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224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】
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黒眼鏡
「突然捕まるし熱出るし痛いことされるしサイアク」
むっす〜と頬膨らませて拗ねた様子。
手に響かない程度にもう一度蹴った、まあ八つ当たりだ。
「ファミリーの幹部にでもなれば、
こんな状況でも鼻歌歌ってられるの?」
げし。
#収容所
ニーノ
「体調崩したのか?
おめー、一応拘留されてても診察受ける権利はあるぞ。
ちゃんと看守に言えよ。
通じるかわからんけど」
無遠慮に手を伸ばし、様子を確かめるようにべちぺたと頬や肩を叩く。
「いや、俺がスペシャルにタフガイだからだ。」
止めることも無くそのまま蹴られながら、
ハハハ、なんて笑う。
「お。なんだ、随分耳聡くなったな。偉いぞ」
#収容所
![](./img/discordia/107.png) | >>15 >>16 リヴィオ きっと女が昔のままの女だったなら。 あなたに贈られたものは『銀のヘアピン』であり、愛らしいヘアクリップは今も女の手元に残されていた。 そもそも、いつも通りに何の脈絡もなく突然ヘアピンを贈りつけるだけで全ては事足り、今こうして共にパラソルの落とす影の下語り合うことだってなかったはずだ。 そうしなかったことが、女の敗因であり。 そして、あなたの救いであるらしかった。 女の手が止まる。 しゃくり、と匙をジェラートとコーンの隙間に刺した。 ミントブルーの瞳がそんなあなたを映す。 だけど女にはどうしても口にしなければならないことがあった。 「…リヴィオさん。」 #specchio (17) 2023/09/24(Sun) 11:07:50 |
![](./img/discordia/107.png) | >>15 >>16 >>17 リヴィオ 「あたし、捕まる訳にはいかないんですよねえ。」 女は、中途半端な蝙蝠だった。 獣の仲間にも鳥の仲間にもなれないままの、そんな本物の半端者だった。 それでも、女の心だけはいつだってひとつであったつもりだ。 だから女の言葉はその通りで。 ただやっぱり少し困ったような顔で、あなたのことを見つめている。 「… 見逃してくれませんかあ?」 そんな甘言。 法を悪用した罪人の、それは最後の足掻きであるはずだった。 そして女は足掻かなければならないはずだった。 空浮かぶ雲の色濃く深い曇り空。パラソルの影と同じだけ、周囲の景色も暗くなる。 #specchio (18) 2023/09/24(Sun) 11:10:00 |
| (a15) 2023/09/24(Sun) 11:11:11 |
![](./img/discordia/107.png) | >>15 >>16 >>17 >>18 リヴィオ 匙をとり、ジェラートをそっと口に運ぶ。 「そおいうわけには行きませんよねえ。」 「そおしたら、また別の人が逮捕されちゃうかもしれませんしい」 それはあたしも困ります、と。 女はここにきてようやく、いつものようにけらけらと控えめに笑った。 「ただひとつだけえ、聞かせてくださあい。」 「あたしはずうっと、 あなたたち を探していたんですけどお。」 「…リヴィオさんは、最後のひとり…ですかあ?」 それだけは、聞けないと安心だってできないもので。 でも、もし違っていたら、どうしようか。 もう少し足掻かないといけないな、そのときは。 #specchio (19) 2023/09/24(Sun) 11:12:42 |
自分が捕まった時、波及する人間を考える。
直属の上司。昔馴染み。
1番守りたいのはその2つなのに、それではなんの意味もない。
であれば2つとも、そしてマフィアとも何も関係のない愉快犯として捕まるのが妥当であろう。
…この法案がそれを許してくれるなら、だ。
そしてその秘密を、自分はその後絶対に守り抜き続けなければならなくなる。
黒眼鏡
「どうせいつもの熱だし、なんかもうそこまで頭働かなかったし……」
頬は多少熱いがピークは越えたところ。
無遠慮に伸ばされた手を嫌がる様子は無いが、眉間の皺は深まっていた。
慮るそれに近いと分かっていたから。
「崖から落としてもぴんぴんしてそうだもんな」
嫌味、ひとつ落としたあと。
「嫌でもなるだろ、ここにいるんだから」
「えらくない、別に」
「……なあ」
足を止めて、笑みを見上げた。
「なんでマフィアしてるの」
#収容所
ニーノ
「そうか。ったく、無理すんなよ。
飯はちゃんと出てるだろ?
