52 【ペアソロRP】<UN>SELFISH【R18G】
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やたらと素直に言う事を聞くと思ったら……
[いや、まぁ。
いきなり叫び声を上げ、
口にしたものを吐き戻したあの時から
その予感はあったのだ。
悪い予感ばかりがよく当たるってか、
正味、ビンゴだったらしい。
着替えさせる手にもなすがまま、
あの威勢の良い剣士は何処へやら。
ただひたすら震え続けるばかりでなぁ]
[なんとか飯屋に連れていき、
なんのかんのと話しかけたものの
それこそ綺麗な面したお人形さんというか。
はい、とか、いいえ、とかの
機械的な返事を聞くのが精々だっただろうか。
こうなりゃ剣士としては使えねぇ。
食事も終わり、いっそ路地裏にでも
捨ててっちまうかとも思ったが……]
────吐いたゲロの掃除くらい、
自分でしてもらわんと困る。
ほら、帰るぞ。
[そういうわけにゃあいかんよなぁ。
抱いちまった以上は情が移るし、
身体を造ったっつー意味では、餓鬼みたいなもんだし?]
[何より此処に置いてって、
こいつを他の奴らが好きにするっつーのは
どうにも気に食わないというかなんというか。
そんな訳で、再び館へととって返し]
こうなった以上、右目奪還は当分お預けだ。
片目が無いとなー、
遠近感が判らんと言うか。
飯と部屋は提供するから、
館の掃除を頼めるか?
[と、メイド服を手渡してみれば、さて*]
[ その後、飯屋では
何を聞かれたところでその口が
音を紡ごうと動くことはなく。
焦点の合わない目は
ただひたすら虚空を見つめていた。
館に連れ帰られた後も
まともな意思疎通は叶わなかっただろう。
それでも問い掛けには辛うじて首を縦に振って
目の前でメイド服を受け取っては着替えていく]
[ そうして着替え終われば
指示された通りに館の掃除を始めていった。
床を掃き、雑巾がけをしたり
特に何も無ければ館内の掃除をする事が
彼女の日課となっていったか。
それからは
館のあちこちを幽鬼のごとく彷徨い
掃除していく姿が見掛けられただろう。
何も言わず、その瞳に光を宿す事もないままで]*
廊下がホコリ塗れじゃないだと……
[ぴっとハメ殺しのマジックミラー号窓の桟に
人差し指の腹を走らせる。
今迄なら、何処ぞの田舎演劇よろしく
綿埃やら血痕やらが着いたもんだが。
此処しばらく、そんな馴染みの光景とも
おさらばする事ができたのだった。
──という訳で、普段であれば
短期間で変える隠れ家も
アシュレイちゃんが来てからはずっと同じ館に居続けで。
飯の用意は俺。
掃除全般はアシュレイちゃん。
ちょいちょいやって来る来客のお相手はオーク達という
妙な共同生活が続いていたのだった]
[まぁ、此処に居続けなのはもう一つ理由がある。
俺様の最新の実験体こと、
アシュレイちゃんの状態の観察の為だ。
ぶっ壊れちまったのが
精神的外傷のせいなのか
それとも俺様が行った精神移植魔導手術の
構造的な欠陥のせいなのか。
いやまぁ、いずれにしろ原因は俺様なんだが。
なるべく環境の変化を少なくして
色々試してみたいってなところだな]
んー……
ガントレットの宝石内の本体のバイタル値は
変わら無いっつか、正常の範囲内だよなぁ……
やっぱ、本体との接続部分な鎖と首輪で
首絞めちまったのが不味かったか……?
[──だが、彼女が吐いたのはその後だ]
やっぱその……
おじさんにアレコレされたのが
そんっなに嫌だったのかー?
[今日も今日とて全自動お掃除メイドな
アシュレイちゃんの進行方向に立ち塞がる。
っつても、怖がらせちゃいけないから
ちっちぇ子相手にするみたいに
少しばかり身を屈めて目の高さを合わせて]
仲間を全滅させられたり、
触手に襲われたり、オークに襲われたり、
女の子にされちゃったり、まぁ、色々あったわけだが……
アシュレイちゃん的に一番キツかったのが
俺に手を出された事、なんかな?
