人狼物語 三日月国


45 【R18】雲を泳ぐラッコ

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ラッコ9票

処刑対象:ラッコ、結果:成功

[犠牲者リスト]
該当者なし

決着:龍人族の勝利

【人】 Cucciolo アジダル



 [ 腐敗した管理形態の代わりに
  崩壊した倫理意識を翳しては
  跼蹐した一般市民を庇いだて。

  そうして今日に至った組織内には
  曇った爪先をした人間は一人もいなかった。


  大通りを歩む人影も豪奢な装いをするわけでなく、
  まして整備の行き届かない路地裏の景観においては
  男の服装は浮きに浮いている。

  複数の組織が常に対立しあうこの街において
  潤沢な資産と資金源を主張する為のオーダーメイドは
  牽制の為の鎧であり、威圧の為の銃であった。

  犬が犬を食うような趨勢の中、
  年齢で、性別で、出自で、国籍で、
  些細な切っ掛けでヒトを舐めたがるバター犬どもの
  鼻っ面を吹っ飛ばす弾に比べりゃ安いもんだと
  ことあるごとに嘯いた女の声を知っている。 ]

  
(0) 2020/10/08(Thu) 8:30:27

【人】 Cucciolo アジダル



 [ その肩口を軽率に汚しながら、青年はゆるりと瞬いた。
  まだ聞きなれていない背後の声は肯定する色ではなかったが
  それでも想定の範囲内であった。

  小競り合いが頻発し、日々銃声を聞くような街では
  家の無い人間など紙幣ほどの価値もない。
  気紛れに愛されたり殺されたりするそれらを、
  理解し難そうな彼は無価値と思うのだろうか。

  猫の子でも扱うような皮肉交じりの口ぶりは
  青年の喉を愉快そうに鳴らすには十分で。 ]


   やだね。
   囲うほどの甲斐性も義理もないな。
   死ぬまで愛玩するだけの執着もないし、
   これが俺に出来る最大限だわ。


 [ その割には少し冷えた目で彼を見る。
  目敏く示された時計は力でも、安定ではない。
  自分に人一人を救うだけの力がないことなど
  青年は誰よりもよく知っていた。 ]

  
(1) 2020/10/08(Thu) 8:30:30

【人】 Cucciolo アジダル


 
 [ 誰よりもよく知っていた。
  少し下に向けた視線の汚れた石畳、
  そのインクの持ち主の顔も知っていた。 ]


   というかあれだって人間だ。
   生き延びる術なんか生きてりゃ勝手に学ぶでしょ。
   それでも生きられないような子供を助けるほど
   俺は、……優しかねえさ。


 [ 秘密裏の武器輸出の仲介として利用された奴が
  取引の終了と共に片付けられたことも知っていた。
  受け渡しが完了するまで息をひそめ、
  報酬を求めて伸ばされた手が赤く染まるのを
  黙って見届けた男は知っていた。

  ケツ持たなきゃ手を出しちゃいけねえ法はねえよ?
  と、そいつは自嘲めいた声を上げる。

  光の当たる道では金色の毛虫に黒髪の子供が近寄り
  何やら一言二言を交わしている。
  一人の手を引いたら芋づる式に繋がってくること等
  今更眼前の彼に言うまでもないだろう。 ]

  
(2) 2020/10/08(Thu) 8:30:32

【人】 Cucciolo アジダル



 [ 躊躇なく助けられれば良かっただろう。>>2:31
  けれど執着を晒せば弱みとされ、
  宝物を知られれば狙われるような状況においては
  情の深さだけでは如何ともし難く。

  だから、せめて。
  数多の救えないものの存在を知った青年は
  浅はかな愉悦と酔狂を建前に
  不愉快に思うか? お兄さん、と
  眉を寄せた笑顔で問うてみた。 ]*

  
(3) 2020/10/08(Thu) 8:30:51

【人】 Marguerite シャーリエ

[庭で眠ってしまった先の世界で、
久しぶりのお姉さまの顔を見た>>3:40

お姉さまの捜索はなにも進まないまま、
長く時が過ぎている。
頭を撫でてもらったのもどれくらい前か。
大好きな庭で大好きなお姉さまと夢にまどろむのも、
忘れないでと言われた>>3:39声も久しぶりで、

