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【人】 火澄 七瀬神童を気取るつもりはさらさらありませんが。 15歳の誕生日を待たずにして、 私は好きだった歌をやめました。 希望していた声楽に強い部活がある高校も 手に職をつけられる技術を学べる高校へと。 幸か不幸か、進路の変更は間に合いました。 だって、歌なんて歌っている場合ではありませんから。 半年前に起こった交通事故によって、 私達は両親を失ってしまいました。 (2) 2023/04/30(Sun) 14:30:22 |
【人】 火澄 七瀬残されたのは、中学三年生の娘二人。 ただでさえ扱いにくい時期なのに、それが二人分。 引き取り先は揉めに揉めて。 二人は多すぎる。せめて一人だったら …… ええと、双子の……名前、何だったっけ。 「 ────…… 」 (3) 2023/04/30(Sun) 14:32:37 |
(n0) 2023/04/30(Sun) 14:44:45 |
【人】 水面 禎光わかった ≠チて、何を理解ったというんだろう。 全寮制の高校へ進学すると語る彼女に、 代替案を用意してやれる程、大人ではなかったし 感情のまま引き留められる程、子供でもなかった。 ただひとつ理解っていたのは 僕ではどうする事も出来ない、という事だけだった。 (11) 2023/04/30(Sun) 23:31:29 |
【人】 水面 禎光どうせ、いつかは離ればなれ ──── 幼馴染というだけの僕はもちろん、 七瀬と瀬名だって、双子といえども ずっと一緒にいるわけじゃないだろう。 頭では理解っている、理解しているつもりだった。 見慣れた顔で、聞き慣れた声で ─── 言葉にされるまでは。 (12) 2023/04/30(Sun) 23:31:33 |
【人】 水面 禎光このまま、微笑を保っていて良いものか ─── なにも決められない、理解っていない僕は ちらり、と瀬名に視線を向ける。 散った 花びら を乗せた春の風がこんなにも冷たく感じたのは、きっと初めてだった。** (13) 2023/04/30(Sun) 23:31:37 |
【人】 火澄 七瀬ひらり。 目の前を横切っていく 花びら 視界に収めながら、淡い笑みを浮かべて。 身勝手な私の決断を問い詰めることもせず。 いつものように微笑んで受け入れてくれる幼馴染へ。 込めた感謝は …… 嘘では、ないのです。 (15) 2023/05/01(Mon) 16:18:44 |
【人】 火澄 七瀬ただ、貴方に対してはもっとふさわしい言葉が あったはずなのに。 耳当たりの良い感情で上塗りしてしまったようで ………… それが少し、後ろめたかった。 (16) 2023/05/01(Mon) 16:19:14 |
【人】 火澄 七瀬「 どこか行きたい所はありますか? 昔の思い出をなぞるのでも。 新しい思い出を作るのも。 二人と一緒なら、 私はどちらでも嬉しいのですが。 …… あまり長く歩く場所だと、 禎光が疲れてしまうかもしれませんね。 」 (17) 2023/05/01(Mon) 16:19:43 |
【人】 火澄 瀬名それは、半年前のこと。そして、今は …… 「 ………… …… 。 」 溢れてくる感情はひとつも言葉にならなくて。 喉元まで湧き上がってきては詰まって、 ただ、息を苦しくさせるだけでした。 (21) 2023/05/01(Mon) 22:58:24 |
【人】 火澄 瀬名あんなに歌ってばかりだった七瀬が 歌わなくなったこと、気が付いていました。 私たちの引き取りに親戚が揉めていることも、 嫌でも耳に入ってきていました。 だけど ………… だからって …………… (22) 2023/05/01(Mon) 22:58:38 |
【人】 火澄 瀬名七瀬の考えていることなんて、分かります。 だって私たちは双子なんですから。 それでも私だって、 代替案を用意してできる程、大人ではなかったし 感情のまま引き留められる程、子供でもないのです。 ちらり、と禎光を見上げると、視線がぶつかりました。 (24) 2023/05/01(Mon) 22:58:57 |
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