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![]() | 【人】 惜別ハツナ[ 病室を出るまでは、 私はしっかりとした足取りで歩いていたと思う。 病室を出て、扉が閉まったのとほぼ同時に 眩暈がして、思わず私はその場に 座り込んでしまった。 不安で不安で仕方ない。 大好きな人の記憶がないなんて。 私の事全部忘れちゃったんだ、って。 事実は消えないのに、 君に聞いても分からない、って言われちゃう。 幻を見ていたみたいな気持ちになって 何もかも失ってしまった気持ちになって。 ] (75) 2022/10/27(Thu) 14:42:09 |
![]() | 【人】 惜別ハツナ[ こんなところでいつまでも 座り込んでるわけにはいかない。 わかってるから、立ち上がった。 ふらり、と身体が傾きかけるけど そんなことは構わず、私はふらふらと 人のいない方へ、いない方へと進む。 気づいたら辿り着いていたのは 滅多に使われてなさそうな非常階段。 踊り場で私は歩けなくなって ぐったりと壁に背を預けた。 ] (76) 2022/10/27(Thu) 14:43:21 |
![]() | 【人】 惜別ハツナ[ 君に見せないように、って 我慢していた涙がもう、抑えられなかった。 誰も見ていない、ここなら。 ここなら、太陽は陰っててもいいはずだから。 ] (77) 2022/10/27(Thu) 14:43:56 |
![]() | 【人】 惜別ハツナっ、ぁ……。 [ 決して聞かれないように、口元を押さえて。 涙で押さえてる手が濡れていく。 もし記憶が戻らなかったらどうしよう。 怪我が治るまでは、 君は私を頼らざるをえないけど そのあとは?私はもう要らないって そう思われてしまったらどうしよう。 君は確かに君なのに 今まで過ごした時間を共有できないのが すごく怖い。こわくて、さびしい。 ] (78) 2022/10/27(Thu) 14:45:13 |
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![]() | 【人】 惜別ハツナ[ 鞄は受け取っても、心配の声は受け取らない。 こんな時だけ心配されても 信じられるわけ、ないでしょ。 ひったくるように取った鞄を持って 私は一度自分の部屋へといった。 本当は私もすこし休むべきなのかもしれないけど 君がひとりで待ってるから。休むわけにはいかない。 でも、ここに戻ってきたからには、 私はどうしても綴っておきたいことがあって。 ] (82) 2022/10/27(Thu) 20:45:49 |
![]() | 【人】 惜別ハツナ[ 交換日記は君に見せてみた方がいいのかな。 迷ったけれど、ここに置いていくより 持っていたかったから、また鞄にしまって。 私は、汚れてしまった服を着替えて。 髪を結い直してから、 さっき受け取った鞄を手に家をでた。 ] (83) 2022/10/27(Thu) 20:48:30 |
![]() | 【人】 惜別ハツナ[ その後の私はそう…… 君の家に、必要なものを取りに行ったんだよ。 着替えとか、タオルとか……要るよね? いくら何度も来てるからって、 関係ないものまで見ちゃいけないと思って 出来るだけ、余計なものは見ないように。 なんて、私が見るのに耐えられなかっただけ。 余計なものまで見たら、 君とここで過ごした時間を思い出して また、泣いてしまいそうで。 ] (84) 2022/10/27(Thu) 20:48:58 |
![]() | 【人】 惜別ハツナ[ そうして、君の元へと荷物を届けて。 ついでに、ささやかなお見舞いの品を君に渡すんだ。 お見舞いっていっても 君の好きなチョコレートと 遠足のあの日にも一緒に食べたチョコボール。 それだけ。本当はお花とかの方が いいんだろうけれど……。 売店で見かけて、買いたくなったんだ。 君が要らないなら私が食べればいいし。 ] (85) 2022/10/27(Thu) 20:51:11 |
![]() | 【人】 惜別ハツナ[ 他人の私が色々する姿を見て 君はどんなことを思ってたんだろう。 それは言われない限りわからなかったけど… どんなことを思われてても、 私はやめるつもり、なかったから。 君の元へと通うのが 私の新しい日課になるんだ。 学校には行っていたよ。 君の分のプリントも貰って届けようって そう思ってたし、板書だって完璧にして。 怪我してるんだし勉強なんてしたくないかな? そうだとしても私は届けたけどね。 ] (86) 2022/10/27(Thu) 20:52:15 |
![]() | 【人】 惜別ハツナ[ 事故は学校のみんなにも軽く伝わってたみたい。 なんだか腫れ物に触るみたいに色々言われたな。 学校のみんなのW助言Wは全部無視した。 そこまでハツナちゃんがする必要ないとか なんでそこまでするんだ、とか。 無理しちゃだめだよ、とか。 周りの声なんてどうでもよかったし、 私は、君のことしか考えてなかった。 ]* (87) 2022/10/27(Thu) 20:54:05 |
