人狼物語 三日月国


45 【R18】雲を泳ぐラッコ

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  ───!?


[突然視界が真っ暗になり、けれどこれが消灯だと瞬時に理解する。同時に大きな音が鳴ったから。
驚いた彼女の声に、]


  落ち着いて、大丈夫ですから。


[と、あくまで冷静に声を掛けたが、
おかしな事に、彼女のどこにも触れられない。
すぐ傍に居る筈なのに。
手の感触が無くなったのは、驚いて離れたのだとはわかるけれど。
お互い動き過ぎて奇跡的な確率ですれ違ってるのか?なんて過ったから、もう身体ごと抱き締める様に近付こうとした己も、相当酔っていたのかもしれない。

けれど、椅子から身を乗り出し、足を踏み出した時、
ガシャン、とどこかで何かが割れる音が聞こえて、一瞬気を取られる。

……踏み出した足が止まる。
目の前には何もない、と、わかってしまった]


  ……お嬢様……?


[呼び掛けてみても、返事はない]



  お嬢様、お嬢様ッ!


[ざわざわした店内では、この声も埋もれた。
それをいい事に、
見えないのにキョロキョロと狂った様にあたりを見回し、
何度も呼び掛けた。

嫌な予感に冷や汗が浮かんで、吐きそうな呼吸を飲み込む]


  早く! 灯りを点けろよクソッタレ!!


[そう時間は経っていないだろうにいやに焦り怒る己に、周囲から視線が集まるのも気にせず、どこに居るかわからない店員に聞こえる様に声を張った。いや、八つ当たりの方が正しかっただろうが。

灯りは復旧しただろうか。
そこに彼女の姿はなかっただろうか。
誰か事情を知っている人か、犯人の手掛かりはあっただろうか……。*]

花の名 リフルは、メモを貼った。
(a7) 2020/10/03(Sat) 21:30:51

──淡色の球体3──

[どんな職業にも向き不向きと言うのはあるものだ。
無愛想な少年は命令される事に疑問を持たず、
明確な理由があるなら人を傷付ける事が出来、
兵士には比較的向いてる方だったろうか。

同じ頃に兵士になった少年達の中には、
向かないものもいた。
人の怨みに怯えて、足が竦んで動けなくなるもの。
夢に見ては憔悴し、上官の圧にも精神を削られ。

無愛想な少年は彼に、
最初、軍を辞める事を勧めたが、
逃げ出す事すら彼は無理だと泣いた。

訓練と戦場を繰り返した。
飲み会や少年達だけで話もした。

だが、友情を育んでも、
出兵する度、彼はどんどん追い詰められていった。
このままでは遠くない未来に狂ってしまう。]

『殺す事が怖い』『上官はどうして酷い事をするのか』
『憎しみの目が忘れられない』

[その1つ1つを月の出る夜に撫でて、ぼやかした。
放ってはおけなかった。
苦しみを封じて、少しずつやり直せば、
彼は勇敢な軍人となり、認められて、
前線から離れて暮らす事が出来るようになった。

2度目の自己存在と過去の廃棄。
それで友を救えたのならと言うのは烏滸がましい事だが。
]*

[遠くにひぐらしの声を聞きながら
 影と二人、席に着く。
 お互い実体があったら二人並んで
 放課後の自習……みたいな感じだったのかな。

 耳に息を吹き込まれたり、話し掛けられたり
 そんなことされてるなんて夢にも思わず
 俺はペンを走らせていく。

 さりさり、ペン先の回る音は一つだけ。
 なのに、書きたてのインクが、
 触れても無いのに
 すっとあらぬ方向へ尾を引いた。
 相手の呼吸音すら聞こえない距離で
 俺は静かにアキナに語り掛けるだろう。]

[そう、この童話集にはハッピーエンドのが
 いっそ珍しい部類で。

 意匠を凝らした絵本の1ページみたいな
 綺麗な風景……人ならざる純粋な生き物が
 人の醜さ、強欲に飲み込まれて
 失意のまま物語が幕を閉じるのが多い。

 人は醜い、汚い。
 その世界に没入して、被害者の側に
 自分を投影することで、
 自分自身の汚さからは目を逸らす。
 そんな楽しみ方、作者が聞いたら怒りそう。

 ─────ともかく、『金の輪』も
 ハッピーエンドとは言い難い話。]

