人狼物語 三日月国


237 【身内R18】冬来たりなば春遠からじ

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[愛しい人の乱れた呼吸が聴こえて
薄ら目を開ける。
いつの間にか目を閉じていたのは、
もう既に夢見心地だったから、だろうか。

足がゆっくり下ろされて、
ソファの生地に網タイツが擦れる。
それから抱きしめられて……
おかしいかな、
そんな触れ合いも全部、甘い余韻に染められて]


  きもちいい、です……


[汗に濡れた前髪を、彼のきれいな指が掻き分けてくれて、
額にもキスをしてくれて、
それでそんな可愛い事を聞いてくれて、
こくんと、嬉しそうに頷いた]

[彼も幸せだって言ってくれて、涙が出てしまった。
痛かったからじゃないです、と、首を振って、
「嬉しいから泣いてます……」と可笑しな申告をしてしまう。
痛かった事もあったかもしれないけど、もう覚えてない]


  激しいの、も、
  よかったです……

  どんな翡翠さんも、すき

  だいすき、なんです


[片手で涙を拭いながら、精一杯の愛を囁く]

[気遣ってくれる彼にへへ、と笑ったけど、
もう少し休んでから、と言われれば
照れくさい色が濃くなる]


 (……もう少し繋がってて、いいんだ……)


[何やら恥ずかしい事を把握されているとは露知らず、
嬉しい、って力の戻って来た腕で彼をぎゅっと捕まえる。

事後処理のティシュについては考えてなかったけど……
抜いた時に零れそうになったら、
きっと手で押さえたのかな。
なんか、こんな事できるのも嬉しい、って思いながら
]

[ベッドに行く事はまだ考えられていない時に、
小さな音が聞こえる。音にちょっと驚いて、
それが彼のスマホで、自分が敷いていたと気付けば、
びくっっと身体を跳ねさせてしまった]


  あ、ぁ、ごめんなさい、 自分が……


[壊してないかな、と慌てて
彼が取り出したスマホの画面に目を落とす。
割れてたりはしなさそうで―――ずっと、録画モード、だった?]


  …………、あの、
  ……いえ、なんでもないです。


[ギリギリセーフ、って……それって……

考えるのを止めて、そっと目を逸らす。
きっと見せ付けてきたりはしないと思っているから、
何も言わずに……でもゆっくりと横を向いて、顔を覆った。*]

[今の気持ちをありのまま伝えたら、
君の瞳から涙が零れたのでドキッとした]


 …───、……


[君の涙は何度か見た事があるけど、
慣れるものではなくて、いつも動揺する。

咄嗟に色んな思いが駆け巡ったけど、
すぐに君から嬉し泣きだと聞かされれば、
分かりやすくホッとしたように見えたかな]


 ……ふ、…激しいのもよかった?
 
じゃあ、今度またがんばるね


 ……、…え、…ぅん…、俺も…
 君の事、全部すき…


[改めて言葉で深い愛情をストレートに示されれば、
思わず心臓がドキリとする。
どんな俺でも好きだって。
嬉しくて幸せで。達したばかりなのに、
君に埋めたままの芯がピクリと反応してしまう]

[俺の僅かな変化は、きっと君に伝わったであろう。
くすぐったいような気恥ずかしさを伴いつつ、
君の顔を覗き込んで照れ笑いする]
 

 アハ、…君の言葉があんまり情熱的すぎて、さ…

 ……でも、君は初めからそうだったね
 俺が弱い処を見せても、君は深い愛情で寄り添ってくれた


[思い出されたのは、君と初めて抱き合った時の事。
君の気持ちに俺の方が上手く答えられなくて、
あの時も君の事を泣かせてしまった。
なのに君は覚悟を決めたように、俺に対する愛情を示した上で『お嫁さんにしてくれ』って言ってくれたね。
あの言葉で俺は、随分と救われたような気がしたんだった]

[このまま気分が盛り上がったところで、
もう一度出来そうな気がしてきたけど、
このままソファーでするよりは場所を変えたい気もする。
この宿に到着してから君とは既に二回抱き合っているが、
いずれもベッドでないあたり何だか申し訳ない。それに、]


 ……


[自分のスマホを取り出して操作をした後、
君は何かを言いかけて、その後で何かを察したかで
顔を覆ってしまった。
横を向いてしまった君を改めて真上から見下ろし、
遠慮のない視線を体に這わせて]

 