![]() | 【人】 惜別ハツナ*** [ 私がついた時、君は眠っていた。 そうだよね、疲れちゃう、よね。 自身の身体だってもう疲れた、って 悲鳴を上げてるのには目をそらして 私は君の頭をそっとなでる。 記憶が戻る日、来るのかな。 私が事故に遭えばよかったのに。 そんな思いが、ぐるぐる、頭に巡っていく。 そうしたら……君が怪我しなくて済んだのに。 ] (100) 2022/10/29(Sat) 1:03:01 |
![]() | 【人】 惜別ハツナ[ 君が起きるまで、待ってよう。 そう思ってたんだけど、 気づいたら私は ベッドの横の椅子に座ったまま、 眠ってしまってたんだ。 だからそう、君が涙を流してしまっても きっと、気付けない。 ] あ、食べたんだね。 美味しかった? [ 私が起きたとき、 君がもう一度寝てたりしないなら そうやって聞いてみたけれど。 私は、ふたりぼっちの遠足で 一緒にチョコボール食べたんだよ、とは この時は、言わないんだ。 ]** (101) 2022/10/29(Sat) 1:04:36 |
![]() | 【人】 惜別ハツナ*** [ 私が君のもとに毎日行ってることは クラスメイトならみんな知ってた。 それを良く思わない人たちが いつしか私への忠告をやめて ひそひそ、何かをしだしたことに 私は気づく余裕もなくて。 先生だって知っていたから、 遠回しに学校に来るようにとか そんな伝言も頼まれたりはしたけれど 学校にいけないから入院してるんじゃないですか? とか言って、先生を困らせたりもした。 先生には先生の事情があるから 仕方ないのも、わかってるんだけどね。 ] (102) 2022/10/29(Sat) 1:05:39 |
![]() | 【人】 惜別ハツナ[ 行けない分届けてるから、文句ないでしょう? って先生を言いくるめてたから 無くても大丈夫、って言われても 簡単にやめるわけにもいかなかった。 今要らなくても、後でいるかもしれないし。 ] 私がやりたくてやってるから。 それにね、今じゃなくても あとで必要になった時にないと困るでしょ? [ そう言って、勉強しなくてもいいから 受け取って欲しいな、って。 私からは学校に行こうとかそんな話しなかった。 ただ、勉強面で困っちゃいけないから ノートとかを渡しているだけで ……行きたくないなら無理することないよ。 ] (103) 2022/10/29(Sat) 1:06:30 |
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![]() | 【人】 惜別ハツナ[ 話題がノートの話から移って、 私は困ったように眉下げて、言葉を濁す。 君のことを誰より知ってるのは確かに私だね。 でも、今聞かれてるのは学校での君。 知ってるよ、 知ってるから言いたくない。 ] (105) 2022/10/29(Sat) 1:07:52 |
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![]() | 【人】 惜別ハツナ[ そう言って、鞄から取り出したのは いつも持ち歩いて、渡すのを迷っていた 交換日記。 最後の1ページは破り取ったけど それ以外のページは今でも、読める。 日記をぱらぱらとめくって、 書いてない真っ白なページを開くと、 私は、君の質問に文字で応えるために ベッドの横にある机を借りて 答えを綴り始めるんだ。 ] (107) 2022/10/29(Sat) 1:12:26 |
![]() | 【人】 惜別ハツナ[ 君が知りたいであろうことを綴ると 私は持っていた付箋をそのページに貼って ノートを閉じて君に渡した。 付箋のページに 君が知りたいことを書いたよ、って言いながらね。 そして、今日はそろそろ帰らないと、って その場を後にするんだ。 ほら、誰かに見られながらだと 読みづらいかもしれないし。 ]** (108) 2022/10/29(Sat) 1:19:06 |
![]() | 【人】 惜別ハツナ[ 君の質問に言葉を濁してしまったの、 君にとっては良くなかったのかな。 私は言いたくなかったんだ。 君の悪口とか、勝手なイメージとか……。 ハツナには相応しくないって 言われてたこととかね。 君の記憶は戻って欲しいけれど それは忘れていて欲しい、なんて。 ] (109) 2022/10/29(Sat) 23:23:21 |
![]() | 【人】 惜別ハツナ[ クラスの中には君のことを良く思わない人たちが いるって、私は散々言われてきたから知ってる。 私がいない所でも君が直接言われてたことは 聞きそびれてしまったけれど、それでも。 君のことを嫌いな人が クラスに居るんだってことは知っていた。 知ってたけど、私には関係ないって、 そう思ってたんだよ。 君のことを真に知ってるのは私だけでいいから。 ] (110) 2022/10/29(Sat) 23:24:10 |
![]() | 【人】 惜別ハツナ「朝日くん、怪我しちゃったんでしょ? 怪我が早く治るように、って みんなで心を込めて 千羽鶴を折ったんだ。 ハツナちゃん、いつもお見舞いに行ってるし 渡してきてくれないかな? ね、お願い。 ハツナちゃんにしか頼めないんだ。」 (111) 2022/10/29(Sat) 23:24:35 |
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