124 【身内P村】二十四節気の灯守り【R15RP村】
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| [わたしも分かってます、分かってますとも。 >>93小満さまがそういう人であるということは。 それでも蚕さんは――次の会合の折も色々言わずにはいられなくって胃(や喉)を痛めるでしょうし、 わたしはまた慰める役に回るのでしょう。 むしろそうならなかったら、すわ天変地異の前触れかと思うかもしれない。 そうこうしているうちに紅さんといえばちゃっかりと、 お休みするにはいい場所を確保しておりました。ナイスです] ……わかりました! 適当に食べ物持ってきたらあとはのんびりします! [これでおーけーでしょう。 なにせしょんぼりしていた最初の時とも、 がちがちに緊張していたその次の時とも違うのだ、今のわたしは] (110) 2022/01/19(Wed) 22:04:16 |
| [そんなわけで、かぐわしい香りの漂う中をずんずん進むわたしです。 途中で麦茶drinkをとって一息ついた後、 蚕さんと紅さんに持ってくものとしてふな寿司foodに目をつけました。
しげしげと眺めている途中で、ちょっとだけ鼻がむずむずした。 誰かわたしの噂でもしてます? お食事に向かってくしゃみするわけにはいかないので、 ぱっと口に手を当ててほどほどにおさえたのだけど] (112) 2022/01/19(Wed) 22:16:46 |
| [灯守りや彼ら彼女らを取り巻く方々は人の姿とは限らない。 雪兎の形をしていたり(冬至さまがそう)、 ぬいぐるみだったり(そういえば今回はいないような)、 立秋さまがお連れしている橙色の丸っこいいきものだったり。
彼(あるいは彼女?)たちといえば、 会合で出会うたびにつんつんしようと試みてはいる。 そっちはどうにか成し遂げられてたとしても、 言語を解したコミュニケーションについてはまだ成し遂げてはいない。 翻訳に特化した魔道具があればいいのだろうか。 あるいは立秋さまに通訳を頼めば……?] (113) 2022/01/19(Wed) 22:32:53 |
| [……ともあれ、ふな寿司なるメニューはわたしの目から見ていい感じだったので、 蚕さんと紅さんのところへ持っていきました。 わたしの分もちゃっかり取っていくのは忘れずに。 そうしてのんびりと、 普通のお寿司とも違う感じのお寿司の味を楽しんでいたのだけど、] シャオディエさんだ! やっぱり来てたんですね〜、 啓蟄さまともどもお元気そうで何よりです。 [お寿司の一切れをもぐもぐしつつ、おもむろに声をかけるわたしである。 >>118彼女――啓蟄さまの蛍のひとりである“菜虫化蝶”のことは知っている。 『慈雨』でお顔を見かけたこともある。 ……彼女が来店すると、お店の中が華やかになった気がして、 ついつい声をかけてしまう。 彼女の呼び方については、小満さまのそれをそっくり真似ている。 慣れ親しんでいない響きも、案外すんなり口に馴染んだものだ] (121) 2022/01/19(Wed) 23:29:00 |
| [……そうこうしていると、 おっと、あそこに見えますのはにこやかな小満さまではないですか。 >>120であればわたしは壁そのものにでもなってる方がいいでしょう。 なにせ、シャオディエさんが控えめに手を振っていた先 >>117がどこか、 見逃してはいないわけでして。 きっと小満さまのことを応援してらっしゃるのですね! ……などと思えば、口出しするのも野暮というものでしょう。 と思うのは、かつて慈雨にてひょんなことから、 小満さまのいいところなどについてさんざん話し合った経験から思うことですが**] (122) 2022/01/19(Wed) 23:41:37 |
| (a22) 2022/01/19(Wed) 23:47:36 |
わたしのせかいは暗闇と雪の世界です。
静かにねむる、淡いひかりのやみのなか。
永らくお役目についている灯守り様なら
ご存じでしょうか?
