79 【身内】初めてを溟渤の片隅に【R18】
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っ、ぁ……
[ 動き始めたけれども、彼女の中はまだ
異質なものを完全には受け入れていなくて
少し慣れたとはいえ一回一回のストロークが
ぎこちなさを覚えてしまった。
けれども、彼女の聞かせてくれる声が
段々と柔らかくなるのと同じように
中も柔らかく、彼を受け入れてくれ、
気持ちよさに拍車がかかってきた。 ]
………俺色に染まってくれるん?
嬉しいわぁ…今日から少しずつ、
俺の好きなこと覚えてくれる?
[ 彼女の些細でもない大切な一言に、
彼は笑みを浮かべてみせた。
それは、次回への布石。
今日はまず
『大切な人と肌を合わせることが好き』
を覚えてもらうことで、終わらせようと
彼はこのとき心に決めて、
我慢ができなくなってきたので
徐々に今までよりも腰を動かすスピードが上がり
彼女に気を止められなくなって気がした。 ]
そろそろ、きそう……
俺のこと、受け止めてくれる?
*
[ 彼が我慢しているともしわかれば
我慢しないで、と言ってしまったのだろうけれど。
余裕なんてなかった私は、
我慢しているとか焦っているとか
そんなことは全くわかっていなかった。 ]
[ 時々聞こえてくる吐息から
潤さんも気持ちいいのかな、なんて考えて
うれしくなって。
二人で気持ち良くなることがどれだけ幸せか
彼が動くたびにその身に刻んでいった。 ]
好きな、こと?
潤さんがよろこぶことなら、
なんでも覚えたい……
たくさん、おしえて…?
[ ふわっと微笑んで、知らないことを
もっと教えてもらおうとお願いすれば
彼の動きははやくなっていく。 ]
きそ う…?
うん、受けとめる……
すき、だいすき…!
[ 潤さんの言葉が何を指すのか
頭ではわかっていないのに、
体の方はわかっていると言わんばかりに
蜜を溢れさせて、彼に絡みつく。
目を合わせて、
この行為も、潤さんのことも
全部好き、と伝えたくて言葉にしたけれど
言葉足らずだから伝わったかどうかは
私にはわからなかった。 ]*
[いい身体だと、雨宮は褒めてくれるけれど
自分ではそうでもないと思っているし、
別に鍛えてるわけでもない。
背が高いだけ、雨宮より食ってるから、
厚みがあるだけの、つまらない身体。
けれど、彼が褒めてくれるから。]
───好きだろ?
[なんて調子に乗った問いかけもしてしまうのだ。
何度も角度を変え、深さを変えて繰り返す
口づけに、互いの唾液と呼吸を混ぜ合わせれば
半ば性急にそのデニムを引き下ろして、
軽く撫ぜながら、準備を進めていく。
嬌声が上がるたびに、ずく、と下腹部に
熱が溜まるのがわかる。]
[手慣れていると言われたならば、
気のせいだろうと笑って返す。
本当に、使うのは初めてなのだ。
───とはいえ、繋がりたいと思って、
その手のサイトで調べていたから。
ローションは手のひらで温めてから、というのも
そこで得た知識のひとつだった。
滑りを塗りこめながら、指を軽く埋める。
彼が奥歯を噛み締めて耐えているのが
わかればこまったように眉尻を下げて]
…気持ち悪い?
[と問いかけをした。
それでも、健気に返ってくる答えに、
一瞬手を止めて、唇を寄せ、キスをしようと。
できるならば、口づけを繰り返して、
歯を強く噛み締めぬよう、解いて。
その声と表情を見ながら、少しでも、
快感を拾ってほしいと願いながら。]
っん、 あま、みや、
[合間、吐息まじりに名前を呼ぶ。
答えの前に塞いで、少しだけ指を進める。
頑なだったそこも、徐々にほぐれていけば、
第一関節までを埋めた。
そのままくちくちと広げるように動かしつつ、
さらに第二関節も埋めようと奥へ。
さて、どこだろうか、と探る。
もちろん、探すのは───前立腺。
もうすこし奥に進めて。ゆっくり続いた場所に
彼の背が跳ねるならば、口端を上げて。]
───ここ、すきなんだ?
