【人】 3年生 黒崎 柚樹―― エントランス ―― [ああ、そうだ、と思い出した。 "あの時"。そう、まさにこのエントランスで、もう聞きたくない、言ってくれるなとばかり、小泉さんの言葉を、私は遮り、逃げ出してしまって >>0:418 。 ────そういえばあれ以来、小泉さんとは当たり障りのない言葉しか交わしてなかったなと思い出す。 本来は、そんな関係で必要充分なはずだった。 週に数度顔を出す研究室、既に4年の小泉さんとは、次の春にはもう会わなくなる、その程度の関係性でしかないのだから。 でも今は、この異常な環境下、夢の持ち主は、私かもしれないし、小泉さんなのかもしれなくて。 それはつまり、遠くない未来に、永遠の別れが来るということを意味していた。] (77) 2022/09/10(Sat) 13:38:59 |
【人】 3年生 黒崎 柚樹え、と…………。 [だから、伝えようと思った。伝えねばと思った。 明らか、これまでは耳にしたことのなかった事を告げてくれようとしている先輩に。 こういうことが苦手なのだと言葉を選んでいる、いつだって気遣いの塊みたいな、穏やかな人に。] 私、あの時……、 "そんな、教科書みたいな言葉は聞きたくない"って 思いました。 正論だけれど、綺麗事ばかりだなあ……って。 "タイミングを計れば" >>0:406 なんて言われても、 今がその時だと冷静に見極められるようなものなら、 そもそもそんなに悩んだりはしない……って。 思ったんだと思います。 [小泉さんの事は、勿論、嫌いとかではなかった。 私が何ものであるかを知って、なお、態度を変えることのなかった稀有な人。 面白半分な興味でこちらに踏み込んで来るような事はしない人。 ただ、なんだろう、遊園地の着ぐるみの熊に定型文を繰り返されているみたいな、そんな、居心地の悪さはいくらか感じていたのかもしれない。 顔が見えない。本当の姿も見えない。繰り出す言葉は自動音声……みたいな。] (78) 2022/09/10(Sat) 13:46:05 |
【人】 3年生 黒崎 柚樹私が欲しかったのは、"私が望むようなこと”じゃなくて。 小泉さんの本音だった……んだと思います。 勇気出して進め、でも、止めておけ、でも。 それを聞いてどうするかは私が決めなきゃいけないことで、 こう思うよと背を押すか無謀を止めるかしてくれた人のこと、 嫌いになったりとか、しないのになあ……って。 [小泉さんが踏み込んできてくれたのも、私が踏み込み返したのも、この場が初めてのこと。 今は、小泉さんの姿が、見えている気がする。遊園地の着ぐるみじゃなく。] 今は……頭の中、ぐちゃぐちゃです。 私は、死にたくない。 絶対に再会したい人がいる。 でも、誰に死んで欲しいとも、思ってない。 泣いてしまそうだけど、泣いちゃだめとも思っているし、 走ったら頭真っ白になるかと思って走ったのに、 全然、真っ白になんかならないし。 今は……水を飲むのが、怖く、って。 (81) 2022/09/10(Sat) 13:55:17 |
【人】 3年生 黒崎 柚樹[水?と不思議そうな顔をされてしまうかな。 手元にあった未開封のペットボトルを、小泉さんに差し出した。] ────これ、開けてみてくれませんか。 私が開けたら、林檎の匂いがする予感しか、しないんです。* (82) 2022/09/10(Sat) 13:57:34 |
3年生 黒崎 柚樹は、メモを貼った。 (a29) 2022/09/10(Sat) 14:02:03 |
【人】 3年生 黒崎 柚樹―― エントランス ―― [小泉さんも、私や武藤と同じ、色々なものが"怖い人"なんだな……と思った。 方向は少し違う風な感じも受けたけれど。 でも、人の期待に抗うことが苦しくて、抗うくらいなら自分を殺して……と思ってしまう気持ちは良くわかる。 今、初めて、小泉さんの素顔が見えた気がして、つい、まじまじと見つめてしまいながら小泉さんの言葉を聞いていた。 "会いたい人、いるんだもんな"の言葉 >>88 には照れくささに眼を伏せながら、それでも頷いた。 まあ、色々、透けているものはあるのだろうなと覚悟はしていたけれど。 直接目の前でやりとりしていた松本さんはともかく、小泉さんにまで?と内心、小さく首を傾げたその経緯が、まさか武藤本人があれこれ >>3:241 >>3:270 話していた結果だったとは。 まあ、いいけど。] (105) 2022/09/10(Sat) 20:04:10 |
