150 【R18G】偽曲『主よ、人の望みの喜びよ』【身内】
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| ──会議室の扉が、そっと後ろ手に閉められた。 消耗こそすれ神経が昂ぶったような感覚が持続し続けているのは いよいよおかしくなりつつあるのか最初からおかしかったのか。 一度深く息を吐いて、注意深く気配を探る。 自身に現れた力が特定の個人を探す事に長けたものではなくとも、 不安定に揺れる気配があれば、すぐに気付く事はできる。 それが多少遠くであっても、大まかな方向程度は。 『おねがいします』。 たったそれだけの文章でも、 何が起きたのかということを察するには十分だった。 だから闇雲に探す必要は無いのだと知っていた。 『ただ二つお願いがあるのです。 聞いてもらえるのです?』
『はい、構わないのです。 1つは、この能力が制御できなくなったら その時は僕を止めて欲しいのです。 叶様や他の人に害をなしたい訳ではないので』 (0) 2022/06/06(Mon) 22:47:34 |
| カナイは、無事に、という言葉には、きっと何も言わないまま。 (a1) 2022/06/06(Mon) 22:48:59 |
| (a2) 2022/06/06(Mon) 22:49:10 |
カナイを待っています。きっと、約束をした場所の傍で。
叶
叶は容易く、その気配を見つける事が出来るでしょう。
場合によっては、あなたを呼んでいるようにすら。
静かに、しかし体中を軋ませて、待っているのです。
そして、いくつかの角を曲がった先に、それは居ました。
みし、ぱき。骨で形作られた片翼と手足が軋みます。
その中心で俯いていた顔が微かに上がり、
そして安堵の顔を見せました。
タブレットは足元に落ちていて、
骨の足の長さのせいで半ば浮いている少女に
それを拾う事は出来ないのでしょう。
だから、視線をあちらこちらに送るだけ。
和装が溶けてしまったせいで露わになった上半身。
両肩から肘までは、檸檬色と葡萄色の結晶に覆われています。
そして胸元をぎちぎちに締めているサラシの上部から、
鎖骨の上辺りまでを血の色をした結晶が守っているようです。
だから、口をはくはくと動かすだけ。
「よかった」
だから、涙を流すだけ。
「きてくれた」
叶
そして、そして――それだけです。
少女は静かに待っています。
ただ、骨と結晶が軋む音が徐々に大きくなっていくでしょう。
今は、抑えているだけで。
少女の大部分は、考えているのです。『変わりたい』
と。
その為に……あなたのすべてをたべてしまいたい、と。
『あなたになりたい』
、と。
少女は、あなたを待っています。
約束を果たしてくれるのを、待っています。
| >>+0 >>+1 弓日向 「…内容、聞いてから考えてもいいですか」
「………わかりました、その時は…」 「…僕ならきっと、できますから」 ────見付けた。 あなたと最後に会話をした場所。 会議室からやや遠い地点に位置する仮眠室、その方向。 他にも異様な気配は幾つかあったかもしれないけれど、 その位置から、どこか確信じみたものを感じて。 閉じた瞼をそっと上げて、歩き出す。 (1) 2022/06/06(Mon) 23:27:57 |
| >>+0 >>+1 弓日向 以前二人で歩いた道程を、今は一人で歩いている。 会議室を後にして、空気の良いとは言えない廊下を少し歩いて 一回、二回、角を曲がって、…… ────三回目の角を曲がった所に、あなたは居た。 その凄絶な姿を見て、 あなたの代わりに悲鳴を上げるように軋む音を聞いて。 ああ、と。 息を吐くようにやるせなさを吐き出した。 ──追想。 ……気味が悪くとも、こうして確かに利益を齎しているのなら。 けれど、益にならないなら?……
……そしてあなたのそれは、あなたを何処まで、 どういったものにまで変化させ──変異させてしまうのか。…… (2) 2022/06/06(Mon) 23:28:44 |
| >>+0 >>+1 弓日向 「………弓日向さん…」 自分が協力しなければ、あなたはそうはならなかったのだろうか? そんな事を今考えたところで、もはや何にもならないだろう。 「もう……戻れませんか?」 だからたった一つだけ、問いを投げ掛けた。 あなたがもう後戻りできないのだとしたら── このままでは、恐ろしいものに成り果ててしまうのだとしたら。 きっとあなたは、その答えを行動で示すしかないのだろうけど。 (3) 2022/06/06(Mon) 23:30:00 |
叶
みし、ぱき、ばき。
