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【人】 九朗杖があるのに、なんでわざわざ足を使うんですか。 [一二三の足元へ九朗が視線を落とせば、やはり一二三はからりと笑う。 お前の作ったものが、あれくらいで壊れるわけないだろ?と。 むしろ壊れる心配なら杖か相手の足にしてやれと続ける一二三に。] 壊れたって修理はしませんよ。 [九朗はいつもと立場が逆になっている気がしながら、つまみにできる総菜を売っている店の方へ足を向けた。*] (27) 2022/04/16(Sat) 18:37:42 |
【人】 東天[何やら急ぐ男に、袖とは言わず肩がぶつかる。>>28 それによろめいて倒れるほど軟にできてはいないので、 舞手の体は少しも傾ぐことなく、本当にぶつかるだけになったのだが。 裾につけたままの鈴が、やや大袈裟に音を立てた。] おや。 それはそれは。 お気をつけて。 [急ぐのならと、こちらの言葉も短く。 その駆け足に続く者の顔を見れば、確かに人相は少し"悪い"。>>16] ………様々な人がいますねぇ。 何をしでかしたのやら。 [くつくつと面の奥で笑いながら、社へとまた歩き出す。 問い掛けながら返ることもなく、また返ることも期待はしていない。 此度の縁はこれまで。 何度目か会う観客ならばこの先また交わる事もあるだろう。>>1:26 縁があれば。*] (30) 2022/04/16(Sat) 21:39:08 |
【人】 東天[祭りも終わり、島を出る船の時刻が近づく。 仕事着である狩衣は脱ぎつつも、まだ面はつけたまま。 綺麗な花の咲く木の下は、"東天"の辿るべき道であるため、はずすべきではない。 旧街道、その近くの島… 初代達の指した"近く"を判別できなくなったその次代達は多くの地を巡る。 行き先こそ自由だが、今日は榛名に宿を取っていない。 最終便に間に合わなければならないのだ。] ほら、行きますよ。 [舞手が声を掛けるのは、祭りの中にいた青年とも少年ともつかぬ人。 面は付けておらず、その服装も狩衣とは違い市井に馴染む和装で、舞手を追う。 それは"東天"の次代。 またその舞に惹かれ、暫く前に弟子となった者だった。 不思議な事に、舞手の東天には必ず一人、その舞に惚れ込む者が現れる。 そしてその熱意のために巡礼の旅路に付いて回る弟子となる。 例外などない。 そんなものがあれば、とっくにこの舞は絶えている。] (31) 2022/04/16(Sat) 21:41:28 |
【人】 東天[声を弾ませ荷物を抱える弟子を見て、舞手は思うのだ。 "彼"こそ待ち人ではないのかと。 何度も"彼ら"は出会っているのではと。 標の下に、惹かれ合っているのではないかと。 思えば"自分"が先代と出会ったのも、あまりにも綺麗に咲いた花の下だった。] (32) 2022/04/16(Sat) 21:42:36 |
【人】 九朗[「いつの話をしているの」>>6と威嚇する猫のようになる妹を、まぁまぁと軽くなだめて、微笑んで。 妹の左手にも手を伸ばし、右手と対になるよう紅色のリングキャンディを中指に嵌めようとする。 それを見た妹はダメよと九朗の手を振り払い、残りのリングキャンディが入った紙袋を掴むとパッと席を立った。 その素早い動きを、左右に座っていた男二人はただ目で追うだけ。 しいて言えば兄の方は、妹の挙動をまさしく猫のようだと思い。 同時に、澤邑のご隠居が抱えた子猫は可愛かったなとか、撫でさせて貰えばよかったなとか。 そんなことをとりとめとなく考えているうちに、三神家から嫁いだ末の妹は九朗の手が届かぬところまで距離を取っていた。 左手は結婚指輪があるから、これ以上は要らないわ。 残った指輪は神楽を舞った子たちに、優しい伯父さんからお土産だと言って渡してくるわと。 そんなことを言う妹は、それでも右手の五指を彩るリングキャンディを嫌がりはせず。 子供の頃の約束を今になって思い出した兄に、娘のような顔で「ありがとう」と言った。] (34) 2022/04/16(Sat) 23:06:23 |
