人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

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「任せる。やり方もな。

 ああ、部下も逃がすな。
 名簿にあるやつは全員引っ張っていい。
 なるべく殺すなよ。死者はリスクで、俺はリスクが嫌いだ」

殺さなければいいということだろう。

「それと――……別に摘発チームが編成されているらしい。
 そっちについて何か分かったら教えろ。
 警察内部の情報は、さすがにわからん」

「殺さねえよ。
やたらめったら銃を抜くのは此方も不本意だからな。
今でもいい印象があまりないってのに逆効果だろ。」

上手く進めるためには立ち回りもまた重要。
その事を、狼は狂いながらもよく分かっている。

「別の摘発チーム、か。
分かった。何かしらの情報が掴めたら渡すよ。
もしこっちの邪魔になるようだったら潰すかい?」

好戦的な表情で笑う。

「…自分も、それについても構いませんよ」

基本の方針、
"アリソン女史"の方針がそれだと言うならばそれに従おう。
崩れた言葉を元に戻して、投げられた資料を手に取る。

何故ファミリーに?と問うことはない。
それは目の前の人間の素性を知らぬ故ではなく、
どちらであったとしても、わざわざ問おうと言う気はないだけ。

黙って資料を読み込んだ後、そのまま静かに頷く。
あとはこの資料を破棄し、実行するだけ。
とは言っても、隣にいるもうひとりのやる気を見るに。
本命は任せてもいいのかもしれないと机を軽く叩いた。

「……別の摘発チームについても了解です。
 自分も、何か情報が入り次第共有します」

邪魔になるようだったら……さて、どうするのか。
従うつもりでいるもう一匹は、好戦的な笑みを横目に眺めた。

「分っているならいい。
 大分強引な仕組みだ、無理をしすぎず実績だけ積み上げて、動きやすくしてやろう」

続く言葉にも、ああ、と頷く。

「これは"アリソン"のプランだ。
 俺の目が届かないチームは要らん。
 潰せ」

淡々と告げる。いらないものをゴミ箱にすてるのは当然のことだと、そういっているだけのよう。


「分っているならいい。
 大分強引な仕組みだ、無理をしすぎず実績だけ積み上げて、動きやすくしてやろう」

続く言葉にも、ああ、と頷く。

「これは"アリソン"のプランだ。
 俺の目が届かないチームは要らん。
 潰せ」


「話がスムーズでなによりだ。
 できるチームを持ててうれしい」

N.N.の言葉にも頷く。
…どういう姿勢か、なぜ参画したのか、そういうことは一切問わない。
ただ話がまとまったという事実だけで十分と、手を鳴らす。

「では、解散。
 ここはもう使わん。
 次の場所は、また連絡する」

「…了解」

潰せと命を下されるなら話は早い。
要らないものは狂犬らしく喰い荒らそう。

解散の合図と同時に立ち上がり、
次の場所についても理解したと肯定を示すように頷いた。
ここでいつものように振る舞うのもひとつだが、最初の会合だ。
まともさを少しくらい見せておく方が
使える
だろう。

そのまま2人へと軽く頭を下げ、扉に手をかけた後。
男はひとり先に、この場から立ち去っていく。

まるで何事もなかったように、いつも通りの笑顔を貼り付けて。

【人】 陽光の元で ニーノ

>>50 リヴィオ

「オレが?……そっか」

「へへ、お揃いは嬉しいけどちょっとはずかし〜かも……
 でも最近のリヴィオせんぱい見てたら気になってきちゃったから、その内何か着けてみようかな」

思い浮かべているピンはシンプルなもの。
それでも手を出したことのないお洒落アイテムは、手に入れるだけでもまず背伸びしないといけなさそうだ。
向けられたウインクからは普段と変わらず貴方からの自信がひしひしと伝わってくる。
そんな上司の姿はやっぱり好ましく、近づいてみたいものだなと。

「へえ〜〜〜贈り物!すてきですね!
 誰から頂いたんですか?友達とか〜……」

そういえば最近のせんぱいは毎日つけてるな〜と思い返す。
それぐらいお気に入りということで、品自体もそうだが渡してくれた相手への好意もあるんだろう。
そう……毎日身に着けたくなるぐらい…………ハッ……

