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【人】 大木慎之介[千葉の席の近くの空き椅子を拝借して腰を下ろし、 軽い挨拶を交わした後に報告を聞いて>>436] なるほどな……。 頑張ってたんだな……千葉も。 自分に向き合ってまでクリアするって、 結構大変だったんじゃないか? [わざわざ自分と向き合うことなど、 日常生活ではなかなかない機会である。 ましてあの3日間、誰がどんな願いを抱えているかも 読みきれないような期間といえば、 やっておきたいことも相応のものなのは想像に難くなかった。 そう思えば千葉と大木のやったことには近いものがあり、 大木が返した言葉には実感がこもっていた] (447) 2022/10/23(Sun) 20:00:58 |
【人】 大木慎之介[それから、少しの間の後に] なんか……振り返ってみると夢みたいだよな。 現実味が薄いっつーか。 現実だったんだけど、不思議な日々だった……。 [旧校舎探検をきっかけに降って湧いた非日常を思い、 それが開けてから日常が大きく崩れてもいないことを思って、 ぼんやりと言葉を呟いた後に長く息を吐いた]* (449) 2022/10/23(Sun) 20:02:07 |
【人】 未國 聖奈── 三日後・病室にて。大木と ── 「 えーありがとー 大木が!花!気が利く! 」 ばかにしてるわけではない。 決してばかにしているわけではない(二度言いました)。 ちなみにあたしも花言葉なんて知るわけがない。 そんなやり取りまで、以前までのあたしたちのまま あたしの指はスターチスを撫でる。 (450) 2022/10/23(Sun) 20:15:41 |
【人】 未國 聖奈「 ……そ。憶えてないの。 高熱が続いた後遺症だって、お医者さんは言うの 短期間の記憶が飛んじゃうようなこと、 高熱のあとは、ないわけではないんだって。 」 あたしの表情はそこまで深刻には映らないだろう 何せ文化祭のあとのたった三日間の記憶だけだ。 ………少しぐらい、記憶がなくても、支障はない。 ただ、そのあと少しだけあたしは顔を曇らせた。 (451) 2022/10/23(Sun) 20:15:57 |
【人】 未國 聖奈「 あたし、知ってるよ 文化祭の後、旧校舎に行ったでしょ そこに、大木も居たんでしょ 文化祭の前までは、記憶があるから 誘われたこと、憶えてるし、 あたしのスマホには、 グループのメッセージがちゃんと残ってる 」 (452) 2022/10/23(Sun) 20:16:12 |
【人】 未國 聖奈「 何かを、願ったのかもしれない 何も、願わなかったのかもしれない ……記憶がなくなったのは 何かの代償なのかもしれない。 でも、今となっては、 ……… 、 ……、 わからなくても、いいのかな なんとなく、そんな気もするの。 」 手元に握られたままのスターチスの花束に あたしは視線を落として言うんだ。 言葉に滲むのは、諦観だろうか、悲しみだろうか それとも ──────────── 、 (453) 2022/10/23(Sun) 20:16:41 |
【人】 鈴掛 未早―― interlude. [ 私の家は――裕福な方ではあったと思う。 というか実は今でも厳しいほどではないのだけど。 稼ぎ頭の父と自由だけど育ちの良さは窺える母。 一軒家だし、知り合い価格の学生バイトとはいえ 専属で習い事をさせられるくらいなのだから、まあ。 そんな両親に拾われた「先生」は 面倒見が良い人好きのする好青年で、 私にとっては兄のような、近所のお兄さんのような 家族並みに近しい、けれど憧れの存在だった。 今なら彼も、プロの演奏者にはなれなかった ]「夢を見られなかった人」だったのだとわかるけど、 たぶん教える方の才覚は相当にあったと思う。 音楽教師になればすごい慕われたんじゃないだろうか、 って、そうはならなかったことも私は知っているけど。 (455) 2022/10/23(Sun) 20:19:04 |
【人】 鈴掛 未早[ 小さい頃から、 だいたい何だって「それなり」には出来る子供だった。 テストの点数が低くて怒られたことはないし、 かけっこでビリになるとか、跳び箱飛べないとか そんなレベルの醜態を晒したこともない。 人前に出ることは苦手だったけど、 そういう機会ってある程度避けられるものだし 小学校に上がる前からコンクールには出させられてたから 苦手なりに慣れはあったのかもしれない。 手のかからない子だったと自分でも思う。 そんな調子だとどうなるかって、きっとよくある話で。 たぶん、「ある程度できるのが当たり前」で 「この子は多少放っておいても大丈夫だ」と思われた。 父は元々仕事で各地を飛び回っていたし、 母は多趣味で、家事も趣味も両立できる強い人。 ちょっと夏実に似てるかも。なんて。 だから私にとって、先生は親より近いひと で 誰よりも大好きなひと だった ] (456) 2022/10/23(Sun) 20:20:05 |