前任の大寒も、わたしのように暗闇のような髪をもつ
そんな方でした。
閉ざされた雪の世界で、『大寒』は、
一つの家系により受け継がれてきました。
大寒域の者の髪は雪のような白です。
けれどわたしの家――御明家には、稀に
暗い闇色のような髪の者が産まれてきます。
それが、次期大寒を受け継ぐあかし。
わたしは産まれながらに、大寒となるさだめでした。
先代様の弟子となり、
わたしは、――大寒域のためになろうと
先代様に沢山のことを教わって、立派な―――
―― 先代様は、本当に永き日々の大寒域を
見守ってくださいました。
永くて、とても長くて。
身体を苦しめる魂の在り方も、わたしがうまれるまで
先代様は耐えるしかありませんでした。
だからわたしのことを、とても愛してくださいました。
おなじくらい、憎しみもくださいました。
人と戻られたその時に
先代様は自ら、わたしのまえで―――
―― 先代処暑 ――
[ 私が生まれた頃の処暑域は、私から見れば先々代の処暑様が治めていた。
先々代の処暑様は人々との交流が近く深いという訳ではないものの、統治者として申し分のない方で、処暑域は穏やかで安定した統治域であった。
その先々代処暑様は数十年灯守りを務めていたが、今から60年程前に、人間の寿命の範囲で灯守りを引退することを選んだ。
そして――後継として指名されたのが、先代の彼だった。
先々代の処暑様の統治は何も問題のないものだったけれど、その事だけは、先々代処暑様の“失策”であったと思う。
]
[ 先代の彼は、先々代処暑様の蛍だった訳でも、弟子だった訳でもなく、
只の年若い、処暑域の行政職員だった。
処暑様の下で働いているのだから、処暑様と面識もあり、やりとりを交わす事も多かったようだが、
それにしても、本人も、周りも、住民も、突然の指名に驚いていた。
しかし先々代処暑様はこう言った決定を譲らない人であったし、灯守りの言う事に異議を唱えられる人は居ない。
処暑域は少々慌ただしくなったものの、中央に迷惑は掛ける事もなく、やがて滞りなく灯守りの引き継ぎは成された。
先代の彼が良き灯守りであった事は前述の通り。
先々代様と統治の形は違ったが、人に寄り添う灯守りとして、住民に慕われていた。
……上に立つ者として、優しすぎるぐらいであったと思う程に。
]
[ しかし――それを良く思わなかった人間が居た。
先々代処暑様の“蛍”達である。
自分達が後継であると思っていた所に、灯守りが別の人間を指名し、
更にその人間が灯守りとして慕われている。
彼らはそれを
妬
み、
憎
んだ。
更に先代の彼は先々代の蛍を自分の蛍とはせず、最初は蛍を置いていなかった。
彼らは今までの立場を失う事となったのも、彼らの黒い思いに拍車を掛けたのかもしれない。 ]
[ さて、数年のうちに先々代は亡くなり、
しかし先代処暑はその地位を確固たるものとしていた。
そんなある日、先々代の蛍だった人間の一人が、彼の領域を訪ねてきた。
彼は元蛍彼らに対し悪い感情は持っていなかったし、むしろ当初は、自分が灯守りとなったことに申し訳なさを感じていたようだ。
蛍のひとりであった彼も……その時は友好的に、それから彼が処暑を継ぐ時に心無い言葉を浴びせてしまった事を謝りたいと、そう言っていたらしい。
……彼は、その言葉を疑うことなく受け入れた。
それ程お人好し、だった。
]
[ しかし蛍であった彼が訪ねてきたのは、詫びなどではなく、とある計画のためであった。
――自分達の立場を奪った、処暑の灯守りへの
復讐
である。
……領域に職員が駆けつけた時に見たのは、既に事切れた“処暑様”の姿であった。
死因は食事に仕込まれた毒。
物理的な傷では直ぐ癒えると思ったのか、もしくは反撃されると思ったのか。彼らは彼を騙し、内部から攻撃することを選んでいた。
当然処暑域は大混乱となったし、周りは騒動を収めるために奔走した。
犯人は捕らえられたものの、それで処暑の灯守りたる彼が戻る訳でもない。
職員も、住民も、皆、彼の死を悲しんでいた。 ]
[ 彼が先々代の蛍に殺された、という事は、会合等で大っぴらにされる事はなかったものの、
秘されてはいない事であったから、当時の灯守りや蛍は知っていることであろう。 ]
[ さて、加えて、起こっていた“
非常事態”がある。
処暑の灯守りの『証』が、彼が死ぬ前に受け渡されていた事だ。
――職員が駆けつけた事切れた彼の隣に居た、彼に似た“私”に。
