98 【身内】狂花監獄BarreNwort【R18G】
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「…………、」
ふよふよと浮く身体が現れる。
不安定な飛び方をしていた姿はもう、無いだろう。
「…………、さて」
物言わぬ少女は処刑室まで迷いなく漂う。
多くは語るまい。
後は死ぬだけなのだから。
「…………、」
その少女は"まだ"口を開かない。
処刑へ参加する者、全員が揃うのを。
ただ静かに待っている。
「……オリオン、お疲れ様。あとはセファーたちがやるから、ゆっくり休んでくれ」
遠吠えよりも先に言うべきこと、やるべきことを。黙祷。
遠吠えのまねっこをしてくれるのがすごく癒しだった。
「そうだな。オリオン、貴様のことはあまりよく知らないが……私が知る限り、貴様はよくやっていたよ。薔薇を贈れないのが残念だ」
そう!
薔薇はさすがに隠密度ゼロなのだ!
「……ところでお前、ナフに入れてたのってそういうアレか?
仲良くて腹立つな。首絞めてやろうかな」
無理ってさっき言ったじゃん……
「
あ お ー ん
… 」
というわけで遠吠えです。
「願いを叶えてやろうかなという気持ちはあったが。諸事情あってダビーに切り替えている。だからあの1票はセファーではない」
(なお、これはメタとかではなく普通に正常な時空のトラヴィスが普通にいや仲良くて腹立つな、首絞めたろかな、と思って、述べた発言なのだが、この註釈いるか?)
「メサの怒りが心地よいな。
もう少し激しく殺しに来てくれれば、私も癒されるというものだけど……なかなか、そこまでの役者にはなれないかな」
目を細めて、投票結果を眺めやった。
どうなるものかな。これから。
「うん、切り替えたみたいだから、こう、ついでに連れてく気だったのかなって思ったんだけどね」
セット扱い。
「ああ、そうだ。【次】の予定はダビーだったかな。
これは変わりなく遂行する、という方向で行こうと思う。
貴様に異論は?」
(註釈あってもなくても正常時空でもメタ時空でも同じ答えをしているから大丈夫です、おもしろ)
「まあついでに連れて行ってもよかったが。生き返るまで待てないならその間にあちらも死んでいればいいという気持ちもなくはなかった。
……異論、というか、それについて相談がある」
「セファーは……セファーは
ゲーム上殺害したい者
がいると言っていたな。
しかし、
今は違う。
今は明確に、手段を問わず、その者を殺害したい。私や友が害される前に、だ。
故にセファーは投票先をその者に……
ダビーにする。
処刑で吊れない位置だろうと思っていたから襲撃で宣言しただけで、殺害したい気持ちには変わりがなかったからな」
そこまで宣言して。
「……投票で殺せぬなら襲撃で、と思う程度には殺意がある。手伝ってくれないか、トム」
金糸雀はまだ鳴いている。
いつものように静かに処刑室を訪れ、時を待っている。
「え、………………うん、」
トラヴィスは。
小さな声で、頷いた。
気圧されたのではなく、怯えたのではなく。ただ、
「……そう。殺意が、あるのだね」
知っていることを、知っただけだ。
「票を集めることは……私と貴様と、『あと一人』で3票か。
決め手に欠けるかな。あと一人の名前は教えるとして……これで足りると思うかい?」
「…………、可笑しいな」
「この場を……盛り上がらせるための。
…………、投票の誘導じゃ、無かったのかい?」
首を傾げる。そうすれば楽しくなるのか、と。
自分でも
自分に票を入れた
のだから。
「兎を殺せば楽しい舞台になると、証明してくれよ」
「……セファーはそれだけでは足りない、仕留めきれない、確実にやることはできない、と思っている。
今生存者は8人なのだから、
半数は取りたい
」
男は、長きにわたる苦痛を与えようとする者を望まない。
男は、『人』を、知性を破壊しようとする者を望まない。
「ただ、明確な意思表示はするつもりだ。支持してくれる者がいるのではないか、と思いはする」
「……そう」
トラヴィスは、目を伏せた。
やはり全ては遠い。わかりきっているものにはもはや痛みも覚えない──── 以前よりは安定している、と、自分を測った。殺意の対象に【看守】を選んだ者をみて、もう少し動揺するかと思ったけれど。
疲れたのかな。そうかも。現実、戦い続けるのは難しいから。
「いいよ。票集めは貴様に任せた。
私が主張するのは不自然だし…… …… ……
本当は、彼には入れたくないのだけどね。でも、頼みを聞いてしまったから……一貫性は持たなくては」
イクリール
「…………、」
きっと、あなたのお望みの反応はできない。
それが当たっていたとしても、少女は微動だにしないだろう。
いつも通り、震える身体はそのままに。無表情のままに。
「…………ひとつ、」
震える身体はそのままに。
人差し指を掲げ口に当て。
重く、少女は声を紡ごう。
「…………、どうしたら死ぬか? という質問に答えよう」
「身体の強さは普通の人間に等しい、殴られ蹴られすれば、
普通の人間同等のダメージを受ける…………、のだが」
「兎は……、ニアは
んだ」
「炎に焼かれ、死に、新たに蘇る。そういう種の"生き残り"だ」▽
「…………、嗚呼、でも今は……、
その力さえも封じられているのだろうか?
