[気づくとアマミは大きな館の玄関のような場所にいた。
少なくとも館が何を模したものなのか、その内観にアマミには心当たりがない。
彼女は何か心当たりのかもしれないが。
わけが分からないと半ば呆れたかのように胸元のパイプに手を伸ばすと、違和感に気づく。
実はクラヴィーアが家に来るようになってからパイプを吸う回数が減ったのだ。
身体に悪いし長生きをしてみたくなったのだと、これは彼女には言っていないことである。
それはそれとして。
これは明晰夢なのだろうかと、違和感の消化を始める前に矢継ぎ早に聞こえる声には、アマミは苛立ちを隠せずにいたのだった。]