骨の身体は、両の前足がゆっくりと、地面に向かっていきます。
四足歩行の構えをとろうとしているのでしょう。
震えながら、至極緩やかな動きで。
肉の身体は、たったひとつ。
ためらいと、かなしみと、あなたへの期待と喜びを込めて。
静かに、微笑んで。頷いてみせました。
「ころして」
確かにそう口が動いて――骨の前足が、地面に着きました。
ばき、べき。少女は、弓を引きました。
その向こうが神か、運命か、あなたかはわかりませんが。
次は、あなたの番です。
その大きな骨の手足と翼の根元を、結晶で補強しているようでした。
第二に。
仲間とされる二人を守る為にも、
ここはスケープゴートが必要だ。
奈尾さんはその点において大変都合がいい。
そういう打算も混ぜ込んでいなければ、
とても果敢に立ち向かうことなんて出来そうにない。
| >>+2 弓日向 人体には存在し得ないパーツが床へ近付いていく。 悲鳴じみた音を立てて、ゆっくりと。 その様相を見て胸の内に湧いたものは、恐怖ではなくて。 「…ああ……また僕は」 「死で何かを得た分、死で何かを失うんだ…」 ヒトとは異なる形状の骨。 四足歩行の──凡そイヌ科の特徴を呈するそれは。 唯一の慰めであり、拠り所だった、 飼い犬を想起するものだった。 あの子も自身が恐怖から解放されたすぐ後に旅立ってしまった。 「……でも、これは」 「きっと、おれにしかできない事だから」 どうせもう引き返せない自分がやるべき事だ。 それに、あなたの状態は、自身の内にある力で対処する事が。 恐らくあまりにも──適切なものだったから。 そして何より、同じ理不尽を受けた被害者のあなただから。 こんな形でも、その願いの一つくらい、 叶 えたくて。 やりたい事だ。だから引き返せない、引き返さない。 (4) 2022/06/07(Tue) 1:12:10 |
| >>+2 弓日向 だから逃れる為ではなく、向き合う為に。 その四文字を確かに認識したその直後、 また 一つ、 二つ、まるであなたの心の軋む音のようなむごい音。 それを聞きながら、叶はやはり逃げなかった。 ──恐怖を呼び起こし、研ぎ澄ます。 殆どあなたの理性による制御を外れた意思が、 どのような行動を取ろうとも、それを回避しようともせず。 恐れるものは、あなたではなくて。 これまで、そしてこれからの自身の行いと、その発覚だ。 この力はある程度対象を目視できなければならないようだった。 だから回避などに感けている余裕など無くて、 何れにしてもあなたに正面から向き合うほかなかった。 (5) 2022/06/07(Tue) 1:13:54 |
| >>+2 弓日向 ──そして、それを向ける先は──叶うのであれば。 檸檬色の結晶でもなく、葡萄色の結晶でもなくて。 あなたの胸元を覆う、血色をした結晶が、一瞬にして爆ぜ散った。 皮膚を切り裂き、肉を突き刺し、骨と骨の間に潜り込む。 その部位を狙ったのは、元を断つ為に。 その次に、長く苦しませる事の無いように。 とはいえ今のあなたにとって、 それが確かに致命の一撃足り得るかはわからない。 そして、たとえそれが束の間の夢だったとしても、 まだ平穏だった頃の思い出を苦痛に変えたくはなかったから。 (6) 2022/06/07(Tue) 1:14:42 |
| (a4) 2022/06/07(Tue) 1:17:01 |
| カナイは、それと同時に、どうしようもなく安心する。 (a5) 2022/06/07(Tue) 1:17:16 |
| カナイは、多分、前に力を使った時からあまり時間が経っていない。 (a6) 2022/06/07(Tue) 1:18:24 |
叶
あなたの独白。あなたの想起。
あなたの決意。あなたの――あなたとの、約束。
それらを聞き、想い、抱いて……
放たれた矢のように、その四ツ足は床を蹴りました。
あなたの全てを磨り潰して、啜る為。
愛しい人の胸に飛び込むように、跳びました。
その瞬間、あなたの目にはしっかりと。
血色の結晶が映っていました。
そしてそれは、激しく爆ぜるのでしょう。
空気を震わせて。身体を砕いて。その少女を壊します。
ぱき、ばき、と音がして。
それが肉体からか、結晶からか、骨の手足からか。
判別は難しいのでしょう。ただひとつわかる事は、
あなたの前には、結晶も、骨の手足も。
剥がれ落ちた血塗れの少女が転がっているという事です。
叶
少女は、実にあっさりと、死んでいました。
きっと殆ど痛まなかった事でしょう。
きっと苦しまなかった事でしょう。
幾分か軽くなった少女が、
軽くなった分だけ血を床に広げて動かなくなっています。