炎に包まれ死ねるのならば……兎は本望なのだが。
いや、なんだ…………、二度手間になって
手を煩わせる訳には、……いかないと、思ってな」
「……、ならば、最早なんでもいい」▽
「――――
」
無表情のまま。
されど、挑発とも取れる目線を周囲に向ける。
赤色の
が揺れ動く。
目が合えば。
焼けるような猛烈な熱さを
に抱くかもしれない。
嗚呼、奴隷として産まれ、生きたこの身。
罰と痛みを科せられ、与えられる事など、
「…………ふ、」
造作もない事だよ。
| 「今日は参加すると言ったね。どれがいいかな……」
武器を眺めている。順番を気にする人ではないだろう。 (21) 2021/10/09(Sat) 22:17:55 |
赤の瞳を向け続ける。燃やしはしない、ただの挑発だ。
赤の双眸がアマノを捉え続ける。
その
は抵抗をしない。
一瞬の内に距離を詰められ、拳を受けた細身の少女の身体は。
踏みとどまる事はできない。
姿勢を崩して倒れ込む。咳き込む。赤を吐く。
それでも。
真っ直ぐと、炎のような
を見開き続ける。
明かりに照らされて黒檀が
朱
に揺れた。
……熱を感じる前に、黒檀は伏せられる。
能力も役割も似ているのかもしれない、と。
ふと思う事はあれど今この場においては関係のない事だ。
票を入れたひとりとして、ナイフを持って近づいて首のあたりにぐい、と差し込む。
放っておけば出血死するだろう傷。
けれどきっと、血が抜けきる前に誰かがニアの息の根を止めるだろう。
赤の双眸がキンウを捉え始める。
その
は抵抗をしない。
動かない体にその刃はいとも簡単に傷を残していく。
赤が溢れて、溢れて、溢れて、
それでも。
真っ直ぐと、炎のような
を見開き続ける。
| ルヴァは、次に行ってもいいかな、と武器を選び終わった為に問いかけた。 (a8) 2021/10/09(Sat) 22:50:50 |
ルヴァに視線を向けた。挑発か、合図か、そのどちらもか。
| 少年は別に彼女に票を入れてはいない。但し少年は自分の気紛れを忘れることはない。 「じゃあ、やっぱり知っているこれで。」 一人で選んだのはどこの国でもあるような拳銃。操作方法は知っているようで袖を捲っては正確な手付きで装置を外しながら、近寄る。 ( 熱い。 ) 正面に捉えた視線から熱を感じる。心臓が燃えたと認識しそうだ。しかし同時にそれは感覚であると認識している。だからそれを全く悟らせず。効いていないかのごとく。 のんびりと近づいて。少年の目の前の的はどんどん大きくなるが彼は止まらず。 そして自分が膝をついてまで、少女の左脚に向かう。間違いなくそこを狙いたいがために。両手を伸ばしてぴったりと、その悪そうな左脚に、一発。 反動 。ひっくり返る程ではない。 宇宙的に一般的な口径の一般的な拳銃だ。密着して撃つことを想定されていであろう威力は、肉を動脈を割いて、骨まで響かせて、どの国でも聴ける大きな音と共に拳銃直ぐ側の二人を 紅く した。 それで少年の番は終わった。 それでもまだ即座に死ぬことは無いのだろう。脚に生命に関わる重要な臓腑があることは普通ないのだから。 (27) 2021/10/09(Sat) 22:58:55 |
赤の双眸がルヴァを捉え始める。
その
は抵抗をしない。
拳銃。その兵器の構造はよく知っている。
身に受ければどうなるのかも、知っている。
倒れたままの動かない少女の身体。
パァン!と爆ぜる。撃ち抜かれる。
左脚は再び、鉄砲玉によって手折られた。
それでも。
真っ直ぐと、炎のような
を見開き続ける。
赤の双眸がナフを捉え始める。
その
は抵抗をしない。
少女の身体は軽々と持ち上がる。
寒さ
に震える身体はそのままに。
表情も歪ませぬまま、声も出さぬまま。
全ての重力を共にした浮遊、その天井で――――
落下、落下、落下。
頭を強く打ち付ける音が響く。
脳が揺れる感覚に吐き気を催す。
口から零れるは赤、赤、赤、
それでも。
顔を上げ。
真っ直ぐと、炎のような
を再び、見開いた。
| 置いた人形を抱え直して、メサを見下ろす。 『あーちゃん』に血がつくことは気にしていないようだが。
「大丈夫?」 ただ、ただ心配そうな顔でそう聞いた。 (31) 2021/10/10(Sun) 0:23:47 |
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