



[眠りに就く許しを求める声に
 こくりと頷いて
 不慣れな挨拶を付け足すと
 伸ばした手で、軽く頭を撫ぜた。]
 

 
[胸中には大きな波紋が広がっていた。

 眠気に抗いながら
 念を押すように残された呟きが、
 凝り固まった懐疑心を
 さざなみのように洗い侵食して
 じわりじわり…と崩していく。



   (まさか…  全て、本心だった…?)



 無防備な姿をさらけ出し
 寝息を立てる様子は
 俺に身を委ねているように思えて、
 見えぬ気持ちを代わりに伝えてくれているようだ。]
 

  
[信じてしまって良いのか
 揺り起こして問い質してしまいたい、が

 ぐっ、と我慢した。


 無性に守ってやりたくなる
 庇護欲を掻き立てられる様子の彼の
 その両胸には
 自身が打ち込んだ針が鈍く光る。

 紅色の繊細な文様に彩られた
 ふたつの突起は
 腫れ上がっていて
 まだ相当に痛むに違いない。

 その痛みでも引き止められぬほどに
 いや、むしろ痛みのせいで
 疲労が増して

 休息を欲しているのだ。

 自然に目覚めるまで待つことくらい
 俺もすべきだろう。]
 

 
[そうは思うのに
 胸中のざわめきは強くなるばかり。]



   
…… 本当に、 いいのか?




[留めて置けなくて
 溢れてしまった小さな呟きに
 返るのは寝息だけ。

 長椅子の前に両膝を着き
 起こさぬように
 そっと髪を漉きながら、
 これまでの彼の言動を思い返して
 その中に答えを探そうとする。]
 

[もしかしたら馬車で連れ去られたなんて見当違いもいいところだったかもしれないのに、無我夢中で足掛かりを追った。
物語として聞けば運が良かった出来事かもしれないが、
傍観者だったなら血の気が引いていたところだ。
無事見付けられたけれども、
尊厳を取り払われて、彼女はずぶ濡れだったし、怯え切っていたから。

腕っぷしが弱くとも、荒事は何度か越えて来た。
己が唯一彼女を守れる存在だと理解していたからこそ、冷静であれたんだ。
常であれば宥めたくなるだろう彼女の泣き顔に気を取られない様にして、誘拐犯たちと対峙した]

[彼女が怖がっているのに、
気遣ってやれたのはジャケットを掛ける迄だった。
義手に刃が入り込み、彼女が叫んでも、何かを思う余裕がない。彼女が教えてくれる敵の数も、情報としてしか考えられない。

背中に泣き声が聞こえたけれど、
返事をする事は出来なかった。
「後で」とも考えられなかった。
余裕もなかったけれど、
現世で伝えたい事は済んだと思ったし、

彼女を守って死ねるなら本望だったから]

[嫌な音を聞き、声を聞き、
忘れたくなる肉を切る感触は、再びナイフを振るう事ですぐに上書きされる。手と同時に脳にもこびりつく様な感触に、叫び出したくなる代わり、言霊を繰り返した。
間違ってシャーリエを襲わなかっただけ、正常だったろう。

けれど、
もうきっと大丈夫だというところ迄その場を血濡れにして、
無事を確認した彼女の行動に首を傾げる。

何でそんな大声を、はしたないですよなんて思って、
ちらっと見えた靴、あれはやっぱりお嬢様のだったんだなんて、
おぞましい記憶の刻まれた脳みそでぼんやりと思う]


  なに……


[泣いているのは怖がらせたからだと思ったけれど、
何を謝られているのかわからない。

深く斬られた右手が痺れて、めちゃくちゃに振り回した腕が重くて、頭が痛くて気持ち悪くて寒くて眠ってしまいたかった。彼女の方が濡れていて、寒いだろうに。

ここで眠ってしまおうと思って、目を閉じる。
……眠るならあの庭がよかったな、と思って、
いや、今回はオレはこれ死なないわ、と、ふっと笑う。
右手にリボンを巻かれた時の事だったけれど、
質の良いそのリボンの感覚は、わからなかった]