その顔は、苦しみも、恨みも、つらみも、持っていません。
ただ、微笑んでいました。
最後に微かに動いた唇は、筋肉になんらか、
電気信号が通っただけかもしれません。
それでも、それを信じるなら――『ありがとう』
。
たしかに、そう言っていたのです。
唯一、後に残ったのはつけっぱなしのタブレット。
きっと、少女がそうなる直前まで手にしていたのでしょう。
幾つもの変わりたい願望や、呪詛めいた言葉が沢山。
テキストファイルにいくつもいくつも、連なっています。
ずっと蓄積したそれらの末尾、一番最後の空白。
沢山の改行はきっと、その感情から遠ざけたかった言葉です。
そこに――
| >>+3 >>+4 弓日向 いつか見た決意を宿した瞳のように、真っ直ぐに、一直線に。 迫り来る勢いに、ほんの少し気圧されて。 それでも確かに視界に入ったものを見逃さなかった。 「…………ッ、…」 一瞬の集中の後、短く鋭く、残響を耳に残す破裂音。 結晶とも血飛沫とも、或いは肉の破片ともつかないような ただただ赤いものが瞬時に飛散して、 もしかすると、硬い破片が幾らか自分も傷付けたかもしれない。 それはなるべくしてそうなる事だから。 西へ、太陽の沈む方角へ。 陽が傾いて、日向が翳る。 いつかまた陽が昇るその時まで。 (7) 2022/06/07(Tue) 5:03:52 |
| >>+3 >>+4 弓日向 そうして刹那に嵐は過ぎ去って。 再びの静寂と、それから徐々に血臭に満たされ始めた廊下。 ゆっくりと広がっていく血溜まりと、横たわる少女を見た。 能力の起源に紐付いた奇妙な安堵は長続きしない。 だから今この胸の内を満たすものは。 その思いを理解できたばかりの少女を失った事によって齎された 喪失感と、悲しみと、それから人を手に掛けた罪悪感だった。 「………弓日向さん」 ほんの少し軽く、けれど脱力しきって重く。 まだ温かい身体をすぐ近くの仮眠室へ運び込んだ。 野晒しは忍びなく、けれど会議室へ連れて行くには憚られた。 「あなたはあの時自分の事を薄汚い人間と言ったけど、 おれはそうは思いませんでした」 寝台へと寝かせて、瞼や唇が開いたままなら閉じさせて。 その横で殆ど唯一の遺品となるであろう端末に指を滑らせた。 連なる望みと、呪詛と、それから。 そして、あなたの最後の言葉を思い返して目を伏せた。 「おれの方がずっとどうしようもない」 そんな人殺しに感謝するだけでなく、生きろと言うなんて。 いったいこれから何処へ生きて行けと言うのだろう。 (8) 2022/06/07(Tue) 5:05:59 |
| >>+3 >>+4 弓日向 「何にしたって。 あなたが死んで泣く人間の一人くらいは、…… ……事実として、居るみたいです」 どうせ誰も聞いていないのだから、 随分湿気を帯びた声を取り繕う必要もないだろう。 自分で殺しておいて悲しむなんて、 人殺しには身勝手すぎる気もするな、なんて思いはしたけど。 (9) 2022/06/07(Tue) 5:06:52 |
| >>+3 >>+4 弓日向 だからそんな身勝手はすぐにしまい込んで。 きっとまた少し血に汚れた白衣の裾で目元を乱暴に拭った。 「神様なんて居ないかもしれないけど」 深く息をして、仮眠室を後にするべく立ち上がった。 「居ない方がいいのかもしれない」 だって、もし仮に、そんなものが居たら。 「 おれはそれを殺さなきゃ気が済まないから」 たとえばこれが、誰かの描いた筋書きであるのだとしたら。 自分はその誰かを怨まずにはいられないだろう。 そしてきっと、それを殺さない限り。 自分に本当の意味での平穏が訪れる事は無いんだろう。 でなければ、真に恐ろしいものを取り除けはしないのだから。 (10) 2022/06/07(Tue) 5:07:37 |
| (a10) 2022/06/07(Tue) 5:08:01 |
| カナイは、また声を聞く。きっと仮眠室を出て少し後の事。 (a11) 2022/06/07(Tue) 5:20:35 |
『叶さん── 今からすぐ、会議室の方に来られますか』
『奈尾さんが害意を纏って近付いてきているのです』
努めて冷静さを保ちつつ、何とか言葉にしていく。
『大体の位置は……もう、すぐ近く。
あと数刻もすれば到着してしまうくらい。
出来るだけ時間を稼ぎます、
獣などに気を付けつつ、急いで──お願いします』
『篝屋さんからもそう聞きました』
『今すぐ向かいます』
『あの人は銃を持っていて、水で溶かされる?そうです』
『おれが聞いたのはそれだけ』
返るのは簡潔な応答。今は時間が惜しい。
