47 【半再演RP】Give my regards to Jack-o'-Lantern【R18】
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| ── ── [ 二人仲良く、温泉街の秋の味覚を楽しんで。 暫し歩みを進めていれば、徐々に視界が 白い靄のようなもので覆われ始めた。 >>1:176] あ、霧……でしょうか…? 何か臭いもしますけど……。 [ はて、霧でも発生したのだろうか。 周囲を山々に囲まれた地。 霧が出てもおかしくはない気がする。 鼻をすんと小さく動かせば、 腐った卵のような臭いが鼻孔に流れ込んできた。] (0) 2020/10/24(Sat) 17:49:52 |
| [ 確か、この臭いは有害だから あまり長くは吸ってはいけないと。
温泉について書かれた冊子に 注意するよう記載されていたような。
靄から逃れようと急ぎ足を進める内、 途中、人とぶつかってしまった。
その衝撃で彼と手が離れてしまい、 そして気付いた頃には 彼の姿は見えなくなっていた。] (1) 2020/10/24(Sat) 17:49:57 |
|
時見様……?
[ 心細い声を漏らして。
辺りをきょろきょろ。 視線を走らせるものの、一歩か二歩先ですら 濃くなった靄ではっきりとせず。
何処からか 彼の声が響いてきたような気がしたが それは本当に彼の声であったかどうか。 はっきりと確信する事は出来ないでいた。
足元すら覚束ず、胸に生じた不安の靄は 時間が経てば経つにつれ その大きさを増していく。] (2) 2020/10/24(Sat) 17:50:03 |
| [ 早く、早く合流しなくては。
そう思っていると、ふと、 何やら周囲に人らしき気配を感じた。]
時見様……ですか……?
[ 不安になって声を投げ掛ける。
───反応はない。
一拍の間の後、その気配はかさりと音を立てた。
何やら笑っているようにも感じられる。] (3) 2020/10/24(Sat) 17:50:08 |
| [ 背筋にぞわりと冷たいものが走る。
それは怯えと恐怖と不安が入り混じったもの。
全身が凍ってしまったかのように動かない。 早く、早く、逃げなければ。
額から頬を伝い、汗が一筋。 ぽたりと地面に落ち、広がった。
───次の瞬間。
その気配は突然動き出し、 此方へと長い腕を突き出してきたのだ。] (4) 2020/10/24(Sat) 17:52:04 |
|
え、ぁ……きゃぁぁぁぁぁ!?
[ 身を反らし、辛うじて避ける。
視線を向ければ、靄の中から幾つもの手が その姿を現していた。
その全てが己を捕らえるように蠢く。
捕まったが最後、 出口のない暗闇へと引き摺り込むというように、 それは生々しく、それ自体が 生きているかのように動いていた。
恐怖のあまり歯の根は合わず、 かちかちという音を周囲に鳴り響かせて。] (5) 2020/10/24(Sat) 17:52:16 |
| [ 最早、何も考えられそうになかった。 ───ただ、それから 逃げる事しか浮かびそうになかった。] (6) 2020/10/24(Sat) 17:54:45 |
| (7) 2020/10/24(Sat) 17:59:02 |
| [ 絹を裂くような悲鳴を上げ、 私は靄の中、脇目もふらず駆け出す。
心臓がばくばくと跳ねる。息が苦しくなる。 それでも走る事を止めずに。
どこまでも、どこまでも 走り続けるのであった。]* (8) 2020/10/24(Sat) 18:02:01 |
| (a0) 2020/10/24(Sat) 18:05:45 |
[ 真っ白に染まった視界。
誰の気配も感じられず。
────しん、と痛いぐらいの静寂が耳に染みる。
聞こえるのは己の呼吸と
とくりとくりと鼓動を刻む心臓の音だけ。]
[ もしかして、あの後
何者かに捕まってしまったのだろうか。
そして、命を奪われてしまったのだろうか。
自分の事だというのに
他人事のような考えが浮かぶ。
───何処か現実感がなかった。]
時見様……。
[ もう、彼と会えないのだろうか。
俯いて視線を地面へと落とす。
悲しみに顔が歪む。
せっかく新婚旅行に来たというのに
こんな事になってしまって。
彼が悲しむ事を思えば
申し訳なさに胸が苦しい。]
[ ───ふと、視界に何かが過った気がした。
ゆっくりと顔を持ち上げ、目線を前へと向ければ
そこには懐かしい人の姿。]
[ はっきりと顔が見える訳ではない。
全身も輪郭がぼんやりとして朧気であった。
───それでも、それが誰であるか。
伝わってくる雰囲気で理解出来る。]
────……っ!