【人】 鈴掛 未早[ ピアノを見てもらう時、コンクールの後、 手を止めて関係ない雑談をしている時でさえ 向けられた優しい声を、言葉たちを、 今でも昨日のことのように思い出せる。 未早ちゃん 、と呼ぶ声を … まなざしを。私よりずっと先を生きている人。 あまり現実的な年の差じゃないって、 私だって年々理解はしていったけど。 それでも、私が続ける限り 先生は先生でいてくれると思っていた。 才能がなくても、打ちひしがれても、 それでも辞めたくはなかった理由。 もちろん音楽は好き。それもあるし、 ピアノはあのひとと繋がっていられる唯一の手段だった。 ] (458) 2022/10/23(Sun) 20:21:18 |
【人】 鈴掛 未早[ 報告を聞いたのは中学生の時で けれど優しい人だったから、 辞める気はないって言ってくれて (その頃には先生も就職して普通の会社員になって、 休みの日の隔週一度だったからというのはあると思う) だから私も、辞めなかった。 褒められた行いじゃない? でもそこは、私の勝手でしょ 音楽も、あのひとも、 好きでいることをやめたくなかった。 許される限りは続けるつもりだった。 それ以上何もする気なんてないから、許してよ …… 許してよ。 (460) 2022/10/23(Sun) 20:22:21 |
【人】 鈴掛 未早[ ―― 三年前。 中学三年の夏、父が倒れた。 幸いにして一命は取り留めたし今でもぴんぴんしてる、 けど、長期的な治療が必要で、 当面は今までのように働けなくなって、 鈴掛家は生活を見直さなければいけなくなった。 本当は。 今までより切り詰めた暮らしをすれば 知り合い価格の月謝なんて払えたはずなのだ。 最悪私がバイトを始めて、自力で払えばよかった。 両親ともに実家はわりと太い方、だと思う。 けれど、母に言われた時>>0:365 ああ、親ですらその程度だと思ってたんだって もしかしたら裏で、 辞めさせるよう頼まれてるのかもしれないって ―― もう、心が、折れてしまって ] (461) 2022/10/23(Sun) 20:24:03 |
【人】 軽音部 千葉郁也──ある日の放課後・大木さんと── [何だか久しぶりと 同じ感想を持ったらしい大木さんの挨拶に、 それだけあの3日間がいろいろ考えすぎて 濃かったのかと感じる。>>446 それは大木さんも変わらないのだろうと思えば、 少し安心する思いだった。] そう、ですね。 あんなに自分のことも人のことも 考えたのは初めてかもしれないです。 [“千葉も“と言った大木さん同じように 頑張っていたということなのだろう。>>447 おそらく大木さんのことだ、 俺より多くの誰かを気にかけて過ごしたに違いない。 俺にはこの人ほどの気遣い力はないと思うので、 烏滸がましいとは思いながらも親近感を覚えた。] (464) 2022/10/23(Sun) 20:39:35 |
【人】 軽音部 千葉郁也……現実味は確かに。 幽霊とか、願いごととか。 そんなん絶対ないって思ってたんですけど。 それに……、 皆抱えてる悩みなんて大して変わんねぇかなって ずっと思ってたけど、 聞かなきゃわかんないこともたくさんあるなって。 ただ、俺はあの3日間があってよかった、とは思ってます。 [俺の少ない接触範囲ですら“消える“つもりだったのが2人、 消えたりはしないだろうけど複雑な願いを抱えていたのが1人。 消えはしなくても、現実を大きく変えた者もいるのだろう。 大木さんの言うように、 夢から覚めたばかりのような感覚がどうしてもあった。>>449]* (466) 2022/10/23(Sun) 20:39:45 |
