81 【身内】三途病院連続殺人事件【R18G】
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| (t7) 2021/07/05(Mon) 18:44:10 |
| タマオは、雑巾をいっぱいに入れて戻って来れば、こう、がんばって鍵を開けて部屋に入った。 (t8) 2021/07/05(Mon) 18:44:22 |
| (t9) 2021/07/05(Mon) 18:44:35 |
| (t10) 2021/07/05(Mon) 18:45:40 |
| タマオは、雨漏り箇所の下にバケツを置き、床の水を掃除した。 (t11) 2021/07/05(Mon) 18:48:19 |
薄暗い手術室の中で、照らされる照明が嫌に眩しい。
メイジは泣き腫らした目を細めた。
かつて"友達"と呼んだ──本当にそう思っていた。
それを目の前にして、息を呑む。
もう、動くことはない、声を聞くこともできない。
「……これ、本当に死んでるんだ………」
布がかけられた顔を一瞥して、ぽつりと零れる言葉。
そう思うと、夏だというのに悪寒がした。
死体を見ると恐怖を感じる。
自分の死を連想させるから──
やっぱり、自分は死にたくないんだ。
説明を聞きながら、刃物が肌に食い込むのを顔を顰めて見た。
思わず目を逸らしそうになったのを堪える。
ちゃんと見ていなければ、覚えられない。
「……っ……」
血の臭いが鼻孔を刺激する。
一度口元を押さえたが、震える手を押し殺してメスを握る。
「……オレだって……やってやる……」
そうして、ふいに触れた手は、まだあたたかくて苦しくなる。
照明に反射し、きらめく刃物を意を消して見つめ
そして、肌に当てる──見様見真似だった。
「……、……ごめん」
メイジは思い出す。刃物が人に食い込む時の感触を。
メイジは、覚える。人を切る時の感触を。
「ねえ、これって、どの部分を食べるの……」
バラバラになっていくのを見つめながら尋ねる。
以前やった時は、もう食肉としか見えなかったし
どの部分かも聞く余裕もなかった。
| >>1 フジノ 「……ねえ、フジノ…」 メイジは今日も、静かに座っているあなたに声をかけた。 以前遊んだ時よりも少しだけ疲れた顔をしている。 お腹がすいているだけかもしれない。 「なんか、あっちのほうから匂いしてくるよ…… もしかしたら、食料配ってるのかも……行かないの?」 メイジは"肉"が焼かれてる。調理場の方向を一瞥した。 (12) 2021/07/05(Mon) 20:02:29 |
| タマオは、二階の部屋を順繰りにすり抜けていった。雨漏りの確認だ。 (t12) 2021/07/05(Mon) 20:16:50 |
| (a2) 2021/07/05(Mon) 20:37:22 |
「概ね食べられます。
しかし内臓は傷みやすいので今回は避けます。
……申し訳ないですけれど」
手足を切り終えれば、後は胴体を残すのみとなる。
胸にメスを入れようとして、ぴたりと手を止める。
特に吐く人間が多い段階であることを、思い出したからだった。
「ここから先は他の動物と似てますね。
骨を折るようにして広げて、臓器を取り出して、」
どうせ吐いた所で、胃は空だろう。
……むしろ、そうしてほしかった。
そしてここから逃げ出してほしいと、未だに思っている。
胸の皮膚を切ると、血だらけの手で包丁に持ち替えた。
包丁で狙いを定め、肋骨を折るように切っていく。
……たとえ貴方が吐いたとしても、泣いたとしても、
手を休めることはないだろう。
「……っ、」
両開き戸を開けるように、力を込めて肋骨を開いた。
内臓を取り出し、バケツに落としていく。
暫くすれば、以前貴方が見たような──食肉の姿になる。
| タマオは、相も変わらずの無表情だが、雰囲気は分かり易い方だと自負している。 (t13) 2021/07/05(Mon) 21:57:25 |
「…………………」
肉が引き裂かれ、骨が砕かれる音。怖い。
取り出される真っ赤な内臓。気持ち悪い。
そこにあるのはもうただの肉塊。変わり果てた姿。
罪悪感よりもなによりも、本能的な恐怖が襲う。
頭から血の気が引いていく。足元がふらついた。
「………………うっ……」
最後まで黙って見ていたが
悲鳴を上げるみたいに、がしゃんと金属音がした。
メイジがぶつかって、器具か何かを落とした音だ。
「………うぐ……ぇ………げほっ、げほ………」
ついに胃から込み上げてくるのを押さえきれず、吐いた。
出てくるのはほとんど胃液だけだった。
金属音に一瞬手を止めるが──、直ぐに再開する。
作業が残っていれば、無理にでも手伝おうとするだろう。
そう考えて後の作業を急いだ。
「……慣れちゃだめですからね、こんなものに」
皮を剥ぐ。骨を外す。脂を削ぐ。