| 仮眠室を出て、誰かの声を聞いた後。 弾かれたように廊下を駆け出して、 その傍らに気配を探る。読み取ろうとする。不安定な気配を。 今明確に排除すべき恐ろしいもの──奈尾の気配を。 進行方向がわかるのであれば、その背後に回り込むように。 殺さなければきっと殺される。 真に恐ろしいものから逃れるには、殺すしかない。 自分ならきっとできる。自分がやるしかない。 何れにしても脇目も振らず会議室への道を突っ切っていく。 元はドッグトレーナーを目指していたのだ。 犬と共に駆ける為の日々の名残は、まだ身体に残っている。 (11) 2022/06/07(Tue) 7:35:45 |
| カナイは、猟犬じみて廊下を駆けて行く。狩るか狩られるかは、まだわからない。 (a15) 2022/06/07(Tue) 7:36:58 |
叶
あなたの背か、胸か、腕か。
運び込む際に触れた場所に、少女の血が付着します。
それが血色の結晶になったりはしません。
ただぽたぽたと、水音だけを残して寝台に横たわります。
微かに開いていた唇は閉じられてなお微笑みの形で。
薄い透明な液が通った跡が残る目元は穏やかなまま。
死んだ人間はきっと、何も語らないから。
だから電気を消してしまえば、そこにはもう闇だけ。
日向のような明るさはすっかり、消えてしまいました。
それでも……もし、暗く塗り潰される想いの下に、
この少女の生命が残っていたのなら。
神というクソッタレ
運命 に向かって弓を引く、その誇らしげな顔が、
きっとあなたの隣に立っていたのでしょう。
だから、いつか陽がまた日が昇るのなら。
その時は、あなたと同じ日向に居させてくださいね。
それじゃあ、おやすみなさい、なのです。
『間に合って……ないかも?
ごめんな、ずっと寝ちゃってて』
『簡単に言うと、呼び出されて腹刺されて頭半分溶かされた。
水が入った普通のペットボトルで殴られたと思ったら、気が付いたらペットボトルも溶けて頭も溶けちゃってた』
先ほどの情報から追加で得られることといえば、何の変哲もない水だったものがある瞬間から変化をして襲いかかってきた、ということだろうか。
まあ色々あって今は……元気だけど。元気ではないかもしれない。
『抵抗する時に、俺が……あの人の頭の中ぐちゃぐちゃにした。
その影響も、あるのかも』
『あ゛ーーーー────……………』
助かるけど聞きたくはなかった、
とでも言いたげな間伸びした心の声。
よく今生きてるな。それで。偉いよ。
オレが生きてられるかはまた別の話だ。生きなければ。
>>篝屋
ずる、ずると棒切れのような足を引きずって。
歩く。歩く。歩く。
拾えた気配のある場所は、もう少し遠く。
生き損ないの、死に損ないは、ただ一つの意思だけを杖にして歩く。
「…………ぁ?」
ぽつり呟いて。
その人が地に伏せているのを目にした。
「……篝屋、さん?」
▽
「……。
あの時、会話したのは、俺と同じだったからですか?俺と同じで死んでいたからですか?」
肉の焼けるような臭いを気にも留めず歩を進め。
近くに寄って確認するよりも早く反射的にその力を呼び起こす。
ただ一つの意思だけで骸を動かしているその何かの力はあまりに不安定な物だったけど。
彼の呼吸を聞いた。
彼の生きる音を聞いた。
それでも彼は動いていない。何をも溶かす海の中に身を沈めているだけ。
「……」
▽
| (a25) 2022/06/07(Tue) 13:50:17 |
| (a26) 2022/06/07(Tue) 13:50:21 |
三十三
名前を呼ばれた。
かくん、と首が傾いて。体の向きを半分変えて、視線をぐるり。
貴方を見ているようで、でもどこか遠くを見ているような。そんな眼差しを注ぎながら青年の形をした何かはわらう。
「……あぁ!三十三さん!よかったぁ、生きてたんですね!貴方は貴方だ!にんげんだ!えへ、うふふ。嬉しいなぁ。どうして此方に?」
時折何が面白いのかも分からないような笑い声をあげているが、確かに青年は二本の足で立ち、貴方と向き合って会話を行なっている。
身体中に無数の傷を纏い、無邪気な子供のわらいごえを響かせるたびに口から、腹から、ぽたぽたと血を落としながら。
貴方が確認した遺体の様子を、そのまま抱えながら。
/*
めっちゃ"いいやつ"のロールの途中ですごいアレなんですけど
喫煙所(概念)で話してて凶狼気付いちゃったにゃんけど
今日人間二人屠っても明日の朝に焔狼お嬢様がおくたばりあそばせられるので
つまり3:3にならずこれまだ決着しませんわね???
つまり人が何人か……ガチ死なさりますのね?おそらくは?
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