人狼物語 三日月国


98 【身内】狂花監獄BarreNwort【R18G】

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「――――――……」

言葉にできない遠吠えを発する。
戦闘の中で、対話の果てに、己の在り方を見失い。
独りはぐれた狼が、声なき声で鳴く。

ここにいるのだと。私を見つけてほしいと。
離れていてもそばに在ると知っていて、それでも求めてしまいたくなるほどの痛みに狼は鳴いた。

ああ、けれど。
こんな自分を見ないでほしいから。
どうか君は、君の役目を。

アマノ

「何故捨てるだと?」

 男は顔色を変えない。声色を変えない。
 機械人形めいた様子のまま飛び退き、迎撃の姿勢に移る。

「楽だから」

 銃が吠える。けれど紅色はターコイズと交わらない。弾丸では捕らえられないと理解して、再び銃を納めて刀を持ち直す……はずだったのだが。

 ──多分、刀でも駄目だ。

「アマノ、勘違いしているようだから教えよう。
 俺はただ、愛したいだけなんだ。ただ愛でたいだけなんだ。

 傷をつけたい訳じゃない。壊したい訳じゃない。ただ、静かに愛するものを愛したいだけだった。
 罪を犯してそちらに逃げる理由がないんだよ。少数の世界に行けば生きやすいかと思ったけど……そこでも受け入れられる訳じゃないというのは、もう学んだ」

 刀すらも鞘にしまう。所持しているだけで得物は駆動し、男の能力操作を補助しているから決して無意味では無いのだが。得意な武器の使用を放棄したのは確かだ。

 両手を空ける。拳を握って、構え直すけれど──男は貴方の一撃を、避けずに受け止めた。

「……ッ、げほッ、ゔ、ぇ…………、

 …………アマノ、もういいよ。
 もう、面倒で……疲れたんだ」

 体に打ち込まれる拳を、両腕で絡め取ろうとする。もし叶うのなら、足と足の間に自分の足を割り込ませて動きをなるべく封じようとするだろう。

>>チャンドラ

「──チャンドラ様。トラヴィス様を抑えていただいているところ恐縮ですが。
 
俺ごと、アマノを攻撃することは可能ですか?


それがダメなら……俺が血を流すくらいの傷を、俺にいただけませんか」

ダビーの言葉を部屋の外で聞いて、…………。

その諦観とよく似たものを知っている。

誰かを一瞬思い出した。

一欠片ほど思考した。ああ、少し前に俺を殺した相手は、こんな気持ちで死にたがったのかな。

きっと。
トラヴィスに何かされたと、形勢が変わったとわかった時には。
羽に触っていた者を静かに振り切ってキンウは動いていた。
止められても、キンウはそうしていた。

「ーーーチャンドラ様。トラヴィス様はキンウが」

だからあちらに集中してくださいと。
………どちらもこれ以上傷付かないようにと。

キンウは祈らない
キンウはただ願う

『――――――……』


キンウは発言権を喪失している。
それでもまだ聞くことはできる。
だから、囁くような泣くような声に対して
遠吠え
を一度。

いつもの
真似っことは違い、それは頭に響く。そして、
『止まれ』
という命令付きだ。
……きっと、警戒しているだろう天使の名を騙る相手に対しては、一瞬足を止める程度にしかならないのだろうけど。

『トラヴィス様』「トラヴィス様」

唇が動く。
頭の中に声が響く。

朱の混じった黒檀が墓守を映す。

『能力の行使をお止めなさい。「耐えてくださいね」抗いなさい。私の声だけを聞いてください』

傷跡の残る手が、細い指が、トラヴィスの手を握った。

メモを貼った。

トラヴィスの手を取ったまま周囲へ視線を戻した。

自身の声がよく通る事を理解している。

【人】 知能犯 ルヴァ

>>119 >>+42 >>122 >>126 トレーニングルーム

一つめの認識へ。少年は拘束に抵抗しようと身体への操作を出したが、効果はなかった。少年にもあなたの同僚にも抵抗できるだけの力は存在しない。

だから『私』への2人目の操作者が現れたとき、操作を断念した。そこに集中していても事態は動かない、効果は得られないだろうから、断念した。


次の認識へ。協力者は暴走したなと推測した。視界の二番目に近くで起こる事象についてそう認識した。
総合して、攻撃は避けてくれないと推測した。

アマノから離れてでも己の安全を確保する。端末も、少年も、軌道が読みやすいだろう使い捨ての餌食にはならなかったが、その直ぐ側に置き去りにされた『あーちゃん』が消えた。