【置】 二年生 小林 友


   太郎はかなたの往来を見ますと、
   少年が二つの輪をまわして、走ってきました。
   その輪は金色に輝いて見えました。
   少年はその往来を過ぎるときに、
   こちらを向いて、昨日よりも
   いっそう懐かしげに、微笑んだのであります。
   そして、なにかいいたげたようすをして
   ちょっとくびをかしげましたが、
   ついそのままいってしまいました。

   ─────『金の輪』
           小川 未明
(L1) 2020/10/03(Sat) 23:04:24
公開: 2020/10/03(Sat) 23:05:00
[もちろんそんなことはしないけど。
 「世界の違う」天国とやらに辿り着いては
 全く意味が無いんだ……そこに菜月がいないなら。

 自分でも、会ったことの無い人間に
 ここまで入れ込むなんて滑稽だと思う。

 隣の影を覗き込むようにしても
 結局その表情は計り知れないし
 俺の目頭がじんと熱いのも、
 きっと、菜月は知らない。

 ─────ああ、夜が来る。]*

──淡色の球体4──

[
この球体にあるのは、
唯アジダルの背中を見つめ続けている無愛想な男のみ。

初めてそれを知ったのは子供の頃のような気がした。
誰だったかなどは全く覚えていない。
年下で自分が可愛いと自覚している方が、
恐らく好みだと言うのも忘れた。

それから他にあったとしても、
捨て去ったものの中であれば覚えていない。
次に自覚があるのは向こうから言われた時。
少し年上の人。
戦地に向かうのを心配されるまでならまだ良かった。
だが、目元のそれに気付いたらもう駄目だった。
ついぞ、本気を向ける事も出来なかった相手。

そうして、朧気に分かる中では3人目。
大切だと思っている。
その背中に触れたくなると同時に
胸が潰れそうになった時もある。
救ってくれた相手、
出会った事で自分に変化を齎した、幸せになって欲しい人。]

 
[名前が呼ばれた。
 普段、呼ばれることのない下の名に
 妙にどきりとして、足元に集中していた目線を上げると
 切実な響きを伴って、願いが
 唇から吐き出されるところだった。


 涙を滲ませた表情が物語っているのは、
 望まぬ行為への苦渋…か。
 だとしたら、
 早く逃れたくて
 仕上げろと言っているのかもしれない。

 完成すれば気が済むと思っているのだろうが、
 残念だが俺は
 警備員に取り押さえられでもしない限り、
 貴方を離してやれそうにない。]
 

 
[本音を言い淀むように
 動く口元を
 じっと見つめながら苦さを噛み潰していると
 思い掛けない言葉が聴こえた。



   っ…、  今、なん…て ?



[にわかには信じ難くて、聞き返す。]
 


[あまりにも
 自分に都合が良すぎて
 幻聴や白昼夢の可能性が脳裏を過ぎった。

 いや…、

 やはりそうやって
 俺の気を緩ませておいて
 隙を見て助けを求めに行くのかもしれない。

 だって、ほら…
 こんなにも声は怯えをはらみ
 瞳から辛さが零れ落ちそうになっている。
 

 
[虫の魅力に
 取り憑かれてきた男にとって彼は
 初めて興味を持ち、惹かれた人間だ。

 まだ複雑な内面を推し量るのは難しくて
 喉から手が出るほど望む言葉が
 本音であると
 信じることができなかった。


 それでも、 
 聞いてしまった
 聞こえてしまった
 その前の心境に戻ることの方が
 もっと、難しくて。]
 

 
[は……と、ひとつ息を吐き
 無理矢理に笑みの形を作ると、
 切なさを押し隠し
 できる限り、穏やかな声音になるよう
 意識しながら語りかける。]