[と意地悪く目を細めた。
否定されようと、肯定されようと、
そこをぐり、と撫でて。]*
[ そんなことないってお前が思ってても。
広い胸板、適度に肉がついて、厚みがあって。
健康的にしっとり水分を含んだ綺麗な肌で。
問いかけに、眉をちょっと上げてにやと笑った。]
─── 好きだよ
[ ほんとにこんなところに触れられて
解されるなんて、好きな奴にじゃないと
一億もらっても無理だと改めて思った。
張り詰めた全身をぞわぞわと虫が這うように
違和感が絶え間なく伝う。 ]
…… っ、良く、は、ねぇ、……な、
[ 困ったように眉根を寄せて問いかける瞳に、
顔を覆ったまま答えた。
ちょっと笑ったつもりだったけれど、
上手く出来ていたかは分からない。
それでも己の口から続けて出たのは、
彼の全てを肯定する言葉だった。 ]
[ 唇が降る。名前を呼ぶ声。
不快感に耐えて歯を、唇を、噛み締めることが
出来なくなって、身体が震えた。
答える口を塞いで宥めるように贈られる口付けに
神経をぜんぶ委ねられたらいいのに、と思った。
ローションの助けと彼の口付けで、
少しずつ指が埋まっていくのがわかる。
痛みはさほどでもなくて、それでも異物感と
圧迫感が酷い。 ]
……ッは、ァッ……
[ 大きく息を繰り返し吐いて、耐える。
苦しい顔は見せたくない。
そう思うのに、いつもはあまりかかない汗が
じっとりと全身に吹き出して、重い。 ]
[ ずっ、と深さを増した指が、そこを広げるように動く。
ぐちぐちと鳴る音が、耳を塞ぎたくなるほど卑猥で
頭が焼き切れて溶けてしまいそう。 ]
っ ぁ゛…ッ!!
[ 探るように蠢く指が、ある一点を掠めて
身体がばん、と跳ねた。
性器を直接刺激されるのとは違う、
脳髄に直接電気を流されたような。 ]
─── ぅ、あっ、それ、やめ、っんんん!
[ 伸ばしていた膝が曲がる。
後頭部をシーツに押し付けるように背が撓る。
前立腺、という名前も、そこを刺激することも、
調べていく中で知識としてはあった。
けれどこんな、迫り上がるような刺激だとは知らない。
異物感に萎えかけていた雄に
一気に血液が流れ込むなんてことも、知らない。 ]
す、きじゃ、 ッ、 ねぇっ、
っんん、ううッ─── !
[ ごり、と撫でられるたびに閉じられない口から
声と、飲み込めない唾液が溢れる。
そんなに簡単に見つけられるとも思ってなかった、
得られると思ってもなかった、
過ぎるほど強烈な、これは確かに快感の種類で。
はっ、はっ、と短い息で全身を震わせながら、
どうにかやり過ごそうとした。
ぎり、と、握った拳の中、短いはずの爪が刺さる。 ]
[ 眇めた瞳で、縋るように見やった矢川の顔は、
─── 意地悪く笑んでいて。
楽しそうな表情に、一層ぞくりと走る。
恐怖と、快感と、被虐心に似たなにか。 ]
きっつ、それ……むり、やばい、
耐えんの、しんどくて、
─── お前の、欲しくなる、
[ 譫言みたいに勝手に口をついて出てくる言葉。
声は、熱を帯びて、少し掠れて。 ]*
[調子に乗って言ったのに、素直に返されれば
今度はなんだか照れてしまって、
困ったように笑いかけた。
正直、負担をかけている自覚はある。
間違いなく、苦しめている、自覚は、ある。
それでも、濁った声をこぼしながらでも、
息を吐きながら受け入れてくれる様は、
どうしようもなく愛おしくて。
はやく、見つけて良くなってほしい。
苦しみがすこしでも、和らぐように───
この行為が、彼にとって心地よいものに、
いい思い出の一つとして、きざまれるように。]
[だから、その体が大きく跳ねた時、
思わずこくりと唾を飲み込み、それから
ふ、と目を細めて、口端をあげたのだ。
好きなんだ、と問い掛ければ、否定が返ってくる。
裏腹に、素直に反応する中は指を
ぐぐ、と締め付けて、離そうとしない。]
だけど…中は、よさそうだよ?
[とすこしばかり意地悪に首を傾げれば、
もう一度、そこをぐり、と刺激した。
視界に入った胸の飾りに視線を落とし、
そっとそれに向かって舌を伸ばせば、
ちろ、と舐めて。そのまま柔く舌と上唇で食む。
同時に中をほぐすのは、続けて。
びくびくと跳ねる体を、しっとりと汗ばむ様子を
愉しげに見ながら、反応を確かめていれば、
揺れる視線とかち合った。
唇が動くのが、見える。]
───
[譫語みたいに、掠れた声が響く。
半ば乱れた息遣いに、ぺろりと舌なめずりして、
飲み込んで、息を深く吐いた。]
…っ…まって、もうすこし解させて。
…今のまま、挿れたら怪我させそう。
[そう告げて、指をもういっぽん増やす。
菊口を広げるようにくぱくぱと動かして、
また、蕾を愛撫していけば、ベッドに着いた手で、
彼の髪を優しく撫でる。
なかをほぐす指が気持ちいい。
内壁の柔らかさ、体温、ぐちゅぐちゅと
響く水音と、愛しい人の嬌声。
痛いほど、興奮で猛りに血が集まるのがわかる。
それでも、もうすこし、もうすこし、と
指が3本入るようになるまで、我慢して。]
[しばらく。
ぢゅぷ、という音と共に引き抜いた指が、
水分でふやけて皺になっていた。]
は、 っ…雨宮、大丈夫…?
