111 【身内村】あの日の、向こう側【R18】
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| ぱたん、と 本は、閉じられる。 (0) 2021/12/04(Sat) 0:00:00 |
| [ 絡んでいる最中に、見覚えのないキスマークを 恋人(で良いよね?ね?)に指摘されて 少しも焦らない人間はそんなにいないと思うけれど 俺?俺は───そうね、そんなことも以前はちょいちょい 肌に咲いた赤を指で示しても海斗は それがなんのことなのか、わからないようだった。 困った顔の俺と、困惑の色を瞳に纏わせる海斗。 スマホで確認しても、その表情は変わらなくて。 バレた!?みたいな焦りは見えなかったから 少しホッとする。 わからない、をそのまま受け止めて信用して、 安心して。 まぁ、お人好しの馬鹿なの、俺は。 ] (1) 2021/12/04(Sat) 7:46:25 |
| [ とは言え、覚えはないと言う言葉が 真実だとすれば、知らないうちに キスマークをつけられた、というとんでもない事実が ここにあるわけで。 ]
覚えてないって、お前の周りでは 気づかれないようにキスマークつける遊びでも 流行ってんの?
[ 眉尻を下げて、へらりと笑った。 手を伸ばして、海斗の髪をくしゃ、と撫でて 戯けた顔で言う。 ]
(2) 2021/12/04(Sat) 7:47:28 |
|
男か、女か。それが問題だ。 犯人、判明したら、家に連れてこいよ。
[ 本気とも冗談ともつかない口振りで。 ゆるやかに弧を描いた唇を海斗の唇に 軽く落として、風呂へ向かおうか。 ]
(3) 2021/12/04(Sat) 7:48:21 |
[ なんとなく湯を浴びる気分にはなれなくて、
シャワーで水を流していた。
火照った身体を冷たい水が伝い、熱を奪っていく。
閉じた瞼の裏に鮮やかに燈るのは、
赤
。
遊びじゃないとしたら
海斗のことを想っている人が
近くに居るということなのだろうか。 ]
─────…………
女なら、覚悟決めるけど、
男なら、譲らない、ということでいっかな。
[ 最終的な結論は、本日のところはそう纏まった。
水音に不埒な思考を混ぜ込んで、一人で笑った。 ]
[ 風呂で諸々の準備をしたせいで
(別に言わなくてもいいかもだけど
件の処置はさすがに湯をつかいました)
完全に冷えた身体をタオルでざっと拭拭いて。
単純だと苦笑いしてしまうけれど
すっかり頭も落ち着いていた。
綺麗に洗濯されたTシャツと黒のスエットを
手早く身につければ海斗の部屋へ向かう足取りは
調子の良いことに軽いものだった。 ]
[ 部屋の扉をノックすれば、招き入れてくれただろうか。
いつもと変わらない笑みを浮かべて、
と可愛く(自分比)言って手を伸ばしたら
海斗の頬に触れられたかな。
氷みたいに冷たくなっていた自覚はあるので
怒られてしまうかもしれないけれど。 ]*
| [ 恋人と、公には言えないけれど。 そういっても別に ―― 口には絶対出さないが、 それで、恋人の首に、自分がつけたわけでもない キースマークを見つけて、 怒るでも、悲しむでも、嫉妬するでもないのは、 以前の自分の行動を思って強く言えないのか、 それとも、こんな時も、弟に甘いのか。 もしくは、底抜けのお人好しの―― バカか、 それでも、兄貴に怒られたことなんて、 記憶にない俺は、そっち方が怖かったから、 俺の『分からない』を信じてくれたことに、 ほっとして、同時に じくり、と罪悪感に胸を痛めた。] (4) 2021/12/04(Sat) 12:10:00 |
| んな、キモいこと、 するような奴らじゃねーと思うけど、
[ 周囲で、いつも馬鹿みたいに、 げらげら笑っている友人たちを思う浮かべる。
大体、彼女がいるし、 いない奴は、女が、どうのとか言っている奴ら。
だけど、首筋の赤は、確かに存在している。
だから、否定を口にしながら、 眉を下げ、笑う顔から視線を逸らせば、 自信無さげに言葉尻を濁した。] (5) 2021/12/04(Sat) 12:10:03 |
| …… 分かったよ、