【人】 大木慎之介[深刻さのない表情で他人事のように語られる内容は、 真実味はあった。>>451 曇った表情で言われたことも、>>452 視線を落として続いた言葉も、>>453 なにも言えずに黙って聞くしかなかった。 意図的に明るくあろうとしたかのような言い方を>>454 聞くと、思わず深くため息を漏らし] ……未國は願い事、最初は無いって言ってたな。 けど、3日目には願い事しに行くって言ってた。 その内容を、オレは知らない。聞かなかった。 [憶えていたくないような出来事が 何かあったのかもしれない。 思い返せばそう思わせるような変化が、未國にはあった。 だから、未國の行動の概要だけが掴めそうなことを伝えた。 3日間に何をしたかもわからないのでは不安かと思ったのだ] (468) 2022/10/23(Sun) 20:41:55 |
【人】 大木慎之介[その後、何か、言おうと思ったけれど。 どうしても大木には言葉に出せなかった。 未國に記憶が無いことを、寂しく思うと。 そうしたら未國との間にあったことを 話さなければいけなくなる気がして。 もし、憶えていたくないことがあったなら、 それを思い出すきっかけになってしまいやしないかと。 それは怖かった。 自分の都合で、友達を深く傷つけるかもしれない可能性は]* (469) 2022/10/23(Sun) 20:42:06 |
【人】 未國 聖奈── 三日後病室・大木と ── 「 ……そっか。 願い事、しにいったんだね 」 どんなに大木の言葉に耳を傾けても あたしが何を願ったのか聞くことはない 大木が、言葉を選ぶのがわかるから あたしも、ひとつひとつ、言葉を選んでいく ………、 丁寧に、あたしは適切な言葉を探す。 あたしだって 記憶を失っていることに あまりこれ以上触れたくなかったから 探して、探して、そうして「ああ」と 言葉を見つけて、小さく呟いて。 (470) 2022/10/23(Sun) 21:03:14 |
【人】 未國 聖奈「 ……あたしは、何か大木の役に立てた? 」 空白の三日間。 あたしは、誰かの役に立てていたのだろうか。 せめて見舞いに来てくれた大木くらいには *何か役に立てていたらいいな、…なんて。 …………、 ………あたしはね、思うよ。 (471) 2022/10/23(Sun) 21:03:43 |
【人】 大木慎之介─ ある日の放課後・千葉と ─ そうだなぁ、オレもだ。 ずっと幸せに生きてきたから。 [『自分のことも人のことも考えたのは初めて』>>464 千葉の言葉に同意するように深く頷く。 深刻な悩みが無いことは幸福の裏返しなのだと 思う気持ちは、大木の結論だった。 同じように共感を返してもらえると、>>465 同じように安堵を感じて、表情に表す] 似たようなこと考えてる奴がいると安心するなぁ。 『俺が俺のまま』……か。 [言われた言葉をそのまま繰り返す。 心に深く響くものがあって。 千葉には自分に変えたい部分があったのだろうか、と 頭を過った考えはあったが、その点を深く問うことはせず] (472) 2022/10/23(Sun) 21:06:14 |
【人】 大木慎之介[『そうできない願い』>>465 ──自力では叶えられないような、 幽霊に頼むしかないような願い。 それを叶えるチャンスだったのだろうと思えば、 友達に聞いた『欲』という言葉が 自然と思い浮かぶ。>>3:286 それから、そう簡単には叶えられない 他者の消滅を願う思いも。>>1:229 どちらも大木にとっては縁遠いもので、 現実味のなさに同意する千葉の言葉を聞いて>>466] ……あるもんだよなぁ、 友達だと思ってた奴の“知らない顔”。 オレも友達のこと全然知らなかった気がしちまって、 不安になったり怖くなったりしたな……。 [同意するように表す言葉は、 珍しく気弱そうに響くかもしれない。 そのせいで疎外感のような、孤独感のような 言い表しづらい感覚を覚えたことを、 大木が忘れることは無いだろう] (473) 2022/10/23(Sun) 21:06:39 |
【人】 大木慎之介[『あの3日間があってよかった』>>466 千葉の結論は、大木が抱いたものと同じだった>>3:569] オレも、有意義だったと思うんだよな。 結構辛い思いしたりはしたけど、 あの日々が経験できてよかったと思う。 だから……、 [一度言葉を切って、 あれからまだ会っていない人たちのことを思い浮かべて] ……みんなにとって、そうだったらいいと思う。 そうなってほしいと思って送ったんだ、 「後悔すんなよ」って。 [ぽつりと、いつぞやのメッセージの 裏にあった思いを呟いた。>>3:=20 同じような祈りを抱いていた人がいると、>>3:92 このとき知らなかったかもしれない]** (474) 2022/10/23(Sun) 21:07:10 |
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