   ああ、いいよ。

   さっきから、俺も思っていたんだ。  
   教会みたいなこの部屋ごと
   貴方を持ち帰れたらどんなに良いだろうか、って。

   連れ帰って
   部屋に閉じ込めて
   この手で愛でてあげような。

   ずっと、ずっと…



[今だけでも仮初の幸せに酔わせて欲しい、と
 音にすれば、
 どれだけ手放したく無いのかを
 より深く自覚する羽目に陥った。

 
叶わぬ未来だと分かっているのに────…
]*
 

[「受け入れない」「要りません」
彼のまとう雰囲気が使用人の空気に戻っていく
ため息だって言葉にされないから信じない。

煽ったお酒は喉を温めてとくとく胸を高鳴らせる。

ねえリフル。
私、あなたのこと特別だったんだ。

あなたが義手を無くてもいいと思うなら
身を捧げてまで王国と繋がる理由無くなっちゃったの。

中庭のように暖かい返事を期待して、
断られる怖さを打ち消すように笑った]


[ 光が見えなくなって誰かに捕まった ]

[誰だかわからないけどリフルじゃないことは分かる。
小さな動きの癖が違う。呼吸の音が違う。
助けを求めた声をせき止められてもがいていた体が
知らない男の声で止まった]

 『シャーリエ・サティ』


[違う、わたしはレモン、と答える隙間も貰えない。
暗闇の中ずるずると引きずられていく間、
どうして正体がバレたのかと
血の気の引いた体は抵抗を止めてしまう。]


 「お嬢様ッ!


[聞こえた彼の声に体が暖かさを取り返した。
んっ! 聞こえない返事をして、足で闇を払う。
ガツンっとテーブルを蹴り上げて、
お皿がぶつかる音を返事に追加した。
たぶん裏口から出ようとしている。
もう一度返事をしようと蹴り上げた足から
片方の靴がすっぽ抜けて暗闇に落ちた。]

[店の照明が戻るのと、私が外の光を見たのは同時だった。
私を捕まえている男は
店の裏に止めてあった藁を積み上げた荷馬車に潜り、
待っていた御者が馬に鞭を入れた。
馬が嘶きもせずに動き出す。

待って、待って。
私誘拐されてる?]


[馬車の後ろには不用心にもエンブレムが焼き付けてあった。
叙勲されて平民にさせられた男のエンブレム
乗り込んでしまった私には見えないところだったけど、
走り去るところを見れば分かっただろう。
元貴族の家は郊外に移されていたことも、
街の噂として聞けたに違いない。

プライドを損ねられた貴族が復讐を練っていたなんて
私は気づいていなかった。]

―― 荷馬車の藁の中 ――
[通りを抜けてへんぴな道を使っているのか、
道が悪くて体ががたがた揺れる。
捕まえた男は逃げるとでも思ったのか、
きつく両手を巻きつけて触ってくる。
胸部を。]

 ……ん゛ん! やめ…… なにして、やだあっ!

[全身トリハダが立ち、気持ち悪いで頭がいっぱいになる。
抵抗すればあばら骨を殴られ、痛みに手が竦む。
その間にブラウスの上から胸部を触られ、
後ろから荒い息を吹きかけられた。

きもちわるい きもちわるい きもちわるい

人に触られるのが怖くなっていく。
頭を撫でてくれた記憶が黒い雲に覆われていく。
命の危険の前に貞操があった。
お屋敷は平和で考えるのを忘れていた。]

[荒い息の誘拐犯に弄ばれながら。

もし。このまま傷物にされでもしたら
王子は結婚を考え直すだろうか。
屋敷に戻って結婚もせず、哀れな娘として
このままこの国で過ごせるだろうか。

――あの人は哀れんで慰めてくれるだろうか。]

[そういっても我慢することはできなくて、
やだやだと肘を使って体を引き剥がそうとする。

あんたなんかにくれてやるほど、私安くない。]

[がたがた揺れるのも味方に付けて、
暴れまくって犯人から身を剥がしたのは良かったけど、
藁の薄い馬車の後ろから転げ落ちてしまった。

ああ!? 戻れ!って奴の怒声を聞きながら
落ちたのはどこかの庭の池。

水に落ちて怪我はなかったけど、濡れ鼠になってしまった。
水を吸った服が重くて泳ぐこともうまくいかない。
仕方ないので顔を出して周りを確認すれば、
広い麦畑の真ん中の池が着地点だった。
農道を走っていく馬車が見えるくらいに見晴らしがいい。
追っ手が来るのなら、馬車が向かった方向からだろう。

池の岩影に隠れて震えながら、
護身用のダガーに手をかけた。
刃物の存在がバレたら反撃の手段は無くなる。
仕留めなければならない。

人を刺したことなんてない震える手で束を握る。

怖い。怖いよ。たすけて ]