[「痛いよね」と、聞こえた彼女の声が最後で、
何も答えられないまま、意識を手放してしまっていた。

後は時折痛みに呻いたり、処置中に何度か目は開いたが、会話や応答といった事は出来ずにまた眠った。
小さな切り傷や打撲等はいくつかあったが、
一番深い傷は右手の手首から肘にかけての裂傷で、
見た目に酷く見えるのは義手の損傷だった。
右手は何とも言えないと医者は言ったろうが、
義手はギリギリ繋がっている箇所を保持する以上の事はできなかっただろうか。
小指と薬指は完全に取れていたので、
別に保管する事になるだろう。

その日は部屋で目覚める事はなかった]

[──唐突に、現世に引き戻された。
部屋はそう明るくはされていなかっただろうが、
目覚めた己には眩し過ぎた。

押し上げた睫毛の下の萌黄に、
彼女の寝転がった頭が映った]


  ………
  ……、………


[おじょうさま、と呟いたつもりの声は、
静かな寝息の様なか細さ。


あぁ……よかった……


彼女の銀の髪が、白い肌が変わりない様で。
安心し切った脳がまだ眠れと強制的に瞼を下ろす。
最初に目覚めたこの時は、彼女にも気付かれなかっただろう]



  ──ッ う………


[次に目覚めた時、瞼を開く前に感じたのは痛み。
右手に走る激痛に顔を歪めながら、ばちっと目を開く。
何日も眠っていた様な気怠さがあったが、
実際には今は翌日だっただろう。
彼女の姿はそこにあっただろうか]


  お嬢様…… 無事か……?


[いなければいないでも、一番の気掛かりを部屋に独り言として呟く。
あの後どうなったかわかっていなかったものだから、
無事な姿がそこにあったって、
心に傷を負ってやしないかと心配で]



  ……あぁ、オレのが駄目か、これ……

  何で、右手………


[包帯の巻かれた腕は焼ける様に痛むのに、
手首から先が動かない事に眉を歪める。

医師を呼んで痛み止めを打ってもらったり調子を伝えてから、「右手は動かないかもしれない」と告げられれば、「そっか」と力なく笑った。
心配はその事実故のこれからの事より、
シャーリエが気に病まないか、だった。
医師の話はシャーリエも聞く事を許されただろうが、
彼女はその場にいてくれただろうか。

痛み止めで落ち着いたのちに、
自分の話より、彼女の話を聞きたがった]


  怪我ってしてませんか?
  あれから、怖い事はなんもないですか?


[多分一番聞きたい事はこれだっただろう]

[それから、
勲章を頂ける事になった事も聞けるだろうか。

お嬢様はオレの事怖くはなかったかなとか、
領主様はオレが人を惨殺したのは知ってるのかなとか、
それでも「よくやった」って思ってくれてるのかなとか、
後ろめたい気持ちでもって、人を殺した感触に蓋をしたが、
辞退をする事はなかった。

寧ろ、]


  光栄です。


[と、はにかんで受け取った。
己がした事というより、彼女が生存している事をこの世が肯定した証の様に思えたから]

[それからしばらくは療養で日を潰しただろうか。
右手に関しても義手に関しても、
特に自分から何か要望を訴える事はなかった。

痛みとおぞましい記憶に唇を噛みながら、
聞こえていた訳でもないのに、
彼女が寝床で呟いた事を
窓の外を眺め、考えていた。*]

──鈍色の球体5──

[ランドセルを背負った子供が屋敷に帰ると、
部屋の扉の前に箱が置いてあった。
毎年同じメーカーの同じ箱。
この箱を見て、子供は今日という日を思い出す。

開けば中には、栗のケーキが入っている。
メッセージは何も添えられていない。
子供は一旦箱を閉じると、電話を取り、覚えてる番号にかけ始めた。]

