81 【身内】三途病院連続殺人事件【R18G】
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綺麗になった手を見つめてから、時計を見た。
「……少し休憩しましょう。
証拠の消し方も教えたいですから、また来てください」
指定された時刻は約一時間後。
誰にも見られない様に、手術室へ来るように。
共犯者は、小さく囁いた。
「オレにはまだそんな状況、全然想像つかないな。
……悪い夢みたいだ」
メイジの家は、貧乏ではあったが
見境がなくなるほどまで飢えてはいなかったからだ。
まだ死にたくないと言える今は、余裕があるのだろうか。
「でもオレは、セナさんに生きて欲しいけど。
オレが生き延びることができたら、もっとすごいって言うよ」
それだけを告げ、囁きに静かに頷くと。
「また後でね」
メイジは、手術室を後にする。
その足取りは来るときより重たい。
できるだけ誰かに感づかれないように、しっかりと歩いた。
| >>45 メイジ 「力加減は、わかったから。 それに私はどっちも見えてるから……距離が掴みやすかった、だけだよ」 歪な跡の残る目の付近を指でとん、と示す。片目ではどうしても掴みにくい所はあるだろう。 「あるんじゃない。 ……そう。えっと、ありがとう。 どうしようかなって、思ってたから、助かった」 押し付けられたキャラメルに、小さく頭を下げて。 もたつきながら包みを開いて、茶色い塊を口に入れる。 ……こういうお菓子を食べたのはいつぶりだったか。 しっかりと味わうように、口の中で転がした。 (51) 2021/07/03(Sat) 19:56:59 |
| >>48 ロク 「どう、だろう。 いつもより強いって、聞いたけど……」 二日、三日……ともすればもっと、かかるだろうか? くぅ、と小さく鳴ったお腹の音を誤魔化すように腕で抱くように腹を隠す。 「……いつもよりちょっと怖いけど、好きだよ。 山の音が聞こえにくいのは、困るけど」 外を見ようとするように、しっかりと雨戸で閉じられた窓の方へ視線を向ける。 「こういう時って、よく、山が崩れたり、するから」 私の家、ここの下の方なの。 ぽつんと呟くように告げた。 (52) 2021/07/03(Sat) 20:03:15 |
| >>53 メイジ 「……うん。次も、負けないから」 次があればいい。甘い塊を転がしながらそう思えば、するりと言葉は紡がれた。 遠く水の流れる音を聞きながら腹を擦る。 「そう、なんだ。……そうだろう、ね。普段も、余裕がある訳じゃ、ないんだから」 どこを見たのだろう。何を考えたのだろう。 フジノには、わからない。 「……うん。協力、できたらいいな。 私も、なにか……役に、立たないと」 できる事は少なかったとしても、荷物にはなりたくはなかった。 おいしい?という問いに、貴方を見てこくりと頷く。 口の端は、微かに持ち上がっていた。 (54) 2021/07/03(Sat) 21:49:24 |
| >>56 ロク 「……その気持ちも、わかるよ。 強いのは、きっと、なんでもこわいから」 ぴくり、と肩を揺らした。 頭が貴方の方へ向く。前髪がずるりと顔の前に下がった。 「うん。ううん。 お父さんは、お酒を飲んで、動いてくれなくて。そういう時、起こしたら、怖い顔、するから。 だから、私、先にここへ来たの。 ……お父さんだって、子供じゃないもの。起きたら、自分で避難すると思ったから」 でも来ていないし、別の所へ行っているのかも、と腹を摩りながら零す。 ―――父以外の、言及はなかった。 (63) 2021/07/04(Sun) 1:26:53 |
| >>64 メイジ はっと口元を隠す。 反射的に動いた後で、続いた言葉が耳に届く。 「え、えっと……」 いつもならそんな事ないと言い切る口はもごもごと動く。 「そう、かな。……ありがとう」 礼の言葉を代わりに口にさして、少し赤みのさした顔を再び逸らした。 (72) 2021/07/04(Sun) 10:56:07 |
| >>67 ミロク 貴方を、見ている。 賢くはないが、全てを鵜呑みにするほど馬鹿でもない。 しかし。そっと腹を擦る。 ……施しを受けたい訳では、ないけれど。 「目的が、あればいいの。 ……ミロクさんは、『物』しか、扱ってない?」 つと、視線は外へ向いた。 未だ雨が降り続け、風は雨もそれ以外も建物へ叩きつけている。 「……私、外で仕事がしたいの。 でも、外の事、全然知らないしツテもなくて」 そこで、言葉を区切った。 フジノが欲しいものは、働き口だ。 傷持ちの女が働いて、金銭を稼げる。 此処ではない場所だった。 (84) 2021/07/04(Sun) 17:05:15 |
| >>75 メイジ 「遊んでもらったのは、私もだから。 ……うん。吐き出させなきゃいけないし、背中叩いて、あげる」 冗談にも本気にも取れる言葉を紡ぎ、"またね"を返しただろう。 まだ、雨は止まないのだから。明日もきっと、会うだろうと。 (87) 2021/07/04(Sun) 17:28:57 |
| >>78 ロク 「祖父は顔を見た事も、なくて。祖母は半年前に亡くなって ……お母さんもずっと前に出て行ったから」 だから、今はふたり暮らしだと肯定する。 村の人間……噂話に敏感な人々なら知っている話だ。隠す事でも、なかった。 「そう、でしょう? ……もし、心配させてたら。後で謝ればいいもの」 生きてさえいれば、どうにでもなる。 伸ばされた手に、怯えるように固まった。ぎゅ、と自分の身を抱きすくめる。 前髪を払えば、様子を伺うような目が貴方を見据えていただろう。 (88) 2021/07/04(Sun) 18:05:54 |
| >>90 >>91 ミロク 「……いいの?」 最初の言葉に目を伏せ、続いた言葉にぱっと顔を上げた。 さらさらと書かれていく文字に、ついそんな言葉が溢れた。 夢。将来。どこで、どんなことを。 口を開き、閉じ……やがて貴方に近づき、貴方だけに聞こえるようにそれを、話す。 (102) 2021/07/04(Sun) 20:41:39 |
| >>91 >>102そっと離れて貴方の差し出した住所を、受け取った。 果たして話した事は取引を成立させるに値するものだっただろうか? 「……それで、いい。 全部お世話になるつもりは、ないから。 あとは私が、頑張って……頑張らないと、いけないこと、でしょう?」 大事そうに、紙を両手で包んだ。 「……ありがとう、ございます。 もし、外で会えたら……その時はまた、お礼をします」 そうして頭を下げ。 それ以上の話がなければ、この日の会話は終わっただろう。 (103) 2021/07/04(Sun) 20:49:11 |
| >>96 ロク 「……人は、怖く見えるものでしょう?」 先日も似たような事を言ったな、と思った。 ここに集まった人々はフジノを嗤わない。 変に憐れむような目で見ることもない。 その事実は少しだけ調子を狂わせ、フジノの知っていた世界をあっという間に壊そうとする。 「……人は怖いし、痛いのが嫌。それだけ。 ……それだけだよ」 片手で前髪をそっと戻す。 その後、なにか言葉を交わしたかもしれないが……そうしない内に、フジノは貴方に別れを告げてその場から立ち去っていっただろう。 (104) 2021/07/04(Sun) 20:58:22 |
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