113 【身内】頽廃のヨルムガンド【R18G】
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「……」
傍にいてくれるだろうか。
貴方に、いろんな暖かなものに触れて欲しい。
貴方の前には様々な選択肢があって、様々な生き方があるのだと。
少しずつ。少しずつで、いいから。
かつて自分が教わったように、知って欲しかった。
……そして、別の生き方を知れば。
貴方はどの道を選ぶだろう?
「私が、貴方に。
そう思う事はありませんよ」
傍を離れる事があるなら、
それはきっと自分が愛想を尽かされた時だ。
灯屋はそう思う。
フェリックスに舌打ちをしてその背を見送る。「そんなことわかっているんですよ、だから信じられないんです」
暫し、思案する。
やがて大きく息を吸って、吐いて。
「……わかりました。
ガルム。
貴方の事を教えていただいても、いいでしょうか。
言いたくない事があれば、伏せても構いません。
貴方がこれまでどうやって生きてきたのか。
私に、教えてくれますか」
何を思おうと、感じようと。
これは全部受け止めると決めた。
| オーウェンは、自分のやってることが正しいことだとは思ったことはないが。 (a54) 2021/12/18(Sat) 20:09:39 |
| (a55) 2021/12/18(Sat) 20:10:19 |
それでも、貴方は私のひかりです。そう信じています。
「……そう。そうか
もしそんな日々が、少しでも続くのならば」
──貴方が、此方の味方ある必要はない。
だが、そうであるのなら、それは
「きっと、嬉しい」
己の知りうる言葉で表現することが
できなかったたった一言を呟き。
貴方の番犬は目を細めた。
「……ならば、話そう」
包み隠さず告げよう。
それは、拙い言語で淡々と語られる。
「──おれが生まれたのも、下層の掃き溜めだったらしい」
記憶は曖昧だが、物心つくより幼かった。そして、これもまた、ひとに拾われた。趣味で魔術を嗜むような、裕福な魔術師だった。
その扱いは我が子というよりは"実験体"や"奴隷"だ
魔術の実験に使われる日々を送っていた。
成長すれば、実験体に使う為の人殺しなんかもさせられた。
──だが、奇妙なことに本人はそれに疑問を抱いていなかったようだった。
寧ろ"救われたから役に立ちたい"という。
しかしそんな日々も突然終わりを告げた。
自らの手で、その魔術師を殺めることによって。
──殺したくはなかった。だが、それが
"命令"だったから。そうしたのだという。
語られたのは本人の視点。真実はどうだったのだろう?
解放されたあとのほうが、苦労したのかもしれない。
皆も知る通り。居場所のなくなった野良犬ができること
といえば、冒険者くらいだった。
| オーウェンは、エアハートに変わらず疲れた笑みを見せた。 (a61) 2021/12/18(Sat) 20:55:59 |
| (a62) 2021/12/18(Sat) 20:56:26 |
| オーウェンは、最初から、自分のことしか考えてない。と思ってるつもりだったから。 (a63) 2021/12/18(Sat) 20:56:41 |
「…………」
役者騙りの騎士は、誰かと二人連れ立って。
暫くの間、何処かへ姿を消した後。
夜には酒場へ戻って来て、適当な席で茫としていた。
何処かへ消えていた武器は二つ、再び在るべき場所へ。
がり、ごり。
甘いものは、好きな方であるはずなのに。
乳白色の飴に歯を立てても、今は何も満たされない。
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