 
すっげー恰好……



[俺の直球的な言い回しは、君に追い打ちを
かけたかもしれなかった。
だって、君のおっぱいは剥き出しで、
胸元や首筋は俺が着けたキスマークだらけだ。
ミニスカの中は俺とまだ繋がったままで、
こちらが僅かに動くだけで、結合部がクチュっといやらしい音を立てる。
大きく開いた両足は片方だけソファーから落ちて、
透き通るような色をした白い太腿は、
ビビットな赤い網タイツに覆われている。

君と愛する気持ちを交わし合い、幸せで胸を
いっぱいにして浸っていたのに、改めて君の姿を
目の当たりにすれば、刺激的すぎて目がチカチカして、
一気に退廃的エロスに引っ張られそうになる]



 君の恰好を見てると、いくらでも出来そうな気がするけど、
 もうそれ脱いでもいいよ

 ……そろそろ、ベッドに行こうか


[十分休憩は取れた気がするし、ここで寝るわけにはいかないしね
風邪ひいちゃうから


体を起こしたまま、腰を引いて君の中から出る。
たったそれだけの動作でも、君の内壁が直接擦れるから
気持ちよくて、離れがたい気持ちが湧いてくるから
苦笑してそれを打ち消す]

[そして君から出た後、
己の股間を見下ろしたら、自ら放ったもので濡れたままだ。
これまでだったらゴムを外すところだけど、そうはならなくて]


 ちょっと待って、……ティッシュ取ってくる


[手の届く場所にティッシュ箱がないので、
ここから最も近い場所…───洗面所に行って、
目的のものを見つけてすぐに戻ってくる。
ソファーの上に置いて、各自で数枚取って以降はセルフで]

 

 ……


[何だかこんな風に後始末するのは初めてで擽ったい。
お互いの間に流れる空気が、そんな風な色に染まったのを感じつつ、俺たちはベッドのある部屋へと向かったんだった。**]

[彼の前で泣いてしまって、
でもその涙の理由を話せば、ほっとした表情を見せてくれる。

それから、
またがんばる、って。
その言葉には嬉しい様な恥ずかしい様な気持ちになってしまうけど、すきって伝えたら、同じ温度で返ってくる。
それがどんなに幸福な事か知っているから、
目を閉じて浸ってしまおうとして、]


  ぁ、


[お腹の中で何かが動いて、小さく身を震わせる。
こちらが締め付けたんだと勘違いしたけど、
顔を覗き込む彼が照れくさそうだったから、
翡翠さんの方が反応したの?と目を瞬く。

彼が紡ぐ言葉はそうだと教えてくれて
そして、彼と近付いた日の事を思い出させてくれる。

そんな……そんな風に言ってもらえる事を、
自分はしたんだろうか。
勿論言った事やした事は覚えているけれど、
……思い出しても恥ずかしい事もいっぱいあるけど、
]

[……と、甘やかに時間が過ぎていくのかと思ったら、
電子音に意識を持って行かれて、
そして、新事実に顔を覆ってしまった。

彼の視線に気付く術もなく、
回復までしばし時間がかかります……といった体で現実逃避していたら、ストレートな言葉が降って来た。]


  ふ、ぇ……


[思わず手を離して彼を見て、
それから視線の先の自分の格好を見る]


  あ、ぁ、


[夢中だったから意識の外に追いやられていたのか、
改めて今の姿を認識すると、穴に入りたくなってしまった。
でも相手は好きな人だったから、
顔を真っ赤にしながら、
隠すところを胸に変えるくらいしかできなかった]

[脱いでもいいよって言われてもえっとえっとってなってしまったけど、ベッドに誘われたら、こくん、と頷いた。

その為に、彼が腰を引いて、
胎内を擦りながら後退していく]


  ひぁ、ん


[いつもよりぬるっとして、違った気持ちよさがあって、
でも、切なく眉を寄せる。
苦笑いの彼と目が合って、目を細める。

また、入ってほしいなって、色付く瞳が隠れる様に]

[そして繋がりが完全に解けた時、
堰き止める栓がなくなった処から、零れそうになる。
ぱっとスカート越しにそこを押さえて、
同じ様に濡れた彼自身を見つめる。
膜を纏わない姿に、しばし目を奪われて……

彼が起き上がって、ティッシュを取りに行ってしまう。
上半身を起き上がらせて、彼の帰りを待っていたけど、
彼はすぐに戻って来た]


