[その手を両の手で包んで、手首から指先まで唇でなぞる。時折柔く食んで、形を確かめるかのようなそれを、話しながら続ける。]
……『俺を危険から護って欲しい』って、
言えば、申し出は断られないと思った
その為だけに、危険を捏造するためだけに
この国に戻ってきたんだ
……莫迦だよねぇ……いろいろ、気づくの遅すぎて
巻き込んで、ごめん
[もしかしなくても、言ってる事とやってる事に相当の乖離があるだろう。正気を疑われるかもしれない。
いやもう頭はおかしいのかもしれなくて、終わらせようとして苦しいのに、触れているのは嬉しいなんて、気持ちが滅茶苦茶になってる。
笑いながら泣いて、自分も何がしたいのか混乱している。とにかく今、守るべきはこの目の前の大切な人の安全だ。]
このままここにいると、ダレンまで危ないから
もう、やめよ……って。俺と離れれば、
危害は加えられないはずだから。
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