104 【R18G】異能遣い達の体育祭前!【身内】
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授業をサボって、校舎裏へ。
懐を探って、異能抑制剤を取り出そうとしたところで
御旗に渡したっきりだった事を思い出す。
そして次に、朝日への伝言を頼まれている事を。
仮に抑制剤があっても、今飲む訳にはいかないのだと。
そもそも、必要も無いのに飲もうとしてるのがおかしい。
そう判断するだけの頭はあった。
代わりに探り当てたメビウスを咥え、一服する。
校内だというのに堂々と吸ってるのは、仮に見つかった所で
異能を使えばどうにでも出来るからだ。
ヘビースモーカーではないが、偶に『増えすぎた』時なんかに
こうして吸って、気分を落ち着ける事はあった。
今は別に、増えすぎてる訳でも何でもないが。
ただ、自分にとってはドギツイホラーに遭遇しただけ。
正直ちょっと吐いた。
「…………寒みぃですね」
煙の行方を視線で追いながら、鏡沼は異能によって入ってくる
情報を、無心で捌いていた。
/* 表で堂々と喫煙ロールすんのもな〜
けど、秘話でしても特定の人にしか見えないしな〜
どうすっかな〜って思ってたけど
そう、鏡沼には
木霊窓があった
ね
ここは今日から、鏡沼創の喫煙所です
そんな頻繁に吸う展開になるかわからんけど
その薬を飲んだのは、軽い気持ちからだったと思う。
異能が強くなる薬、の噂。
バカみたいに騒いでるクラスの連中を横目に見ながら、溜め息を吐く。
異能抑制剤だのなんだのっていう効いてんのかたどうかも分からない薬を服用して、それでもしょっちゅう『事故る』自分にとって、異能が強くなるなんてデメリットでしかない。
そもそも強くなるってなんだよ。
誰かに見間違えられるこの異能が強くなったらどうなるってんだ。
結局どうにもならないだろ、これ。
影響範囲が広がるとか? なお悪いわ。
……みたいなことを。
どうもぼくは口に出してしまっていたらしく。聞き付けたやつがいたらしく。
帰り際。
机の中身を鞄にしまおうとした時、ソレは出てきた。
▼
クラスの連中はぼくの異能を知ってる。
隠しようがないんだから仕方がない。
ウザがってるやつも、下に見てるやつもいるのを知ってる。
それでもぼくがいじめの対象にならない理由はただひとつ。
この異能は、不意討ちにだけは向いているからだ。
相手が自分を誰かと見間違えていれば隙は突き放題。
もちろんその後のことを考えれば下手なことはできないけど、『その後を考えなければ容易く殺せる』ことを匂わせるだけでもそれなりの抑止力にはなるらしい。
けどそれだけだ。
相手が術中にハマるかはランダム。
誰と見間違えるかもランダム。
良いことはおろか悪いことにも使えやしない。
そんな悪戯以下の異能を嘲ってのことか。何か目論んでのことか。純粋に好意からか。理由は分からないが……
ともかく薬は手に入り。
そしてぼくは、それを、飲んだ。
▼
翌日。つまり、今日。
何がどう変化したかはすぐに理解した。
そして大後悔した。
くそ。最悪だ。
見間違えは起こる。
相変わらずコントロールできない。誰もが見間違える訳じゃないけど、10人に1人くらいは見間違え……てるんじゃないだろうか。
見間違えた人間が必ず声をかけてくる訳じゃないから、感覚値でしかないけど。
問題はその後。
何かの条件が合致すると、ぼくは瞬間移動してしまう。
何度か繰り返した後にようやく、移動先が『見間違えられた人間が元居た場所』だと解った。
つまり……
ぼくを誰かに見間違えた人間が『そいつ』に声をかけようとした瞬間、ぼくはそいつと位置を入れ替わってしまうらしい。
▼
更に悪いことがひとつ。
なんかぼくの周囲でも騒ぎが起こる。
というか、見間違えられてる。そしてやっぱり転移する。
なるほど? つまりこうか?
●ターゲット
自分→自分およびその周囲
●見間違えられ先
自分の周囲→自分の周囲(広)
●付帯効果
なし→対象と見間違えられ先を入れ換える
そうじゃないんだよ。
強化ってそうじゃないんだよ。
もっとあるだろこう。対象を指定できるようになるとかさあ。
なんで肝心なところがランダムなんだよ。
▼
何にしてもヤバい。
普段の異能だって傍迷惑だけど、これは輪をかけてヤバい。下手したら着替え中やトイレ中の相手を転送する可能性がある。
ていうか知ってますかテレポートって基本強スキルなんですよこんなホイホイできてたまるかってやつなんですよ。
え? なに? ぼく鍛えれば自力テレポできるようになったりする?