これが夢だと悟ってしまった]


 お姉さま。
  ……いつも助けてくれてありがとう……

[シャンパンの髪と萌黄の瞳をしたあなたは
お姉さまじゃなかったけど、私を支えてくれた。
綺麗な顔を可愛らしく崩して、
会いに来てくれた彼女の手を握った。]
(4) 2020/10/08(Thu) 9:03:10

【人】 Marguerite シャーリエ

[空に浮かぶラッコがポケットに雲を仕舞って太陽が差す。
私が握った手は女性のしなやかな左手ではなく、
固い金属でできた彼の利き腕じゃない方の手。
あの日に繋いだ>>1:D29左手だった]


 おかえりなさい、リフル


[夢なんだと知ったから逆らわなかった。
あの日に置いてきぼりにされた私が笑って、
彼を抱きしめる。ようやく捕まる気になりましたか?

ほら、お嬢様と呼ぶ声がする。
今日は教会で祈る日なんだから人が来るのはわかってるんだ。
目が覚めて忘れてしまうまで、このまま居させて……]
(5) 2020/10/08(Thu) 9:03:36
[ぱちりと目が覚めたのは変わらず中庭だった。
お嬢様と呼ぶ声は懐かしくて、ここで聴くはずのない声で、
まだ夢かと呼ばれる方を見た。

屋敷にはあの日の顛末を知っている者が沢山いる。
そのうちの1人が手引きしたに違いなかった。


夢でも見たことのない祭服に片メガネを付けた人。
記憶よりすこし縮んだような背丈に、
最近は高いヒールを履くようになったことに気が付いた。
私この人を知ってる。忘れてないよ 忘れられなかったよ]


 おかえりなさい、リフル


[今度は喉をふるわせて声になってあなたに届いただろう]


 おかえりなさい……

[あの日の面影は少ない方がありがたかった。
泣き出してしまう私《メグ》を後ろに庇って、
とびきりの笑顔を咲かせた。

あなたとの六年越しの再会は笑顔で。

――その後に「お子さんですか……?」と
小さな子を前にちょっと泣きそうな声が続いたのは秘密にしておいて欲しい]

―― 六年越しのお茶会 ――
[彼の時間がゆるすなら、とお茶の準備をしてもらって
リフルとお嬢さんをテーブルに招いた。
私の方も教会に用事があるのだから、
そっちに出向くなら一緒にと
出かけるまでの時間をねだった。
去年はレモンが豊作だったから、
レモネードの蓄えは出来がいいのです。
ぜひあなたと味わいたいの。]

[すっぱくないですか?ってルミお嬢さんに伺いながら、
これまでの話をいくらでもせがんだだろう。
小さな淑女に聴かせられないこともありそうだと汲んだなら]

 今晩、お酒でもいかがですか?

[そっとお嬢さんに聞こえないように囁くのだ。
場所は屋敷の客室だろうか。
外へはあまり行かなくなってしまったし、
部屋に招くのも少し悩んでしまう。主に私の心が暴走する意味で。

氷の溶ける音に耳を傾けながら、ゆっくり話がしたい。
どうですかって保護者さんを伺って萌黄の瞳を見つめた**]

村の更新日が延長されました。

村の更新日が延長されました。

【人】 志隈

[着られてるようなスーツは、
貧困に苦しむ追い剥ぎが鴨にしそうだと印象を持つ。>>0
身なりの良さが報復を恐れて、守る代わりになるのかは知らず。

実力はそれなりにはあるのだろうか。
現在軸でアジダルは生きて目の前にいるのだから、
なんとかはなってるようだ。恐らく。

金持ちだから、貧乏だからどうかとか、
人の価値のあるなしは考えた事が無い。
自分の価値を無意味と思った時、
泣き出すほど嫌だったのは覚えてる。
]

金はあるかと思ったが、足りなそうか。
その辺は割り切ってるんだな。

[やだと明確な答えが返れば、
そこには得信したような顔を向ける。
下手に苦しそうな顔をされても困ったし、
貧しい国の中で自分も全てを助ける方法など思いつきはしない。]
(6) 2020/10/08(Thu) 13:22:44