[そう柔く微笑みかけて、汗で張り付いた
彼の髪をそっと避ける。
勃ち上がった形がわかるほどに、
大きくなった自身をそっと開放して、息を吐く。]
………まだほしいって、
おもってくれる?
[と笑んで、ゴムの袋を手にとれば、
封を切る。先端から被せて下ろしていけば、
すっかり緩みきったそこに、ひたあてて。
ちゅ、と額にキスをした。]*
─── だっ、から、そういうこ、と、
……ッんんぅ!
[ 身体が勝手に収縮するから、連動して中も
締まるのだろうか。
とにかく自分で意識して締め付けているつもりは
毛頭ないので、首を傾げて愉しげに告げられる言葉に
顔から火が出そうで、それに加えて確実に
ぞくりと欲が走る。
優しく穏やかな中に時折ちらりと顔を覗かせる、
捕食者のそれ。
そんな性癖はないと思っているのに
いとも簡単に煽られる被虐心。
胸の頂を喰まれれば顎が上がる。
身を捩って避けようとすれば、後ろで解し続ける
指の位置が変わってしまうから、
また口から喘ぐような声が漏れた。]
[ 中のしこりを刺激され解され、胸まで愛撫され、
さっきまで異物感に萎えそうだった茎は
完全に勃ち上がり、先端からは透明な液体が滲んで
つうと伝い腹を濡らす。
不快感が上書きされていく気はする。
それでも達してしまうまでの快感には至らなくて
中から責めたてられる未経験の刺激に耐えるのは
きつくて、苦しいほど焦れる。
もういい、早く、と思うのに、
それはまだ許されなくて。
今更怪我のひとつくらい増えたって構わねえ、と
口にするより先に中を蠢く指が増えた。 ]
[ 増した圧迫感に顔が歪む。
髪を撫でる手つきに呻き声を噛み殺しながら。
どうしても触れたくて彼の下半身に
そっと手を伸ばした。
指が中を解す動きを息を吐いて逃して、
ふり払われなければ震える手で
その張り詰めた猛りを下から撫で摩るように扱こうと。]
[ さすがに指が三本になればそんな余裕は
無くなって、少しずつ慣れてきたはずの
圧迫感と異物感に痛みが加わる。 ]
っい゛…ッ!!─── ぅ、っ
[ 確かにそこに痛みはあるのに性器の先端からは
だらだらと滴が溢れていく。
指が中を這い回るたびにぐぢゅ、と酷く淫猥な水音が
響いて、理性が霞んで視界がぼやける。
どれくらい時間が経ったのか。
もう濡れているのが皮膚なのか、器官なのか、
内臓なのかわからなくなったころ。
音を立てて後孔から指が抜かれた。 ]
……へー、き、 だい、じょ、……ぶ、
[ 気遣う声に乱れた呼吸の隙間から言葉を絞り出す。
見上げる顔は柔く笑んでいて、
己も唇の端を上げようと努力はした。
前髪を避ける手つきに、それが重く感じるほどに
汗を含んでいるのだと気付く。
いつもは汗をかくことがない、
汗腺がどうにかなっているらしい左側まで
じっとりと濡れて。 ]
……ほしい、はやく
[ 張り詰めた屹立に彼がゴムを被せる
わずかな時間も惜しいくらい、
笑って問いかける声に食い気味で重ねた。]
[ 後孔にひたりと当てられる猛りの大きさに
息と唾液をこくりと飲み込んだ。
薄い膜を隔てても伝わる熱がずっ、と
押し入れられればひゅ、と喉が鳴いた。
息が詰まる。
指とは比べ物にならない質量が狭い隧道を
こじ開ける感覚。
全身がぞわりと毛羽立った。]
っ ん゛…ッ!!っ、は……ァ……
[ 後頭部がベッドにめり込む。
咄嗟に動かした右手の甲で口を覆う。
薄い皮膚と骨に、ぎり、と歯を立てた。
動きの鈍い左手の指が、信じられない力で
シーツを握った。 ]*
[ どうしようもなく、彼女が愛おしい。
だから、彼女の可愛い表情を
頭の中に刻み込んでしまいたかった。
それもあって、いたくゆっくりだったろう。
そのお陰で彼女には彼の焦りなども
そこまで伝わらず、終始彼のペースで
初体験が終われそうな気さえしてきた。 ]
なんでも、なんていうたら…
とんでもないことまで
美鶴さんに教えてしまいそうやわ…
[ だから、ダメだよなんて余裕のない彼女に
小さな声で語りかけた。
勿論、彼に取っては嬉しいけれど
言った通り、とんでもないことまで
教えてしまったら彼女という人を
変えてしまいそうな気さえして。 ]
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