「…………こ、恋人……?」


スクープ…!?みたいな態度を見せては思春期のような反応をする19歳。

#街中
(52) 2023/09/12(Tue) 13:46:31
「了解した。じゃあそのように。」

潰せとの言葉に喉で笑いながら
次の会合のことも頷くだろう。 

先に出ていった同胞の背を追って
もう一匹の凶狼もこの場を後にした。

為すべき事を為しに行く為に。

【人】 陽光の元で ニーノ

ふにゃふにゃと動く白い頭を見下ろしては時折指先で撫でる。
誰かに触れられたことも気にしない小さな猫は、紙皿に注がれたミルクを一生懸命飲んでいた。
スラムに近い路地の裏。休日に予定がなければこっそりとこの辺りに来てしまうのは常のこと。
足を運んでいると知られれば今の家族に良い顔をされないとはわかっているが、わかっているからこそ相手はこんなところに来やしない。バレはしないだろうのちょっとわるい魂胆だ。
今日は先客が居たのでお邪魔しますと貢物をしたわけだが。

「大きくなれよ〜……」

陽も暮れかけてきた時間帯、ぼんやりしてたらなんだか眠たくなってきてしまった。
行儀悪く座り込み薄汚れた壁に凭れながら、ちいさな生き物に語り掛けた声は微睡んでいる。
子猫はやっぱりミルクを飲むのに必死なので返事はしない、代わりにゆぅらりと短い尾が揺れていた。

#路地裏
(56) 2023/09/12(Tue) 16:07:16

【人】 陽光の元で ニーノ

>>63 カンターミネ

うと、うと、うと。
少しずつ船を漕いでいた男はもうちょっとで眠りの底に落ちてしまうところで──けれど唐突にぱっと顔を上げる。
重たい瞼に言うことを聞かせるように、何度か瞬きを繰り返してから。

「…………」

顔を向けた先には少々距離の開いた場所で立ち尽くす人影。
こちらは貴方に見覚えはない、ないので考えていた。
たまたまここを通った誰かか、それともスラムで生きる子どもか。
にしては服装が小綺麗なのでやはり前者か、というか子どもというには体付きが……いや、どちらにせよだ。

「……ごめん、猫苦手?
 でもこの子が先にここに居て、オレが邪魔しに来ちゃって。
 だから場所代支払ってて〜……ええと、そう……」

笑みを浮かべてくれてはいるが、自分に、というよりかは子猫を警戒しているようにも見える。
なので無害ですよを伝えようとして口を開くも、先ほどまで寝惚けていた頭は上手く働かない。

「…………だいじょうぶ。
 噛んだりしない、オレも……安心して、通っていいよ」

オレも……?それはそうだろ、何言ってんだ……。

チョイスミスに気が付いたのは言葉にしてから、適当に流してくれたらいいなとぼんやり思っていた。
ちなみに子猫はまだ元気にお食事中。

#路地裏
(67) 2023/09/12(Tue) 20:06:18
そしてこちらは不意に貴方の正面に置かれる椅子。
更に背後で困惑の気配──振り返れば一人の女が、
あなたに何て声をかけるか惑うようにまごついていた。

「……あ、あの。貴方がお酒、飲むの?」
「……女の子が頼もうとするからダメなのかしら」

貴方が手当たり次第に何かを叫んでいた様子は見守っていたのか、おっかなびっくりに椅子を頼めば、貴方のテーブル正面側に椅子が配置されて女はおずおずとそこに座る。

「それじゃあ……モヒートを」

望んだものはテーブルの上に現れた。

幸運の神に恵まれたらしい。
椅子と同じようにその場に瞬きする間もなく、グリーンが映える爽やかな夏向けのカクテルがすぐ傍に出現した。

「わっ、本当にでてきたわ。
 凄いわね、手品師の人が運営するお店なのかしら?」
「お嬢さん、きっと有名店であろうここはどこかわかる?」

モヒートにまだ口は着けずに軽くグラスを傾けて艶やかな色を味わっている。
貴方の"地"が些か出ている事も知らない女は、きっと男勝りな愛らしい少女なのだろうと誤解……誤解ではないかもしれないが、とにかくそう思ってそう問うた。