って若干夢見たけど三回転送された辺りでその夢は焼却炉に放り込んだ。だって感覚とか手応えとか全然無い。こうすればこうなる、がちっとも分からない。
唯一安心できる要素と言えば、人と人の位置を入れ換える都合上、危険な場所に転送はされないこと。急に天高く飛び出したり、かべのなかにいる!になったりはしないようだ。
まあそれだけなんですけどね。悲鳴が聞こえる感じから察するに、対象範囲、遮蔽物無視するっぽいしね。最悪。
壁向こう天井向こう床向こうの悲劇まで責任持てない。誰とも知らぬ見間違えられ被害者兼強制テレポ被害者よ、ごめん。
全部ぼくにろくでもない薬を盛った奴が悪いんだ。(責任転嫁)
▼
よくよく考えると学校外にも出られない。
車を運転中の人間と入れ替わりでもしたら本気で人身事故に繋がりかねない。
ていうかぼく自身がそこに転移したら死ぬ。
というわけで……
現在地、屋上。
これならたぶん見間違えられ被害者が出る範囲も、階下の一部だけに留まるだろう。完全には押さえきれないだろうけど。
それにこれぼく完全に全時間サボりになるんだけど。
ほんと最悪。
あと寒い。クソ寒い。
誰か精神抵抗だか転移抵抗だかわかんないけどアンチスキル持ちいないかな。そしたら学内ウーバー頼むのに……
あっ……
ぼくそもそもスマホに連絡先……無…………。
▼
【要約】
・学内移動中に誰かを誰かと見間違えたりするかも。
見間違えフリー。
・見間違えた側がその相手と「会いたい」と思っていた時、
見間違えられた人間と見間違え対象の位置が入れ替わる
……かもしれません。
気になってる人を見間違えて引き寄せてみよう!!
・逆に「会いたくない」と思っていた場合は、
見間違いが即解けます。
・確率はランダムです。物凄く高いわけではありませんが、
話題がそれなりの速さで拡散する程度には発動します。
・神谷を意識不明にするか再起不能にするか異能機能不全に
するかで止まります。
・ほっといても2日経過すれば(つまり明日)異能は元に
戻ります。解毒的な何かでもいけるかも。
・以上のことを、異能や純粋な推理などで知り得ても
問題ありません。
| 今日は、談話室は静かだ。 少し早すぎるような雪景色に、そうじゃなければ人の心に寄り添って。 体育祭ばかりでいられなくなった学内の関心を表すように、なんだか人も掃けてしまっていた。
勝手に運び込まれたソファはちょっと古びていて、けれども寛ぐには十分だ。 誰もいないのをいいことに、何度か座面で腰を跳ねてみた。少しくたびれている。 (100) 2021/11/01(Mon) 18:20:31 |
鏡沼
自分でも驚くほど大きな声が出た。
今日何度目かの転移。
だが自分が望まれる側になるなんて思ってはおらず。
代わりに屋上に放り出されたのが誰かもわからないまま、目の前の人物を見て目をぱちぱち。
「ぼく、です、けど????
なん………………、ぼく…………??」
そのままじっとしてみるが転移の兆候は見えない。
彼が誰かと見間違えているならとっくにこの場から消えているだろうし。となると……??
「……あな………………、だれ…………。
ぼくは、…………はい……、神谷で、す…………」
鏡沼
「…………。かがみ………………せんぱい……。
なんで…………? 探……、ぼくを…………?