なかったら俺が訴えてやるからちゃんと食えよ」
がしがしと、あなたの髪を持ち上げるように掻く。
乱暴な指先が頭皮にがつがつとぶつかって、けっこう痛く感じるだろう。
「崖は無理だ。3階…いや、4階からならイったことあるが」
大真面目に答えながら、片膝を立てて腰を下ろす。
どすんと乱暴に動くさまは、牢獄暮らしの癖に力がありあまっているようだった。
心なしか血色もよく、あの狭く油臭いカウンターの裏で味気のないパンをかじっている時よりも健康そうだ。
…ここが性に合っているのかもしれない。
「なんで、か。
んー……」
霧の中を悩み探るというより、
つるはしでガンガンと記憶をひっくり返すように
眉間に力を入れてから。
「喧嘩が強かったから…だな!」
グ、と力こぶをひとつ作り、にっと笑った。
#収容所
「あ〜いってえ……」
腹の辺りを抑えながら収容所をよたよた歩く。
「あのバカ野郎マジで蹴りやがったな……
肋骨とか折れてたらどうすんだっつの……
いや、怪我はお互い様か……」
呟く顔にも傷はあるし、白衣のあちこちに血はついてるし。
包帯は巻いてるし、髪も所々くすんだ赤が付着している。
何をやったのかはさておいて、ふらつく足取りから
まあ"それなりに"やりあったのは確実だ。
一応、見知った顔を幾つか見つける度、
両手に嵌められた手錠ごとふりふり手を振った。
#収容所
カンターミネ
「よう、おしゃべり。
ここでは流石にちょっとは静かか?」
手をひらり、声をかける。
痛々しい様子がなかったら、肩でも組んでバンバン叩いていそうな勢いだったが、
流石に遠慮したのか距離が遠い。
#収容所
黒眼鏡
「カフェのマスターは元気そうだな……羨ましいぜ。
散々喋ったんで疲れたんだよ、はーあ……」
手を振り返し、のそのそ寄る。いや、距離は遠いけど。
だってバンバンされたら今流石にキツいし。
「嫁入り前の乙女にこんな傷負わせる奴いるか?
信じられねえよなあぁ〜……」
#収容所
カンターミネ
「人と話すのが仕事だからな。
お前ほどには舌が回らんが」
寄ってきたなら、座れ座れと壁際を指す。
幾分か距離を保ったまま、自分はつま先立ちでうずくまった。
「あーあー痛そう。
もうちょいちゃんと手当しろよな〜?
あー、まあいいんじゃねえか、嫁に行く予定もないだろ暫く」
ノンデリだ…。
#収容所
黒眼鏡
「よく言うなホントに」
主に現状を指している。
座り込むのにものそのそ、一旦壁に背中をつけてから
ずりずりと降りていくようなザマだ。
「俺だって手当したいんだけどねちゃんと。
死ぬ程痛いし。マジで。また腹立ってきたな。
じゃああんたは結婚式には呼んでやらん。」
痛くても軽口を言ってないと死ぬ病にかかっているのかも。
げほ、と咳き込んではいってえ、と呻いている……。
#収容所
黒眼鏡
「飯は今日から食べてるけど……いったいって」
雑な撫で方がなんだか懐かしくて鼻の奥がつんとした。
そういう気遣いもいつもと変わらないから、誤魔化すみたいにやっぱり睨み付けた。
とはいえその手を払い除けたりはしない。
「四階って……」
そして嫌味に対し事実の一つが返ってきたのならじっとりとした視線を向け……
向けていたら、問いに対しての答えに最後、返る。
作られた力こぶに、満面の笑みに。
普段出さない声が出た。
「あ〜〜〜〜〜」
それだけかよ、ああでも。
「……もぉ〜〜〜〜〜〜」
なんだ、それだけか。
[1/2]
#収容所
「……」
頬に平手と殴られた痕がある男が気怠そうに声の方を眺める。
あのおっさんと美女がいる空間には行きたくねえなと思って通り過ぎた。
#収容所
黒眼鏡
「…………つかれた」
「にいさん
のお陰で、散々だ」
本人に会って。
そうなのだとようやっとの確信を得て。
それでもまだ貴方を変わらず呼べた。
だからそういうことだった。
隣に腰を落とす。
畜生、と零しながらもそちらに身体を傾けた。
つかれたなあ、なんでそんなに元気そうなんだか。
[2/2]
#収容所
カンターミネ
「そう褒めるなよ」
ワハハ、と明るい笑い。収容所で上げるタイプの笑い声ではない。
その様子を見ればまた、あーあー、なんて声。
「ここでひん剥いてよければ手当してやるがね、
俺も紳士だから淑女に対する配慮ってもんを持っているからな。
氷だけでも貰って来てやろうか?