[ 本気なのか、冗談なのか。 それを汲み取れる程、俺の心境も余裕がない。
家に連れてこいという言葉には、 素直に頷き返して、微かに触れるだけの口づけに 眉を下げながら、受け入れれば] (6) 2021/12/04(Sat) 12:10:05 |
| [ ぽそり、と一言、謝罪を口にすれば、 風呂へ向かう背中を見送った。] (7) 2021/12/04(Sat) 12:10:11 |
[ 自室の戻って、ベッドの布団を捲れば、
一応、大きめのバスタオルを布団の上に敷いておく。
自分もベッドの上に座れば、
思考を巡らせていた。
いつ、つけられたのか。
一つ、思い出して、心当たりがあるなら、
部室であったこと。夢かと思っていたけれど。
あれが、誰かによるものなのかもしれない。
部員の誰か? だが、こんなことをするような人物
思い浮かばずに、首を傾げるだけだった。
あとは、一人だけ
妙に、前にキスマークのことを
割としつこく聞いてきた友人がいたことを、
思い出したけれど、思い当るとしたらそれくらい。
もう、考えても答えは出そうになくて。]
あーーー、
くそッ、
アイツだったら、絶対許さねー
[ 次会った時でも、それとなく聞くと決めて、
イライラと、頭を掻けば、ぼすっと音を立てて、
そのまま背中をベッドに預けた。
見慣れた天井を見上げて、深く溜息を吐く。]
[ 聞こえたノック音に、飛んでいた意識が覚醒する。
身体を起こして、とんとん、と軽い足音を立てて、
珍しく扉を開けて、出迎えたのは、
多分、さっきのことを気にしているせい。
開いた先で、いつも通りの笑顔が待っていれば、
思わず、吹き出すように笑って]
ははっ、って、……
ッ、!!
[ 頬に触れた指先の冷たさに、びくりと肩を震わせた。
まだ、熱い季節だから、空調が聞いている部屋でも
この冷たさは、心地よいもだけど、
いきなり触れられれば、さすがに驚く。]
んだよ、頭冷やさないといけないくらい
実は、怒ってんのかよ?
[ 頬に触れる手に、手を重ねて、
その手に頬を摺り寄せるように、首を傾いで、
笑う瞳を覗き込めば、俺も、いつもの笑みを浮かべて、
そのまま背に腕を回す。]
もう、こんなことさせねーから
[ 相手が、女だろうと、男だろうと、
俺は、この腕の中にいることを願う。
それが、俺の
幸せ
だから――
恥ずかしい、けど。
今は、それを忘れて、甘えるように抱きしめた。*]
[ ノックをすれば扉が中から開いた。
珍しいこともあるもんだ、と目を丸くしつつ、
やっぱり気にしているのだろうと緩やかに笑む。
ふざけた挨拶にも濁りのない笑顔が返ってきて、
伸ばした指先は避けられなかった。 ]
怒ってねぇって。
滝に打たれんのと似たようなもんだ。
[ 煩悩は捨てられてないけど、と付け足して笑う。
海斗の頬は熱を帯びて、あたたかい。
じんわりと氷を溶かすような温もりが
掌の皮膚を通じて心まで伝わる。
そこに、さらに手が重ねられ、今度は心臓が弾む。
すり、と擦り寄せられる頬が艶やかで、柔らかで。 ]
……あったかいな。
[ 思わず呟いた。 ]
[ 片方の手が背中に回れば、抱きしめられる。
素直に抱きしめられたなんて、
久しぶりな気がするけど、どうだったかな。 ]
─── ごめん。
[ 腕の中から聞こえた声に微かに頷いて、
こちらからも抱きしめ返した。
確かな幸せを噛み締めながら、
唇が紡いだのは、なんでか謝罪の言葉だった。 ]
[ 綺麗に整えられてご丁寧にタオルが敷かれた
ベッドまで数歩。
さっきのやり直しとばかりによいしょと
背中を抱える腕の力を増して抱き上げて、
今度は硬いシンクじゃない、
柔らかなベッドへそっと下ろそう。
タオルが擦れて、空気が揺れて、
海斗の匂いが濃く、鼻腔を満たす。
俺はベッドの下に膝立ちで。
見上げれば知らない誰かが咲かせた花が良く見える。
目を眇めてにやと笑いながら、
その赤のすぐ隣に唇を這わせた。
あからさまな挑戦状のお返事を、丁寧に、
そして拒まれないうちに素早く、ひとつ。
ぢゅ、と音を立てて、
より鮮やかな新しい
赤
を並べたくて。 ]
……ちなみにちょっと聞きたいんだけど、
もし俺がキスマークつけて帰ってきたら、
海斗どうする?