【人】 九朗どういたしまして。 [そう言って見送った九朗の手には、行き場を無くした紅色の飴。 一二三がどうするんだと横から問うので、要ります?と尋ね返す九朗。 それに一二三は「いらんいらん」と、猫の子を追い払うようにしっしと手をやるものだから、その手を掴んで無理やり押し付けた。 とはいえ元は子供用の玩具。 大人とはいえ妹の指には何事もなく収まったが、節くれだった一二三の指では第二関節よりも手前で止まってしまった。 なにをしやがると怖い顔で唸る一二三に飴を突き返される前にと、九朗の方もひらりとその場から席を立ち。] ほら。 早く兎の縫いぐるみに似合う色紐を買いに行きましょう。 [祭りに来た本来の目的を、ようやく口にしたのだった。*] (35) 2022/04/16(Sat) 23:06:34 |
天のお告げ(村建て人)[鉄と鋼。 規則的に回り動き続ける歯車や螺子が 島の多くを占めるが故に、 桑染めや芝翫茶色が島の半数を彩る榛名。 灰や煤で濁っているわけではないが、 春の空は数日前と変わらず、薄く、淡く、高く、遠く ―――― 広大な砂漠の外海と榛名を繋ぐ港には、 外からやって来た船と、 これから外へ旅立つ船が居並んでいた。 その中には気風のいい女傑と、 その人が船長を務める商船もあっただろうか。 船は積み荷を降ろし、新たな荷を積んで。 客船は人を運び、また新たな島を目指して 魚竜が泳ぐ砂漠の海を渡ってゆく。] (#1) 2022/04/16(Sat) 23:51:42 |
天のお告げ(村建て人)[三日間人々の視線を集め、 目と耳を楽しませた狐の面も、 祭りで賑わう桜の木の下でなければ 子連れの旅人にしか見えず。 出港間際の客船へ文字通り飛び乗った若者が、 小型の魚竜と遭遇した戦闘のどさくさに紛れて 別の船へ飛び乗ったとかいないとか。 或いは故郷の島へ帰る才媛に、 物売りが売れ残りだが買っちゃくれないかと 狐の絵が描かれた和傘をひとつ 広げて見せたかもしれない。 祭りは終わり、島の桜も、神社の桜も、 薄紅の花弁を風に舞わせて散らし逝く。 その花弁の一つが子猫の鼻をくすぐれば ご隠居は白い体毛に映える薄紅をそっとつまんで 今日も子猫の成長に眦を綻ばせていただろうか? 子猫が成猫になるように… 季節がいくつか巡れば、 船から陸へ河岸を変えた男の元にも 長かった春がひとつの実りを迎えることだろう。] (#2) 2022/04/16(Sat) 23:58:48 |
天のお告げ(村建て人)[そんな彼ら、彼女らを見送る港の声。 或いは島民たちが、 何度も聞いた人そっくりな女性の声。] 長らくの船旅、お疲れさまでした。 旅籠、食事処など、 商業地区へお越しのお客様は弐番ホームへ。 職人組合、職人街へ御用のお客様は 肆番ホームへお越しください。 領主館へ御用のお客様は 壱番ホームからゴンドラにお乗りください。 今日、明日の榛名の天気は晴れ。 西方へ向かう蒸気帆船にお乗りのお客様は 強風と時化にご注意ください。 それでは皆様、 ようこそEK参号-榛名へ。 よい一日をお過ごしください。 そして行ってらっしゃいませ。 東海地方 金剛型参号 榛名は 再びの皆様のお越しをお待ち申し上げております。* (#3) 2022/04/16(Sat) 23:59:37 |
【人】 九朗嗚呼、今年もいい桜でしたね。 [縁側で日本酒の満ちた猪口を傾けながら、九朗は夜の桜と浮かぶ月を見上げて酒気を含んだ吐息をほぅ…と吐いた。 その隣ではいい感じに酔いのまわった一二三が、ふたつの脚で軽く胡坐をかいていた。 嗚呼、いい桜だったと相槌を打てば、一二三の猪口にふわりと花弁が着地する。 それを粋だなんだと笑みを浮かべて、喉をそらしてぐいと煽った。]** (36) 2022/04/16(Sat) 23:59:59 |
【人】 澤邑[ こゆきはちょうど毛繕いが終わったのか隣に座ると動きをやめてこちらを眺めている。それからおもむろに膝の上に乗ると、香箱を作って丸くなってしまった。 ちょうど良い座布団が来たとでも思っているのかもしれない。 老眼鏡をかけて本を開いた。 春先の気候に膝の上が暖かくて良い。**] (38) 2022/04/17(Sun) 7:59:46 |
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