「おいなんでだよ!不平等だろ不平等!!」

不意に現れた──ように思えた──あなたに何かを言うより先に、
現れたカクテルを認めれば不平を嘆いた。
もちろん憤りを向ける先は夢だ。あなたではなく。

「あークソ……何処ってこんなん夢だろ夢。
 こんな出鱈目な店あったら世界中で話題沸騰間違いなしだ
 予約で軽く30年は待たされるね。」

「それにしたってこの差はなんだ?
 深層心理で俺の肝臓が反逆してやがんのか?内臓如きが…」

諦めたのかレモネードをちびちびとやり始めた。
所作がおっさん臭い。

「んで、わけわかんない夢に招待されたご感想は?signorinaお嬢さん

「ご、ごめんね私だけ頂いちゃって……
 ……お嬢さん、今おいくつ?」

思った以上に悪態をつく、どことなくおっさん臭い様子を見て思わず「差し出がましいけれど」と言いたげな声色でそう問い直す。

「夢、夢なのね。夢なら……うーん……
 でも夢でも見逃がしちゃうのはよくないと思うから……
 18歳以上なら、私が代わりにお酒を頼んでも、
 このモヒートを渡しても全然構わないのだけれど……」

肝臓が反逆?と、独特の言い回しについていけてないのか、些か疑問符を沢山浮かべ、困惑を一切隠しもしないまましどろもどろにそう提案する。

「……え?」

「感想、感想……そうね……」
「……夢だと言うなら、もう少し美しい庭園みたいな
 場所ならよかったかもしれないかなって」

なんて迂闊に呟けば、薄ぼんやりとした空間に薔薇の庭園が周囲に花を咲かせだす。早送りする映像化のように葉から蕾に、そして花に変わり咲き誇る様子は、まさに夢としか思えない光景だ。

「……わ、わ……」

それを願った当の本人は、夢をすっかり信じ込んでいるにもかかわらずその様子に思わず口を覆って言葉も出なくなっているが。

【人】 陽光の元で ニーノ

>>69 カンターミネ

今度は先程より重くない瞼を動かし何度も瞬きをしながら、ちょっと待てポーズの貴方を見つめていた。
じわりじわりと理解し始めたのは先ほどの言い間違いを流してもらえていないこと、それをはちゃめちゃに笑われていること。

「っち、ちが──言い間違え!
 寝惚けてたの! オレは噛みつきません!」

で、突然さっきまで隣に居た人間が声を大きくしたので、子猫がびくっと震えた。
それにすぐに気が付き「あっ、ごめん…」と声を小さくすると同時に、なでなで。
落ち着かせるように額を指先で擦ってやったが、続く貴方の言葉にはまた声が大きくなりそうになった。何とか堪えた。

「危機はないってば、も〜……
 ……オレはキミのこと見たことない。
 でもよく街うろついてるのは一緒だから、見られてたかも。
 というかオレくんじゃなくてニーノだかんな」

「あと子猫目当てじゃなくて、ただの里帰り……育ちがそこで。
 昼寝は確かに……ちょっと気が抜けてたのは認めるけど。
 っていうか、キミこそ猫は苦手じゃなくても『オレ』には苦手意識持ってた方がいいんじゃない、こんなところに座り込んでるやつ危ない人間かもしれないだろ」

『そこ』とスラムに続く道を指差しつつ、最後の言葉には「女の子だし」と付け加えた。いや勿論危機は無いんだけれども、意識としてこう……。
靡く白衣に関してオレくんは勿論怯えていないが、子猫は少し警戒したようで無害そうな大きいやつの後ろにぴゃっと隠れた。