[と、試しに無表情な彼女の頬に手を伸ばしてみれば*]
[ 泥濘を彷徨っていた。
掴み所のない空間はいつしか温度を上げ、
物体が独りでに燃え出すような灼熱に近付く。 ]
( だが、夢だと自覚出来ていた。
もう悪夢に囚われることもない故に、
此処でしか逢えない人物を思い浮かべる。 )
[ その影は不思議な事に硝煙の向こう側からやって来て、
座り込んでいた己の傍に佇むようにして立った。 ]
先生。
役目は終わった。言えなかった何もかもが。
だが……もう一つだけやるべき事が残っている。
[その影に語りかければ、景色は川のほとりへと変わる。
例え、自分が心の中に生み出した幻影だとしても構わない。
もう直ぐ自分は終わるのだと、それだけ伝えたかった。
彼は黙って頷くだけだ。
唯耳を傾ける彼に、抱き締め合う歓びを教えてくれた彼に、
確り向き直って、言葉を選ぶのはそう難しくはない。]
[ それなのに、目が覚めてしまった。 ]
[ 彼女の事だけは言う積もりになれなかったからなのか。 ]
| [ 翌朝目を覚ましたのは既視感の酷い状況の中。 取り乱した誰かの絶叫に叩き起されての事だった。 意識が浮上した頃には既に、扉の向こうの従者が 困惑に満ちた声色で入室許可を求めている。 “それともお飲物をお持ちしましょうか”と訊く辺り、 動揺の具合が伺い知れる。 ] ……んー……? ああ、必要だ。 水差しとゴブレット、両方貰おう。 侍女に出させる様に。 [ 寝惚けた頭ながら、最低限の事は為済ませた。 起き上がると、シーツに挟まり呆然と動けぬ儘であろう 学友の事は其方退けで書き物机を片付け始める。 ] [ 放り出されたペンの下には、未だ白紙の遺書。 ] (0) 2020/12/10(Thu) 8:23:13 |
| [ やがて部屋に入って来た侍女に言い付けたのは、 其処に隠れている“客人”の服を見繕う事だった。 運び込まれたシュミーズと上衣は少し大きかったが、 彼女の普段の服装になるべく近いものだったろう。 ] 言い忘れていたが、今朝は早く出る予定だ。 馬で半日も進めば帝都が望めるだろう。 早い処、身支度を済ませてしまえ。 然も無くばもう一度襲う事になる。 [ 涼しい顔と平坦な口調で告げるのが単なる方便だと 気付くのは、寝起きの頭には難しいかも知れない。 どんな反応が帰って来ようと、欠伸を噛み締めて 何処吹く風といって様子なのだった。 ] [ 慌ただしく帰還準備が進められる砦の廊下では、 “昨晩お聞きした際には女は不要と仰ったのに……”などと 何処から現れたかも分からぬ同衾者の噂が立ったとか。 ]* (1) 2020/12/10(Thu) 8:23:49 |
[時折、彼がくれる小休止の合間が
息継ぎの時間。]
はぁ… はぁ… っ、んん…
[喘ぐように酸素を取り込んで
また官能の海に沈められていく。
少しの息苦しさと
揺蕩うような心地と
痺れるような気持ちよさが
押し寄せてきて
飲み込まれては、また引いていく。]
[繰り返される度に
快感の波のうねりは強くなって
(‥‥もっと、)
離れようとする
唇を追いたくなった頃だ。
彼の色っぽい表情でいっぱいだった視界が
ふっと開けて、
油断ならないヤツの姿が目に入る。
気づかぬうちに吉田のヤロウが
真昼くんの真後ろにまで来ていた。]
[あ、っと
我に返った時には
もうソイツの手は伸びていて
今まで触れ合っていた
もっと、と望んだ柔らかい唇が
掠め取られていた。
自分のモノって訳でもないのに
盗られた!って思って、一瞬で頭が沸いた。]
吉田、止めろッ、
今すぐ 真昼くんから離れろッ!!!!
[猛烈な腹立ちを
ビリ、と窓ガラスが震えるほどの声で叩きつける。
それでも、その行為は終わらなかった。
むしろ見せつけるように
もっと激しくなって、
涎が混じり合うみたいな音までし始める。]
[昨日みたいに、
体当たりして突き飛ばしてやりたいのに
出来ない悔しさも全部
嫌だ!
とか
止めろ!
とか
あらん限りの声に乗せて喚きまくった。
水音が聞こえなくなった代わりに
盗っ人の口が離れた時には
オレの声は少し掠れていた。]
[真昼くんがこっちに向き直った後も
早くどっか行けよ、と
そのデカイ図体を見上げて睨み付け続ける。
何も出来ない状態のオレに
凄まれたって、屁でもないのは分かっていても
そうせずには居られなくて。]
[そうしたら、ふいに真昼くんの声がして
視線を下に向けるのと同時、
憤りを体現したみたいに立ち上がったオレのものが
ぬるりと飲み込まれていった。]
ぅあぁぁぁっ……!