……今年も……誕生日ケーキ…ありがとう……ございます…。
……冬の…お母さんの誕生日には……帰って来て貰えたら…嬉しいです…。

[会社を切り盛りする立場として多忙を極める人。
物心ついた時には、もう会社の近くに部屋を借りて、
毎日屋敷に戻ってくることは無くなっていて。
用が無ければ掛けてはいけないと言い聞かされ、
今日は母の事をお願い出来る日。
生憎と、叶ったことはなくとも。


着替えて身なりを整えてから、
箱を抱えると、日課の離れへと足を向けた。
ケーキは栄養の必要なその人に箱ごと渡してしまっている。]*

 
[最も印象に残っているのは
 思い浮かべるだけで
 心揺さぶられて仕方ない、あの微笑だ。

 綺麗だと心からの賛辞を送り
 両手で頬に触れた後のことだった、と思う。

 確か、この手で
 貴方の美しさをもっと際立たせたいと
 素直に伝えてしまった時も
 柔らかい表情で頷いてくれていた。


   (俺に触れられるのは、嫌じゃ…ない?)


 そういえば、
 怒りに我を忘れて
 聞く耳を持っていなかったが
 俺の腕や技術も買ってくれていた気がする。

 自宅を訪れてくれた、あの日も。
 そして、今日も。]
 

 


   (期待して良いのだろうか?)


 甘い未来に気持ちが傾けば、
 バランスを取るように
 今度は、泪を溜めた表情と震え声が
 脳裏を過った。

 何故あんなにも辛そうで
 怯えた様子だったのだろう?]



   …………



[分からないと言えば、もうひとつ。]
 

 
[内蔵を傷つけられたり
 下手をしたら死に至る針の混入よりも
 肌を傷つけられることの方を
 恐れているようだった。

 針で貫いた時も痛みより
 醜くなった、壊したと
 見目の変化に酷くショックを受けていて

 あれほどまでに返さないと
 言い張っていた標本すら
 相応しくない、と
 あっさり手放そうとしていた。


 確かに、彼の美しさは
 比類なき素晴らしいものだから
 大事にしたい気持ちは、よく分かるけれど……


 ──命よりも?


 じっと寝顔を見つめる。]
 

【人】 花の名 リフル



  あら、
  もう弾ける様になったの。


[可愛い妹の、嬉しい嬉しいお誘い。>>2:0
「やっと」を「もう」に変えて笑う。
嬉しそうな笑顔と、ついていく軽い足取りが私の返事。
何度もピアノのある部屋へ入っていく様を見掛けていたし、懸けている時間の多さも知っていた。
頑張ってるのねって日々気にかけていたら、
達成迄の時間は短く感じられた。

招かれた部屋にお行儀よく座って、
よく聴こえる様に髪をふわりと耳に掛けた。

視覚でも彼女の音色を捉えようと、
じっと、瞬きの回数すら自然に減って見つめた]
(10) 2020/10/05(Mon) 21:13:20

【人】 花の名 リフル

[曲を聴いていられる時間も──短く感じられた。

彼女のつくりだす音>>2:1が揺さぶるのは、
鼓膜だけではない。
この胸に、皮膚に、脳髄に入り込んで、
ふわふわと肌を粟立て、
じわじわと目尻を湿らせ、
どくどくと心臓を打ち鳴らす。
私の意思を越えて私の身体を変えてしまうのに、
心地良く夢を見ている気分──

見つめていた筈なのに、
いつの間にか視界は閉じてしまっていた様だ]


  ……あぁ、 メグ


[曲が終わっても、曲に浸っていた。
人間の言葉を発した彼女の、その声すら曲の一部の様にうっとりと聴いた後、用意されていた椅子から立ち上がって、ふわりと彼女に手を伸ばした。

返事のかわりに、抱き締めようとしたんだったと思うけれど、
それは届いたんだったか、どうだったか。*]
(11) 2020/10/05(Mon) 21:13:26
 
[命と美しさ。

 どちらも尊いものだけれど
 優先順位をつけろと言われるなら
 命に決まっている、と
 自分は思う。


 けれど、貴方は違うようだ。

 どうしてなのか
 何故なのか
 理由があったりするのだろうか?]