ハァ〜、冷たい部下を持って俺は悲しいよ。
部下の結婚式で泣いてやるのが俺の夢だったのに」
軽口をお手玉みたいに飛ばしながら、
それでもあなたが咳き込むと静かに言葉を切って、落ち着くのを待つ。
「寝転んだ方がよければ、シーツひっぺがしてくるぞ」
#収容所
収容所の中、どこかで見かけた白衣に気が付けば。
条件反射で「ぅゎ」の声が出たものの、怪我が酷いと理解し大丈夫かな……の心配に切り替わる。
とはいえすごい喋ってるし手も振ってるし大丈夫そうか……?
遠巻きに眺めている。
#収容所
ニーノ
「そうかそうか、それでいい。
飯食わないと大きくなれないし、
夜目も効かなくなるぞ」
いつの時代の話だろうか。…いや、スラムではあまり冗談ではないのだが。
払いのけられなければいつまでも、その髪をわしゃわしゃ撫でて。
「なんだ、俺のパワーを疑うのか?
しょうがねえやつだな、この」
隣に腰を下ろすなら、今度は肩をバンバン、無駄に強い力で叩く。
そのままぐいっと抱き寄せて、腕の中にすっぽりと囲む。
「ああ、フィオと会ったか?」
#収容所
黒眼鏡
「悪いな、俺の口が素直に褒める相手は
可愛げのある奴だけって決めてるんだ。
ちなみにひん剥いたらあんたも食い千切ってやる」
物騒極まりなく、ため息を零す。
「そうか、じゃあ今度存分に泣いてくれ。
盛大にするかはさておき、泣けるようにはしてやるよ」
こっちもお手玉。遠くから見る色男に何見てんだオイ色男、
そんな風な視線を送ってやった。
「いーえ結構。寝過ぎて体中痛いんでね。
あっちの怪我した色男の介護でもしてやったらどうだい」
「なーにがうわ、だおちびちゃんめ」
自分のせいでそうなっている、という事情は置いといて。
わしゃわしゃされてるのを眺めて、
どいつもこいつもよお、とため息を吐いた。
なんだこの平和な感じは。
もしかして尋問で外れを引いたのは俺だけか?
そんな風に肩を落とした。
#収容所
一度だけ収容所の賑わいの横を通り過ぎた。取調の為の一瞬だった。
カンターミネ
「ハハハ、そういうところがお前のかわいげだな。
食いちぎるならちゃんと歯を磨いておいてくれよ、
豆知識だが俺は綺麗好き」
流しているのかどうか、笑いながら。
「おう、頼むわ。いまからハンカチーフを用意しておかないとだな。
あー、あのドラ猫は俺の世話なんかなくても大丈夫だ。
独り立ちしてるからな」
「俺はデキる女にはやさしく、デキる男に厳しい」
わっはっは。
#収容所
黒眼鏡
「あんたに可愛げって言われるとゾッとするわ。
生憎ここの牢屋に歯磨きセットは置いてないんでな。
歯は磨きたいんだけどね、俺も。今すぐ。」
へらへら、いつもの笑みがやっと返ってくる。
……口の中も幾らか赤い。
「腹立ってきたな。ほんとにボロ泣きさせてやろうかな。」
「ふうん。あ、あいつと今度メシ食いに行くから
旦那も来て珈琲淹れてくれ。あとアレ、ニコロ。
あいつも引きずってこよう。逆ハーじゃん、笑うね」
わっはっは。
#収容所
カンターミネ
「おいおい、こんなにも人間的魅力にあふれているのに。
アー、珈琲が染みちまいそうだな。
水いるかい?」
どこからかペットボトルをとりだす。
中身はミネラルウォーターだろうか、ちゃぷちゃぷと透明な液体が揺れていた。
「イヤ、お前が嫁入りしたら俺マジで泣くと思うわ」
無礼なほどに真顔で言う。
「オ、マジでか。分かったよ、俺の新作オリジナルブレンドをもってってやるから。
ハハハ、色とりどりのイケメンが選べて嬉しいだろ〜?」
自分もその中に含めているのだろうか……。
「ちなみに誰が一番好みだよ、オイ〜」
#収容所
黒眼鏡
「どっから持ち込んでんだよあんたは……貰うわ」
受け取り、……一応キャップを見て臭いをかいで。
大丈夫そうなら、口に含んで洗い流し吐き出す。
床が赤く汚れるのはもう諦めて欲しい。
「あーそうかい。じゃああんたは泣かずに済みそうだな、
嫁入りする予定はないからな」
こっちもこっちで大概無礼な物言いだが、
まあ軽口には丁度いいんだ、たぶん。
「そりゃいいね。色とりどりのイケメンはどうでもいいが、
あんたのオリジナルブレンドは楽しみだわ。
ん〜?そうだなあぁ。そん中じゃ、ニコロじゃね?