[びっくりしたのと
あまりにも気持ち善すぎるのとで
普段とは異なる、上擦った声が飛び出す。]
[柔らかくて、あったかくて、ぬるぬるで。
腰から溶け出して
オレの全部が真昼くんに吸い込まれてしまいそうな
体験したことのない心地よさに
また、頭が真っ白になってく。]
あっ、…すご い っ、
ああっ、… まひるく、っ、 んんん…
[微かな痛みもあるけれど
それを遥かに上回る快感で塗り潰されて
驚くくらいに、声も甘く蕩けた。]
[やばい、すごい、きもちいい…以外
何も考えられない。
そんな汚いの、舐めたらダメだよ、とか
吉田のヤロウのこと、とか
何より、この持て成しが成功したら
また昨日みたいに彼が酷い目に合うってこと、とか
絶対に忘れちゃいけないことまで
すっぽり抜けてしまうくらいに
彼の手ほどきは、繊細で、優しくて、巧みで。]
[糊で固められた穂先が
ぬるま湯で解けていくみたいに、
今までずっと隠れたままだった淡い桃色が
恥ずかしそうに顔を露わしていくと
そこを撫でる舌が、
内側に溜まっていた汚れまで
飲み込んでくれてるなんて知らなかったけど
その時に押し付けられる上顎が
どうしようもなく気持ちが良くて。
そのうちに
付け根の、さらに奥んとこが
なんか…
なんていうか……
上手く言えないけど、なんか堪らなくて
苦しいのとは違うのに
ギュぅッと眉根が寄っていく。]
[そうこうしていると、さらに
怖いくらいの、すごいのが込み上げて来て。]
あっ、あっ、…まひる、くんっ、
あっ、なんか、やばっ…、ぃ
で、っ… 出そ、ッ……
[切羽詰まった困惑声を響かせる。
両脚の間の彼の頭を
抱え込むように、体をくの字に折り曲げて
必死にその恐ろしいほどの快感の波をやり過ごそうと
全身にぎゅっと力を込めた。]*
────現実の温もりは、夢想迄もを変えてくれない。
お伽噺の中の怪物はいつも独りぼっち。
眼前に現れた人影に喜び近寄ろうとすれば、
すぐさま頭に銃口を突きつけられる。
血に塗れた誰かが自分を指さし罵倒する。
臓物を吐く誰かが自分を睨みつけ続ける。
大切だった誰かが自分を拒絶し遠ざける。
「お前のやっていることは所詮自己満足だ」
「仇討ちなんて言い訳のひとつにしかならない」
「同胞さえも手に掛けたお前はもう─────」
一心に向けられる刃に心が悲鳴を上げても
居場所のない化け物に安息が与えられるわけがない。
息をすることさえも苦痛で仕方なくても
止める事さえ許されない……死が許されぬ生き地獄。
何時かの時。
苦痛の夢から救ってくれた人物の影が脳裏を過ぎる。
彼の名前を呼ぼうとして───錆び付いた喉が灼けた。
(名前が………言えない。思い出せない。
焼けた手紙と共に朽ち果てた少女の初恋は、
人間性と共に勢いよく崩れ落ちていく。
何れまともじゃいられなくなる予兆のように、
美しい思い出でさえも腕の中から消えていく。)
醒めろと何度も念じ続ける。
いつか醒めぬ現実になると分かっていても。
| […………最悪な目覚めであった。] [砦の中だということを忘れかけていたのかもしれない。 扉の向こうの他人の声に乙女には程遠い野太い悲鳴ですっぽり布団を被って震えていた。 昨夜の乱れ具合が嘘のように生まれたままの姿を隠し、朝の寒さに震え続ける。 随分昔の頃のように寝ぼけ、平然とした相手を恨めしそうに睨め付けた儘、差し出された服を震えた手つきで引っ掴む。もぞもぞとシーツの芋虫の如く蠢いた後、いつもよりも長い袖に不満を零しながら這い出てきた頃合い。 自分が窓を叩くまで彼が何をしていたのか。 知る機会がなければ、白紙の紙の内容さえも察せる筈もなく、 ……掛けられた言の葉に頬を染め、き、と睨みつけた。] (2) 2020/12/10(Thu) 21:42:11 |
| (これほどまでに昨夜の不貞を呪ったことはない。 もう間違いは重ねないでおこうと誓ったのは 彼の言葉を本気で捉えたせいであろうか。) お前、本当に殺してやるからな……! [わなわなと振動する拳を振るうよりも先、昨夜散らばった衣服の残骸から見つけ出した短剣を引っ掴み、懐に放り込む。眼帯を探して拾い上げればしゅる、と傷跡が目立つ右目に括り付けた。 思い出したように、転がっていた真鍮製の注射器を取り上げる。 ぶかぶかとした服の袖をたくし上げれば、狂ったように注射痕の乱れ咲いた腕が曝け出された。 いつか見た事があったであろう真紅に染まった液体を、唇を噛みしめ血管の中に注ぎ込む。
…………決心の現れを、身に刻み込むように。 殆ど手ぶら同然の彼女の支度はこれにて閉幕。] [その後浴びる視線と独り歩きする噂話は、かつての学び舎を彷彿とさせる。ポーカーフェイスの仮面を被りながら、化け物の噂は立っていないかと神経を張り巡らせていたのは内緒の話。
────そんな余計な心配も、彼が帰路の途中で寄る場所の正体を察してからは消えてなくなるのだろうが]* (3) 2020/12/10(Thu) 21:42:14 |
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