* ]
「 “ ” 」
[ 私の名を呼ぶ彼の声が蘇る。
他の人に名を呼ばれなければ、彼のその声が永遠になるのではないかと、
そんな根拠のない、滑稽な事を考える。
でもそれを信じて、縋って、私は名を伏せている。 ]
[ 先代処暑と親しかった者なら知っているかもしれない。
彼が照れくさそうに話す“ ”の存在を。** ]
─龍池紫明と小雪の兄妹─
「眞澄のような可愛くて良い子の傍で、か。
お兄様が直々に言ってくれるとは。
篠花紫明……字面も良い。悪くない提案だ。
だ が 。
俺が菴のことを「
お義兄様
」と呼ぶことになるのが問題だ。
もう一つ。
お前が去るならば、その提案は飲めないな。
中央域の連中のストレスが減るのは喜ばしいことだが、
その分俺や眞澄が苦労することになるだろう。」
[ 先代小雪である菴と紫明は、冗談を普通に交わす
気心の知れた仲だった。
勿論冗談だとはわかっていたが
言われずとも彼に何かがあった時は
代わりに眞澄の面倒を見る気概は当然備えていた。
]
「お褒めの言葉どうも。
君からそう言われたいと願う者は
山ほど存在するだろうのに。
これも無欲の勝利というものかな。
だが、その言葉を聞いたら……と。」
[ 言葉尻が芝居がかかって聞こえるのは、
隣に君の兄が居たからだが
彼の表情が見えて、言葉が止まった。
──本気でショックを受けている顔だ、と。
だが、頼られて悪い気はしないのは事実。
灯守りとして初めての任務の時も、
右から左まで徹底的にレクチャーした。
彼女が初めての会合に出席した時は、
見守る立場とはいえ、ほぼ心配はしていなかったのだ。
──眞澄なら大丈夫だろう、と。]
[ 兄から妹への別れの手紙を見せて貰った時。
普段見せることのない感情的な様子に、
何も言えずただ黙って聞いていた。
全てをぶち撒け、落ち着き始めた頃に漸く口を開き]
「大丈夫、あいつのことだ。
『 眞澄に会えなくて寂しくて死んでしまう〜! 』
とか言って、また戻ってくるさ。」
[ 気休めだけを吐いて微笑む。
その後、彼女の気が済むまで、とことん付き合う気でいた。
飲み明かしたか、話は続いたか、何処かに外出したか。
それとも一人になりたい、と申し出があったか。
後者ならば、意思を尊重し帰ることにした。
「寂しければいつでも話は聞くから」と言い残して。]
[ 灯守りを引退すると告げた時
彼女は、止めることはしなかった。
だが、一瞬口を噤んだ様子が見えて。
紫明の意思を尊重する言葉を聞けたが
祝福、背を押してくれるような感覚は感じられなかった。
思い過ごし────では無いのだろう。
今思えば、眞澄は菴と紫明。
二人の近しい灯守りに、似たような形で
急に去られていたのだから。
]
「眞澄。
君には本当に長い間、世話になった。
君と、菴と過ごした日々は、楽しかった。
……済まない。菴との約束を守れなくて。
君も、自分が幸せになることを、
自分のことを一番に考えても、罰は当たらないと思う。
……葵を頼む。」
『 君は強く立派になったから。
俺の助けはもう必要ないだろう。 』
[
そのような残酷な言葉は飲み込んで。
あの時、姿を消した友のことを怨んだりもした。
だが、まさか自分が似た道を歩むことになるなんて。
同じようなことをして、苦しめることをするなんて。 ]
( ──人を幸せにするのは、難しいな。 )
[ 斯く男は女の前を去った。
理由は、半分程度真実を伝えている
。
何故このタイミングだったのか。
──数年前から決めていたこと。
別れを惜しむ悲しい時間は、少ない方が良い。
それだけの理由で、伝えるのが直前になっただけのこと。]
( ああ、でも。
自ら去ることを決めたというのに
もうこの気の強い友の妹と会い、
話が出来なくなるのは、少し惜しいが。)
……大丈夫。きっとどこかで会えるから。
( これは今生の別れでは無い。
だから「さよなら」とは言っていないんだ。 ) *
― ぼくのおはなし2 ―
[先代の雨水に出会ったのは引きこもってから何年かした頃。
ある日突然、彼はやってきた。]
「やっと見つけた。手間かかったな。悪かったな遅くなって。
お前は今日から俺の後継者だ。
大丈夫、悪いようにしないからついてこい」
[
流石に混乱した。
でもお母さんが雨水様、と呼んで灯守りという存在くらいは知っていたぼくは目を丸くした。]
こうけいしゃ……?