  あ、ありがとうございます……


[彼が数枚取るのに倣ってティッシュを引き抜き、
彼が自身をきれいにしている姿を何となく見つめて……
少ししてから、自分もスカートの中に手を入れる。

取り出したティッシュは白く塗れていて、
ほぅ……と小さくため息をついてしまう。
そしてまだナカに残っているのも感じられて、
彼の瞳に、ふっと微笑んだ]

【人】 北神 翡翠

[寝室に移動した後は二人して裸になると、
ベッドの中で抱き合って、少なくとも一回は愛し合っただろう。
ナマで出来る機会を一回で終わらせるはずはない
]


(病み上がりって何だっけ)
(なんだろうな……)
(いや、俺はもう病み上がりじゃないんだから……)


[最後は精魂尽き果てて、君との繋がりを解いた記憶も無いまま泥のように眠った。

 
酒を飲まなければもう一度出来たかもな。


君の体を腕の中に囲いながら、そんな夢を見たかもしれない。
そして迎えた翌朝。
君からクリスマスプレゼントだと言って渡されたのは、小さな包み>>0
礼を言って受け取ると、促されるままに開封して]


 あっ……タイピンだね。
 この石は…───瑠璃ラピスラズリ、かな


[すぐに思い出したのは、君がいつも着けている青薔薇のイヤリングだ。青薔薇といえば、初めて君が俺の部屋に入った時、ベッドの上で片方の薔薇を見つけた時の事を思い出す。
青薔薇イヤリングを君だと思って、持主が居ない時にキスをしたけど、その時と似た感情が胸を過った]
(2) 2024/01/04(Thu) 22:35:58

【人】 北神 翡翠

[様々な思いを巡らせながら手元のピンを眺めていると、
俺の両手を君の手が包む。
そのまま胸元へと移されて、一緒に想いを伝えられる。>>1]


 ……可愛いね。
 君だと思って、ずっとつけていくよ。


[かつての青薔薇イヤリングを君のようだと思ったから、
似た雰囲気を持つこのタイピンも君のようだと思える。
まさか青薔薇イヤリングの一部が使われているとは、この時は思いもよらなかったけど]
(3) 2024/01/04(Thu) 22:36:51

【人】 北神 翡翠

──1月5日 早朝──



君が暮らす学園寮の前にミニバンを停める。
到着したよとLINEを送る前に君の姿が見えたので、運転席から手を振って合図を送った。
君は初めて見る車体で驚いたかもしれないね。


「あ、そうそう、去年の秋くらいに買い換えたんだ。
 地方に行く用事が増えたからね、車内が広いのにしたくて」


君が乗り込むのを待って、出発してからそう切り出したかな。
以前の車種と比較して、今度のは荷物が多く積めるし、シートがフラットにもなるので、いざとなれば車中泊も可能だ。
まぁ、車中泊の機会はまだないけれど、長時間移動で楽な姿勢を取れるのは大事なポイントだ。あと、


「車内にミニ冷蔵庫とカラオケもあるよ。
 これで渋滞に巻き込まれてもバッチリ」


モニターはフロントと後部座席にもあるから、ほぼカラオケボックスと同様に楽しむ事ができる。機器には最大四人までユーザー登録が可能だから、


「あとで海瑠の名前も登録しようね。何なら歌っていく?
 いいよ、……君の歌を聞きながらドライブなんて最高だ」


なんつって。
実際に歌うかはともかく、「ひすい」「こうき」「まさたか」に続いて「みる」は登録したかもしれない。
(4) 2024/01/05(Fri) 0:21:50

【人】 北神 翡翠

新車は以前より大きいけれど、ここ数日かけて都内を走り回ったので、車体感覚は掴めたと思う。正月三が日は道路も空いてて走りやすかったしね。

今日は休み明けで多少の混雑はあったものの、都心を抜けた後は快適なドライブを楽しむ事ができた。
冬の澄んだ青空の下、君とのトークや歌(?)を楽しみながら行けば、やがて目の前に海景色が広がってくる。
夏場と違って海岸にはほとんど人はいないが、時折景色を釣りを楽しむ様子が散見された。
俺たちも海を見ながら、去年の夏に行った海水浴の思い出話に花を咲かせたかもしれない。
やがて目的地に到着すると、付近の駐車場に車を停めて降りる。