少年は気にしない。あれは監獄で作られたものだ。白痴だけが惑わされる偽物でしかない。だから放棄した。他の人が気にすれば尚更いい。
(128) 2021/10/12(Tue) 10:46:16

【人】 知能犯 ルヴァ

次の認識への対処。チャンドラの次の攻撃。

アマノは避けてくれないのだろうなと知った。端末よりも優先すべき事項となった。

端末の操作が止まる。

少年は戦闘訓練を受けていないし、此処の誰よりも戦闘に対して心得がないだろう。
だから知識だけで操作する。『協力者にならなかった人間』から唯一得られた武器。

拳銃を。特に変哲のない拳銃を。できるだけ早く、正確に。服の下より取り出して操作する。顔は笑顔に維持したまま。

>>123
狙いはチャンドラ。重力操作が出来るあなたにとって、この武器が2度効くものでも、1度すら効果があるか怪しい物でもでもあることを認識している。それでも手札は既にこれしかないことを少年は認識している。

端末から完全に手を離してでも両手で構え。

あなたの二人への攻撃に重ねるように、間に合うように引き金を引く。狙いは胴体、当てやすく、即死しない場所。
この拳銃を手渡してくれた手前、条件は出来るだけ違うつもりはないし反感は極力買うつもりはない。


あなたの攻撃を止められるのがベストだが、期待していない。出来ればあなたの能力の隙を突き、あなたに当たればいい。

それができなければ?いや、それが出来たとしても。

少年にこの状況を、その次の状況を打開する手段はもうない。
(129) 2021/10/12(Tue) 10:51:15
見ている。視ている。

チャンドラ様、と。短く警告した。キンウは死んで欲しく無い者の名に、貴方を挙げている。

 願いは届いた。
 胴体に走る衝撃に顔が歪む。続いて火を付けられたかのように痛みが肉体に燃え広がっていく。

 "すまない、ダビー"。

 男の声を拾う。
 目の前のターコイズが濁るのを見た。仄暗い色に、よくない熱が胸の中で育っていくのを自覚する。

 やっぱり、駄目なんだ。
 きっと正常な人間はここで貴方を慰めたりするのだろうか。共に悲しみに暮れて寄り添うのだろうか。
 ああ、でも、結局自分は歪んでいるのだと認識する。

 苦しむ貴方が、傷つく貴方が。たいへんに魅力的に見えて、美しいものに感じてしまって、狂おしいほどに愛おしくなってしまうのだ!

 己を殺すと言ったのに、内側から込み上げる甘やかな幸福に笑みが溢れそうになる。でも笑ってはいけない、けれどいつものように口元を手で隠すことも叶わない。必死に耐えなければ。

「……アマノ。違う。貴様が謝ることはない。
 謝るべきは、俺だ。だって、何故なら、元はと言えば──」

唇を震わせる。

囁く。
が生まれてきたのが間違いなんだ」

 だから、貴方は悪くないと。
 それが当然であるかのように言いながら。

 厚かましいと、そんな資格はないと知っていながら、腕を捉える手で貴方を優しく撫でて。
 男は、慰めるように優しく、そっと呟いた。

「《杭よ》」

 傷口から溢れ出す生命に告げる。
 赤い雫は呼応して、音もなく肉体を貫く杭へと姿を変える。

 狙う先は──自分と、相手。二人まとめて。

己諸共アマノを杭で貫いた。

 終わらない。

「もう一度」

 更に血が流れ出るように傷を作って、繰り返す。
 大地に撒き散らされた血に命じる。

己諸共アマノを杭で貫いた。

命の杭が、全てを穢す。


 晴れやかな空の青、爽やかな草の緑を、アマノのターコイズを。

 何もかもを、汚していく。

 まるで自分が許せないと言わんばかりに己の肉体諸共相手を貫く。串刺刑は執行される。

 失血してもいい量の血は既に失われた。自分はもう戦えないだろうから、託すならチャンドラか……止める義務などないけれど、巻き込んでしまうけれど、メサあたりだろうか。トラヴィスは、どうなのだろう。