【人】 志隈

[あれだって人間と言う言い方に、
どの位置に子供を置いているのか思案する。>>2
生き延びる術を学ぶこと、
そうしてかなきゃいけない事はいい。
優しかないと言うが、
自嘲気味に落とされた声は、
青年の優しさを示してはいる。]

少ない施しでもありがたいものだろ。
そうやって、1日でも凌げば、
命をもっと大人になるまで長く繋いでいけるかもしれない。

自分の身銭を切ってまで救えなんて言わないし、
こうしてるだけでも立派なんじゃないか。

[行為自体は不愉快に思わない。
優しさと明るさ、
何処かヒーローの素質を持った青年でもあるだろうか。

引っ掛かったのは別の話。]
(7) 2020/10/08(Thu) 13:23:00

【人】 志隈

ただ───

精一杯生を全うしてる子供を“可愛い”と言ったあんたに、
人を愛玩動物として扱う気味悪さを感じた。
子供が動物に餌やりをしてるような、な。

[眉を寄せた笑顔に、不愉快なのはそちらだと隠さず告げる。>>3
どれだけ小さくても人には変わりなく、
救えるものは救うべきだと言う善意はあっても、
極論救おうが救うまいがどちらだっていい。
優先順位がある。
全部掴もうとしたって零れてしまうなら選ばなきゃならない。


こんな風に言った所で子供の腹は膨れないし、
意味だってなかった。
あれが本心だったのなら、
精々可愛がって助けてやってくれと思う。

俺が気に食わなかっただけの話。]*
(8) 2020/10/08(Thu) 13:23:05

【人】 小林 友



「この世に悲しいことはたくさんある。
 だが、自分の手で死ぬのではなくて
 「ここにいたくない」と言うならば
 どれひとつ、同じ願いを持つ者と
 お前とを入れ替えてみよう。

 元の世界にいる、お前を知っていた人間は
 皆お前のことを忘れてしまう。
 そうして、お前は新しい世界で
 新しい親や友と生きるのだ。

 けれど、悲しいことはなくならない。
 影のように、お前のうしろをついていく。」

   ─────『あの日、月が言ったこと』

 
(9) 2020/10/08(Thu) 18:57:44

【人】 一年生 小林 友

  ー 数年後・某大学研究室にて ー


  「こら、小林くん。また手指消毒忘れてる」


[同じゼミの柳原が可愛らしく頬をふくらませて
 俺の背中を指でつついた。
 この『入退出時の手指消毒』の習慣は
 いつまでたっても慣れなくて
 ついサボっては、自分より
 頭ふたつ背の低い女の子にドヤされるのだ。]


  悪い悪い。何年経っても忘れるんだなぁ。


[一旦持ち出そうとした本を脇に置いて
 出入口に置かれたスプレーを掌に吹き付ける。
 いつまで経っても、俺はこの世界の風習に
 完全には馴染めないままでいる。]
(10) 2020/10/08(Thu) 18:58:35

【人】 一年生 小林 友

[─────あの日、月に願いを届けた瞬間
 俺の意識は遠のいて……
 気が付けば、病室の一角で
 色んな機械に繋がれていた。

 慌てて起き上がろうとしたら
 病室の前を通りがかった看護士が
 飛び上がらんばかりに驚いて叫んだ。

 『友くんが動いてる!』って。

 後で聞いて分かったことには、
 俺という人間は、中学校からの帰り道に
 トラックに跳ねられて以降、ずっと
 目を覚まさぬ植物人間状態だったらしい。

 名前も同じ『小林 友』。
 父親と母親の顔も同じ。
 ご丁寧に、中学校の友達と言って
 青柳と佐々木達まで見舞いに来た。]
(11) 2020/10/08(Thu) 18:59:00

【人】 一年生 小林 友

[すんなり飲み込むには、
 あまりに大きな変化だった。

 リハビリに励みながら何度も事実確認をして
 どうやら、ここが『コロナ』というウイルスに
 脅かされている世界だということは分かった。]


  …………じゃあ、菜月はここにいるの?


