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　　　──── シキ、



［良い響きだ。
　求めるように呼びかける度
　愛おしさが増していく気がする。］
　

　
「それに返される
　”うつおぎ”という四文字は
　我の通り名であって、真の名前では無い。

　この淡い色の唇から
　本当の名で呼ばれたい気持ちは膨れるばかりだが、
　三日後の披露目の宴で
　譫言で呼ばれでもすれば
　他の妖にまで急所を晒すようなものだ。

　それが終りさえすれば
　もう二度とシキを
　他の輩と接触させるつもりは無いから
　教えてやれるのだが。］
　

　
［でも、まあ……たったの三日だ。

　待ち続けた十余年や、
　黄泉の国にまで追いかけようとすれば
　数千年も掛かることを思えば
　大したことはない。

　何しろ
　渇望した相手は
　今、我の腕の中に居るのだ。］




　　　シキ、………　は、ぁ…



［僅かな焦燥は追いやって、
　愛おしい番と繋がれた喜びと快感に
　とぷりと溺れた。］*
　

　
　　　全く、いつまで待たせる気だ……