人狼物語 三日月国


81 【身内】三途病院連続殺人事件【R18G】

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ニエカワ

抱き締められても、温もりなど少しも伝わってこない。
そこにあるのは交わしてしまった約束と、
剥き出しの好意だけだ。
何故好かれているのか、男にはちっともわからなかった。
だからこそ、恐ろしい。

「──……はい。
約束
、です」

恐る恐る、背中に手を伸ばす。
この約束を手放してしまえば、
自分は永劫許されなくなると思った。

約束をした。

 セナハラ

背に回される手には同じように温度はない。
けれど心が温かくなるような感じがした。

約束をしてくれたから、自分は彼を信じていよう。

セナハラさんは“大人”だから、また約束を忘れてしまうかもしれないけれど、その時はまた思い出させてあげればいいだけだ。


「(──やっぱり…、セナハラさんにはお嫁さん……いらなかったね)」

メモを貼った。

これは、誰かが遺体を見る少し前の手術室──

メイジは壁際に座り込んだまま動かない男と
結構な時間、寄り添っていた。
悲しみに暮れていたのか、動く気力がなかったからか。

「やっぱ起きないや」

当然だ。己の手で殺したのだから。
やがてそれにも飽きたのか、気だるそうに立ち上がり
ずるずると遺体を手術室の中央まで引きずっていた。

「………重い」


持ち上げて、仰向けに手術台に寝かせた。
だらりと投げ出された手を胸の前で合わせる。

「………………重たいよ」


消え入りそうな、忌々しげな声が
腐敗臭のただよう手術室にむなしく響いた。

メイジは、用事がある時以外は、ずっと手術室にいる。
手術台の上でずっと、突っ伏して
返事も帰ってこない抜け殻に話し続けていた。
少年は死後の世界があるなんて知るはずもない。

……だからこそ、友達にも嘘を吐き続けた。
なにも知らないままでいてほしかった。


「セナさん、雨と風弱まってきたんだ
 ……もうすぐ帰れるかな。助けなんてくるのかな」

これはどこかの時間。
死んだ男は、手術室で自分の死体と少年を見つめていた。
聞こえないと知りながら、返事をし続ける。

「きみは何も悪くないんですよ」

以前のように頭を撫でようとして、
己がさせたことを思い出せば、手を下ろした。

「いつか、助けがきますから」

どうせわからないのだから、撫でてもいいとわかっている。
しかし、そんな資格は無い。

「……」

いや、自らそれを捨てたのだ。
──貴方は良い子だから。
──自分の我儘に付き合ってくれると、信じていた。

「ありがとう、」
「ごめんなさい」


あのとき伝えたかった二つの言葉を、小さく呟いた。

「セナさんがいなかったら
 ……誰がオレを助けてくれるの……?」


そうして呟く背中は、ただの小さな子供のようだった。

「……あはは……もうそんな子供みたいなこと
 言ってられないよな……。
 もうひとりだ、オレ。家族はみんな死んじゃったり
 出ていったり、いなくなっちゃったから」

「自分でやったんだ」

実の父親も、──優しい父親がいたらと夢見た人のことも。

「最後、なんて言おうとしたのかな」

ふいに思い出す。考えてもわかるはずもない。
メイジには何も見えない、聞こえない。
だから、ずっと目の前の遺体だけを見つめている。

「死んだら、どこにいくのかな」

「やっぱ地獄かな? 悪いことしたもんね」
「楽になれないかもね」

「オレのこと、実はどっかで見てんのかな
 ……それはそれで、いやだな」

「オレも死んだらおなじとこ行けるかな
 悪いことしたからさ」

思い浮かんだ言葉を脈絡もなくぽつぽつ。

あの日、彼を黒猫を抱え見送った。『無事に帰ってきてくださいね』

【見】 療育 クレイシ

病院内にいた人間が知る由もない話。
静かに起きて、静かに終わった一人のお話。

嵐の中突き進む。
それは歩むというより、踊らされているようだった。

前をまともに向くこともできず、よろめいては足を止めて。
飛んでくる枝が突き刺さる光景を何度も想像しては何度も唇から呻き声が溢れて落ちる。それもまたビュウビュウと甲高く鳴く風によって跡形もなく攫われてしまうけれど。

「……ッ、チサ!チサ、いないのか!?」

叫べど叫べど返ってくるのは雨と風の声のみ。
自分よりも遥かに体格の小さな子供など分かりやしない。

(@3) 2021/07/11(Sun) 18:02:53

【見】 療育 クレイシ

どれほど歩いただろう。
かなりの距離を歩いたかもしれないし、まだ病院の目と鼻の先なのかもしれない。

お手製のパペットなどとうに捨てている。どこに転がっていったか分からない。
もう濡れていない箇所などなく、服が水を吸い上げて全身を縛る枷と化している。

『たとえ水底、土の下。
 果てまでキッチリ探してやって――
 、、、、、、、、、、、、 、、、、
 あの子の手を引かぬうちは、帰らねェことだよ』


「あなたも、あまり長く外にいない方が良いですよ」


煩い。
煩い煩い煩い!
余所者が好き勝手言いやがって!