[ 己の唇が音を形作る。
けれども、それは声にはならなかった。
───何故なのか。
呼びたくて、呼びたくて堪らないのに。
懸命に唇を動かす。
それでも己の唇は音を紡ぐ事は無かった。]
[ 瞳にうっすらと膜が張る。
すぐにそれは溢れて、
きらり、輝きながら落ちていく。]
[ 情けない顔になりながらも顔を前に向ける。
視界が滲んでそれはさらに形を朧気にしていた。
そんな中、それは私に何かを伝えようと
口を動かしている。
けれど、声が伝えられないのは
向こうも同じであった。]
[ …───諦めきれなかった。
折角会いに来てくれた。
そして何かを伝えようとしている。
口の動かす形に神経を集中させる。
それが意味するものは……。]
( "向こう" "山の奥深く" ……? )
[ もしかして、目指す場所は山の中に?
顔のある部分に目を向ける。
さらに姿は朧気になって、
今や人であるかすらも分からない。
けれど、それは頷きながら、
懸命に指で何かを指し示している。]
[ 徐々に視界は白から黒へと染まっていく。
朧げなそれは
小さな光の粒を空気中に漂わせ、
徐々に薄くなって消えていく。]
待っ………!
[ 消えゆくそれに手を伸ばす。
けれど、それに触れる事は出来ず。]
[ 意識が遠くなっていく。
そして────……。]
*
─五里霧中─
…────俺とした事が……!
[歯噛みをしつつ、霧の中をひた走る。
もはやその硫黄臭の、黄泉平坂の薫りの煙は
ある種の質量すら感じられる程に周囲を満たし。
俺と琴羽の間に彼我の差を生じさせるのだった]
[琴羽は無事かと、焦燥感ばかりが募る。
考えてもみれば、
この事態は予想し得たのだ。
恐山や殺生石に代表されるように
古来より硫黄の匂いは死界の匂いとされてきた。
それだけでなく、
この人里離れた秘境の山奥。
昼よりも夜が長くなるこの季節に執り行われる
人々が異形へと仮装する祭事────…
これだけの条件が整っているのだ。
当然、人の世とあの世の境は曖昧になり。
その上俺らはつい浮かれて、
"黄昏時"に"地下に生え出ずる"モノを口にしてしまった。
言わば自ら地獄の釜の蓋を開いた様なものであり]
[そんな中に、餌としても、巫女としても、
依代としても最上級の琴羽が一人放り出されれば]
俺はけして、
琴羽の手を離してはいけなかったというのに……!
[彼女の名を叫びながら、
ついにはなりふり構わず背の羽を広げ。
周囲の霧を振り払い地を蹴った。
けれども見渡せど見渡せど
視界のすべては一面の霧に覆われ。
────そんな中。
琴羽の叫び声が遠くに聞こえたのだった]
琴羽……ッ!
[一瞬とも、無限とも思える距離を駆け。
ようやく彼女の元へと降り立った。
ゆらり漂う硫黄の薫りの霧の中。
周囲には人も、化け物も、何者もの気配は無く。
琴羽はたった一人で佇んでいた。
さぞや怖い思いをさせただろうと、
その身を抱き寄せ、猫耳ごと頭を撫でようとすれば──*]
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