#路地裏
(72) 2023/09/12(Tue) 21:56:31

「29だけど」

29だけど、ではない。

レモネード片手に椅子にどっかと座り、肘をついたまま。
文字通り夢のように変わっていく景色を見ながら半目になる。
何でもありか、とでも言いたげに。

「ていうかタッパもあんたとそんなに変わらないだろ。
 口振りからしてあんたも成人だろうし」

実際、両者の身長はそう変わりない。
そして未成年飲酒を咎める側ならあなたは成人だろうと推測した。

「夢の中でも未成年飲酒を見逃せないとは
 随分正義感に溢れたお人だな。普段は教師でもやってるのか?」

椅子から立ち上がり、庭園の薔薇を一つ手折りながらそう尋ねる。

相手は所詮は夢の中の住民、詮索する事に大した価値は無い。
この自称29歳は今はそう思っている。
とはいえ詮索するような事を言ってしまうのは職業病か。

【人】 陽光の元で ニーノ

>>70 リヴィオ

「……う、うん」


「あッいや、"はい"、です!」

目の前にいるのは黒猫ピンを付けていてもかっこいいなと思える顔がいい相手。
微笑んでそんな風に言われるとなんだか気恥ずかしさが湧いて、瞬時の声は小さく砕けたものになってしまった。
が、すぐさま上司への返事としては相応しくないと気が付き、謎の訂正を加えている。
流石せんぱいは無敵だ……とまた謎の感心を抱いていたところ、恐る恐るの問いに返ってきたのはとりあえずの否定と。
でもなんだかちょっと含みがあるかのような言葉と所作で……。

「フリーだけど、友人じゃなくて……?」

「……も、もしかして今から可能性がある、みたいな……
 それともえっと、なんか……ひみつのかんけ〜…」


なに、なんなのせんぱい、その反応と顎撫では……!

とまでは流石に言葉にしないが、ぐっと握った拳には堪えた何かが現れている。
ぐるぐると深く突っ込むか葛藤して思考を働かせる中──気が付いたのはそうじゃないことで、そしてかなり今更の気付きだ。

「──はっ、リヴィオせんぱい仕事中じゃん!
 ごめんなさい!オレと話してたら平和を守れないですよね…!」

#街中
(73) 2023/09/12(Tue) 22:07:44
「は、はわ……
に、にじゅうきゅう……」


どうぞ、飲んでくださいとばかりにまだ手を付けていなかったモヒートを差し出した。グラスの中の氷がカランと鳴ると同時に、気まずそうに顔を俯かせる。

「す、すすすすみません、すみません……
 随分可愛らしい方だったから、まさか私より年上とは……」

先入観、と言う物の怖さを知る。
こんなだから職場でも叱られるのだ、なんて夢のない話は心の奥にしまって、改めて薔薇を手折る貴方を見て見れば確かに背丈はそう変わらず、失礼な発言ももっと慎重にしていればよかったのだと項垂れる。

「きょ、教師なんて滅相も。
 今は……け、警察官を……していて……」

むしろ人によっては教師以上に滅相もある職業である。
こんな頼りなさが先に見える存在が警察だと知られたら、尚の事呆れられる懸念はあるけれど、隠し通すなんて思考はない。
賢明ともいうし、馬鹿正直ともいうし、愚かともいう。

「……そちらは、その、何の職を?」


「おっしゃ。ラッキー」

差し出されたモヒートを上機嫌に受け取った。
あなたの慌てぶりや気まずさも何処吹く風といった様子だ。
何ならこの自称29歳は元々勘違いをあまり気にはしないたちであり
あなたが一方的に気まずくなり損かもしれない。

「へえ、警察官ねえ……」


………警察官ん〜?