どうしてぼくが?
[首を傾げた質問に彼はにっと笑って返した。]
「俺もそろそろ引退時でな。
なんでも溶かす能力者がいたって噂を探したんだよ。
雨水の季節にぴったりじゃないか」
[ほれ、と手を差し出された。]
[─────唐突過ぎてよくわからなかった。
でも、この手を取れば一人で引きこもっているこの状況を変える事が出来るんじゃないかって。それだけはわかったから。
ぼくは、その手をとった。
[そこからはなかば強引に、ぼくは彼に引き取られた。
お母さんが納得していたかは知らない。半ば拉致じみていたとかそういう話も広まったらしいし中央の人の頭痛のタネになった可能性は今にして思えば高い。
蛍もいない彼の後継者候補が見つかったのは、悪い事じゃなかったんだろうけどさ。それでもね。
……それから数年。ぼくは言われるがままにお仕事やお勉強を教わって。しっかり一人で仕事を回せるよう教育を受けた。その当時の日々はぼくはまだ奥に引きこもりがちだったから他の灯守りと会う事はそうはなかった。
当時は正直選ばれる意味すらもよくわからなかった。
でも、いつまでも引きこもっていても仕方ないのはわかっていた。
それに、ぼくが必要として貰える居場所を作れるのなら、嬉しい と
少しずつぼくの心を溶かしてくれた彼の跡継ぎになりたいと
段々とそう思うようなっていった─────。 ]**
「──やぁ。ふむふむ、成る程成る程。
君が紫明の話していた蛍さんだね。
僕は"立春"の灯守り、蘭花。
蘭の花と書いて蘭花。以後お見知りおきを。
あはは! そう畏まらなくて良いよ、葵ちゃん。
こんなに愛らしいお嬢さんなら大歓迎さ。
甘い物は好きかい?
ちょうど椿餅を作ったところでね、
君さえ良ければ是非とも味見して
忌憚のない感想を聴かせて欲しい。
うん? 紫明の分?
ないよ、そんなの。
僕は料理は可愛い子の為にしかしないって決めてるんだ。
僕の作るお菓子がどうしても食べたければ
可愛らしく生まれ変わって出直してきてくれたまえ?」
[蘭の花びらのように滑らかな白い肌。
目鼻立ちのはっきりした華やかな美人。
涼やかな空色の髪は短く切り揃えられていて
一見して性別がどちらかはわからない。
春の陽射しを閉じ込めたような明るい色の瞳が、
挨拶に訪ねてきた少女を柔らかく見つめただろう。
自分が食べるより作って食べさせる方が好きで、
自分が喋るより話を聴く方が好き。
いつでも穏やかな笑みを絶やさない、とても優しい人だった。]
[私が師匠から立春を継承したのは
雪が徐々に解けて日々大地が目覚めゆく啓蟄の頃だった。
その年の立春の大役を終えた後、
祝福を受けた生命が活き活きと芽吹いていくのと相反して
師匠は──蘭花様は、目に見えて衰弱していった。
雨水の季節が終わる頃にはもう
身を起こすことも難しくなっていて、
黄鶯さんが付きっきりでお世話をしていた。
師匠の傍から離れたがらない私を引き剥がすように、
氷魚さんが私を連れて日々の業務を代行していた。
自分の弱っている姿を他の灯守りたちに見せたくない、と
師匠は最期まで頑なに元気な振りをしていたから
余程注意深く見ていなければ、師匠が弱っていたのは
亡くなる直前までわからなかっただろうと思う。
親しかったご友人の皆様や
近しく親交も深かった春の統治域を持つ皆様にさえ
「それじゃ、僕は念願叶って山奥に楽隠居するから
愛弟子をよろしく頼んだよ☆」
なんていつもの調子で別れてから床に臥せられた。
報せが遅くなってしまったのは、
それが師匠の遺言だったからでもあった。]
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