「うわっ、寒ッ」


冬の海風が強く吹き付けて、思わず悲鳴を上げて肩を竦める。
帽子やマフラーは、しっかり身に着けておかないと、風に飛ばされるかもしれないよ。気を付けてね。


「……よし、まずはこの橋を渡って、
 向こうにある神社にお参りに行こっか。
 その後はここに戻ってきて、次はあっちの水族館に行こう」


こうして俺たちは、吹きすさぶ風に体をくっつけ合いながら
橋を渡って、地元に古くから祀られている水神様のお参りへ
と向かった。
(5) 2024/01/05(Fri) 0:22:12

【人】 北神 翡翠

三が日は過ぎたものの、向かった神社は参拝客で賑わっていた。
橋を渡った先に続く参道にはあらゆる店が立ち並び、食べ歩きできる温かいメニューなんかも並んでいる。
昼食にはまだ早い時間だが、甘酒や焼き団子の匂いが漂ってくれば、思わず手が伸びそうになる。いやいや、まずは参拝が先だ。君と軒先をのぞく程度に留めて、朱塗りの大鳥居を潜る。
目の前にある石段を昇れば、再び鳥居と境内へ続く門が現れた。
門に入ればすぐに参拝待ちの行列があったので、二人で最後尾に並ぶ。
ご丁寧にも近くに「ここから約30分」といった立て看板があって、


「アトラクションみたいだね」


と、こっそり君に耳打ちして、頷き合ったりして。
しかし、待ち時間の目安が分かるのはありがたい。途中、交替で行列から抜けて、手水鉢で手を洗って口を漱ぐ。
ものすごく冷たい水だったけど、そこは我慢……。

境内は木々に囲まれているので、海沿いほど風は吹き付けない。
二人で話をしていれば30分なんてあっという間で、やがて俺たちの順番が回ってくる。
北神家としての参拝は元旦に済んでるから、
今から願うのは、君と共に生きるこれからについて

 
 家内安全
 子孫繁栄
 安産祈願…───は、まだ早いか


水の神様、水神様。どうぞ、われらをお守りください。
(6) 2024/01/05(Fri) 0:22:38

【人】 北神 翡翠

お参りの後は社務所に立ち寄って、今年最初の運試し。
御神籤チャレンジだ。


「……っと、半吉……?」


馴染みの無い結果に首を傾げる。
半分吉、……中吉くらいかな。
しかし、書いてある事自体は悪くなさそうだ。
恋愛の欄には、
愛する人と共に過ごせることに感謝できるでしょう

とあって、思わず君の方を見る。

君に御神籤を見せて「半分だよ」と添えたら、
二人一緒だから大吉、といった答えが返って来たかな。


「二人揃えば大吉かぁ……ふふ、良い事をいうね」


君の前向きな言葉に胸が温まる心地がする。
喜びは二人で二倍に、悲しみは半分に、だっけ。
君と居れば本当に、良い運が巡ってくるような気がした。
(7) 2024/01/05(Fri) 0:23:25

【人】 北神 翡翠

神社を出て来た道を戻る最中、参道で気になる店があったら立ち寄ってみようか。
民芸品アクセサリーの店は、君の心をくすぐる可愛い小物が盛りだくさんだったかもしれないね。
トンボ玉を使った根付?ストラップ?いいんじゃない。
君とお揃いで持とうか。
二人で選んだものを一緒に目の前で掲げ、記念にしようねと笑い合う。

食べ歩きも心惹かれたけど、今はいいかな。
この後で向かう水族館へ早く行きたいし、昼食は館内で済ませようと考えているから。

海風が強い橋を渡って、最初の地点に戻る。
今度は海沿いの道を歩いて水族館へ。
何でも、国内では珍しいラッコを飼育展示しているらしい。


「ラッコ……見るの初めてかもなぁ」


水族館自体訪れるのは学校の課外学習以来で、今までラッコはお目にかかったことがなかったと思う。
今回ここへ来る事になったのも、以前何かの折に君からラッコの話を聞いたのが発端だ。


「芸が出来るの?マジで?」


水族館で見るショーはイルカやアシカのイメージだったけど、ラッコも出来るんだ、へぇ。君から仕入れた情報に感心しつつ、では実物に会いに行こうか、と一緒に水族館に入った。
(8) 2024/01/05(Fri) 0:23:47

【人】 北神 翡翠

お目当てのラッコの前は、大変な賑わいを見せていた。


「すっげー……、大人気じゃん」


その盛況っぷりに驚いたけど、理由も分かる気がした。
ラッコって水面に浮かんで胸の上で貝殻を叩くイメージだったけど、それだけではなくて、予想しなかったような、実に多様多才な動きをする。