 警察官ってあの警察官か?間違いなく?sul serio?マジで?
 あんたそんだけ弱腰でよく受かったな」

一瞬流しかけた。衝撃の事実を。
呆れを通り越してこれでよく受かったもんだと感心するくらい。
こんな夢を見ている深層心理はどうなっているのだろう。

「何って聞かれると『色々だ』としか言えねえな。
 けどま、大雑把に言うなら……」


「裏のお仕事。所謂マフィアってやつだよ」

「さて、夢の中でも未成年飲酒を見過ごせないお巡りさんは……
 マフィアはどうする?しょっ引くか?」

「あれ。早いじゃん」

あの後紹介したバーの前に向かえば、
既に待ち合わせの相手の姿は店前にあった。
思わずぽろっとそう口に出してから、すぐに貴方の傍に寄って行く。

「すまーん。待たせた?ちゃんと迷わないで来れた?」
「胃薬とか持ってきたから欲しくなったら言えよな。
 金はあんま気にしないでいいから……」

瓶底眼鏡に一つに括った長い髪。
バー自体はおしゃれなので服装こそいつもよりまともだが、
それ以外は普段通りの恰好だ。

「うぅ……す、すみません……
 私なんかが警察官だと不安にさせてしまうかもで……
 ですが本当です。勉強を教えてくれた幼馴染たちがいたから、なんとか、なんとか……受かって……」

指摘されているのは頭ではなく態度の方なのに頓珍漢な受け答えだ。この間の読まなさでは頭の方もお察しだと思われてもまるでおかしくない。

「……え」
「マフィア」

そうして、貴方の告白に息を呑む。
けれど、次がおかしい。
驚きの次に見せた反応は、一般市民連中に比べれば、随分とおかしなものだ。

「お姉さん、」
「マフィアなんですか」

なんせ、むしろ安堵するかのように声色をよりによって紡ぐのだ。
マフィアと別の職を聞き間違えた?そんな事はない。
女の視線は真っ直ぐに、憧憬の眼差しをもって、警察官が向ける反応としてはどう考えてもおかしいそれを、女は後ろめたく思うことなく、向けていた。


「………んんん〜〜???」


安堵したかのような声色、憧憬すら滲む瞳。
予想していた反応と違う。
大方慌てるか、困るか、そのくらいだと踏んでいたのだが。

「マフィアってそんな地域密着型の組織じゃなかったよなあ?
 身内にこっちの人間が居りゃ警察は落とされるだろうし……
 昔スラムに出入りでもしてたか?」

あなたの事など知るよしも無いから、憶測でものを言う。

路地裏、スラム、裏社会と呼ばれるもの。
それら無秩序なりの秩序を保つのがマフィアというものだ。
それに対し親しみを向ける者には、そういった過去がある。
推測未満のものの中から、適当に思い付いたものを挙げた。