[だけれど、俺の周りに
 菜月を知っている人が
 誰一人としていないことが分かった時は、
 俺は、自分の世界を捨てたことを、
 ─────少し、悔やんだ。

 結局、君に会えないなら
 もう生きていたって仕方がない。]
(12) 2020/10/08(Thu) 18:59:36

【人】 一年生 小林 友

[でも、俺は結局諦めきれなかった。

 リハビリを終わらせて退院したら
 青柳達から一年遅れて高校に入り直して
 今、大学で近代文学を学んでいる。

 研究作家は、小川 未明。

 どれだけ研究しても、あの時
 俺と菜月に起きた、夢みたいな出来事の
 説明なんか付かなかったけれど。]
(13) 2020/10/08(Thu) 18:59:51
[アジダルは危ない水着を過去に着た事があり、
持っていたらしい。
それなら、女装の1つや2つや3つしてても、
おかしくはないとは常々思っている。
女装姿が見たい訳ではないが、
濃い目の化粧も似合うのではないだろうか。
化粧をしていたなら、
踊り子もそこそこ似合っていた…様な気がする。
なお、先程のランウェイはノーメイク

扉を開いた切っ掛けになったのは汗の滲む男臭さ。
女装を妄想する分には精神影響は薄い。


メンズブラは最近付けている物が多いらしい。
例のマッチョな友人も興味を持ってたし、
きっちりしたのも好きそうだし意外と好むんじゃないか、と

夢から起きて万が一覚えてれば、
送り付ける日が来る………のだろうか?]*

[懐かしい友人に連れられて、案内されたのは玄関を抜ける迄。
用事があるからとさっさとどっかへ行ってしまう彼とは、
今度飲みに行こうと約束だけ交わして。

毎日歩いていた廊下の先で、
知った顔と見知らぬ顔の二人組のメイドと出会う。
帰って来たの?と声を弾ませた顔見知りは、
積もる話もそこそこに、
中庭にあのお方がいらっしゃるわよ、と教えてくれた]

[彼女は変わっただろうか。
己の事を……少しでも覚えてくれているだろうか。

自分に逢う資格があるのかと考えないではなかったけれど。
年月を経た彼女は、今どうしているのか。
元気でいるのか。
それを確かめたい気持ちが優に勝ってしまった]


  ぇっ と……


[けれど、実際目の前に彼女が現れれば言葉が萎む。
おかえりなさいに答えていいものか、迷った。
迷っている間にも、萌黄の瞳は懐かしい人を映して、瞬いて、思い出の姿と照らし合わせる。

あぁ、変わらない。
少し大人っぽくなった。きれいになった。
背が伸びた。(伸びてない)

けど変わらないな、と、
勝手に頬が緩んで、勝手に返事をしていた]


  ただいま……


[色んな事があったのに、何年も経ったのに。
こうしてまた逢えて、彼女が微笑んでくれた事、神に感謝した]

[「お子さんですか」と聞かれれば、あ、と思い出した様にルミを前に優しく押して、
「娘だ」と頷いてから、詳細を説明した。
いきなり養子だと説明するとルミは機嫌を損ねるので。

機嫌は損ねなかった様だが、
ルミはじーーーっと無言でシャーリエを見上げていた。
多分、お姫様の様な姿に憧れたんだろう]

[……いいんだろうか、こんな普通に昔に戻って。
いやオレが逆の立場でもこうするけども。
そう思うと少しは気持ちは軽くなるが、すわりはどうしても悪い。
でもレモネードは美味い。
ルミも「すっぱあい」と口をすぼめながらも、グラスを離さなかった。

この後教会へは是非一緒に、と頷いた。
彼女と関係がある事を知ってもらえば、何かとスムーズになる事も多いと思ったし。
そんな正直な話もしたし、連絡が途絶えた理由も話したし……
盗賊団がどうなったかは、
そのワードがよくなかったものだから、口籠った。
すると、彼女の方から提案があった。]


  ……ルミも一緒で良いか?
  多分、この子途中で寝ますから。


[己にとってはよく知る地でも、ルミにとってはそうではないから。離すのが恐ろしくて、三人で居る事を望んだ。

そうして教会だか、夜の客室だかで落ち着いた頃、
思い出した様に声を上げた]