台風で荒らされた周囲と同じか、或いはそれ以上か。
ぐちゃぐちゃになった心の中で蛇と猫の言葉が響き続ける。

帰れるものなら帰りたい。
逃げられるものなら逃げ出したい。
投げ出せたのなら、どんなによかったか。
お前らのせいだ。そうだ、お前らのせいなんだ!
お前達が焚き付けたからり俺はこんな目にあっているんだ!

だから、だから俺は悪くない!


(@4) 2021/07/11(Sun) 18:03:49

【見】 療育 クレイシ

チサという小さな子供の看護は自分が担当していた。好奇心旺盛で、小さいながらに人を気遣える節のある子供だった。

嵐が本格的に酷くなり始めた頃、あの子は窓を見ながら泣いていた。
「自分の家は小さくて、こんな雨では流されてしまうかも」と。
「お母さんもびょういんに来てほしい」と。
「そうじゃないとお母さんが雨に流されてしまうかも」と。

何度も宥めた。何度も詭弁で押さえつけた。
それなのに、あの子供は。

唐突にいなくなってしまった。

(@5) 2021/07/11(Sun) 18:04:22

【見】 療育 クレイシ

患者がいなくなってしまったら、真っ先に誰が問い詰められる?
きっと自分だ。担当していた自分の責任になる。

これでもし何処かで子供の死体が発見されてみろ、自分の評判は一瞬にして地の底だ。
小さな村では人の噂など瞬く間に広がってしまう。
そうして落ちた自分に待っているのは冷めた目、声、態度だろう。村八分という名の処刑が待っているかもしれない。

どうして俺がこんな目に遭わなければならない?
どうして俺かこんなに苦しまなければならない?

男は身勝手で傲慢な呪詛を吐きながら雨の中を進み続ける。
幼児への慈しみや心配など、とっくに風雨に奪いあげられてしまっていた。

──いっそ、あの子供が死んでいたら楽だったのに!


(@6) 2021/07/11(Sun) 18:04:48

【見】 療育 クレイシ

「……ッチサ!どこだ!返事をしろ、チサ!」

川の近くまで来てしまった。土砂崩れが起きていたところも見てしまった。
ここまで来ても見つからないのなら、もう子供は手遅れじゃないか?

弱い心が言い訳をし始める。
大人だから子供は絶対に守らなければならないのか?じゃあ大人は誰が守ってくれるんだ?
大人が子供を守る為に死んでしまったら、いったい誰が責任を取ってくれるんだ?

死んだところで貰えるものなんて仏壇の前で吐き捨てられる「頑張ったね」なんて生温い言葉くらいだろう。
俺はそんなもの欲しくない、俺は自分の身を守りたいだけなのに!

「……ぁ、う?」

瞼もまともに開けられない嵐の中で、ようやく草木や土以外のものを目の当たりにする。

──黒い塊。赤い何か。

「……ぁ、ね、猫?チサの靴?」

男はひゅっと息を呑み後退りしようとし──足を滑らせた。

(@7) 2021/07/11(Sun) 18:05:33

【見】 療育 クレイシ

男が見たもの、それは正確には黒い上着と赤い靴だった。
後に、三途病院連続殺人事件と呼ばれる凄惨な出来事について調べに来た人間の手によってチサと呼ばれる少女のものだと分かる日が来るかもしれない。

死んだ猫と死んでほしいと願ってしまった少女。
もはや冷静な判断がつかなくなっていた。小さな命達が自分を迎えにやってきたと狼狽し、逃げようとして転落する。

「──ぁ」

頭から真っ逆さま。
天と地が揺れる感覚も一瞬のこと。叩きつけられるような衝撃と共に目も開けられない激流に飲み込まれる。

「……ッ、ぁ、ぅぶっ……た、たすっ、助け……ッ!」

必死に手を伸ばす。必死に足をばたつかせる。
けれど誰一人として助けてくれる者はいない。水をたらふく飲まされた服が水の底へと引っ張ってくる。ぐちゃぐちゃに心を掻き乱してくる言葉や幻が死の淵へと引き摺り込んでくる。

「……ッ!…………、…………………………」

走馬灯を見ることさえも許されない。
肺の中に水が満ちて、重しとなってその身は底へ。
嵐に、言葉に、虚弱な心に。
踊らされ続けた男の末路は実に呆気ないものだった。

男の遺体が発見されるのは、きっとずっとずっと後の事になるだろう。
(@8) 2021/07/11(Sun) 18:06:46
ロクと話をしている。結構、かなり、ながく、ずっと。

「頭から焼きついて離れないんだ」

バラバラになっていく手足や、開かれる胸、鮮血
赤黒い内臓、砕かれる骨──頭だけになった、人間の姿が。
人を刺して、肉を切る、感触が──

この手で、脈打っていた鼓動を止める瞬間が。

忘れろ、と言われたことは覚えている。
忘れられる日なんて、来るだろうかと今は思う。

胸が痛い、頭が痛い、とうの昔に治ったはずの傷が疼く
メイジは、よく怪我をする少年だった。

幸せだ。

療育 クレイシは、メモを貼った。
(t14) 2021/07/11(Sun) 20:46:32

幸せが何よりも恐ろしい。

 




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