「出入りしていた訳ではないんですけど、その」

「誘拐された所を、誘拐されかけた所を、
 マフィアの方たちに助けて貰った事があって……」

言い間違いの訂正ではない。
つまるところ、そのような機会が複数回起こり、数度は恩を感じる程に、別人にそれぞれ助けられたと言うことだろう。

それだけ攫われかけるのはただの不運で片付けるには少々苦しいが、性格や立ち振る舞いを考えるとそうあり得ない話でもない、そんな印象かもしれない。

「私が今ここに居るのは、その人たちのお陰です。
 だから、どうしても抜けきらないんです。色々と。
 ……私はアリーチェ。貴方のお名前をお聞きしても?」

抜けきらない。その言葉からは、憧憬に近い眼差しは本人なりに自覚があって普段はもう少し隠そうとしている事を指している。


「ペネロペ。」

息をするように偽名を名乗る。
これを名乗る間はただの一市民のペネロペ・ベリーニだ。
それは血の掟に対する屁理屈でもあった。

「あんたが昔っからおっちょこちょいなのはよーくわかった。
 今の今まで恩が抜け切らないほどマフィアに助けられるような、
 天然記念物並みのな。」

「ま、俺も抗争……対立は好きじゃない」

デカけりゃデカい程な。そう続けて。

「仲良くしようじゃねえの。酒の礼だ」

テーブルの方へと戻り、手折った薔薇をあなたに差し出した。

「ペネロペ……よろしくね、ペネロペ」

音の響きを確かめるように、二度そう呼んで。
おっちょこちょいを指摘されれば気恥ずかしさと情けなさで眉尻を下げながら困り顔笑いを浮かべた。

「奇遇ね。私も対立や抗争は好きじゃないわ。
 組織同士では相容れなくても、
 個人間では分かり合えることだってあるんじゃないかって」

それから差し出された薔薇を両の手で、硝子細工でも受け取るかのように慎重に受け取って、淡く頬を色付かせた笑みを返す。

「Grazie mille。ええ、この奇妙な縁こそ、大事にするわ。
 園芸が好きな幼馴染がいてね。それで私もお花が好きなの。
 ペネロペもお花は好き?」


「そう、美しさに惹かれて108人の男が押し掛けた逸話が有名な
 あのペネロペだ。よろしくどーぞ」

あなたの頬のように淡く色付いた薔薇を渡せば、
そんな余計な話を付け足して応える。
自分はその名を欲しいがままにしている、とでも言うように。

「ま、所属でレッテル貼って個人を見ないのは前時代的だわな。
 とはいえ誰も彼もがそうともいかねえのが現実だが……
 奇妙な縁ねえ。またこの夢を見る事がありゃいいけどな。」

「花ァ?良くも悪くも普通だな。
 貰う事はあるし、知り合いに好きそうな奴は居るが…
 そこまで特別気にした事は無いな」

「俺はメンタリストでも飯屋でもないただの便利な男だがあ。
 お前さんから考え事をしていると食事を抜く人間の気配がする。
 ひっつかまる前に倒れないでくれよお、雇い主様。
 信頼関係とかどうでもいいから」

無感動か、感情が乗っている方か、何方の感情の素であるかなど男にとっては些事だ。
貴方が少なくともこの会話の中で隠そうとしたものがあり、
何かが揺れていることだけがなんとなく分かった、それだけでいい。
女心というモノを見るのは慣れている、正しくさばけるかは置いておいて、だ。

今日で感じたことは、目の前の人間はどことなくストレスを一人でためるような人間に見えたことだ。

「ああそうだな、もうターゲットが決まってるなら。
 そいつは除いておこう、その都度教えてくれ。
 
あとはあいつも要らんか……奴が大層な仕事を任されるわけもない。
リヴィオやニコロも……でかい仕事任されないだろ……


誰にするかを決めあぐねていたが自分で選ぶことになりそうだ。
知人の警察の悪口をいいつつ手元の手帳に視線を戻し、あなたの話に耳を傾ける。

「ニーノ・サヴィア……? あー、聞く名前だな……」

手元にある手帳には、現在多くの警察の名がある。
頁をいくつか捲り聞かせてもらった名前を見つければその文字列に指を止めた。
名前に年齢、少し調べればわかる程度の最低限の情報。
個人的な縁は無いが、自分の部下や同僚とも仲がいいと記述があった名前だ。

「……あの金髪のガキか」

多分思い浮かんでいる顔であっているだろう。
敢えて問わずとも何故また彼を、という感情を声色ににじませて貴方の顔を見た。返事がなくとも、構わないが。

【人】 陽光の元で ニーノ

>>77 カンターミネ

からかうと面白そう、などと考えられていることも勿論知らず。

「──────……」

貴方の態度に何がしかの反応を示してビュンッと顔を逸らしていた男は、それでも。
唐突な早口には目を瞠って驚いたかのようにそちらを見上げた。
え、なんて?ついていけてません。

「ちょっ、……あの……???」

口を挟む隙がこれっぽっちも見当たらないから。
目の前を大股で歩いて行く姿にぱくぱくと唇を動かしながらも、言葉をただただ受け取るばかり。
とりあえずは最後教えてもらえた名を記憶し、それから、おまわりさんって。

「なんで知ってんの……?」

残されたウインクと投げキッスにはげえ〜の顔をしつつ、既に貴方は去った後。
零した疑問を拾い上げてくれそうな誰かは今のところちいさな毛玉しかいない。
危機、去りました…?と言わんばかりに顔を出した子猫を、そうっと抱きかかえてはその後頭部にほんの少し鼻先をくっつける。

「ぐ〜…………」

「…………苦手なタイプだ……」


情けない声をあげる大きな生き物に擦り寄られながら、子猫はようやく「みゃぁ」と鳴いていた。

#路地裏
(100) 2023/09/13(Wed) 9:52:37