  あ、そうだ……
  土産とか何もないんだ……悪い。


[すぐに会いに来るつもりで
帰って来た訳ではなかったから……。**]

【人】 二年生 早乙女 菜月

「エレベーターで、ベースはそんな足の持ち方しちゃだめ! 手でトップの体重のかかりかたを感じて、トップから目を離さない!」
「エレベーターに乗り込むとき、トップはもっと膝の屈伸を使って! スポットはただいるだけじゃないのよ、ちゃんとトップの腰を支えなさい!」
「ダブルテイクの時は、トップの足の高さを合わせて! そのためにはベースが高さを合わせないとダメ! トップ、内股!」
「そんなやり方でエクステンションを続けたら、ベースは肘を壊す!スポットはもっとトップの足首を握って全体を観察しなさい! 何のためのスポットなのよ!」

[大学で入ったチア部は、高校以上にスパルタだった。
 私はチアをやめることなく、ずるずると続けている。アキナと同じ大学で。

 大学の中で会っても、外で会ってもどこで会っても、アキナは何も言わない。ただ、割れた鏡のような目で私を見るだけだ。
 いっそ何か言ってくれれば、と思うけれど、私だって自分からは話しかけることができない。
 結局私たちは微妙な関係のままだ。]
(14) 2020/10/09(Fri) 6:39:52

【人】 二年生 早乙女 菜月

[つまんないな、と心から思う。
 チアをやっていても、どこか冷めた自分が邪魔をする。

 苦しい思いをして、考えないで済む時間ができるのはありがたい。
 だけど、チアそのものの魅力には、コロナ前の方が取りつかれていた。

「今」の菜月が好きだよ。>>3:-48


「今」の私はどうだろう。]
(15) 2020/10/09(Fri) 6:41:19

【人】 二年生 早乙女 菜月

[鞄の中には一冊のお守り。
 一枚も増えていない、正しい重さの童話集。
 ラミネートコーティングされ、
 「私立桐皇学院高等学校」と書かれている。
 結局高校の図書室に残していくことはできず、
 通常よりも高い値段で買い上げた。

 ともすると、友君と過ごした日々が
 ただの妄想じゃないかと思ってしまう。
 
そんなのは悲しすぎるから。

 今となっては、この本だけが
 あの不思議な現象の証拠になってしまった。

 やりとりが何一つ残らなくなって、
 確かに友君と過ごしたんだ。
 私ひとりじゃ本なんか読まない。
 私だけじゃ、こんなに四季には気づけない。
 友君からもらった言葉で、私は世界を表していく。

 だけど、だけどね、やっぱり、
さびしくて、しかたがない。]
(16) 2020/10/09(Fri) 6:41:35

【人】 二年生 早乙女 菜月

「お、早乙女。いい加減続き読んだか?」
[構内をふらふらしていると、小埜先生に話しかけられた。
 小川未明を研究しているとかで、彼の授業を取って以来、なんとなく気にかけられている。他学部の私がわざわざ受けに来たのが珍しいらしい。
「続きは読まないですよ」「そのこだわり何なんだよ」「貞節です」
 授業は意味が分からなかった。だけど、毎回単位を落としながらも、同じ授業を受けている。
「下手の横好き、ここに極まり、だな」
 いいんだ、必修じゃないし。]

「そういや、今年もう一人入ったぞ。小川未明好きが。早乙女と違ってできるけど」
 悪かったですね、と唇を尖らせるのも、小埜先生は聞いていない。ちょうど外から入ってきた男子学生に手を上げて、「あ、いたいた。おーい小林……消毒!」アルコールをせずに入ろうとした青年に叱責を飛ばす。]


 ……小林?


[はいはいと聞き流そうとして、それができずに青年を見た。
 よくある名前だし、ただの偶然、だとは思う。
「小林、こいつが前ちらっと話した面白いやつだ。文学部じゃないのに俺の授業撮って、歴史に残る酷いレポートを書きながら毎回授業取ってくる。今年も落ちる予定だ、なあ早乙女」
 ぺらぺら話しかけてくる小埜先生を無視しながら、
 それでも、ほんの少しだけ期待してしまった。]*
(17) 2020/10/09(Fri) 6:44:06