「ラッコって、二本足で陸に立てるの?
 ……あっ、もらったのをどっかに仕舞ってるね。
 えっ、ポケットが付いてるんだ、ふ〜ん…海瑠詳しいね
 あっ、かわいい。
 あんなポーズするんだ。
 へぇ〜、分かってらっしゃる。あざと可愛いジャン」


幸い君は女の子にしては背が高い方だから、
水槽の目の前まで移動しなくても、ラッコの愛くるしい
動作はよく見えた。
思わず俺もスマホを取り出して、写真や動画を撮ったりも。

ラッコを十分に堪能したら、水槽の前を離れる。
そろそろ昼食にしようかな。混む前に済ませた方がいいかも
と、君を促して、館内のレストランへと向かった。
(9) 2024/01/05(Fri) 0:24:10

【人】 北神 翡翠

レストランに入ってメニューを眺めれば、
心なしか海の幸が多いような気がする


「……なんだか
 展示を見て、魚を食いたくなったりするのかな……」


複雑な思いを過らせつつ、俺はあっさりめに蕎麦を注文した。
ちなみに夜は事前に伝えている通り、
フレンチレストランでフルコースの予定だ。
この付近にある老舗で有名な店で、気軽に立ち寄れるのが売りだから、ドレスコードの指定はない。
とはいえ今日の事を考えると、それなりに意識した服装にはなった。今はセーターにダウンジャケットだけど、車にスーツの上着は置いてある。
セーターの下は白シャツで、君から誕生日に贈られたネクタイを結んでいた。

なので、今日は君の視線が首元に当たるのが、少し多いかな。
ふふ、似合う?
着けて見せるのは、初めてではないけれど。
(10) 2024/01/05(Fri) 0:24:42

【人】 北神 翡翠

食事を済ませてレストランを出れば、館内巡りを再開する。
珍しい生き物を眺めるのは普通に楽しいけど、ペンギンや
アシカ、イルカのショーはやっぱりテンションが上がるね。
しかも、イルカのショーではステージから
『今日お誕生日の方いらっしゃいますか〜?』
なんてお姉さんが呼びかけるものだから、
隣に居る君の手首を咄嗟に掴んで、


「は〜い」



と、一緒に手を挙げて大声で返事をしたり。
そうしたらステージに呼ばれたものだから、君は戸惑ったかもしれないけど、俺は笑顔で送り出しただろう。
ステージには君の他にも、小学生くらいの女の子が来て、
同じ誕生日同士、緊張した面持ちで立ってるのが何だか微笑ましく映った。

俺はスマホを構えて、ステージの上を撮影する。
こちらに君の視線が向けられれば、軽く手を振り返す。
そして、進行のお姉さんが
『イルカちゃんからのプレゼントで〜す』と促されるまま、
水面に顔を出したイルカから頬にキスを贈られると、
会場から一斉に拍手が湧いた。


 ふふ、こんなに大勢の人たちから、
 誕生日をお祝いされて良かったね。


俺からも拍手を贈って、君たちの誕生日を心から祝った。
(11) 2024/01/05(Fri) 0:25:24

【人】 北神 翡翠

イルカのショーで思いがけないイベントに遭遇した後
でも一生の思い出になりそうで良かったね

閉館の時間も近づいて来て、二人でグッズショップに入る。
ここでも一番人気はラッコか。
他にも多種多様なかわいいが満載で、君は店に入ってからずっとはしゃぎっぱなしだ。
特にラッコの等身大(!)抱き枕が気に入ったようで、


「いいよ、買ってあげる
 誕生日のプレゼント。

 ……うん?持ち帰れるでしょ、車で来てるんだから」


水族館を出て駐車場までは持ち歩く必要はあるけど、
帰りは君を寮まで送り届けるつもりだから、問題ないはずだ。
こちらとしても、誕生日のプレゼントは君の好きなものを贈りたいと思っていたから好都合だし。
ただし、特大なのでこれを収める紙袋や包装紙が無さそうで、


「それじゃあ、首元にリボンを巻いてください」


ラッコの首元に赤いリボンを結んでもらって、
ラッピング代わりにしてもらった。
車までは俺が運ぶつもりだけど、君が持つというなら
それでも構わない。
何にせよ、君の笑顔が見れて本当に良かった。
(12) 2024/01/05(Fri) 0:26:10

