234 【身内】不平等倫理のグレイコード-0010-【R18G】
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| >>1 バンドッグ 「…バンドッグ。ボクも行くよぉ。」 準備を整えて、軍事用が出てきた。 その瞳にいつもの笑みはなかった。 「こういう時こそ、軍事用が必要でしょ?」 (3) 2023/12/07(Thu) 23:49:23 |
「いいのですヨ、アトリ」
物陰から姿を現す、暗褐色のグレイ。
手には鎖のついた棘ランタン。
「そこのバンドッグもリュイも強いのでス。
敵なんか一瞬でス、一瞬。バシーッとやりますヨ。
それでも不安なラ、私もついていきましょウ。
……いいですよネ?まさカ、この期に及んデ、
女型ハ、非力だし危なイ、なんて言い出したラ、
一層のボスと同じ目に遭わせますヨ」
鎖を引きずる音。微笑み。有無を言わさぬ気配。
……正直、件のグレイとは馴染みが薄いのだが。
だからと言って、手を伸ばさない理由もない。
灯は誰の道にも燈されるべきだ。それに……
危険な場所に友が行く、それに勝る同行理由など、ない。
「マ、ちょっと危ない遠足のようなものでス。
それくらいの気持チ……では流石にあぶないカ。
一応、準備は欠かさないようにしましょうネ」
お薬、ハンカチ、回復用おやツ、持ちましたカ?
愛玩用にそんな確認をしながら、
自身は鎖を腕に巻きつけ、棘ランタンを片手で持つ。
もう片手には幾らかの宝石の原石。
それを服の内にしまい、準備はOK。
「私はいつでモ。道中の灯はおまかせヲ」
#ハノイの塔「邪魔でス」
うなりを上げて棘付きのランタンが飛来する。
改札口で侵入を止める板が砕け散って0と1が舞った。
「あア、確か切符が要るんでしたカ。ではどうゾ」
鎖を引き、切符の挿入口に今度は上から
棘付きランタンを叩きつける。
ショートしたその機体でランタンが火を噴いて、
中の機械を丸ごと爆裂融解させた。
「そのままお静かにしていてくださイ」
エラー音がひとつ、止まった。次はどなたガ?
身体の横でランタンを振り回し、
空気を切り裂く点燈用は微笑んでいる。
#ハノイの塔「…………」
ただ冷静に、飛んできた線路だとか、鉄パイプを
目前で回した鎖で絡めとり、止める。
そのまま振り抜き手を離し、倒れた時刻表に叩きつける。
『現状解決を一から十まで他者に頼り切る』
『全て死罪に相当するだろう』『どうして』
『じゆうに』『いきていたいだけなのに』
飛び交う言葉が幾つか、心と、記憶の内に響いていった。
泣いて、願って、乞うて、何か得られた事があったか?
得られたものは、
生きる事への罰だけだ。
強き者が揮う鞭だけだ。
男が言う"褒美"だけだ。
「バンドッグ、リュイ」
「少シ、下がってくださイ」
▼
#ハノイの塔言って、前に出る。鎖を引いて、ランタンを手に。
遮二無二暴れるエネミーの群れの中心に、それを投げつけた。
「貴方達ハ、きっと私でしタ。だかラ、ごめんなさイ。
それと――お疲れ様。もウ、寝る時間ですヨ」
ランタンが着弾した瞬間、それは大規模な爆発のように。
全てを焼き尽くす火を噴いた。それは特に人型のエネミーを、
徹底的に、そして一瞬で、焼き焦がしていった。
後には黒い焦げ跡と、崩れていく炭と、舞う灰だけ。
「おやすみなさイ、さようなラ。
貴方達の苦しミ、終わった事を祈りまス」
静かに引いた鎖の先で、ランタンの灯が揺れていた。
幽かなその灯りは、弔火のようだった。
「……さア、道、空きましたネ。行きましょウ」
#ハノイの塔「――
歩き続けまス
、
道なき道を
」
弱者は、落ち着いた声でそう呟く。
答えの答えは求めていない、答えを求めているのは
今前に立っている者だろうから。あくまで、返答として。
「出来ない事モ、諦めた事モ、沢山ありますシ、ありましタ。
道を踏み外した事モ、一度や二度ではありませン。
それでも私ハ、生きテ、いるのでス。
道がないなラ、道のない所に踏み出せばいイ。
踏み外したなラ、這いあがればいイ。
……ましテ、ここでの友がいるのなラ、
這いあがる時に手ぐらい貸してくれるかもしれませン」
目を瞑り、ここに来てから助けてくれた友たちを思い出す。
あなたに声をかける愛玩用に微笑みかける。
「私モ、そうありたイ。踏み出す暗闇ニ、灯を燈したイ。
一人で無理だと言うのなラ――友に頼るまデ、でス。
そうして友が困った時ハ、私が友を助けまス。
……多分、そうやっテ、新たな道は……出来るのですヨ」
そう、静かに呟いた。
#ハノイの塔「……」
声を届かせるのは、他の者達の役目だろう。
ならばこれがやる事は、語るに非ず。
皆の助けとなること。
鎖を使った牽制、拘束、打ち払い、後衛の守護。
灯を使っためくらまし。
あとは愛玩用を抱えて走るだとか、
薬を一緒になって使うくらいは出来るだろうか。
灯を吹き消す事は仕事ではない。
全員の道に灯を燈す為、ゆっくりと影は鎖を構えた。
#ハノイの塔「あそこまでがっちり組み合っているト、
打てるものも撃てるものもありませんねエ……」
甲高いホイッスルの音。
放たれたデータの刃に渦のように鎖を巻き付け、
背負って投げる要領でその向きを逸らす。
微かに背中が削れたが、怪我の範疇でもない。
前衛と後衛
、どちらも守りたいというのに
この身体は改造されて尚不便な事ばかりだ。
「男の子って皆あんな感じなんでしょうカ。
……理解できない半分、羨ましい半分でス」
半ばぼやくように、愛玩用の持ってきた薬を借り受ける。
刃から解いた鎖でそれを巻くと、
そのまま、遥か高空へ向けて鎖を振って、強く引く。
頭上で破裂した薬品の雨は、
掲げられた灯の光と共に回復を撒き散らしただろう。
#ハノイの塔_第2層送迎用は誰かと会話をした後。
その足で第三層へと皆の後を追って向かおうとしていた。
「――――……」
「……???」
何故だろう、”心”が一気に重くなった。
頭の中で、ご主人さまたちの声が大きく、一斉に響いている。
今はここで、殴られてるわけでもないのに、どこも痛くないはずなのに、ズキズキと痛む。
「―――ご」
「ごめ」
▼
#ハノイの塔_第2層「ごめんなさい」
「はい、全部僕が」
「僕が悪い、ですから」
僕が旧型だから。
処理能力が劣るのも。
事故を起こしてしまったのも。
皆に怪我をさせてしまったのも。
ご主人様たちが多額の賠償金を支払うことになったのも。
全部。
全部、僕がちゃんと送迎できなかったせいだから。
わかっていますから。
▼
#ハノイの塔_第2層―――アァ。
それでも。
たった一人無傷だった僕でも。
装甲だけは分厚く怪我をしない僕でも。
大好きな人に殴られれば痛むのだ。
心が。
だから殴らないでくれと願う烏滸がましい心をどうか。
「ゆるして、くださ……」