[ 今までにもしかしたらそんなことが
あったかもしれないけれど
お互いの気持ちが通じてからはもちろん無いから。
ちょっと意地悪なそんな質問を、
じいと見上げて目は晒さずに聞いてみよう。
悪戯な光で瞳をゆらゆら揺らめかせながら、
今日の気まぐれな彪の望む夜のことも
ちゃんと読み取れればいいなと思って。 ]**
あっそ、なら良いけどよ
[ 怒ってない、と聞けば
それを信じよう。
微睡むように頬を寄せて、
冷たい手のひらに、熱を奪われているのに、
逆に、鼓動は早く、身体は熱くなっていく。
零れた呟きに、口の端を緩く上げて]
それこそ、兄貴が謝ることじゃねーだろ
[ くすり、と吐息だけの笑みを漏らした。]
っ、お、ちょ……ったく、
[ 背中にかかる力で、持ち上げられる予感に、
慌てた声をあげながらも、しょーがねぇなと、
大人しく運ばれてやる。
あんまり、こう軽々と持ち運ばれるのは、
そこそこ癪に障るのだけど、惚れた弱み、
仏頂面をする程度で、我慢してやる。
降ろされた先は、先ほどまで寝転んでいたベッド。
床に膝をついた兄貴の瞳を覗き込んで、
絡む視線が楽しげに細められると、
首筋に唇が寄せられて、ぴり、と微かに痛みが走る。
所有印をつけられる音に、ぁ、と小さな声をあげて、
それでも、今はそれを拒むことはしない。]
あ"?
そんなん
一応、話くらいは聞いてやるけど
[ 不機嫌を隠さない声をあげて。
それでも、多少殊勝な態度で、そこまで言うが、
今までと違って、兄貴は正真正銘、俺のものだ。
想像するだけで、イラっとする。
兄貴というよりは、付けた相手に。]
合意の上か、どうかにもよる
[ 一言、そう冷静そうに落としてから、
ふっ、と口元を歪めれば、]
でも、兄貴が誰のものなのか、
きっちり、分からせる―― かもな?
[ 逸らされない視線を交じり合わせて、
瞳に狂暴な色で迫れば、そのまま唇に、
噛みつくようにキスをした。
噛
みついて、
痕
を残して、
刻
みつけて、
俺のものであることを、分からせてやる。]
ん、……っ、だから、
夏生がつけたいっていうなら、
今日は、特別に許してやっても――いいぜ?
[ あくまで、少し上から目線なのは、
こんなことをいうのが、恥ずかしいからで、
照れ隠しなのは、お見通しだろうけど。
にやり、と生意気な笑みを浮かべて、
捨てられなかった煩悩、あんだろ?と
挑発するように、誘うように、口の端を舐めて、]
[ きつく吸い上げた肌には、綺麗な花が咲いただろうか。
いつもは痕をつけるなと喧しく言う、
形の良い唇からは拒絶ではない、
微かな吐息が落ちてきて。 ]
そーか、一応弁明はさせてもらえるわけだな。
[ 単なる譬え話にあからさまな不機嫌で顔を覆う海斗に
ぶは、と吹き出した。
濁点がついた あ゛? が、愛しい。
ああ、もっと。
執着して、離れないで─── なんて。
]
一方的に襲われてレイプされた場合は、
温情があるかも、ってことね。
[ くすくすと笑っていれば、急に海斗の瞳が
ぎらりと輝いて、緩んでいた口元が一気に近づく。
すっかり辿々しさの消えた、激しく噛み付くような口づけ。
あえてこちらからは何もせず、嫉妬と執着の香りを纏う
口付けに酔う。
唇を噛み切られても構わない、
それすら俺の幸せな願いでしかないと、
伝われば良いなと思った。
つくづく俺は、救いようが無い。 ]
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