ちが、……ぼくは、…………なにも」
じりじりと後ろに下がる。
探される心当たりがひとつしかなくて、その心当たりはとても後ろ暗い。必然、対応はこうなる。
と言っても後ろがすぐ壁なので、逃げ場はないのだけど。
世良
談話室を訪れる。人がいないわけではないが、そう多くはない。
人が少ないならラクで良い。それだけ気兼ねなく過ごせる確率が増える。
「……それ、面白いんですか。世良先輩」
こっそりと覗き込んでから入ってくる。
| >>+23 談話室 竹村 「おぉおうゎ」 跳ねた体は危うく後ろにひっくり返るところだった。 幸いソファの重量がしっかりとしているので、怪我をする心配もない。 人に、それも後輩に見られた気恥ずかしさを、唇を尖らせてごまかして、 ついでに買ってきていたフルーツ大福をがさがさビニール袋から取り出した。 「……なんか童心に帰る機会ってのもないなって……」 苦しくもそれ以上でもない言い訳をぽそぽそこぼす。 人のはけた談話室はそれでも封をし直したお菓子があったり、人の気配を残していた。 (119) 2021/11/01(Mon) 20:02:39 |
世良
「そういうものですか」
ひっくり返りそうになり、目に見えて動揺した彼をぼんやりと見下ろす。そういうときもあるのだろうと片付ける。
人の残り香がある談話室を一度ぐるっと見渡す。みんな外に出て雪遊びでもしているのかもしれないと一人納得してから、近くの椅子に座る。
「童心に返りたいときもあるんですね。かわいいじゃないですか」
| >>+24 談話室 竹村 「くそ、マジで油断してた……もうちょっと頼れる先輩のイメージでいたかった」 大してフカフカというわけでもなんでもないソファは、 それでも食堂の少し固いイスとも教室の木椅子とも違う。 寮暮らしだとフカフカで寛げる場所というのは案外限られてくるのだ。 しっかり地についた膝に肘を立てて頬杖をつき、不服そうな顔を向こうにそむけた。 「竹村、体育祭なんか出るんだっけ。水泳部? この様子だとけっこう大変だよな、何やるにしても」 (121) 2021/11/01(Mon) 20:36:32 |
/* 〜鏡沼の、今日の一日の流れ〜
本体が誰にも認識されずに登校してくる
(副会長の傍や某所にイマジナリー鏡沼が居る)
→グラウンドで朝日くん騒動
→校庭に残って、やり取りの後で流し場
(イマジナリー鏡沼が保健室で
朝日くんへの来客 → 朝日くん の順で会話)
→授業サボって校舎裏で喫煙
(特にロールはしてないけど、教室にイマジナリー鏡沼)
→屋上へ行こうとして、神谷くんと遭遇 ←今ココ
雪遊びに生やすか迷ってる。
イマジナリー鏡沼だと雪触れねぇし、本体出すにも忙しすぎ
鏡沼
「こ、じん、てき、きょうみ…………???」
更にヒいた。
いや引ける場所は空間的にはないのだけど。
あと自慢じゃないが神谷は運動が苦手だ。『見間違われ』方次第では逃げの目もないではないが──
学校から出たら被害が拡大するかもしれない、と考えるとそれも選べない。
「…………っ、すきに、……して、……ください」
本人的には「聞きたいことがあるなら好きにどうぞ」的な発言だが、とにかく喋りがクソ下手。
世良
「愛らしい 頼れる先輩 世良健人(竹村渾身の俳句)」
いっそこれで売り出しましょうよ、と雑なキャッチコピーを提示する。
同じ寮住まいだが、女子のそれはもう少し優遇されている。
ここにあるのは少しランクは下がるが、まあマシ、という程度。
視線を、そっぽを向ける先輩に向ける。
「メインは水泳……ですかね。あとは適当に……今年も異能戦闘ありますよね、あれに出るくらいかな。
世良先輩は? 三年だし、好きなように出られそうですけど」
「…………」
雪を興味津々に見ている猫みたいだなぁと思いながら笹原を見ている。
暖をとれないことはないが、解決とはほど遠い手段しかとれないから口をつぐんだ。
/* 保健体育に足突っ込んで、授業サボって煙草吸って
後輩脅して壁ドンしてる……。
お前の様な風紀委員が居るか(真顔)
「寒いからって、ねぇ。
恥じらいと躊躇いは常設しておきなよ」
仕方ないと言いたげに抱き寄せた。
これは、神谷に声を掛ける、少しだけ前の話。
廊下に置かれたキャンバスに気付き、鏡沼は足を止めた。
何が描かれているのかは、すぐに気付いた。
今朝の光景だ。
朝日が居る。楢崎が居る。シオンが居る。御旗が居る。
「────なら、これが僕…なんですかねぇ?」
この絵も、描いた人が描いた様に認識出来ているかは怪しい。
けれど、此処に描かれてるのは鏡沼創ではないかも知れないと
いう可能性がある以上、鏡や写真よりは見たままを信じられる。
その証拠に、眼鏡を外して見ても、絵は消えなかった。
暫く見つめた後、眼鏡を掛け直し、その場を後にした。
「だから運動するのが良いんだろうけどさ。寒くなっても運動しろって言うのはそういうことなんだし。
勘違いされてコクられたらめんどくない?」
筋トレなり室内トレーニングなりすればいいのに。竹村茜は部活で回せるから体作りは容易いものの、相手はそうでもないだろうし。
「それはまあえらい」
なんだかんだで運動を面倒くさがるよりずっと良いし、女子の鏡だ。
「まあ、うん。相手によるけどさ。断る場合は労力がダルいし。
私も寒いのが特別得意って訳でもないけど。冷たいのになれてるからいいやってくらいで」
よしよしと撫でてやる。
「義務でもなきゃ私はやらないだろうからやっぱりそこは尊敬するかも。
…………さわる」
抱きついているから触れる境界もだいぶゆるい。両手で二の腕を揉むように確かめた。
「絵莉は人当たりが良いから経験豊富そうだよね。
暑苦しいのはやだけどね」
お返しに冷たい手で頬をむにむにしてやる。
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