 それは極力防ぎたいと、自分で終わりにしようと、知性の犯罪者の機械化した部位を中心に杭は伸びたことだろう。

【人】 知能犯 ルヴァ

>>130 チャンドラ 

当たったと認識できたのなら。2発。3発。4発。あなたが倒れるか、あなたが銃弾か、この行動を止めるまでは。

今しかない。きっとその判断はあなたにも伝わるだろう。
(132) 2021/10/12(Tue) 12:45:37
部屋の中、何が起きているのかは分かる。
遮るものの無い音は、明確に聞こえてくる。
謝罪の声も、肉を貫く鋭利な音も。

「……は、はは……」

力なく笑う。
ずるり、壁にもたれかかったまま崩れ落ちるように床に座る。

「余計な事したのは僕なのに。勝手に被害者ぶって、勝手に勘違いして、勝手に行動して。……」


持ちだした拳銃で、今すぐ自身のこの脳髄を撃ち抜きたいという衝動に駆られる。なんて自分勝手な考えだろう。

「情けねえ、なあ……」

キンウは、銃弾より遅い。
飛び出したチャンドラより早くない。

「……トラヴィス様」

ーーー彼は癒しの能力をチャンドラに使えるのだろうか?
チャンドラはそれを受け入れるのだろうか?
トラヴィスの力の代償はなんなのだろうか?

「チャンドラ様、」

わからない。
ただ名前を読んで、トラヴィスの手を握る。
こんなにも声は震えるものなのだと、キンウは初めて知った。

 ミズガネ
「…………、ミズガネ」

あなたはまだ、この不死兎の目に見える範囲に居ただろうか。
否、きっと居る事にして欲しい。不死兎はあなたが心配なのだ。
あなたを見つけてからは、位置を把握し続けていた。

「…………、よしよし」


不死兎は否定も肯定もしない。ただ寄り添うだけだ。
ただ傍に居よう。必要ならば頭を撫でる事も出来る。
大丈夫だとも、大丈夫じゃないとも、言いはしない。

ただ"存在している"、その"全て"を認めよう。

「…………、」

そして新たに分かった事もあるな。
不死兎は思考を止めない。

そして新たに疑問に思う事もあるな。
不死兎は思考を止めない。

ただ"存在している"、その"全て"の本質を見定めるために。

串刺刑の執行を、放たれる弾丸の行先を、ただ見守る。見守ることしかできない。ロボを抱えたままの両手が震える。

「……分からへん、分からへんよ」


ぽつり、と困惑の言葉をこぼす。
自らが傷つくこと。苦しむこと。殺されること。痛みをもって己の罪と向き合うこと。
それしか贖罪の方法を知らない囚人は、それを否定する者達が理解できない。

「こんな、いろんな人巻き込んで、怪我して、怪我さして……そうまでして、欲しいもんなんやろか」


ここまで暴れないと、手に入らないのだろうか。彼らが求めるものは。

アマノ

 男の叫びを浴びた。傷つけたのは自分なのに、苦しめたのは自分なのに、ああ、哀れで可愛らしいと思う。無表情の多かった貴方の剥き出しの感情が、愛おしくて仕方がない。

 杭の顕現は長くは持たなかった。二人を穿ち貫いていたそれは砂のように崩れて消えていく。
 支えの代わりにもなっていたであろうそれを失って、体の力も命ごと流れ出ていくけれど、それでも男はほんの少しだけ倒れまいと踏みとどまった。体を動かすのは最早意地だ、精神というあやふやな概念だ。

 目の前の男を抱き止めて、うつ伏せにならないよう寝かせるだろう。
 一つの動作を行うたびに、傷口が開いてあちこちから残りの血がとめどなく溢れ出したけど、もう何も感じることはなかった。

 ニア
青年は目の届く範囲にいるだろう。
耳のいいあなたには、もたれながら座る音も、小さく呟かれた声も、聞こえていただろうから。

「…………、」


彼はあなたを拒まない。
寄り添われ、撫でられると共に、認められると共に。
どうしようもない自罰的な衝動を、抑えようとする。

>>だれか、こえをひろってくれるひと

「……誰、か。誰か」

 声だってもうまともに出ない。それでも、出入り口にいる誰かに届いてほしいと願いながら血の気の引いた唇を震わせる。

「アマノを、頼む」

 囚人を管理するのは、看守の務めだ。役割は全うしなければならない。それだけだった。
 そうでなくてもこの囚人は色んな者と知り合いだろうから、きっと誰かが助けてくれるだろうけど。