 たすけて   
リフル



[体温を奪っていく水から逃げることもできず、
一振りだけの反撃を頼りにきっかけを待って耐えていた。

到着したのは犯人だったか、それとも助けだったのか**]

【人】 アジダル


[ 寝覚めが悪いのは常たるもので、明晰夢に出会うことだって少なくはなかった。
 あれこれと自分の体を書き換えられていく感覚に晒されて同一の価値観を維持することが難しいこと、夢に浸る感覚と突然自我を取り戻すタイミングがあること、一見して普段通りを保てるこの場が基準だなど言い切れもしないこと。
 油断しているのか現実よりも幾らか緩い口はすらすらと状況を吐き出した。意味の有無はともかく。 ]


  少なくとも、さっきの場面はこっちの昔の思い出だからな。
  僕自身もなんか……昔の姿だったし。


[ ぽす、ぽす、と腰のあたりを叩く。三度目の接触で、何もなかったはずの場所にさっきまで使っていたガンホルダーがあった。四度目の接触で再び消える。
 ……融通は或る程度利くらしいな、と目を細めて。 ]


  だからお前も僕が頭で作ったシグマなんじゃないの?

  なんか僕の知らない事言ってみてよ。
  まだ話したことないようなこと。


[ 体を離して寝たと言うのに行き着く先が同じというのもなんとも奇妙な話だが。>>11
 どのみち不可思議な事象について熟考するよりも対面して応対する方が向いているのだ。選択を迫られる場面に何度も直面していれば自然とその思考時間は短くなる。

 先ほどまではつるりとしていた、今はあちこちを駆け回って傷跡が残る手を、一見して迷いも何も無いように、パーカーのポケットに突っ込んだ。 ]
  
(17) 2020/10/04(Sun) 8:17:12

【人】 アジダル


[ 薄明りしかない空間は相変わらず見通しが悪く、軽佻な風に歩めば迷いこむような印象がある。視界から彼の姿を外さないよう気をつけながら壁を探るも、触れられるような感触は一帯には存在しない。

 簡単に探索をしながら、投げられた言葉を今更のように捕らえて>>12まあそうなんだけどさ、と振り向きもせずに口を開いた。 ]


  そういうものに憧れてたんだよ。
  葛藤も躊躇もなく、
  正しく誰かを助けられるようなもんにね。


[ だが実際はそうはいかない。正しいことばかりを繰り返せば善人になれるわけでなく、手を汚さなければ守り切れないものは山ほどあった。

 その様を今しがた目の当たりにした彼だって、これまで出会ってきた仲間と同じように嘲笑してきたって構わないと思ってはいた。けれど想像どおりに通り抜けた言葉にふっと笑みが零れた。 ]


  どうだろう。別に家族や仲間じゃなくとも
  助けてやりたいとは何度も感じてたしな。
  無謀すぎるでしょそんなの。


[ 呟けば、奥の扉が薄く開いた音がした。
 語るか思い出すかすれば時間が動くような感触に、聊かうんざりしたような心地で溜息を吐く。 ]
  
(18) 2020/10/04(Sun) 8:17:18

【人】 アジダル


[ 誰だって見せたいもんや見せられるもの過去ばかりを生きてきたわけではないだろう。男にとって人生は取り繕えるほど安定したものではなかったし、秘密にしておくべきことは人より多く存在するはずだった。

 彼が記憶を誘発することを言わなければ、そして己が思い出しさえしなければ、あらゆることを闇に葬っておけるだろうか。
 忘れている記憶や忘れたいこと、蛆が湧いて今更どうすることもできない記憶どもにぶち当たりさえしなければいいが。]


  ……そうしなくちゃ覚めない夢なら
  入るっきゃないか。


[ ブラックボックスを開くのを躊躇うように彼の背に近づく。とりあえず血の匂いはしない光景を見てとり、撃たれはしないだろうなとその後を追った─── ]
 
(19) 2020/10/04(Sun) 8:17:23

【人】 Cucciolo アジダル



 [ ことを、けれど。次の瞬間すっかりと忘れている。
  人の背中を追って飛び込んだ昼間の路地裏だというのに、
  いつの間にか彼の視線の先に男はいた。

  曲がり角の石壁に両手をひっかけ、
  体を隠すようにしながら道の先を伺う様は、
  拙さが無いことを除けば隠れん坊遊びをする子供のようにも
  見えたことだろう。