「今の気持ちを忘れないでください。
でもこの景色は忘れるように、努めてください」
白衣は袖口を中心に、真っ赤に染まっている。
なるべく何も考えないように、無心で手を動かした。
粗方終えてしまうと、大きなブリキのバケツを取り出した。
蓋を開けて、骨や内臓を中に入れていく。
「…………ごめんなさい、」
生首の耳元で、小さく呟いた。
それを白いシーツでそっと包み、
名残惜しそうに、バケツの中へゆっくりと置く。
蓋をしてしまえば、贄川涼という子供だと判断できる物はもう見えなくなってしまった。
……残す作業は、
隠蔽
掃除ぐらいだろう。
| >>4 ミロク 「……げーむ?」 貴方を見上げ、包みを受け取る。 そして囁きを聞き……こくりと、頷いた。 「……わかりました。 じゃあ、隠してくる。 ……ここで待ってても、別の事してても、いいから」 少し時間がかかる、という事らしい。 包みを抱え、フジノは暫し姿を消した。 ―――そして、フジノは貴方の所へ戻ってきた。 髪は濡れ、乱雑に拭いた跡を残している。 服は先ほどと変わらないが、肌が湿っていたのか少しだけ張り付いていた。 「……お待たせ。 なんの、話をするの?」 張り付いた髪をひと房、耳にかけて。 フジノは貴方を見た。 (13) 2021/07/05(Mon) 23:50:23 |
| フジノは、扉を二度開けた。風の吹き込む音が、二度した。 (a3) 2021/07/05(Mon) 23:52:53 |
「……っ……
くそ……
」
メイジは何かを振り払うように、一度大きく息を吐く。
青白い顔をぶんぶんと振って、立ち上がると
自分で落とした器具や、床を片付け始めた。
こんな悪夢のような光景、忘れられそうもないと思った。
「セナさんは……馴れちゃったの……?」
生首がシーツで包まれていくのを、
名残惜しそうなその横顔を、ただ無表情で見つめる。
前の誰かも、こうして隠されているのだろうか。
「馴れたというよりは、馴らしたというか。
その為に医者を目指しました」
それはあの客人に問われたものの、答えられなかった“理由”だ。
簡素な戸棚、その一番下を開ける。
同じような作りのバケツが、もうひとつあった。
「僕は忘れられなかったので、
この光景を日常にしようと思ったんです。
そうすれば、悪夢ではなくなるでしょうから」
眠る赤子を起こしてしまわないように。
そんな手付きで、優しく、隣に新たなバケツを置いた。
ゆっくりと戸を閉めれば、手術台の血や脂を丁寧に拭き取っていく。
「……今日の所はこれくらいにしましょう。
ここから先は先日もやりましたから、
見なくてもわかるでしょうし。切って糸を通すだけです」
| >>12 メイジ 「なに?……え、と。大丈夫?」 どこか疲れきっている貴方を見て、少し眉を寄せた。 空腹のせいだろうか? ……自分に分けたから、足りてないのだろうか? ぎゅっと手を握り締めた。 「……そう、だね。ご飯、見つかったのかな」 調理場を見る。 ……この匂いに釣られて、姿が見えない人々も来てくれればいいのだけど。 「……行って、みようかな。 メイジも、行く?」 見上げて、そう尋ねた。 (14) 2021/07/06(Tue) 0:29:32 |
──少年は、生きていた頃のようにセナハラの後ろをペタペタ歩く。
誰かと会話して立ち止まってる時も、"調理"をしている時も。
「………」
少年はただ……彼の傍に居る。
| (t14) 2021/07/06(Tue) 2:08:00 |
| タマオは、それはそれとして雨漏りがないことを確認した。 (t15) 2021/07/06(Tue) 2:08:38 |
| (t16) 2021/07/06(Tue) 4:36:04 |
| (t17) 2021/07/06(Tue) 4:36:20 |
| (t18) 2021/07/06(Tue) 4:36:34 |
| >>+7 男は霊的な存在を知覚できない。 貴方がいることも知らず、“贄川涼”のカルテを眺めていた。 生きてさえいれば、可能性はあった筈だ。 その可能性を手折ったのは、自分だ。 共犯者を唆したのも、自分だ。 (15) 2021/07/06(Tue) 10:34:59 |
| (a4) 2021/07/06(Tue) 10:37:30 |
| セナハラは、麻酔と縫合道具が見当たらないことに気付いた。 (a5) 2021/07/06(Tue) 10:38:04 |
| (a6) 2021/07/06(Tue) 10:40:34 |
自分のカルテをみている貴方に薄く微笑んだ。
いつものように袖を控えめに摘む。
「うん、わかった」
淡々と頷く。──メイジは、逃げ出したかった。
逃げ出したかったけれど、足は動かなかった。
──死んでしまったほうが楽なのではないか。