【人】 北神 翡翠

水族館を出ると、辺りはすっかり日が暮れていた。
まだ夕方と呼べる時間帯だが、今の時期は日の入りが早い。
日が落ちると海風が一段と冷たく感じたので、
移動の足取りは自然と速くなる。
駐車場に入って車まで戻ると、素早く乗り込む。
あ、ラッコちゃんは後部座席によろしくね。ダウンジャケットも脱いで一緒に後ろへ放り込む。


「よし、それじゃ次へ行こう。
 それじゃ、しゅっぱ〜つ」


ナビのボタンをポチっとな。
交通の状況に合わせて安全運転で向かいます、と。
(13) 2024/01/05(Fri) 0:26:29

【人】 北神 翡翠

車を走らせること30分ほど、海沿いから少し外れて山間に入ったところに、洋館風の建物が現れた。店の駐車場に入って車を停めると、セーターからスーツのジャケットに着替える。君も靴を履き替えるとかしたかな。これまでの行程をずっと、ヒール付きのパンプスで移動するのは大変だったと思うし。


「これ、どう?……着けてきたよ」


誕生日にもらったネクタイに着けたのは、クリスマスにもらったネクタイピン。>>0
ずっとセーターの下にあって見えなかったと思うけど、最初からここに居ました〜、なんてね。

服装が整ったら、店の入口へ向かう。
先に扉を開いて、君を中へ通してから自分も続く。
受付で名前を伝えれば、窓際の席へと案内された。

店内の照明は明るすぎず、落ち着いた雰囲気だ。
カジュアルが売りというだけあって、客の服装は様々だが、
小さな子どもを連れたファミリー層は居ないようだ。

席に着くと、飲物の注文だけ聞かれる。
車で来ているからと、ノンアルのシャンパンを頼んだ。
君はアルコールを頼んでもいいけど、おでんの時の前例もあるし、きっと同じものにするかな。乾杯する用だしね。
グラスが運ばれて、一人分ずつ目の前で注がれる。
給仕が去った後で、二人でグラスを掲げた。


「改めて誕生日おめでとう、海瑠…───乾杯」


グラスの側面をそっと触れ合わせた後、
一緒にシャンパンを含んだ。
(14) 2024/01/05(Fri) 0:26:59

【人】 北神 翡翠

コース料理をゆっくりと味わい楽しんだ後、
最後にデザートが運ばれてくる。
苺のミニショートケーキと、プチエクレアの間に、
ビスキュイを添えたシャーベットが置かれたプレートだ。
三点盛りの周囲を様々なカットフルーツが彩り、君の分には
Happy Birthday 海瑠 の文字がチョコレートで書かれている。
プロは画数の多い漢字もチョコレートで書けるのだと感心した

特別な演出に、君が喜んでくれれば、こちらも嬉しい。


「今日はどう、……楽しかった?」


デザートの後にコーヒーをブラックで飲みながら訊ねる。


「って、去年の俺の誕生日を覚えてる?
 君も食事の最後にこうして、聞いてきたっけ」


当日はプラニングから費用持ちまで、すべて君が行って
内心ひどくビビッたのを覚えてる。
でも、申し訳ないと思いつつも、君が何から何まで
俺にしてくれたのが嬉しくて。
今度は君の誕生日に俺が同じようにしよう、って心に
決めたんだった。
唯一、今日が日帰りで泊まりでないのが同じでないけど、
10日ほど前に泊まりで旅行に行ったばかりだしね。
今回は日替わり前に君を送り届けないと。
(15) 2024/01/05(Fri) 0:27:30

【人】 北神 翡翠

 

「で、君はこうも言ったよ。覚えてる?
 自分の気持ちは死ぬまで、……いや、
 死んでも変わらない、と。

 …───俺もだよ」


そこで俺は、テーブルの下から小さな箱を取り出して
君の目の前に差し出す。
やっべ……すげぇ緊張する

急に心臓がドキドキしたけど、言葉を続けなければ。


「君が卒業したら迎えに行くよ、
 だから、……
俺と結婚してくれ、海瑠



小刻みに震える手で、
ビロード製のジュエリーボックスの蓋を開ける。
箱の中身はプラチナリングが嵌っていて、
その中心には小粒ながらも輝くダイヤモンドが、
君の方へ向けて光を放っていた。
(16) 2024/01/05(Fri) 0:28:23