  錆びた剥き出しの配管の上には土埃が積り、
  判を押したように並ぶ白抜きを追いかけていけば
  先には肋の浮いた猫が欠伸をしている。

  丸みを帯びだした煉瓦詰めの地面の随所には
  清掃されても血のような染みがこびりついていて
  人が一人横たわったような形をした日常風景を
  誰も彼も今更気に留める様子もない。


  ……だから正義など貫くのは馬鹿らしいことだと思い知る。
  しょうもない遊びに興じていると呆れ顔をされたが
  自己満足と言って認められるならそれでもいいと
  思っていた、筈だった。


───これは衝動の日。 
]


  
(20) 2020/10/04(Sun) 8:18:18

【人】 Cucciolo アジダル



 [ 点々と道を作るように並べられたパンや果物を
  今日は気に入ってくれるだろうか。
  身の丈に合わない良物の腕時計を眺め、
  そわそわと落ち着きなく様子を伺う。

  同じ場所を使っているというのにごった返さないあたり
  あの子がこの施しを口外してはいないのだろう。
  それでいい、自分の手の届く範囲だけ助けられれば。


  自分にはには路地裏暮らしの経験はなく
  一つの林檎を投げ込めば殺し合いが起こるほど
  飢えたり追い詰められた世界の存在は
  未だ納得することができない。

  けれど改めるには力も金も足りないことをよく知っている。
  定期的に行っていても酔狂と気紛れの域を出ない行為、
  余った食材や用意した医療キットを浮浪児の為に置くことは
  それでもやめようとは思わなかった。
  実際嬉しかったと言ってくれたし。


  誰が、だったか。 ]

  
  
(21) 2020/10/04(Sun) 8:18:41

【人】 Cucciolo アジダル



 [ 男は──少しばかり傷の青年は、
  ふと背中越しに見えた影が道に伸びるのを見て振り返る。
  そこに立っていた人物を、観測者を確かめれば
  慌てて手を伸ばしたことだろう。 ]


   あー、待ってお兄さん、
   今ちょっと取り込んでるからこの道行かないで!


 [ 焦燥を滲ませながら自分の後ろだか死角だかに導くように
  かくれてかくれて、と腕を引く。
  彼が何かしゃべろうとすればその唇に立てた指を近づけ
  しぃっと沈黙を要求しよう。

  風景に似つかわしくない素材の良いスーツの襟を開き、
  肩を埃っぽい壁に押し付けるまでしている事態だというのに
  妙に呑気な高揚を讃えた笑みは、
  大人びた子供のようにも見えたことだろう。

  実際ワクワクしている。 ]

 
(22) 2020/10/04(Sun) 8:19:00

【人】 Cucciolo アジダル



 [ ほどなくして裸足の足音が聞こえてくる。
  待ちかねたように道の方へ意識を向けると、
  いつものように小さな人影が歩いてきていた。

  手入れの施されていない襤褸切れのようなものを着た、
  これまた手入れされていない長い髪の浮浪児だ。
  金色の毛虫みたいに見える少年は周囲を気にしながら
  並べられた物資に飛びつくように近づいていく。

  土で汚れた手で拾ったピカピカの林檎に笑顔が映り、
  それを大切そうに抱き締めてから
  纏っていたぼろに包んで他のものも集めていった。 ]


   可愛いでしょ。
   他に人がいると警戒して持ってってくんないんだよね


 [ その様子を楽しそうに眺めていた青年は
  乗り出しそうになるのを堪えるように
  側頭部を石壁に押し付ける。
  傾いた体の腰に吊るしていたガンホルダーが
  こつりと音を立ててぶつかった。 ]

  
(23) 2020/10/04(Sun) 8:19:25

【人】 Cucciolo アジダル



   公的機関が馬鹿になってるから仕方ないけど
   やっぱ子供は笑ってんのが一番だよ。


 [ そうは思わない? と振り返った顔は
  同じように柔らかく綻んでいた。 ]*

 
(24) 2020/10/04(Sun) 8:19:44
Cucciolo アジダルは、メモを貼った。
(a8) 2020/10/04(Sun) 8:28:40