ニエカワが死ぬのを見て、過った。
彼は嘘つきの自分を恨んでるだろうか。
けれど本能は──赤く脈打つ鼓動は生きたいと叫んでいる。
辛いことばかりだというのに
まだ生きたいと思う自分がわからなかった。
「……、……ありがとう、セナさん」
あなたが医者になった理由を聞いた。
何かを言いかけた口をつぐんだ。
メイジはふいに、少し眉を下げて笑う。
「忘れられなくて医者になったのに
こんなことになったのに……
オレたちのこと、助けてくれようとしてくれて」
メイジは、ひそかに拳を握る。
「こんな状況で言うのはおかしいかもしれない。
でも……オレさ、嬉しかったよ。優しくしてくれて」
| >>+8誰かが触れた気がして、振り返る。 ……誰もいない。 風かとも思ったが、窓は閉め切っている筈だ。 「……」 不自然に消えた道具を確認すれば、宿直室へ向かった。 (16) 2021/07/06(Tue) 12:17:17 |
袖を摘まんだまま、宿直室へついていく。
その足取りは軽い。
──ペタペタ……ペタペタ……
霊感のない貴方には聞こえないかもしれないが、
貴方の足音に重なるようにもう一つの足音が聞こえる者もいるかもしれない。
| >>14 フジノ 「……大丈夫。さっき……動き回ったから疲れたのかも。 フジノのせいじゃないからね!」 眉を寄せた面持ちに何かを察したのか ただの偶然か、そう言って、へらりと笑う。 「オレは──……うん、行こうかな。」 少し考える素振りを見せてから、頷く。 腹が減ってるのは事実だ。一緒に調理室へ向かう。 (17) 2021/07/06(Tue) 13:10:41 |
「……、……感謝されるような事ではないですよ。
何て物を食わせたんだ、と怒る人もいるでしょう」
吊るされていた干し肉を下ろし、糸を外していく。
先日作った彼女の肉が、白い皿に盛られていった。
そして新たな肉を薄く切り、糸を通し、塩と胡椒を塗し、吊るしていく。
「優しい大人はこんな事を──……いや、」
自分に生きる術を教えた父は、優しかった。
優しい大人だと、今でも思っている。
「……うん。ありがとう、ございます」
貴方がそんなつもりで言ったのではないとわかっているが、
それでも、自身の父親を認められたような気がした。
「メイジくん。きみはきっと、優しい父親になれます」
「宿直室に、手紙を置いておきます。
……封は開けちゃだめですよ。
それをここから出たとき、外の大人に渡してください」
手術台の照明を消した。
赤黒い肉が乗る皿を持ち、扉へ向かう。
「……いいよ。周りにどんな目で見られても
オレは絶対、セナさんが優しいって言い続けるから」
あなたが死んでもメイジに賛同し続けると言ってくれたように。
人を殺し、今日も肉を切り刻んだ、全て自分の為にやった。
責められるのも、恨まれるのも、蔑まれるのも慣れてる。
「あはは……オレが父親か。なれたらいいね」
そんな、来るかもわからない遠い未来の話に
すこしだけ思いを馳せた。まだなにも見えない。
「手紙? ……うん、わかった」
なんの手紙だろう。少しひっかかるが
言及することはせず、素直に頷いた。
あなたの背を見送る。
| >>+9宿直室の扉を開き、乱雑に靴を脱いで畳に上がった。 紙と封筒、そして古い万年筆を取り出し、卓袱台に置く。 「……ふぅ」 長く息を吐いた。 久々に使う為か、それとも古いからか。 ペン先は少し錆びていた。 『此手紙を讀んだ方へ』 慣れない万年筆で綴っていく。 (18) 2021/07/06(Tue) 18:06:13 |
| >>18……文末に自身の名前を書き加えた。 親から貰ったものはこの名前と、この身体だけだ。 封筒に入れ、蓋を糊で閉じる。 その封筒を卓袱台の中央に置き、宿直室を後にした。 ──囁かれた言葉も知らぬまま。 (19) 2021/07/06(Tue) 19:58:01 |
| >>17 メイジ 「……そう。あの、ね。 私に、できる事があったら、言って、ね」 貰いっぱなしになりたくないから、と口にして。 連れ立って調理室へ向かっただろう。 ……調理室へたどり着いた時、肉はまだ焼いている最中だっただろうか? 何の肉かもわからぬ塊を。 漂う肉の香りを。 フジノは入口付近で止まり、見つめていただろう。 (20) 2021/07/06(Tue) 20:55:16 |
| >>10 【肉】 「そうかい。そいつはご苦労さん」 皿に並んだ肉を見て、キュルリと腹の虫が鳴く。 紛らわす為、思考を巡らす。それでまた腹が減る悪循環。 薄さの違う肉。不揃いの断面。 ワザと切り方を変えているのだろうかと、考えた。 (21) 2021/07/06(Tue) 20:55:32 |
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