【人】 3年生 黒崎 柚樹…………泣く、のは。 ぎりぎりまで頑張ろうと思います。 まだ大丈夫だと思うから。 津崎にはまだ私の口からは伝えてないけれど 武藤が既に何かを言ってくれているらしいし、 松本さんは既に御存知だし、 小泉さんも今こうして知ってくれたし……、 少し、気は楽になりました。 [今日還っていく後輩達には心配させたくないから何も告げるつもりはない。 次の4人、その次の2人、もしかしたらその"先"も。 "最後の1人"として、ここから去れない未来が来るかもしれない覚悟はいくらかは出来てはいますから、と小さく微笑んだ。 でも、実のところ、困っているのは目の前の問題で。 頬を汗が伝っていく。 走らずこうして休んでいるのに、汗が止まらない。 これ、脱水症状の初期症状だ……。 気付いていたけれど、もう、林檎の香は嗅ぎたくなかった。] (106) 2022/09/10(Sat) 20:04:56 |
【人】 3年生 黒崎 柚樹[小泉さんが開けてくれたペットボトル >>90 は、ただの水だった。視覚で解るし、あの、脳まで揺らしに来るような、甘い匂いもしない。] ありがとうございます。 [おかしな事を頼んですみません、と、手を伸ばし、ボトルを受け取ったその瞬間。] ……ぁ…………。 [私たちの眼前、透明なボトルが瞬時に濁り、どろりと白とピンクの斑になった。 と同時、嗅ぎ慣れたあの匂いがぶわりと周囲に広がっていく。 びくりと手を揺らした反動で落ちてしまったボトルから、白紅色の液体が散らばってアスファルトに広がっていった。 目眩がするような匂いと共に。] (109) 2022/09/10(Sat) 20:25:10 |
【人】 3年生 黒崎 柚樹…………水、飲むにはどうすればいいのかな……。 [思わず、どこか冷静に呟いてしまう。 この世界、死ぬことはないみたいだから、ただ、苦しいだけでいずれ終わるのかなとは思っているけれど。でも、こんなところで体調を崩して皆に迷惑をかけるわけにもいかないし。 数秒躊躇した後、小泉さんに素直に伝えることにした。 怪我した傷から出た血が林檎の果汁のようだったこと。 吐いたものが、ありえないのに林檎の欠片だったこと。 こうして、飲み水すら、林檎の果汁になってしまうこと。] 走ってから、水、飲めてなくて……。 今、ちょっと、脱水症状みたいで……まずい、です。 [少しの目眩と、身体のだるさ。今はまだ、脱水症状の入口でしかないけれど。] …………どうしよう、小泉さん。 [どうすれば、私は、神様のおふざけ?それとも悪意?にしか思えない林檎から逃れられるんだろう。*] (110) 2022/09/10(Sat) 20:32:20 |
3年生 黒崎 柚樹は、メモを貼った。 (a36) 2022/09/10(Sat) 20:33:56 |
【人】 3年生 黒崎 柚樹────私、言えないこと抱えすぎて。 "考えすぎて結局何も言えなくなって、自分が悪かったんだー、 で終わらせる奴"と言われてしまった >>1:397 ので……。 [大丈夫、なので抱えすぎずに出していくことにしました、と告げたら、少し心配気に"色々と発散させておいた方がいい"と眉を寄せ気味にしていた小泉さん >>121 も少し安堵の色を浮かべてくれたかな。 けれど、ひととき緩んだ空気は、落ちたペットボトルと共に、こんな屋外の空気にまで濃密に広がった林檎の香りにかき消えてしまったのだった。] いえ……朝霞さんと工藤さんは、やめたい、かな……? [小泉さんが提案してくれた、"口移し"手段。>>123 さすがにちょっと、と、戸惑ってしまった。] (130) 2022/09/10(Sat) 21:40:48 |