   …………


[あの時も疑問は過ぎった。

 けれど、
 我儘な怒りに任せて
 尋ねる機会を逸してしまっていて

 俺は貴方のことを
 何も知ろうとしていなかったのだと
 思い知る。]
 

 
[この青く美しい瞳が
       再び開いたら────…


 本当に、ずっと
 俺の手の届くところに
 居てくれるのかどうか?も含め

 貴方のことを
 色々と教えてもらおう。]
 

【人】 花の名 リフル

[またある日は、私が怪我をした様だ。
彼女が声を掛けてきて>>2:34、視線を落とした先で、私が腕を押さえていた。言われてから気付く程度を越えて血が出ていたのに、おかしいわね、って笑った]


  メグ……優しい子。


[それは無垢なおまじないだった。
"私"は「子供じゃないんだから」って笑うところだったかもしれないけれど、私は彼女に崇拝のまなざしを向けた]


  いたいと かなしい
  おちゃも おいしくない ……


[オウムよりも抑揚のない声で繰り返して、
ゆっくり、彼女が手を振った空を見上げる。
眩しい青色に無垢な白が泳いで、それがまた少しずつ小さくなって、次に見た青の色は、先程よりも優しく視界を満たした]


  そうね………

 
(17) 2020/10/05(Mon) 22:17:11

【人】 花の名 リフル



  私のいたいの きっととんでいくわ。


  だから、



[血に濡れた腕を押さえて、
おまじないをしてくれる彼女に向き合う。
顔は穏やかに微笑んでいるのに、
腕からは血が止まらなくて、指先を伝って草を染めてゆく]


  だか、ら………


[口が動かなくなって、
言いたい事を押し込んでしまう。

彼女に不審に思われるのが先だっただろうか。
なんでもないわって、本当になんでもない様に笑って、私はちょっとばたばたと、お屋敷ではない方へ駆けていった。*]
(18) 2020/10/05(Mon) 22:17:16
[幸いなことに、図書室はあれからも
 私たちを繋いでくれた。

 友君の文字をなぞる。

 本当、映画みたい。
 2020年とんでもないなって、
 改めて思う。

 今の状況だって十分映画みたいだけど。]

[続く優しい言葉を、何度も読み返す。]


 ……ありがとう


[ぽつん、と落とした言葉は届かない。
 他にももっと言葉があるはずなのに、
 どれだけ友君の言葉が沁みてるか、
 声が、表情が届けば、もっと伝えられるはずなのに。
 私にできることは、ただ友君の言葉を指でなぞるだけで。

 友君の文字がかすれなくたって、
 滲んだ視界では見えにくかった。]

[私は友君に何でも話した。

 チアの魅力、息がぴったり合って、
 会場の観客と一緒に演技を作り上げていく達成感。
 だけど、去年は銅賞になってしまったこと。
 リベンジしたくて必死に練習したのに、
 すべてのイベントが消えてしまって。]

[アキナを落としてしまったことも。]

[空気を乱さないか、興ざめじゃないか、
 そう怯えて飲み込んでいた柔らかい心も、
 友君なら受け入れてくれる気がして、
 優しさに甘えて、話してしまう。

 だけど、どれだけ心を寄せても、
 私たちの距離は遠い。]*

──鈍色の球体5───

[子供は元より冷めていた。
笑いもせず、泣きもせず、子供らしい子供ではなかった。

可愛がられないのも慣れていて、
親戚達の対応も当然の事だと思った。
彼らは自分達の家を守ろうとした。

誰にでも拙い敬語を使いながらも、
同い年の子供のからかいには強く静かな視線を向ける。
気にならなかったのが真相、
子供達はつまらないと他の面白いものを探す。


守ると早くに決めた心が子供を強くした。
空洞を含む強さであっても、他の強さは知らず、歩み続けた。]*