 あとは……あとは、何が必要なのだったか。

 視界が暗い。やり残したことがあるなら、やらなければならないのに。
 かすみ始めた意識ではまだ思考できている、でいているような気がしていたけれど。

 新人看守の体はもう、血の海に沈んでいた。

 ミズガネ
「…………、
辛いな


不死兎にだって感情はある。
人が悲しむ姿を見れば悲しいと思うもの。
本心を全て汲み取れなくとも、考えた末に、同調する事は出来る。

それでも優しく撫でる事だけを選んだ。
それ以外を構築するべきは、きっとこの兎ではないから。

 ダビー
「…………、!」

そしてその不死兎は耳を立て続けている。
後輩を撫でて、一度抱きしめた後……
「少し待っててね、」と残し、その場を離れるだろう。

向かうは素直で律儀で真面目で、
己のやるべき事を果たそうとした、彼の元へ。

って思ったんだけど兎、非力だから……
男性二人を運び出すの、無理だと思った。今更だけど。

「誰か手を貸してくれる者は、居ないかい?」
「…………、なに、ちょっとした大掃除だよ」

周りに呼びかける。言いつつそれは……
トレーニングルームの中へと瞬時に、跳び翔けるのだが。

 トラヴィス
「生存競争……」

看守の言葉を繰り返す。
愚かな囚人には、美しく思慮深い墓守の思いを半分も汲み取ることはできなかっただろうが。
何を求めて、何故戦うのか。少しは理解できたような気がした。

「生きるために欲しいもんが違うから、取り合いになる。……それは、立場が違う人間がぶつかり合いになるんも、仕方ないんやろね。やって、そうせえへんと生きられへんのやから」

その言葉は直接看守に向けたものではないけれど、あなたの言葉を確かに聞いたという意思表示であった。

「…………、墓守、」

不死兎は、墓守を止めたりはしない。
噴き上がる感情、言葉、行動。
その全てを見届ける。疑問を抱く。
彼は今……"本当"は何を想っているのだろう?

否、この行動こそが、彼の"本当"の表れなのかも、と。

憶測は憶測でしかない。情報が足りない。
故に、墓守の鼓動、その行く先を。

紅水晶が、傍で見つめる。

「ダビーはん……!」


ごく小さな声で嘆くように呟くと、か弱い兎に手を貸そうと()駆け出しかけて。

墓守の気迫に怯んで()、半端なところで止まった。

何も返さない。先輩の思うまま体が揺れている。無事であってもそう受け入れていただろうけど。

ミンに向かって唇を動かした『ありがとう』、音には……今はしない。

【人】 知能犯 ルヴァ

「             」

少年は口を開く。唇を震わせる。
言の葉は紡がれない。

その前に夜の月が貴方がその首を、声帯ごと切り裂いたから。

少年は認識していた。あなたが此方に向かってくることも。

避ける力は少年には無かった。


重力のまま倒れる。同じく芝生に赤を作る。

血が身体から失われていく。指が、手足が、腕が、視界が、嗅覚が、聴覚が、身体が制御を失っていく。人体は死には抗えない。
仰向けに倒れる。その存在しない視界は空。表情は初めから最後までと同じ笑顔のまま、見るものが見れば晴れやかなまま。

少年は動かない。

血に漬かった端末が彼の能力で少しだけ動いているが、このままなら直に。
(142) 2021/10/12(Tue) 14:19:01
「……待っ、た。僕も、向かう」


抱きしめられ、その手が離されて。( )
聞こえてきた声( )に
自分にその資格があるのかと
一瞬迷いを見せるものの、トレーニングルームの中へ。

入って聞こえたのは、怒りだ。( )
……青年は、それを止めようとはしなかった。

何も変わらない事は無い。
何も響かない事は無い。

確かに死体は何も答えやしないのだ。
だけど、この舞台には、まだ生きる役者が居る。

そして人は、例えそれが微々たるものだとしても。
自分自身に影響を与える事が出来る。


そして。

「…………、兎には、響いたよ」

これは勝手な、感想だ。

メモを貼った。

全てを見届けた。全てを聞いた。

それでもやっぱり……

全ては見えない。全ては聞こえない。

だから、人は、難しい。ぶつかり合って、傷を付け合って。
それで分かる事もあるだろう。分からない事もあるだろう。

だけど、今はただ。

「…………、お疲れ様」

キミ達のその鼓動の辿り着く過程に、道のりに。
ひと時の、休憩を。

 




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