【人】 3年生 黒崎 柚樹先程、寝転がっていた時に届いていた朝霞さんからのLINE。 >>83 余裕がなくて、『わかった』と一言しか返せなかったけれど、彼女も気がかりを沢山抱えて目覚めなければいけないのだと察せられたから、これ以上余計な心労をかけたくなかった。 工藤さんならば、あの無表情で淡々と応じてくれそうな気もしたけれど。やっぱり、後輩に余計な心労はかけたくないなあと、そんな思いばかりが渦巻いてしまう。 いや、もちろん、同級や先輩なら良しというわけでもないし、ましてや、男の人、とか。さすがに、平静では居られない気しかしない。 口にしなければいけない量を考えると、焼け石に水な気しかしないわけでもあり。 小泉さんもだけど、私も大概、狼狽えていたと思う。] (132) 2022/09/10(Sat) 21:44:12 |
【人】 3年生 黒崎 柚樹……要するに、私の手が水の容器に触れなければ良い、 とか……? [キッチンを目にして閃いた結果、ボトルにストローを刺して触れずに飲む分には水は林檎にならなかった──小泉さんが封を開けてくれたものは異変は全く起こらなかった──し、いくらか体調が回復したところで手にした水のボトルは、そのまま水のボトルのまま変わりなかった。] 松本さんが言ってました。 "自我を保て"って。 こういうこと、なんですかね……。 [ソファに沈みながら、ぽつりと呟く。 未だこのレストランに漂っている、先にはなかった林檎の香り。 小泉さんが浮かべた表情から、新たな林檎の香について知ってるような気もしたのだけれど、それは聞いてはいけないような気がした。*] (139) 2022/09/10(Sat) 22:06:56 |
3年生 黒崎 柚樹は、メモを貼った。 (a43) 2022/09/10(Sat) 22:11:56 |
【人】 3年生 黒崎 柚樹―― エントランス→レストラン ―― [小泉さんは、やっぱりどこか変わったような気がする。 "前から"と言うほどには普段の研究室での彼の言動をそこまで強く記憶に残していたわけではないけれど。 でも、少なくとも、今回のこの異変が起きる前と今とで、随分と印象が変わった気がしていて。 そしてともあれ、私が一人静かにパニックを起こしかけていた一件は、これで落着したようだった。] (151) 2022/09/10(Sat) 22:48:55 |
【人】 3年生 黒崎 柚樹………………ぅ………。 一般的には、塩飴や梅干しって言われてるんですが……。 私、どっちも、すごく苦手で……。 [塩でも舐めてます……、って告げただろう。*] (153) 2022/09/10(Sat) 22:51:00 |
3年生 黒崎 柚樹は、メモを貼った。 (a47) 2022/09/10(Sat) 22:56:32 |
【人】 3年生 黒崎 柚樹―― レストラン ―― ふ、さすがに、口移しは困るなあ!って 思っちゃったかな……。 [小泉さんの自虐的軽口 >>159 は否定せずに、小さく笑う。 でも本当に、"誰かと話す"というのは大事なんだなと思った。 一人で抱えていると悪い方悪い方へと転がり続ける。 特にこんな尋常ならざる世界では、触れられたくない方向に心を刺激されると、坂を転がり落ちる方に感情が傾いていってしまう。 あの2人は、今、何してるのかな。 と、思った。 私を励ましてくれる、死を見つめて生きているあの人。 私のこと、嫌いになったりしないと真っ直ぐ告げてくれた友人。 その2人が2人で居て、抱きしめ合ってる(?)などということは、全く知らず。] (192) 2022/09/11(Sun) 6:28:06 |
【人】 3年生 黒崎 柚樹や、おかゆ、じゃなくても…………。 ……ぇ……? [人は見かけによらぬもの。 松本さんの不器用ぶりを思い出し、そんなお手間は要らないと言おうとしたけれど、小泉さんは足取り軽く、すたすたとキッチンへと進んでいく >>160 。 どうやら私のためのおかゆだけではなく、本気で料理を、するつもりのよう。 また林檎を吐き出すことになったら……とは思わなかったかな。 吐かなければ良いんだもの。 朝霞さんが作ってくれた豆カレーは、ちゃんと豆と野菜の味がしたし、美味しかった。 それが"事実"ってことで良いじゃない、と。 あの嫌がらせみたいな幻影に負けて萎れてる自分なんか、武藤に好きで居て貰える資格ない。] あの、私、なんでも食べられます……! おかゆじゃなくても! [もうすっかり、目眩もふらつきも消えていた。] (193) 2022/09/11(Sun) 6:29:13 |