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【人】 雅楽 雅 [一人でなら、態々、人混みの会場に行く気なんて 起きない。 家族連れとかカップルとか多いだろうし……。 って、あーあーあー、ここでも私、 人の目を気にして… 馬鹿みたい!馬鹿みたい!!馬鹿みたい!!! せっかく、兄妹水入らずで過ごせるようにって 思ったのにさ。 そんなこと言うなら、] (503) 2020/08/04(Tue) 20:21:20 |
【人】 雅楽 雅………………行く。 [意地になったように不貞腐れて伝えた後、 ぷいっと顔を背け、] ユエさんだって行きたいんでしょ、私と。 誘うってことはさ。 [私が気になってるのじゃないの?なんて、 彼とその想い人の経緯を知らないまま、 勢いに任せて言って、ふーっと息を吐いた。] (504) 2020/08/04(Tue) 20:21:22 |
【人】 雅楽 雅───行く。 [もう一度告げる。 そうして、遥か銀河より近く、陽の光を纏って輝く月を 見上げながら、最初とは違う、柔らかさを響かせれば、] ありがとう。 [お節介で意地悪な他人を振り返り、 ふわりと微笑みかけたのだった。*] (505) 2020/08/04(Tue) 20:21:25 |
【人】 雅楽 雅 ― 後日:喫茶店 ― …写真って凄い。 [献本された自分の写真集の頁を捲りながら、 感嘆の息を漏らす。 カフェオレのグラスには水滴。 氷が溶けて、カランと音を立てた。] このさ、 『夏。この場所で、貴方に出会った。』 っていうの。 私、貴方のこと覚えてないし。 いい思い出も……特にないんだけどな。 [キャッチコピーっていうのだっけ? それに触れながら、私は思う。 心の中で消せなかった蝋燭の火。 あの場所で過去と別れた。 “今”と“これから”だけを見るために。] (550) 2020/08/05(Wed) 14:29:09 |
【人】 雅楽 雅──────… [頁を捲る手が止まる。 これはいつ取られたのだろうか。 森の中、初めて写真を撮られた時と同じように 空を見上げる私。 けれど、引き寄せられたその表情は、] ……酷い顔。 [悲しそうで寂しそうで。 泣いているみたいで。 心の奥、今までは誰も気づかなかった。 今までは誰も見ようともしなくて。 誰も、気付かない。 気付く筈がない瞬間が切り取られていた。] (551) 2020/08/05(Wed) 14:29:12 |
【人】 雅楽 雅ん?うん、定期健診は午後から。 [三か月置きの画像検査。 再発の有無を診るそれは、 けれど再発が見つかったからといって どうにかなるわけではなく。 一度芽吹いてしまえば、 手の施しようがないと言われている。] コミュのパンフさ、病院でも置いて 貰おうかなと思っていくつか持って来たんだ。 [紙袋の中の冊子を示す。 それは、私と同じように、頼る人のいない、 身寄りのない人同士が助け合うために作った コミュティで、ブランドの後押しもあり 会員数も伸びていた。] (552) 2020/08/05(Wed) 14:29:14 |
【人】 雅楽 雅こういうサポート事業、意外になくて、 当時私は凄く辛かったから。 高齢者向けのものはあるのだけれどさ。 [命を刻む秒針の音は普段は聞き逃していても、 本当に不意に、何でもないときに思い出すもので。 当然、定期健診の時などは否が応でも 現実を実感させられるのだけど。] …大丈夫。 ひとりで行けるから。 [いつ終わるとも知れない未来なら、何も持たずに。 そう考えていたことを、目の前のこのひとは 気付いていたのかもしれない。] その代わり、前に行ってた歌の話はなし。 [そう言って、席を立って店を出る。 慌てて付いてくる気配に思わず笑って、 空を見上げれば、 雲一つない蒼が広がっていた。] (553) 2020/08/05(Wed) 14:29:17 |
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