あんたは年齢、あそこの色男は口説きすぎ。
ニコロの奴はからかい甲斐があるんでな!」
へらへら笑いながら、一応あなたもその中に含めて。
「だが、どいつもタイプじゃないね。
俺が好きなのは可愛げがあって、したたかで、
寂しがりで、あとなんだろうな。
ああそうだ、信用出来る奴!そういう奴なんでね」
![](./img/discordia/107.png) | >>20 >>21 >>22 リヴィオ 「頼み…彼?……あー。」 わかるような、わからないような。 でもわかる寄り。理由なんかがそれらしい。 女が抱いた 協力者 への印象は、ひとつめのアジトを放棄したときからあまり変わりはないらしい。 だからそのことに腹を立てることはなかった。 彼に伝えた言葉に嘘なんてなかったから。 女は裏切られてもいいと思える相手だけを、信じていた。 それにしても、その 彼 はさておきだ。 ではどうしてあの人は、あなたのことを知っていたのだろう。 …こっちには少し腹が立つ。 顔を合わせぬ間に、伝えたい文句ばかりが増えていく。 それはそれで、女の信頼の証ではあったけど。 #specchio (23) 2023/09/24(Sun) 14:36:42 |
![](./img/discordia/107.png) | >>20 >>21 >>22 >>23 リヴィオ コーンを崩して、口の中。 歯触りに微かな香ばしさと イチゴの味が少しして。 ふう、と一息。口元にはいつもと同じ笑み。 「…でも、そおですかあ。」 「リヴィオさんで、ほんとおに、最後…。」 そんな中、沁みるような声に滲んだのは、安堵だっただろうか。 少しだけ、違うような気もしている。 でも肩の荷がひとつ降りたのだけは、紛れもない事実であったらしい。 あなたの胸中こそ知らないが、女はずっと、早く地獄に堕ちればいいと思っていた。 静かに座る権利なんてどこにも残っていないと思っていた。 だからこれから往く先が、冷たく狭い地獄だとしても構わない。 そういう場所に、女はあの優しい人たちを送り込んできたのだから。 手錠をかけたとき、誰一人として、女を責めた人はいなかった。 女は本当にそのことが、ずっとずっと、哀しかった。 左手小指のエナメルを撫でる。 いつもはつるりと陶器みたいな感触なのに、その表面は傷だらけで少しざらついて感じる。 「…わかりましたあ。」 「デートのお誘い、お受けしますう」 そうして女は、歌うような声で、朗らかに告げた。 #specchio (24) 2023/09/24(Sun) 14:37:33 |
![](./img/discordia/107.png) | >>20 >>21 >>22 >>23 >>24 リヴィオ 女の虚実は意図しない限り曖昧だ。 今こうして晴れた心地でいることが、本当なのか嘘なのか、女にだってもうよくわかりはしなかった。 でも、ひとつだけ。 「――ところでリヴィオさん。」 「そんなお身体で、まさかエスコートなんて言いませんよねえ。」 半日休むって、言ったくせに。 それについて抱いた感情は本物だろう。 まだあと少しコーンが残っていたけれど席を立つ。 座るあなたを、見下ろして。 「病院でも、風邪薬でも、何でもいいですけどお。」 「雨が降る前に、少し寄り道しませんとお。」 「…デート相手が素直だった分」 「時間に余裕は、まだありますよねえ。」 …聞くところによると、今日は通り雨が降るらしい。 そんなものに、今のあなたを晒すわけにもいかないだろう。 …これが、女が『銀のヘアピン』について、言い訳ひとつしなかった理由だ。
きっと、してやったりと、女はにこりと笑っていた。 #specchio (25) 2023/09/24(Sun) 14:38:28 |
カンターミネ
「企業秘密」
まるでCMみたいに頬にペットボトルを寄せて、にんやりと笑う。
あなたがそれを受け取るならば、
ぱっとかぐ限りは市販のミネラルウォーターと違わないように感じるだろう。
…というか、多分ラベルをはがしたそのものだ。
どうやって持ち込んだのか。
「そこはさあ、どうせならやってやるみたいな危害を見せてほしいもんだね。
女の幸せが結婚なんて言うつもりはねえが、
お前はなんだかんだ、なんか見てくれるやつがいたほうが安心……」
「アー。まあ、お前相手じゃ、そういう相手のほうがいいかもな」
へらへらっと笑いを返して、なんだか嬉しそう。
「その条件じゃあ、確かに俺は入らねえな。
理想の男性を見つけられることを祈ろう、カポとして」
#収容所